鉱物資源バブル続く
- MRA商品市場レポート
2024年5月21日 第2719号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「鉱物資源バブル続く」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はこれまで価格上昇が顕著だったソフトコモディティと液体系エネルギー価格が下落したが、その他の価格は軒並み水準を切り上げる展開となった。
最大経済国である米国の景気減速観測が強まっているが、それに伴い金融緩和期待が強まっており結果的に株価を安定化させ、ゴルディロックス相場を形成していることが総じてリスク資産価格を押し上げている、と言える。
この四半期で最も顕著な上昇になっているのはLME非鉄金属(昨期末比+22.1%)であり、次いで貴金属(+14.3%)となっている。貴金属の金価格が上昇しているのは脱ドルの流れと新しい通貨圏構築(詳しくは有料レポートの貴金属のコラムをご参照ください)の流れで、50年前に金価格が上昇した構図と非常に似ている。
非鉄金属の上昇は金が上昇し、天井感が出ると銀が物色され、その後流動性の高い銅・アルミから物色され、非鉄金属全体に広がるという、過去にも何回か見られた価格上昇パターンと同様の上昇になっている。
非鉄金属価格の上昇に、「EVや脱炭素」「優良鉱山の不足」「資源ナショナリズム」を上げるレポートは多く、弊社も長期的にはその見通しである。
恐らく脱炭素が進む中では代替資源として鉱物資源が物色され、最終的には穀物などの農産品に市場の注目が集まると見ている。
しかしそれは長期的な材料であって短期的な材料ではなく、Q224になってから突如材料視されるものではない。
恐らく株価にやや天井感が出る中で、テーマ性がある商品は物色対象としやすいことから、投資銀行並びにファンド筋がこの四半期の投資対象(購入対象。投機筋は売る現物を保有していないため、投資の際には買いから入りやすい)にした可能性が高いと考えている。
ただ、形はどうであれ、投機筋はEVや脱炭素、優良鉱山の減少を材料に鉱物セクターを物色しているため、しばらくは高値が続くことになると予想される。
ただ、こうした鉱物資源価格の急騰はパリバショック、リーマンショック前にも確認された動きであり、下振れリスクも念頭に置く必要があろう。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
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