米労働市場需給緩和観測で総じて軟調
- MRA商品市場レポート
2024年3月11日 第2668号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米労働市場需給緩和観測で総じて軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は水準を切り下げた商品が目立った。注目の米雇用統計は雇用者数の増加が市場予想を上回ったものの失業者が急増しており、労働市場需給の緩和が確認されたことが景気への懸念を想起させ株価が下落、株が下落する中で総じてリスク資産が売られる流れとなったため。
上昇した商品は米需給報告で需要の増加や南米の不作への懸念が報じられた穀物や、発電燃料でありやや固有の材料があるものが物色された形。特段材料がない中で物色されたのは金であり、「もしトラ」リスクが意識されたのではないかとみている(詳しくは3月6日付けMRA's Eye「金価格とトランプ支持率」をご参照ください)。
昨日の雇用統計を元に「求人・失業レシオ」を算出すると1.37(前月1.45)と大幅に低下している。、求人数の指標としているJOLT求人は1ヵ月前の数値を用いているが、これにより米国労働市場需給が緩和していることが示唆された。
この場合、相関性の高い原油価格には下押し圧力がかかり、コアCPIにも下押し圧力が掛かる可能性が高まることになる。なお、昨日発表された平均需給も前月比+0.1%(前月+0.5%)と、異常気象の影響とみられた前月の水準から大きく減速、年率換算でも+1.2%と大幅な減速となった。
これにより、米国の利下げ期待は高まることになるが、FEDウォッチでは6月利下げの可能性が57.4%(前日57.1%)とさほど変わっていない。まだサービス業の雇用が堅調であることを意識していると考えられ、むしろ6月の利下げ見送りの可能性が26.6%(25.8%)と期待値が上昇している状況。
今後も引き続き、実体経済の減速が継続するのかどうか、ハード・ソフト両面を確認する必要があるが、この統計を受けて総じて景気循環系商品価格には下押し圧力が掛かる展開が予想される。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
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