雇用統計を受けた景気減速と緩和期待で高安まちまち
- MRA商品市場レポート
2024年5月6日 第2708号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「雇用統計を受けた景気減速と緩和期待で高安まちまち」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は高安まちまちとなった。市場が注目していた米雇用統計は雇用者数が前月比+17.5万人(市場予想+24.0万人、前月+31.5万人)と市場予想、前月共に下回り、失業率も3.9%(3.8%、3.8%)と上昇、失業者数の増加で求人・失業レシオは1.31倍(前月1.32倍 ※求人数が先月と変わらなかったとした場合の水準)と低下、インフレ低下圧力が強まったことが金融緩和観測を想起させ、株や、米国経済動向以上に為替に影響を受ける非鉄金属価格を押し上げる形となった。
ただ、業種別の雇用者数の変化を見ると、雇用者数シェアの最も大きい教育・ヘルスサービスは前月比で増加を続けており、その他の業種も小売などは雇用者が増加しているため、全面的な景気減速になっている訳ではない。
また、ISM非製造業指数も製造業指数に続いて50の閾値を下回っている。より細かく見てみると新規受注は52.2(54.4)と減速はしたが閾値の50は上回っている。ただ、在庫増減は53.7(45.6)、在庫景況感(絶対水準)も48.5(45.4)と増加しており急速に状況が悪化している可能性を示唆している。
また、仕入価格も59.2(53.4)と急速に上昇、インフレが継続してることも示唆している。結局、高金利政策はしばらく継続しなければならないが、先々を考えると利下げの必要性がある、との結論になりそうだ。
この結果、市場は利下げの可能性を11月から9月に変更し始めており、為替の円高圧力となっている。日本にとっては慈雨となる雇用統計だったと言える。
一方、米国の経済動向の影響を強く受ける原油価格は下落。ハマスが停戦に前向としている定性的な影響に加え、チャート的にも重要なポイントを下抜けていたためポジション解消売りにおされたと見られる。
過度な金融引締め観測が後退、これで再びゴルディロックス相場に戻るのか。ただ雇用統計は過去の統計であり、フォワードルッキングな指標であるISM製造業指数、非製造業指数はむしろスタグフレーションを示唆している。
引き続き週次の雇用関連統計や、ISM・PMIの重要性は高い。
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