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PCE発表を控えたポジション調整主体でまちまち
  • 新村ブログ《油売りのひとりごと》

2024年2月28日 第2660号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「PCE発表を控えたポジション調整主体でまちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、非鉄金属などの工業金属セクターが買い戻しで上昇、エネルギーセクターは続伸、その他農産品も期待インフレの影響を受けやすいため、原油価格の上昇を受けて水準を切り上げた。

目先、目立った材料に乏しく、発表される統計も強弱まちまちの状態が続いており方向感が出難い。市場は明確にFRBが重視していると宣言しているPCE価格指数の発表を待っている状況。

昨日発表された製造業の設備投資の先行指標であるコア資本財受注は前月比+0.1%(市場予想+0.1%、前月▲0.6%)と回復、一方で個人消費の指標であるコンファレンスボード消費者信頼感指数は106.7(市場予想 115.0、前月 110.9)と、市場予想、前月とも下回った。やはり多少なりとも循環的な景気減速が秋にかけて起きる可能性が高い、ということだろう。

しかし、低下したとは言え、年後半に利下げが見込まれていることが株価を押し上げており、株上昇による資産効果で消費を加速させやすい米国の個人消費が増加、インフレを押し上げて高金利政策維持、という流れになる可能性も想定される。

なお、昨日は円が上昇し日経平均株価も調整する局面があった。日本の消費者物価指数が前年比+2.2%(市場予想+1.9%、前月+2.6%)、コア指数が+3.5%(+3.3%、+3.7%)と、市場予想ほどの減速にならなかったことが材料だった。

日本の前年比物価上昇率は一服するとみてはいるが、米金利高・ドル高が続く中では想定よりも物価が低下しない可能性は十分有り得る。

【本日の見通し】

本日は、明日発表のPCE価格指数の発表を控え、方向感が出難い展開を予想する。ただし、足下では再び米金融政策動向が注目されているため、本日複数のFOMCメンバーの講演が予定されていることから、各連銀総裁の発言を受けて神経質な推移となろう。

本日の注目材料は以下の通り。

・アトランタ連銀総裁講演

・ボストン連銀総裁講演

・ニューヨーク連銀総裁講演

・G20財務相・中央銀行総裁会議(29日まで)

・イタリア5年・10年債入札

・英7年債入札

・独15年債入札

・Q423米GDP 市場予想 前期比年+3.3%(速報+3.3%) 個人消費 +2.7%(+2.8%) コアPCE価格指数 +2.0%(+2.0%)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は上昇した。米7年債の入札が不調で長期金利が上昇、ドル指数がそれに連れる形でドル指数が上昇、原油価格も上昇した。

足下、「米景気が想定よりも強い→金利上昇・ドル指数上昇・需要増加期待で原油価格も上昇」という流れになっている。これが反転するには、想定よりも弱い統計(マクロ、石油出荷関連統計)が発表される必要がある。

石油製品出荷は過去5年の最低水準であり、足下の需要は弱いはずなのだが、それを特にソフト系の指標が市場予想を上回っているため、価格を押し上げている状況。

中東情勢不安が継続していることも、積極的な売りポジションを形成し難い、という地合を醸成しており底堅い推移が続いている。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナやロシアなどのOPECプラス諸国の供給危機、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気減速継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

2月20日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが+15,474枚、ショートが▲5,355枚と、強気のポジション取りに。ロングの増加は需要回復期待を映じたものだが、期待先行の部分は否めずむしろ今後の下落圧力となるか。

Brentはロングが+357枚、ショートが+4,125枚と、ショートの積み直しの動きが見られる。高値圏に有ること、米国と異なり欧州域内の景気が弱いことがロングの新規積み増し圧力が弱いことの背景か。

本日は、米石油統計で原油在庫の+2.6MBの増加が見込まれているが、朝方発表されたAPI統計では+8.4MBの増加が確認されており、予想よりも弱い統計になる可能性があること、2日間の価格上昇を受けて調整売りに押されるとみる。

また、足下の異常気象の終了による石油製品の出荷動向には注目したい。この状態で出荷が低迷すれば、上述の通り米国の景気は期待ほど強くなく、価格の下押し要因となり得るため。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は上昇。冬場の終了が目前の中で供給に問題がなく価格を切下げてきたが、RSIが短期的な売られすぎを示唆していたため、割安感からの買いが続いている状況。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

しかし、足下のガス価格の下落や、この「浮く」ガスの解消を考えると、現在FID済のプロジェクトであっても実施が見送られる可能性がある。

この場合、2027年頃から逆に液化能力がかなりタイト化する恐れがあり、期間構造は期先はコンタンゴとなっている(ただし、供給のタイト感が解消することから、期先の価格が金利と保管コストで形成される通常の状態になっているため、とも言えるが、かなり期先の価格の上庄は顕著に)。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は、現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、米国の統計の改善が確認されておおり、カーゴ供給減少の可能性もある。

5.は2.とも関係するが、今年は夏以降にラニーニャ現象の発生が懸念されている。ラニーニャ現象は猛暑・厳冬をもたらすことが多いため、需要面で価格の上昇リスクに。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

2月12日-2月18日のLNGトレードは805万トン(前週719万トン)と増加。日本・韓国・インド・英国の増加が、中国や台湾の減少を相殺した。

なお、Freeportからの輸出減少はまだ継続している模様。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は期近が小幅に下落、期先が小幅に上昇。気温上昇見通しが若干後退したことや、限月交代を控えたロールオーバーの動きだったと考えられる。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格は上昇。TTFの上昇を受けて買いが入った。

11月のJLCの水準は11.87ドル(前月比±0.0ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

2月18日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は213万トン(過去5年平均 246万6,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は213万トン)と、過去5年の最低水準(205万8,600トン)に近接している。足下の気温低下が影響しているとみられる。

現在発生しているエルニーニョ現象は5月で終了、6月以降は55%の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

本日は、経済統計にガス価格が反応し難い状態であり、冬場の終了が視野に入っていることから総じて低水準での推移を続けると予想する。結局、レンジワークだろう。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格は上昇。主要石炭輸入国の輸入が増加していることが価格を押し上げた。

注目すべきは2025~2026のピークシーズンの価格が上昇していること。価格低迷を受けて2025年以降のガス供給が制限されるのでは、ラニーニャ現象の影響で需要が増えるのでは、との見方が強まったためとみられる。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替えられる訳ではないが、

1.実際に切り替えが可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する2.ガス対比での備蓄のしやすさ3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること

からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点と国内炭価格の下落に伴う採算悪化、国内炭の品位低下(そもそも中国の石炭は品位が低い)から、高品位の海外炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっている。

結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は114ドル、±1標準偏差で45~185ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。期先の価格の低下は、需給バランス緩和時の現物価格の下落余地を拡大することになる。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が110~120ドル程度まで低下しているため、110~185ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

ただし、足下の天然ガス価格の下落や環境保護派の圧力によってガスのプロジェクトの開発が見直される可能性が出てきており、中長期的にはガス価格の上庄で、石炭価格も上昇する可能性が出てきた。

特に石炭は環境保護派から目の敵にされているため、供給減少に伴うアップサイドリスクは無視できない。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

12月の中国の電力消費量は前年比+11.0%の8,563億kwh(前月+11.6%の7,619億kwh)と伸びが鈍化した。

本日は、ガス価格に底入れ感が強まっていること、主要国の石炭輸入増加の動きを受けて上昇余地を探る動きになると考えるが、不需要期でもあることから上昇余地は限定されるとみる。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は堅調な推移となる金属が目立った。目立った手掛かり材料に乏しかったが、テクニカルな買い戻しとみられる。ほぼ昨日の見立て通りの展開となった。

COTレポートではLME銅と、錫を除けばネット売り越しの状態となっており、何らかの対策期待が高まる中では買い戻しが入って価格を押し上げてもおかしくはない。

ただ、具体的な財政出動はこれ以上、住宅セクターを加熱させる訳にもいかないため、財の消費(耐久財など)や、鉄道などの近代化に必要なインフラ投資が中心になると考えられ、即効性は乏しい(効果が顕在化するのに時間が掛かる)と見る。

なお、非鉄金属のベンチマークである銅価格とLME指定倉庫在庫の逆相関の関係は回復しているが、現在の在庫水準で約90%の確率で説明可能な価格の下限は8,000ドル、上限が8,660ドル程度。

今年は景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになると予想される。

欧州によるロシア産金属の禁輸措置の動きは、短期的にはLME需給をひっ迫させて価格を押し上げるが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じるとみる。その後、ロシアと懇意な国とそうでない国とで「一物二価」の状態となることが予想される。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、問題を先送りするというよりは「今回の問題の規模と深度が想定以上であるため」仮に不良債権の処理をしたとしても、その影響が拡散することを排除するために相応の調査と準備・対応をする必要があることから、拙速に対応していない(できない)ともいえる。

結果、不動産問題の解消には時間が掛かり、大規模な損失が発生しなかったとしても不動産セクターが中国経済をけん引することは当面見込み難いということである。

不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところが有るためはっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降まで時間を掛けて対応する体力はないと考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話だ。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は、基本的には軟調地合の中でレンジワークを継続すると見ているため、昨日の上昇の反動で下落すると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物は中心限月が上昇した。

12月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が43.8(前月43.0)と回復、輸出受注も51.1(48.7)と改善したが、生産が43.7(45.8)と大幅に悪化したことが影響した。いずれにしても閾値の50を上回っていない状況が続いている。

生産調整にもかかわらず、完成品在庫(42.9→43.7)は積み上がっており(原材料在庫の指標は公表されず)在庫調整が必要な状況とも言えるが、季節的に完成品在庫を積み増す時期に有ることもあり、今月~来月に掛けては景況感とは余り関係無く在庫が積み上がる可能性は高い。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+138万4,000トンの1,669万7,000トン(過去5年平均 1,868万2,000トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。しかし、今週に関しては、鉄鋼製品在庫の積み増しペースは前週比+31.3%と顕著(過去5年平均+12.6%)だった。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+685万トンの1億3,310万トン(過去5年平均 1億4,117万トン)、在庫日数は29.8日(+1.5日、過去5年平均 29.0日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回っている。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+17万トンの187万トン(過去5年平均162万5,000トン)、在庫日数は+0.7日の7.8日(過去5年平均 6.7日)と、在庫の絶対水準・在庫日数とも再び過去5年平均を上回っている。

本日も、季節的な鉄鋼製品在庫の積み増しの動きが鉄鋼原料価格を押し上げるとみるが、足下の在庫積み増しの動きは緩慢であり、同様に上昇余地も限られると考える。

◆貴金属

昨日の金価格は小幅安。実質金利上昇が基準価格を押し下げたが、リスク・プレミアムが上昇しほぼ変わらずの状態だった。銀も金下落を受けて小幅安。

PGMはプラチナが上昇、パラジウムが下落。テクニカルに対金レシオがボリンジャーバンドを意識した動きとなっているが、プラチナがバンドの上限に近接していることが価格を押し上げ、パラジウムは金パラジウムレシオの上昇トレンドが株価の調整などもあって持続したことが影響した(詳しくは昨日のMRA's Eyeをご参照ください)。

足下、ベンチマークの金価格の変動要因の主なところは以下の通り。

1.米利上げによる信用不安の高まり(低格付企業・新興国)

2.ロシアに対するドル決済禁止制裁を受けた、準備金におけるドルから金ヘのシフト

3.ロシアのウクライナ侵攻

4.イスラエルとパレスチナの戦争開始による中東情勢不安並びに、テロ組織の大規模攻撃であるため、各地にテロが拡散するリスク

これらと同じ事象は、ニクソン・ショック~プラザ合意~アジア危機収束まで30年近く続き、金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが高止まりした。

2019年基準で算出した現在のリスク・プレミアムのシェアは50%と、ニクソン・ショック~アジア危機収束までの時期のシェアとほぼ同じ水準まで上昇している。

このことは、実質金利と同等のレベルでリスク・プレミアムを議論、即ち金価格を考える上では、地政学的リスクや信用リスク動向も無視できない状況になったと言える。

過去の例を見ると、この状態は数年単位で続く可能性がある。特に2.のロシアに対する対ドル決済停止を受けて、決済用の準備金としての金需要が増加しているため、今回のリスク・プレミアムの上昇は市場構造の変化によるもの、と整理する必要がある。

現状を理解する手助けとなるため、あえて実質金利・信用リスク・その他、に分離した場合、実質金利部分が46%、信用リスク要因が6%、その他の要因が48%。

直近1年間の説明力を相関係数で確認すると、金と期待インフレ率の相関が▲0.49、ドル指数が▲0.46、リスク・プレミアムと金価格が0.40、金とFF金利が0.31程度とさほど高くない。

3ヵ月間の相関関係では、最も金価格に対する説明力が高いのがドル指数で▲0.70、次いで米10年金利で▲0.63、次いで10年実質金利で▲0.58、期待インフレ率で▲0.36となった。

なお、金価格に対するリスク・プレミアムの相関性は▲0.03となっており、これまで説明力がほとんどなくなっていた実質金利要因の説明力が増しているといえる。

リスク・プレミアムは「価格の絶対水準」を議論する上で重要ではあるが、足下の日々の価格を動かす材料にはなっていないと整理できる。

この5年間のデータを元にした分析では、FF金利±1%の変化で、金の基準価格は±150ドル変化し(負の相関)、リスク・プレミアムは±170ドル変化(正の相関)する。

FOMCの直近のドットチャートは今年▲0.75%の利下げを予想しているが、市場予想は2024年は▲0.90%程度のFF金利引下げを見込んでおり、両者の差は縮まってきた。

上記感応度分析の結果を正とした場合、1%の政策金利の引き下げは金の基準価格は金の基準価格の+150ドル程度の押し上げ要因となり、リスク・プレミアムは、▲170ドルの低下要因となるため、仕上がりで▲20ドルの価格低下となる。結果、金価格は現状の水準を維持すると予想される。

リスク・プレミアムから信用リスク要因(CDS部分)を除いた「その他のリスク・プレミアム」はガザ紛争発生前から直近まで330ドル程度上昇しているため、紛争終了後は▲330ドル程度の下落余地があることになる。

この場合、現在の価格から1,700ドル程度までの下落余地があることに。

本日は、引き続き米PCEを控えて様子見気分が強く、金は高止まり、銀・パラジウムはレシオの上昇で価格は低下、プラチナはレシオの低下で上昇するとみる。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場はまちまち。基本供給過剰が意識されているが、昨日は原油価格の上昇や、それを受けた期待インフレ率の上昇が価格を押し上げる形となった。原油価格の調整売りを予想していたため、トウモロコシ・小麦に関しては見通しが外れた。

足下、エルニーニョ現象が継続していることから価格には下押し圧力が掛かりやすいものの、夏以降の景気の底入れ期待が原油価格を押し上げる見通しであること、夏場以降のラニーニャ現象の発生による不作、北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害ヘの懸念から、年後半は価格上昇リスクを意識する必要がある。

本日は、原油価格が米石油統計を受けて軟調な推移になると予想されるため、軟調推移を予想。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国の金融緩和が遅れる中、高金利状態で商業用不動産向け融資の借換ができず、商業用不動産価格が下落し地銀の経営悪化に繋がる場合(信用収縮の発生リスク)。

・トランプ政権が誕生した場合の「米国第一主義」の推進で、世界の政治・経済のあり方が大混乱するリスク(米国の「目先の利益が上がる」ディールを優先するため、全くバランスを欠いた政策が行われるリスク)

恐らく過剰な景気刺激によるインフレや、同盟国との結束崩壊、中国・ロシア・北朝鮮・イランの結束がより強まる形に。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・インド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2025年以降か。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

・再生可能エネルギーのコスト上昇と、景気減速に伴う再生可能エネルギー向け政策の見直し(化石燃料回帰が起きる場合。むしろ実現可能な制作に回帰する、という意味ではリスクシナリオというよりは、メインシナリオか)


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