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株価上昇を受けた楽観が景気循環系消費価格を押し上げ
  • MRA商品市場レポート

2024年3月20日 第2675号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「株価上昇を受けた楽観が景気循環系消費価格を押し上げ」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は北米の天然ガスや原油価格が上昇、上昇していた非鉄金属と貴金属が下落、工業金属は小幅高となった。特段材料はなかったのだが、FOMCを控えてのポジション調整が主体とみられる。

ここに来て非常に気になるのが原油価格の動向。OPECプラスの減産は景気減速局面での供給面の調整であり、価格の下支え要因となる。これは景気後退が底入れする前の終盤に近いところで見られる動きだ。

しかし、想定以上に米国の統計が強いことで、本当に「ノーランディングになるのでは」との見方が強まっていることが原油を押し上げているようだ。原油価格の上昇は様々なコストアップの要因となるため、巡り巡ってコスト面から広く消費価格を押し上げやすい。

足下、株価の上昇と原油価格や金が連動しているが、景気の下振れリスクが後退する中では株価が上昇し、市場参加者のリスク選好が回復することで特に景気循環系商品価格の上昇圧力となりえる。

米エヌビディアの好決算や今後の需要見通しを材料に、ハイテク関連銘柄の好調が続き、関連株が物色される流れとなっている。

しかし、日本半導体製造装置協会の統計では、世界の半導体出荷は2024年1月時点で前年比+15.2%(前月+11.6%)と、前回2000年頃のITバブル期(1999年~2000年頃。1999年~2000年の半導体出荷の前年比増加率は単純平均で+27.2%))ほどではないが好調を維持している。

ただ、S&P500IT関連株のPERが60倍、70倍になったITバブル期ほどのPERにはなっておらず(40倍程度)、まだバブルとまでは言い切れない。しばらくハイテク関連株がけん引する形で株価が堅調に推移しそうだが、それに連れる形で景気循環系商品価格にも需給バランス以上に、ファイナンシャルな要因で上昇圧力が掛かることが予想される。


なお、昨日は日銀政策会合があり、17年ぶりに利上げが行われた。しかし、これまで十二分に市場に織り込ませてきたため、今回の決定は120%織り込まれており、むしろ「これ以降、利上げはあったとしても1回程度」との見方からむしろ円安にシフトしている。

これまで安倍・黒田ラインで行われてきた異次元緩和の後処理は容易ではなく、まだ日本が世界から投資を呼び込めるほど成長を期待されている訳ではないことを考えると、今年は3回程度、米国の利下げが見込まれているが、日米金利差ほど円高にシフトしない可能性はあろう(詳しくはMRA外国為替レポートをご参照ください)。


本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
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