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円相場の現在地~循環的円安と構造的円安
  • MRA外国為替レポート

2024年4月1日号

◆先週の市場総括


先週は日本の金融当局の円安牽制、口先介入が円安にブレーキをかけた。日銀金融政策決定会合、マイナス金利解除後も緩和的な金融政策が続くとの見方で円売り・円安が続いた。

これに対し週初から神田財務官が口先介入を実施。水曜日にドル円相場が152円を試し2022年秋の高値を抜く動きとなると、財務省・金融庁・日銀が3者会談を実施。神田財務官はさらに強いトーンで介入の可能性を示唆した。

その結果円安は一服しドル円相場は151円台前半を中心としたもみ合いで引け。ユーロ円相場も163円台半ばで始まり164円台に乗せていたが163円台半ばに押し戻された。

日経平均は期末の配当権利落ちで大きく下落する場面もあったが4万円の大台は維持して底固く推移。米国株は週初までの調整一服で持ち直しも週末3連休で動きは鈍かった。

米国の経済指標はまちまち。物価指標は期待インフレ率がやや低下、消費支出価格指数が横ばい、と利下げ先送りを強く示唆する材料はみられず。FRBウォラー理事はインフレ鈍化を確認し利下げを実施するまで数か月かかると述べ、利下げ先送り、利下げ回数減少の可能性を示唆した。

月曜日の東京市場では日経平均が下落。前週末の米国株NYダウ下落、円安一服が重石となり売り先行。一方、内需、高配当株の一角には買いが入り支えとなった。引けは前週末比▲474円安の40,439円。

ドル円相場は151円40銭台で始まり10銭に下落。その後も20銭~40銭で上下し横ばい。欧米市場でも大きな材料のないなか10~50銭で上下し引けは151円40銭。ユーロ円相場は163円60銭で始まり30銭~60銭で上下。夕刻から欧州市場は163円60銭~80銭で推移した。

米国市場では164円20銭に上昇したが押されて引けは164円ちょうど近辺。ユーロドル相場は1.0810~20で小動きもみ合い。欧米市場では1.0830~40で推移し引けは1.0840。動意の弱い展開となった。前週末に低下した米長期金利はやや上昇。10年債は4.246%、2年債は4.63%。

米国株は引き続き高値警戒感から利益確定売りが上値を抑えた。EU規制による収益圧迫懸念で大型ハイテク株の一角が売られた。NYダウは前週末比▲162ドル安の39,313ドル。ナスダックは▲44ドル安の16,384ドル。

発表された米国の新築住宅販売(2月)は季節調整済み年率換算で662千戸と前月661千戸と変わらず予想をやや下回った。

シカゴ連銀全米活動指数(3月)は前月▲0.54から0.05に改善。一方、ダラス連銀製造業活動指数(3月)は前月▲11.3から▲14.4へ悪化した。FRBクック理事は、注意深く金融政策調整を進めれば労働市場の堅調を維持しつつインフレ目標を達成することが可能、と述べた。

火曜日の東京市場では日経平均が小幅安。米国株の軟調が重石となるなか主力銘柄の一角に売り。期末を控えて機関投資家のリバランス売りも出た模様。一方で配当権利取りの買いは支え。引けは前日比+16円高の40,398円。

ドル円相場は151円40銭で始まり小動き軟調。夕刻から欧州市場序盤に20銭に下落。ただその後米国市場にかけて持ち直し151円50銭~60銭でもみ合い引けた。

米国市場ではドルが堅調。ユーロドル相場は1.0840で始まりもみ合い小動き。欧州市場序盤は1.0860に上昇したがその後は反転下落。1.0830近辺でもみ合い引け。ユーロ円相場は164円ちょうど~10銭でもみ合い夕刻にかけてじり高。

欧州市場では164円20銭~40銭で上下したあと米国市場では164ちょうど~20銭でもみ合い引け。

米国株は軟調。四半期末の持ち高調整売りに押された。機関投資家から売りが出るなか、週末3連休を控え参加者が少なく売買が鈍かった。NYダウは▲31ドル安の39,282ドルで引け。ナスダックは▲68ドル安の16,315ドル。

発表された米国の耐久財受注(2月)は前月比+1.4%で予想通り。前月は▲6.9%に▲6.1%から下方修正。

ケースシラー住宅価格指数(1月)は前年同月比+6.6%と前月+6.1%から上昇加速。

リッチモンド連銀製造業指数(3月)は前月▲5から▲11へ不変予想を下回り悪化。消費者信頼感指数(3月)は前月106.7から104.7へ悪化した。米長期金利は小幅低下。10年債利回りは4.238%、2年債は4.593%。

水曜日の東京市場では日経平均が上昇。この日は配当権利付き売買の最終日。高配当銘柄中心に買われた。また期末の配当再投資も意識され先物にも買いが入った。値がさ株の一角も上昇を牽引。引けは前日比+364円高の40,762円。

ドル円相場は151円60銭で始まり午前中に152円目前まで上昇した。

日銀の田村審議員がゆっくりと政策修正を行うと発言。金融緩和継続、内外金利差が拡大したままとの見方から円の安値を試す動き。ただその後は介入警戒感もあり反落し60銭~80銭で上下動。

ユーロ円相場は164円ちょうど~20銭で始まり40銭に上昇したあと反落して20銭近辺でもみ合い。円安進行を受けて、財務省・金融庁・日銀が夕刻に3者会談を実施。神田財務官は、行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず適切な対応をとる、と発言。一歩踏み込んだ「口先介入」を行った。

円は買い戻されドル円相場は151円10銭に下落しその後151円ちょうど近辺まで。ユーロ円相場も163円50銭近辺まで下落してもみ合い。ただ米国市場では円高は一服し、ドル円相場は151円30銭~40銭で推移し引け。

ユーロ円相場は163円70銭~80銭。ユーロドル相場は東京市場から欧米市場にかけて終始動意薄。1.0820~30でもみ合いのあと欧州市場では10~20で推移し引けは1.0820。

米長期金利は小幅低下。10年債は4.194%、2年債は4.568%。米国株は上昇。

NYダウは前日まで3営業日で500ドルほど下落したことで過熱感が一服。期末の持ち高調整売りに対し、残高を積み増すウィンドードレッシングの買いが勝った。引けは+477ドル高の39,760ドル。ナスダックは+83ドル高の16,399ドル。

木曜日の東京市場では日経平均が大きく下落。午後には一時▲700円安まで下げた。前日に史上最高値を伺う展開となり高値警戒感から利益確定売りが優勢。配当権利落ちも下落要因。

日本の通貨当局による円安牽制は輸出関連銘柄の重石。一方、期末配当の先取り再投資の動きは支え。引けは▲594円安の40,168円。

ドル円相場は151円30銭~50銭でもみ合い小動き。ユーロ円相場は163円70銭で始まり163円台後半で上下動。ユーロドル相場は1.0820中心に小動き横ばい。

日本時間朝方にFRBウォラー理事のタカ派発言が伝わったがドル高には動かず。理事は、利下げを急ぐ必要はない、回数を減らすか先送りすることが妥当、少なくともインフレ鈍化を数か月確認する必要がある、と述べた。

欧州市場に入るとユーロが下落。ドイツの小売売上高(2月)が予想より弱く景気懸念が強まった。ユーロドル相場は1.0780へ、ユーロ円相場は163円10銭へ下落。ただその後は下げ止まり1.0820、163円50銭へ反発。引けはそれぞれ1.0790、163円20銭台。

ドル円相場は151円20銭~40銭でもみ合い引けは151円40銭近辺。

米国株は小動きまちまち。3連休前で動意薄もわずかながら史上最高値を更新した。指標も概ね予想の範囲内でまちまちだった。NYダウは前日比+47ドル高の39,807ドル、ナスダックは▲20ドル安の16,379ドル。

米長期金利は小幅上昇。10年債は4.206%、2年債は4.628%。

発表された米国のGDP(10-12月期確報)は前期比年率+3.4%に3.2%から上方修正。個人消費は+3.3%に3.0%から上方修正。シカゴ購買部協会景気指数(3月)は前月44.0から41.4へ悪化。

ミシガン大学消費者態度指数(3月確報)は76.6から79.4へ上方修正された。一方、同期待インフレ率は1年が速報の3.0%から2.9%へ、5年が2.9%から2.8%へ、それぞれ下方修正された。

金曜日の東京市場では日経平均が反発。前日に配当権利落ちで下落したが、年度末最終日のこの日は海外勢が買い、先物ショートカバーも入り引けにかけて一段高。前日比+201円高の40,369円で引けた。

米国株式債券市場が休場のため為替市場は東京時間から動意薄。ドル円相場は151円40銭で始まり20銭~40銭でもみ合い横ばい。欧米市場も同様のもみ合いで引けは151円40銭。

日本で発表された都区部CPI(3月、生鮮食品を除くコア)は前年同月比+2.4%と前月+2.5%からやや低下したが予想通り。

米国で発表された個人所得・消費支出(2月)は所得が前月+1.0%から+0.3%に伸び鈍化、一方消費支出は+0.2%から+0.8%へ伸びが加速。

注目の消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年同月比+2.4%から+2.5%へやや上昇率が高まったが予想通り。コア指数は+2.8%で前月+2.9%(+2.8%から上昇修正)からやや鈍化したが予想通りだった。

ユーロドル相場は東京市場では1.0790で始まり70~80でもみ合い。欧州市場では1.08ちょうど近辺に上昇したが引けは1.0790と東京朝方と同水準。ユーロ円相場は163円20銭~30銭で始まりその後は163円ちょうど~20銭。欧州市場では20銭~40銭で推移し引けは163円40銭。

◆今週の3つの注目ポイント


1.日銀短観

月曜日に日銀短観が公表される。大企業の業況判断DIは、製造業は現状が前回12から10へやや悪化予想、先行きは8から10へやや改善予想。

非製造業は現状が前回30から33へやや改善予想、先行きは24から31へ改善予想。総じて製造業の景況感頭打ち、サービス業の景況感改善が予想されている。想

定為替レートは全規模・全産業で12月調査の2023年度が139円35銭だった。

今回調査の2024年度・新年度の想定はどうか。また販売仕入価格判断の動向(前回調査は中小企業で販売価格判断が25ポイント程度の上昇超、仕入価格判断が55ポイント程度の上昇超)、雇用過不足感の動向(前回調査は全産業ベースで▲35、不足超過)、が金融政策との関連では注目されよう。

株価には大企業の売上収益予測がポイントとなる。

2.米国の経済指標

今週は重要指標の発表が目白押し。指標の強弱度合いが市場の年央利下げ観測に前後どの程度影響するか。

月曜日 製造業PMI(3月改定値、速報52.5)
 ISM製造業景気指数(3月、予想48.4、前月47.8)

火曜日 雇用動態調査(JOLT求人件数、2月、前月8,863千人)
 製造業新規受注(2月、前月比、予想+0.9%、前月▲3.6%)

水曜日 ADP雇用報告(3月、雇用者数前月比、予想+155千人、前月+140千人)
 サービス業PMI(3月改定値、速報51.7)
 ISM非製造業景気指数(3月、予想52.8、前月52.6)

木曜日 貿易収支(2月、予想▲660億ドル赤字、前月▲674億ドル赤字)
 週次の失業保険申請件数

金曜日 雇用統計(3月、非農業部門雇用者数前月比、予想+216千人、前月+275千人、失業率、予想3.8%、前月3.9%、平均時給、前年同月比、前月+4.3%)

3.欧州の経済指標

ECBは年央利下げ開始の意向を示しつつもその後のペースは不透明、指標次第としている。

火曜日 製造業PMI(3月改定値、速報、ユーロ圏45.7、ドイツ41.6)
 ドイツCPI(3月、前月比、前月+0.4%、前年同月比、前月+2.5%)

水曜日 ユーロ圏CPI(3月、前年同月比、コア指数、予想+3.0%、前月+3.1%)

木曜日 ユーロ圏PPI(2月、前年同月比、前月+8.6%)
 サービス業PMI(3月改定値、ユーロ圏、速報51.5、ドイツ、速報49.8)

金曜日 ドイツ製造業新規受注(2月、前年同月比、前月▲6.0%)、ユーロ圏小売売上高(2月、前年同月比、前月▲1.0%)

◆今週のMRA's Eye


円相場の現在地~循環的円安と構造的円安

先週、ドル円相場が22年10月、23年11月に続き152円目前まで上昇。30数年来の最高値をつける展開となった展開に、財務省・金融庁・日銀は3者会談を実施。神田財務官は円安に強い警戒感を示し、介入を示唆していわゆる口先介入を行った。

ファンダメンタルズと乖離しており明らかに投機的な動きだ、と述べた。

確かに円安は行き過ぎていると判じる材料はいくつかあるが投機売買も含めて相場。またファンダメンタルズとは何を意味するかも難しい。

ファンダメンタルズが景気物価金利動向とするなら、為替相場がそこから乖離することはままあること。実際に投機も含めた為替需給の変化がなければ、容易にあるいは直ちには、円高方向への修正は生じそうもない。

需給を離れた要因からみれば、現在の円安は構造的要因と循環的要因の双方が重なって大幅な円安が生じているといえそうだ。

構造論は短期的に確証を得るのは難しく、将来に関しては推論にならざるをえない。それを踏まえても、構造的には日本の対外収支の赤字定着が一段と明確になったことは指摘できる。

巨額の対外収支赤字は解消したものの、今後は貿易サービス収支の赤字が定着ないし緩やかに拡大する可能性がある。小幅で根強い赤字がすでに継続しているという観点でみれば、コロナ前から構造的な円安バイアスがかかっていたということだろう。

これが偶々欧米の超低金利による内外金利差の縮小で目立たなかったとみられる。

さらに内外金利差とくに日米金利差が構造的に拡大定着する可能性だ。先進国経済が全般にデフレから脱却したとみられ、とくに米国が90年代以前の通常のインフレの世界に戻ったと推測されている。

一方で、日本経済がデフレからの脱却が遅れ、デフレとはいわずとも低インフレで定着するなら、日米金利差のベースが上方にシフトすることになる。循環的には金利差は上下しよう。

しかし、米国の利下げがかつてのように急速にならず、かつ政策金利が1%台まで低下するとは見込みにくい。金利の底が2%程度でとどまる可能性がある。

日本もようやく金融正常化に動き始めたことは構造的な変化といえる。しかし1%まで金利が回帰するにはやや時間がかかり、2%に達することはにわかに想定しにくい。

日本の対外収支の赤字定着、日米金利差の循環変動における下限の構造的な上昇、の2点によって、ドル円相場の中心レンジは、かつての100円~110円から120円~130円へ20円程度上方シフトした可能性を疑っておく必要はありそうだ。

だとしても、足元の150円台のドル高円安が構造的な中心レンジから大きくドル高円安に乖離している。これは循環要因やドル先高感・円先安感の慣性によるところも大きいだろう。確かに財務省が指摘するとおり、投機的な要因が寄与している面は多々ありそうだ。

為替需給面をみれば、22年10月につけた150円台の時点と現在には大きな違いがある。22年当時は輸入サイドでは資源価格の急騰、輸出の低迷などで、貿易赤字が急速に膨らんだ。

毎月2兆円を超える貿易赤字となり、これは150円台へのドル高円安が進むのと整合的だった。

ただその後、昨年23年末にかけて大きく赤字は縮小。現在では平均で毎月5,000億円以下の赤字に留まっている。これはコロナ禍で大きく貿易赤字が膨らみ始める前と同水準だ。

22年秋にはまた、旅行収支がインバウンド規制によって毎月3,000億円程度の黒字からほぼゼロになった。これが需給面で対外収支の悪化に拍車をかけた。

それが昨年からのインバウンド再開で足元は毎月3,000億円台の黒字を回復。24年1月は単月ながら4,000億円に到達した。基調としてはコロナ前からの緩やかな増加傾向に復した。

一方、最近の話題はデジタル赤字だ。

IT大手プラットフォームのサービスに対する利用料支払いが年々増加している。クラウドやソフトウェア利用料、AI使用料、ネット広告などが該当。とくに米国大手IT企業への支払いが多い。

今後も利用拡大傾向は続くとみられ、これが日本の収支悪化傾向を決定づけるとの見方もある。ただその増加ペースはここ1年で急速に拡大したわけではない。10年前に毎月2,000億円~3,000億円程度だったものが、最近2年間の平均で5,000億円程度までじわり拡大した。

それ以上に際立ってサービス収支の悪化要因となっているのが金融保険サービスの赤字だ。これは主に海外再保険の支払いが増加していることによるとみられる。

また外貨資産投資や節税スキームの一環として海外保険への支払いが増加していることも要因だろう。

22年初には毎月1,000億円の赤字にも満たなかったが、その後増加基調が顕著となり足元では2,000億円台前半まで赤字額は倍増以上となった。

サービス収支の悪化が貿易収支の赤字改善を損ね相殺するかたちで、貿易サービス収支全体の赤字定着を促していることは間違いない。

ただそれでも大幅な赤字は改善しており、この収支動向の改善との連動制という観点だけからは、ドル円相場が再び、三度、152円を試す動きは整合的ではないといえる。

またサービス収支の赤字だけを長期的にみれば、2000年代初頭において毎月5,000億円程度の赤字で足元と同水準だった。現在が歴史的に大幅な赤字となっているというより、構造的に内訳が変化しているということだ。

旅行収支が2000年代初頭の毎月2,000億円程度の赤字から4,000億円程度の黒字に転換。しかしその他のサービス収支が大きく赤字となった。そこにどれほど将来的な危うさをみるかということになる。

貿易収支、サービス収支、双方において、構造的な収支赤字要因が拡大していき歴史的な赤字水準を上回って悪化していくのか。あるは為替相場変動によって赤字額がさらに拡大する可能性があるのか。貿易収支は世界景気や市況の影響で循環的に悪化・改善を繰り返しているのか、あるいは構造的に赤字拡大基調にあるのか。

確かに構造的な悪化基調をたどる可能性は否定できないが、その動きは1年、2年というスパンの話ではない。足元の状況を構造論だけで説明するには無理がある。

循環的には円安圧力が大きく減少しているのは事実。赤字は赤字であり円高圧力にはならないものの、これを円安が150円台に進んだ主要因とするのは難しい。

ここには内外金利差をベースとするキャリートレード、金利差獲得をベースとする投機的な円売りの活発化が大きい。次の一手は米国が利下げ、日本が利上げ、とみられるが、少なくとも6月までは動きがなさそうだ。

それをベースとしてドル買い円売り安心感が根強いことは事実。海外投機筋のポジションが総額でどれほどになるのかは想定が難しい。ただ数兆円規模となっていることは想像に難くない。日本の通貨当局はあと3か月ほど、市場の円安観と持久戦を戦う必要がありそうだ。

また日本株上昇による海外勢のヘッジ売りもこの間の円安に寄与してきたとみられる。

海外投資家の日本株保有額は220兆円ともいわれる。仮に50兆円が為替ヘッジつきの日本株投資とすれば、時価が30%上昇すると15兆円の円売りが生じることになる。

その額は定かではないが、いずれにしても日本株の上下動で円売り・円買いが生じる。ここまでは急激な日本株上昇で急速に円売りが生じたとみられる。この金額は貿易サービス収支を上回るインパクトがある。また株価上昇一服となれば円売りも止まる。

これらの影響は循環的に増減し、円安円高双方に効いてくる。投機筋の手仕舞いによる円買い戻し、為替ヘッジ額の縮小による円買い戻しのインパクトは相応に大きい。

構造的な円安要因、円売り圧力のうえに、投機的な円売り、循環的な円安要因が重なっていることを踏まえて、今後の円相場の動向をみておく必要がある。2~3年程度のスパンでは循環的な円安修正・円高バイアスを、より長期的にみれば円安方向に不可逆的に水準訂正したことを意識しておきたい。


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