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米中統計改善を受け堅調 金融政策スタンスはタカ派に
  • MRA商品市場レポート

2024年4月2日 第2684号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中統計改善を受け堅調 金融政策スタンスはタカ派に」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、畜産品・農産品などが水準を切下げたが、エネルギーや非鉄金属などの景気循環系商品がドル高の中でも水準を切り上げる展開となった。

市場が注目していた米ISM製造業指数が想定以上の改善となり、米景気への楽観が強まったことが、需要面で特にエネルギー価格を押し上げ、(原油価格と相互に影響し合っているが)米期待インフレ率が上昇したことが、広くインフレ系リスク資産価格を押し上げる形となった。

また、悪い統計とニュースしか出てこなかった中国が週初日曜日に発表した製造業・非製造業PMIが想定外に良い内容だったことで、緩やかながら中国の景気が回復する、との期待が高まったことも需給面で多くの商品価格を押し上げた(ただし、中国の鉄鋼業PMIは悪化しており不動産問題は解決していない。詳しくは昨日のトピックスと個別セクター見通しのうち、鉄鋼原料のコラムをご参照ください)。

米ISM製造業指数は50.3(市場予想48.3、前月47.8)と市場予想、前月とも大幅に上回り、閾値である50を上回った。内訳を見ても、受注残や雇用など、閾値の50を下回っているものも多かったが、新規受注(49.2→51.4)の増加に裏打ちされた生産(48.4→54.6)の増加、これに伴う雇用の増加(45.9→47.4)にけん引された。

ただし、仕入価格は55.8(52.5)と大幅に上昇しており、インフレが再燃する可能性も無視できない状況。

結局、かなり山谷はあったが昨年7月を底に、米景気は循環的な回復に入っている可能性が高まった。

循環の周期性を勘案すれば景気が安定的に水面上にでるのは今年の7月頃となり、弊社と市場が想定していたQ324での景気底入れ(前年比ではQ424)のタイミングが1四半期早まる可能性が出てくる。とはいえ昨年からISM製造業指数は「山谷がある」感じで推移してきているため、今月単月の改善のみで判断するのはやや危険だ。

しかし統計改善が持続して景気回復のタイミングが早まれば、これまでFOMCメンバーがインフレ鈍化に自信を示していたが、この数週間で出始めた「利下げ見送り」の可能性も高まることになる。QTの調整もやや雲行きが怪しくなってきた。

この数年、米景気の見通しを最も的確に説明しているサマーズ元財務長官が「利下げではなく利上げ」という主張が、場合によるとメインシナリオになるかもしれない。

この場合、円高を見込んでいる市場参加者が増える中で想定外の円安進行となる可能性があり、日本の輸出企業にとってはプラスだが内需系企業と個人消費には大きな打撃となることが懸念される(詳しくは本日のMRA's Eye「日銀短観レビュー 人手不足の状況は続く」をご参照ください)。


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