強い米CPIで金属セクター安い
- MRA商品市場レポート
2024年4月11日 第2691号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「強い米CPIで金属セクター安い」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーセクターやその他農産品が上昇したが、非鉄金属や貴金属などの金属セクターは水準を切下げた。
注目の米CPIが前月比+0.4%(市場予想+0.3%、前月+0.4%)、コア指数も+0.4%(+0.3%、+0.4%)と上昇、市場予想を上回る上昇となり米国のインフレが沈静化していない可能性を示唆する内容だったことで、金融緩和観測が後退、ドル高が進行したことが価格を押し下げた。
ただし、エネルギーなど、米国が最大消費国である商品は、1日発表のISM米製造業指数や、先週末の雇用統計の改善を合わせて考えると消費は堅調と見られ、イスラエル・イラン問題を背景とする地政学的リスク・供給途絶リスクが意識されて米国時間の後場、水準を切り上げた。
昨日のCPIは特にサービス(除く家賃)の上昇が顕著であり、前年比+4.8%と前月の+3.9%から伸びが加速した。前月比ベースでも+0.8%(+0.6%)と伸びが加速しており個人消費が堅調であることをうかがわせる内容。
また、これまで伸びが減速していた住宅価格は、前月比ベースで、昨年12月から+0.4%→+0.6%→+0.5%→+0.6%と伸びが再び加速している。
このままであれば米利下げの可能性はかなり低くなる。実際、市場の年内利下げ見通し回数は1.7回と、これまでの2.5回から大きく後退している。これにより、金融政策はタカ派に転じ、高金利が景気を減速させる(というよりは回復ペースを鈍化させる)方向に作用すると考えられる。
しかし、昨日発表された米石油統計を見ると、「ライブ」の石油製品・個人消費の指標の1つであるガソリン出荷は先週から減速、ディスティレートの出荷も減少して過去5年レンジを下回った。
このことは、やや個人消費に陰りが見え、トラックなどの輸送需要(どちらかと言えば企業向け)が高金利政策の影響で減速している可能性があることを示唆している。
またFOMC議事録も想定以上にハト派なトーンであり、まだ利下げの可能性は残っているとみるべきではないか。
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