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割安感から発電燃料上昇 夏場を警戒か
  • MRA商品市場レポート

2024年2月29日 第2661号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「割安感から発電燃料上昇 夏場を警戒か」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、発電燃料価格が上昇し、原油は上昇後下落、非鉄金属などの工業金属セクターは総じて軟調ながら、一部の金属は水準を切り上げる展開となった。

足下、目立った新規手掛かり材料に乏しく、市場の関心は米国の金融政策動向の判断材料となる今晩発表のPCEデフレータに集まっている。昨日はこれを控えたポジション調整的な取引が引き続き主体だったと考えられ、方向感が出難かった。

ただ、米石油製品出荷は低迷しており決して足下の消費動向は堅調、とは言い難く減速の可能性も排除できない(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照ください)。

その中でこの数日堅調なのが発電燃料。冬場は終了しむしろ価格が下がってもおかしくないのだが予想以上の暖冬だったこともあって水準が大きく低下していたため、猛暑となる可能性が高まるラニーニャ現象の発生見通しを背景に、値決めを急ぐ動きがみられたと考えられる。

もう1つの関心事は中国の動向。結局、住宅セクターを加熱させるような対策の実施は難しく、鉄道などの近代化に資する投資程度に限定されている状態。

この状況を受けて習近平国家主席は財の消費を増やすための対策(性能アップにより、消費者の購買意欲を増すものを開発するよう、指導すると発言)に舵を切ろうとしている。

しかし、企業業績が振るわず、外資も監視強化の中で中国から撤退する中で新しく消費者を刺激するような商品が直ちに開発できるとは考え難い。

【本日の見通し】

本日は、市場の関心が高まっているPCE価格指数動向を受けて神経質な推移になると考える。

当たり前ではあるが、PCE価格指数が市場予想を下回ればインフレ鈍化期待が高まり、金融緩和・ドル安で商品価格にはプラスとなる。逆に強い内容であれば利下げが先送られるとの見方から、高金利政策維持・ドル高で軟調な推移になると予想される。

しかし、既に市場は下期までは利下げがない(現在FedWatchでは、6月利下げの確率が50.8%まで上昇しているが、5月は21.9%に止まる)と予想しており、強い数字であれば反応は限定されると考えられる。

この他、景気の先行指標であるシカゴPMIなどにも注目したい。

本日の注目材料は以下の通り。

・アトランタ連銀総裁講演

・シカゴ連銀総裁講演

・クリーブランド連銀総裁講演

・ニューヨーク連銀総裁討論会に参加

・米週間新規失業保険申請件数 市場予想 210千件(前週 201千件)

・失業保険継続受給者数 1,874千人(1,862千人)

・米個人所得 市場予想 前月比+0.4%(前月+0.3%)  個人支出 +0.2%(+0.7%) PCE価格指数 前月比+0.3%(+0.2%)、前年比+2.4%(+2.6%) PCEコア価格指数 前月比+0.4%(+0.2%)、前年比+2.8%(+2.9%)

・2月シカゴ製造業PMI 48.0(46.0)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は乱高下した結果、前日比マイナスで引けた。PCE価格指数の発表を控えた思惑的な動きがドル指数を動かす中、発表された米石油統計で石油製品出荷の減速が確認されたことが材料となった。

ただし、石油製品出荷は過去5年の最低水準であり、足下の需要は弱いはずなのだが、それを特にソフト系の指標が市場予想を上回っているため、価格を押し上げている状況。

中東情勢不安が継続していることも、積極的な売りポジションを形成し難い、という地合を醸成しており底堅い推移が続いている。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナやロシアなどのOPECプラス諸国の供給危機、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気減速継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

2月20日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが+15,474枚、ショートが▲5,355枚と、強気のポジション取りに。ロングの増加は需要回復期待を映じたものだが、期待先行の部分は否めずむしろ今後の下落圧力となるか。

Brentはロングが+357枚、ショートが+4,125枚と、ショートの積み直しの動きが見られる。高値圏に有ること、米国と異なり欧州域内の景気が弱いことがロングの新規積み増し圧力が弱いことの背景か。

本日は、PCE価格指数を受けて神経質な推移になると考える。ただ、米国の利下げがまだ先であることはほぼ織り込んでいるため、想定以上の減速がなければ大きな変化(利下げ観測でドル安進行、ファイナンシャルな面で価格を押し上げ)はないと考える。結局はレンジワークとなるのではないか。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は上昇。価格下落による割安感と、米Freeportのトレイン3のメンテナンスが延長され、LNGカーゴ供給がタイト化するとの見方が価格を押し上げた。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

しかし、足下のガス価格の下落や、この「浮く」ガスの解消を考えると、現在FID済のプロジェクトであっても実施が見送られる可能性がある。

この場合、2027年頃から逆に液化能力がかなりタイト化する恐れがあり、期間構造は期先はコンタンゴとなっている(ただし、供給のタイト感が解消することから、期先の価格が金利と保管コストで形成される通常の状態になっているため、とも言えるが、かなり期先の価格の上庄は顕著に)。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は、現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、米国の統計の改善が確認されておおり、カーゴ供給減少の可能性もある。

5.は2.とも関係するが、今年は夏以降にラニーニャ現象の発生が懸念されている。ラニーニャ現象は猛暑・厳冬をもたらすことが多いため、需要面で価格の上昇リスクに。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

2月12日-2月18日のLNGトレードは805万トン(前週719万トン)と増加。日本・韓国・インド・英国の増加が、中国や台湾の減少を相殺した。

なお、Freeportからの輸出減少はまだ継続している模様。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は小幅に上昇。価格低下による生産調整観測などを背景に、割安感から物色された。ただし日々の値動きの範囲内に止まっている。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格は上昇。割安感からの物色が続いており、TTFの上昇もあってほぼ全ゾーン水準を切り上げた。

11月のJLCの水準は11.87ドル(前月比±0.0ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

2月25日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は216万トン(過去5年平均 246万6,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は213万トン)と、過去5年の最低水準(205万8,600トン)に近接している。足下の気温低下が影響しているとみられる。

現在発生しているエルニーニョ現象は5月で終了、6月以降は55%の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

本日は、経済統計にガス価格が反応し難い状態だが、割安感からの買いが入っており、テクニカルに水準を切り上げると予想。しかし冬場の終了が視野に入っていることから、上値も重い。結局、レンジワークだろう。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格は小幅に上昇、期先も水準を切り上げた。ガス価格の上昇が全体に価格を押し上げている状況。休み明けの中国勢の海上輸送炭購入の動きが価格を押し上げていると考えられる。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替えられる訳ではないが、

1.実際に切り替えが可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する2.ガス対比での備蓄のしやすさ3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること

からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点と国内炭価格の下落に伴う採算悪化、国内炭の品位低下(そもそも中国の石炭は品位が低い)から、高品位の海外炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっている。

結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は114ドル、±1標準偏差で45~185ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。期先の価格の低下は、需給バランス緩和時の現物価格の下落余地を拡大することになる。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が120~130ドル程度に再び上昇しており、120~185ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

ただし、足下の天然ガス価格の下落や環境保護派の圧力によってガスのプロジェクトの開発が見直される可能性が出てきており、中長期的にはガス価格の上昇が石炭価格を押し上げる可能性が出てきており、実際、期先の価格に上昇圧力が掛かっている状況。

特に石炭は環境保護派から目の敵にされているため、供給減少に伴うアップサイドリスクは無視できない。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

12月の中国の電力消費量は前年比+11.0%の8,563億kwh(前月+11.6%の7,619億kwh)と伸びが鈍化した。

本日は、ガス価格に底入れ感が強まっていること、主要国の石炭輸入増加の動きを受けて上昇余地を探る動きになると考えるが、不需要期でもあることから上昇余地は限定されるとみる。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場はニッケルと錫がテクニカルな買いで上昇したが、その他の商品はドルが堅調に推移したこともあって水準を切下げる動きとなった。最大消費国である中国の「次の一手」が見えないため、基本的に価格には下押し圧力が掛かりやすい。

ファンダメンタルズ要因ではニッケルは上昇するような材料が無いが、ここに来て生産者側の減産や鉱山売却の動きも見られており、需給状況のタイト化観測を背景とする買いが入っているようだ。

錫は引き続きインドネシアやミャンマーからの供給制限、半導体サイクル回復期待などが材料となっている。

COTレポートではLME銅と、錫を除けばネット売り越しの状態となっており、何らかの対策期待が高まる中では買い戻しが入って価格を押し上げてもおかしくはない。

ただ、具体的な財政出動はこれ以上、住宅セクターを加熱させる訳にもいかないため、財の消費(耐久財など)や、鉄道などの近代化に必要なインフラ投資が中心になると考えられ、即効性は乏しい(効果が顕在化するのに時間が掛かる)と見る。

今年は景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになると予想される。

欧州によるロシア産金属の禁輸措置の動きは、短期的にはLME需給をひっ迫させて価格を押し上げるが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じるとみる。その後、ロシアと懇意な国とそうでない国とで「一物二価」の状態となることが予想される。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、問題を先送りするというよりは「今回の問題の規模と深度が想定以上であるため」仮に不良債権の処理をしたとしても、その影響が拡散することを排除するために相応の調査と準備・対応をする必要があることから、拙速に対応していない(できない)ともいえる。

結果、不動産問題の解消には時間が掛かり、大規模な損失が発生しなかったとしても不動産セクターが中国経済をけん引することは当面見込み難いということである。

不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところが有るためはっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降まで時間を掛けて対応する体力はないと考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話だ。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は、基本的には軟調地合の中でレンジワーク継続を予想。

夜間に発表される米PCE価格指数が利下げを肯定するような内容だった場合、ドル安が価格を押し上げるとみるが、今のところ早期の利下げを肯定する材料が少なく、市場も利下げが下半期以降になることを織り込んでいるため、サプライズな内容にならなければレンジワークになるだろう。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭価格は上昇、上海鉄筋先物は中心限月が上昇した。

12月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が43.8(前月43.0)と回復、輸出受注も51.1(48.7)と改善したが、生産が43.7(45.8)と大幅に悪化したことが影響した。いずれにしても閾値の50を上回っていない状況が続いている。

生産調整にもかかわらず、完成品在庫(42.9→43.7)は積み上がっており(原材料在庫の指標は公表されず)在庫調整が必要な状況とも言えるが、季節的に完成品在庫を積み増す時期に有ることもあり、今月~来月に掛けては景況感とは余り関係無く在庫が積み上がる可能性は高い。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+138万4,000トンの1,669万7,000トン(過去5年平均 1,868万2,000トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。しかし、今週に関しては、鉄鋼製品在庫の積み増しペースは前週比+31.3%と顕著(過去5年平均+12.6%)だった。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+685万トンの1億3,310万トン(過去5年平均 1億4,117万トン)、在庫日数は29.8日(+1.5日、過去5年平均 29.0日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回っている。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+17万トンの187万トン(過去5年平均162万5,000トン)、在庫日数は+0.7日の7.8日(過去5年平均 6.7日)と、在庫の絶対水準・在庫日数とも再び過去5年平均を上回っている。

本日も、固有の材料に乏しいが、中国共産党が景気刺激に動くのではとの期待から鉄鋼製品在庫積増しの動きも見られているため、鉄鋼原料価格は底堅い推移を予想する。

◆貴金属

金価格は小幅上昇。アジア時間から欧州時間にかけてドル指数が上昇する中、金は売られた。米国時間に発表されたQ423の米国GDPは速報値から下方修正となり、ドル指数と米国債利回りは下落、実質金利が低下する中で金価格は上昇に転じ、前半の下げ幅を縮小し前日比小幅上昇で引けた。

FRBの要人発言は、いずれもFRBの目標達成までは今後のデータを見極める必要性が強調された。本日、FRBが重視する米PCEの発表を控えているため、市場の警戒感は強く、逆に方向感が出難かったようだ。

銀価格は前日比変わらず。基本的には金価格に追随する動きであったが、米国時間には、米株が反落したことで工業金属である銀価格の買戻しは金価格に比べて鈍く、結局前日比ほぼ変化なしのレベルで引けた。

需給面の材料が乏しい中ではテクニカル要因が価格を動かしやすく、足下、金銀レシオのボリンジャーバンドを意識した動きとなっている。

足下、金銀レシオはボリンジャーバンドの20日平均線を上回って推移しており、バンドの上限は92倍程度、すなわち金価格を2,000ドルとした場合銀価格は22.22ドル程度を目処に下落する可能性がある。

パラジウム価格、プラチナ価格ともに下落。PGMも銀と同様、対金レシオのボリンジャーバンド分析が有効に機能しているが、金プラチナレシオは現在ボリンジャーバンドの上限付近で推移しており、更なる下落余地は限定されると予想される。

一方でパラジウムの対金レシオは依然上昇余地があることから、パラジウム価格の下落が継続する可能性がある。

本日は1月米PCEの発表を控えて神経質な推移が予想される。

CPIやPPIと同様、インフレ圧力のしぶとさが意識されるような内容だった場合、金利上昇やドル高の伸張が価格を下押ししよう。

逆に緩和的な内容であれば、市場の大半が年後半の利下げ開始までタカ派に傾いていることから、サプライズで上昇圧力となる可能性がある。

一方で月末ということもあり、リバランスの株売りやドル売りが予想されることから、ロンドン時間から米国時間にかけてボラティリティの高い展開となりそうだ。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場はまちまち。トウモロコシと大豆は、米石油統計でエタノール生産が増加したことと、ドル安が米国時間に掛けて継続していたことが材料となった。

小麦は前日の上昇で100日移動平均線のレジスタンスを上抜け切れなかったことから、水準を切下げる動きとなった。ロシアの豊作見通しも価格押し下げに寄与している。

足下、エルニーニョ現象が継続していることから価格には下押し圧力が掛かりやすいものの、夏以降の景気の底入れ期待が原油価格を押し上げる見通しであること、夏場以降のラニーニャ現象の発生による不作、北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害ヘの懸念から、年後半は価格上昇リスクを意識する必要がある。

本日は、基本的に豊作見通しの中で軟調推移となるが、割安感が出ている小麦には買いが入ると考える。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国の金融緩和が遅れる中、高金利状態で商業用不動産向け融資の借換ができず、商業用不動産価格が下落し地銀の経営悪化に繋がる場合(信用収縮の発生リスク)。

・トランプ政権が誕生した場合の「米国第一主義」の推進で、世界の政治・経済のあり方が大混乱するリスク(米国の「目先の利益が上がる」ディールを優先するため、全くバランスを欠いた政策が行われるリスク)

恐らく過剰な景気刺激によるインフレや、同盟国との結束崩壊、中国・ロシア・北朝鮮・イランの結束がより強まる形に。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・インド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2025年以降か。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

・再生可能エネルギーのコスト上昇と、景気減速に伴う再生可能エネルギー向け政策の見直し(化石燃料回帰が起きる場合。むしろ実現可能な制作に回帰する、という意味ではリスクシナリオというよりは、メインシナリオか)

◆本日のMRA's Eye


「弱い米石油製品出荷が示唆するもの」

昨日発表された米石油統計は、原油在庫が+4.2MB(市場予想+2.6MB、前週+3.5MB)の増加、クッシング在庫が+1.5MB(+0.7MB)、ガソリンが▲2.8MB(▲2.3MB、▲0.3MB)、ディスティレートが▲0.5MB(▲2.4MB、▲4.0MB)と、ガソリンがやや予想比強気だったが、その他は総じてベアな内容だった。

原油生産は13.3MBDと横這いだが過去5年の最高水準を上回っている。しかし稼働率が81.5%(前週比+0.9%)と過去5年の最低水準(83.1%)を下回っており、原油の処理量は低迷している。

この結果、過去5年の最低水準だった原油在庫は増加しており過去5年平均が視野に入り、在庫日数も過去5年平均が同様に視野に入ってる。米国の原油を巡る需給バランスは緩和方向にあると言える。

一方石油製品は、ガソリン在庫が過去5年平均をやや下回っているが、ディスティレート在庫は過去5年の最低水準だ。しかし在庫日数にした場合、いずれもほぼ過去5年平均程度であり、在庫が不充分という訳ではない。

結局のところ米国の石油製品出荷が低迷しているため、原油処理量が低下しているということであろう。

生産者の石油製品生産のインセンティブとなるクラックは、取引所価格ベースでRBOBは過去5年平均程度、灯油は同じ時期の過去5年の最高水準であり、ディスティレートの生産インセンティブは低く無いはずだがそれでも生産が低迷しているのは、最終需要の弱さを意識したため、と考えられる。

米経済統計が改善した昨年後半の石油製品出荷は過去5年平均を上回っており、米国の自動車総走行距離も、過去5年レンジを上回っていた。しかし2024年に入ってから出荷は低迷している。

昨日の統計では米国の石油製品出荷は全ての製品合計で19.5MBDと、過去5年の最低水準である19.5MBDを下回った。このことも米国の最終消費が強くないことを示唆している。

背景には異常気象による出荷障害の影響や、ガソリン価格の上昇などが考えられるものの異常気象は既に終了しており、ガソリン価格も昨年9月に付けた4.0ドル/ガロン(全てのグレードのスポット平均価格)を下回る3.4ドルまで下落していることから、恐らく単純に需要が減少していると整理するのが妥当ではないだろうか。

足下、米国の経済統計は強弱まちまちであるが、「足下の景況感」を反映しやすい石油製品出荷の低迷を考えると、市場が予想するように短期的にでも景気の減速や調整がある、と予想される。


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