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米景気回復期待を受けてドル高でも堅調
  • MRA商品市場レポート

2024年2月19日 第2653号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米景気回復期待を受けてドル高でも堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、その他農産品や自国通貨建て商品が下落したが、その他は軒並み水準を切り上げる展開となった。

昨日発表の米PPIは市場予想を上回る上昇となり、米国のインフレ鈍化期待を後退させるもので、米国の高金利政策維持観測を強めドル高を進行させたことが農産品や自国通貨建て商品価格の下落要因となった。

しかしその他の景気循環系商品にとっては「米景気が良好である」と解釈され、これよりも前に発表されていた住宅着工や許可件数の悪化はほとんど材料視されず、その後のミシガン大学消費者マインド指数の期待指数の改善(78.4、市場予想77.0、前月77.1)や、ニューヨーク連銀サービス業活動指数の改善(▲9.7→▲7.3)が意識されたようだ。

なお、原油価格の上昇にヒズボラのナスララ師の発言を材料とするコメントもあるが、むしろこのコメント以降は下落しており、昨日は米国の経済回復を期待したものと見られる。

この結果、期待インフレ率が上昇するため、その他のインフレ系商品価格を押し上げる形となった。

現在、米経済は踊り場にあり、このまま回復するのか減速するのか材料を待っている状況。これまで比較的正しく米国経済の動向を当ててきた、サマーズ元財務長官は「むしろ利上げの必要性」を指摘している。

【本日の見通し】

週明け月曜日は、米国がプレジデンツデーで休場のため動意薄い展開が予想される一方、中国勢が春節から市場復帰するため、工業金属を始めとする非鉄金属セクターは上昇圧力が掛かる展開が予想される。

予定されている材料で重要なものは余りない。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は上昇した。米PPIに注目が集まっていたが市場予想を上回る上昇となり急速にドル高が進行したが、水準を切り上げる展開となった。

経済活動が「凪」の時は原油価格はドル指数と逆相関の関係になるが、最大消費国である米国の景気回復局面や後退局面では、ドル高・原油高、ドル安・原油安の組み合わせになりやすい。特にこの傾向は昨年の7月以降の米統計改善時に「原油高・ドル高」となり、その後の統計悪化で「原油安・ドル安」となった。

足下は強めの米統計の発表が相次いでおり、ドル高・原油高となっている。昨日も同様である。

1月以降のフーシ派の攻撃激化によって、特に投機筋のショートの買い戻しが価格上昇を誘い、価格が下げ難くなっているのは事実であるが、これまでの価格上昇はむしろ米統計の改善による需要回復期待の可能性が高い。

しかしこのドル指数と原油価格動向とは裏腹に、米国の石油製品出荷は過去5年平均を大きく下回っており、足下の景況感が良いと決して言えないことが、現在の米国経済が踊り場状態にある可能性を示唆している(景気が上向き・下向き、どちらのトレンドを描いてもおかしくない状況という意味)。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナやロシアなどのOPECプラス諸国の供給危機、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気減速継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

2月13日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが+4,300枚、ショートが▲4,934枚と、先々週から一転、ショートの買い戻しが進んだ。

Brentはロングが+32,110枚、ショートが▲5,571枚と、地政学的リスクを意識したショートの買い戻しが進んでいるが、買い戻し余地が限定されているため、ロングの増加の方が顕著になっている。先々の下落圧力になるため要注意。

週明け月曜日は、米国市場がプレジデンツデーで休場のため積極的な売買は控えられると考えられ、週末の上昇の反動で水準を切り下げる展開を予想。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は小幅に下落。気温低下見通しはあるものの、冬場の終了と在庫水準の高さが引き続き期近を軟調に推移させている。

一方、期先は続伸。ブリッジ資産としてのガス需要の高まりと、中国のガス需要の増加観測、採算性の悪化を背景とするプロジェクトの見直し懸念が強まっていることが影響していると見られる。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

しかし、足下のガス価格の下落や、この「浮く」ガスの解消を考えると、現在FID済のプロジェクトであっても実施が見送られる可能性がある。

この場合、2027年頃から逆に液化能力がかなりタイト化する恐れがあり、期間構造は期先はコンタンゴとなっている(ただし、供給のタイト感が解消することから、期先の価格が金利と保管コストで形成される通常の状態になっているため、とも言えるが、かなり期先の価格の上庄は顕著に)。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、米国の統計の改善が確認されておおり、カーゴ供給減少の可能性もある。

5.は2.とも関係するが、今年は夏以降にラニーニャ現象の発生が懸念されている。ラニーニャ現象は猛暑・厳冬をもたらすことが多いため、需要面で価格の上昇リスクに。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

2月5日-2月11日のLNGトレードは717万トン(前週855万トン)と減少。韓国・中国の輸入が顕著に減少したことが影響した。中国は春節休みで需要が減少したと考えられる。

そのほか日本や欧州も減少したがピークシーズンが終了した影響が大きいと考えられる。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は小幅に上昇。割安感と米北東部の気温低下見通しが材料となった。ただし在庫水準は高く、不足が発生するような状況ではない。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格はTTFの下落を受けて期近が下落、期先はTTFの上昇を受けて小幅に上昇。

11月のJLCの水準は11.87ドル(前月比±0.0ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

2月11日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は206万トン(過去5年平均 246万6,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は213万トン)と、過去5年の最低水準(205万8,600トン)に近接している。足下の気温低下が影響しているとみられる。

現在発生しているエルニーニョ現象は6月で終了、7月以降は4割の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている(4割は何も発生しない見通し)。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

週明け月曜日は、欧州の供給回復や気温上昇による価格下落が欧州・極東の価格を下押し、米ガスも輸出低迷や気温低下見通しの緩和で軟調推移を予想。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格は続落。ガス価格の下落と冬場の終了を受けて、ほぼ全ゾーン水準を切り下げる動きが続いている。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替える訳ではないが、

1.実際に切り替えが可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する2.ガス対比での備蓄のしやすさ3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること

からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点と国内炭価格の下落に伴う採算悪化、国内炭の品位低下(そもそも中国の石炭は品位が低い)から、高品位の海外炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっている。

結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は114ドル、±1標準偏差で45~185ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。期先の価格の低下は、需給バランス緩和時の現物価格の下落余地を拡大することになる。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が110~120ドル程度まで低下しているため、110~185ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

ただし、足下の天然ガス価格の下落や環境保護派の圧力によってガスのプロジェクトの開発が見直される可能性が出てきており、中長期的にはガス価格の上庄で、石炭価格も上昇する可能性が出てきた。

特に石炭は環境保護派から目の敵にされているため、供給減少に伴うアップサイドリスクは無視できない。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

12月の中国の電力消費量は前年比+11.0%の8,563億kwh(前月+11.6%の7,619億kwh)と伸びが鈍化した。

週明け月曜日は、ガス価格が低位安定の見込みであり、石炭も低水準での推移が続く見込み。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場はまちまち。アルミと錫が前日比マイナスで引けたが、その他の金属は上昇した。特段材料があった訳ではないが、週末を控えたポジション調整の買いが入ったと見られる。

特に上昇が顕著だったのが銅だが、昨日、ここまで銅価格が上昇する材料があるとすれば、原油価格上昇による期待インフレ率の上昇が挙げられるが、それ以上に200日移動平均線のレジスタンスを上回ったことで、投機筋の買い戻しが加速した可能性が高い。

COTレポートでは銅はネット買い越しポジションであるが、この数週間、かなりショートが積み上がっていたため、この買い戻しが入ったとみられる。ややテクニカルな上昇だったと言えるのではないか。

なお、銅とLME指定倉庫在庫の逆相関の関係は回復しているが、現在の在庫水準で約90%の確率で説明可能な価格の下限は8,000ドル、上限が8,660ドル程度。

今年は景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになると予想される。

中国の在庫循環も早ければQ124の後半で在庫調整が終る可能性があること、半導体サイクルもQ224以降の回復が見込まれているため、銅や錫など、半導体関連の金属価格は比較的早いタイミングで上昇する可能性があると考えた方が良いかもしれない。

また、欧州によるロシア産金属の禁輸措置の動きは、短期的にはLME需給をひっ迫させて価格を押し上げるが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じるとみる。その後、ロシアと懇意な国とそうでない国とで「一物二価」の状態となることが予想される。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、問題を先送りするというよりは「今回の問題の規模と深度が想定以上であるため」仮に不良債権の処理をしたとしても、その影響が拡散することを排除するために相応の調査と準備・対応をする必要があることから、拙速に対応していない(できない)ともいえる。

結果、不動産問題の解消には時間が掛かり、大規模な損失が発生しなかったとしても不動産セクターが中国経済をけん引することは当面見込み難いということである。

恒大集団に対して香港高裁は法的整理を命令したが、中国本土の高裁がこれを受け入れるかどうかはまだ不透明だ。ただ2年以上かけて織り込んで来た材料であることもあり、当面は材料にはならないと考える。

不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところが有るため、はっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降まで時間を掛けて対応する体力はないと考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話だ。

就任以降の習近平国家主席の経済政策は、決して習近平だけの責任ではないのだが、暴力装置の掌握に注力した結果、なおざりになっていたといえるのではないか。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

週明け月曜日は、中国勢が市場に復帰することから上昇余地を探る動きになると考える。ただし、ドルが水準を切り上げてきているため上昇余地も限定か。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連は休場、豪州原料炭スワップ先物下落、大連原料炭価格は休場、上海鉄筋先物は休場。

中国正月入りのため、主要な市場参加者が不在であり、取引自体は閑散。

12月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が43.8(前月43.0)と回復、輸出受注も51.1(48.7)と改善したが、生産が43.7(45.8)と大幅に悪化したことが影響した。いずれにしても閾値の50を上回っていない状況が続いている。

生産調整にもかかわらず、完成品在庫(42.9→43.7)は積み上がっており(原材料在庫の指標は公表されず)在庫調整が必要な状況とも言えるが、季節的に完成品在庫を積み増す時期に有ることもあり、今月~来月に掛けては景況感とは余り関係無く在庫が積み上がる可能性は高い。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+109万トンの1,271万6,000トン(過去5年平均 1,443万1,000トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。WoWの在庫の積み増しペースも過去5年平均を下回っている。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+165万トンの1億2,625万トン(過去5年平均 1億3,826万トン)、在庫日数は32.3日(+0.4日、過去5年平均 28.7日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回っている。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+10万トンの168万トン(過去5年平均145万2,000トン)、在庫日数は+0.5日の8.0日(過去5年平均 6.1日)と、在庫の絶対水準・在庫日数とも再び過去5年平均を上回っている。

週明け月曜日は、春節明け後の中国勢の買いで水準を小幅に切り上げると考える。

◆貴金属

昨日の金価格は上昇、米生産者物価指数が上昇、ドル高、金利高となったため基準価格は低下したものの、ヒズボラの指導者であるナスララ師が、イスラエルに対する攻撃を激化させると表明したことで地政学リスクへの懸念が高まり、リスク・プレミアムが上昇したことが材料。銀・プラチナも金価格の上昇を受けて水準を切り上げた。

パラジウムは株価の下落もあり、前日比マイナスで引けた。

米国のFF金利の引き上げと共に「諸々のリスクの高まりヘの懸念」から、リスク・プレミアムが上昇して金価格を押し上げてきた。足下、金のリスク・プレミアムは1,000ドルを超えている。

金リスク・プレミアムの上昇要因の主なところは、

1.米利上げによる信用不安の高まり(低格付企業・新興国)

2.ロシアに対するドル決済禁止制裁を受けた、準備金におけるドルから金ヘのシフト

3.ロシアのウクライナ侵攻

4.イスラエルとパレスチナの戦争開始による中東情勢不安並びに、テロ組織の大規模攻撃であるため、各地にテロが拡散するリスク

あたりだろう。これらと同じ事象は、ニクソン・ショック~プラザ合意~アジア危機収束まで30年近く続き、金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが高止まりした。

2019年基準で算出した現在のリスク・プレミアムのシェアは50%と、ニクソン・ショック~アジア危機収束までの時期のシェアとほぼ同じ水準まで上昇している。

このことは、実質金利と同等のレベルでリスク・プレミアムを議論、即ち金価格を考える上では、地政学的リスクや信用リスク動向も無視できない状況になったと言える。

過去の例を見ると、この状態は数年単位で続く可能性がある。特に2.のロシアに対する対ドル決済停止を受けて、決済用の準備金としての金需要が増加しているため、今回のリスク・プレミアムの上昇は市場構造の変化によるもの、と整理するべきである。

そのため今後は、「実質金利で決定される部分」と「リスク・プレミアム」に分けて金価格動向を考える必要があるだろう。

現状を理解する手助けとなるため、あえて実質金利・信用リスク・その他、に分離した場合、実質金利部分が48%、信用リスク要因が8%、その他の要因が45%となった。

直近1年間の説明力を相関係数で確認するとほとんどの項目が金価格と無相関の状態。3ヵ月間の相関関係では、最も金価格に対する説明力が高いのが米10年金利で▲0.80、次いで10年実質金利で▲0.76、ドル指数で▲0.75、期待インフレ率で▲0.52となった。

なお、金価格に対するリスク・プレミアムの相関性は▲0.32となっており、これまで説明力がほとんどなくなっていた実質金利要因の説明力が増しているといえる。リスク・プレミアムは「価格の絶対水準」を議論する上で重要と整理すべきだろう。

この5年間のデータを元にした分析では、FF金利±1%の変化で、金の基準価格は±150ドル変化し(負の相関)、リスク・プレミアムは±165ドル変化(正の相関)する。

FOMCの直近のドットチャートは今年▲0.75%の利下げを予想しているが、市場予想は2024年は▲1.00%程度のFF金利引下げを見込んでおり、両者の差は縮まってきた。

上記感応度分析の結果を正とした場合、1%の政策金利の引き下げは金の基準価格は金の基準価格の+190ドル程度の押し上げ要因となり、リスク・プレミアムは、▲205ドルの低下要因となるため、仕上がりで▲15ドルの価格低下となる。結果、金価格は現状の水準を維持すると予想される。

リスク・プレミアムから信用リスク要因(CDS部分)を除いた「その他のリスク・プレミアム」はガザ紛争発生前から直近まで270ドル程度上昇しているため、紛争終了後は▲270ドル程度の下落余地があることになる。

この場合、現在の価格を2,050ドルとすると1,800ドル程度までの下落余地があることに。

週明け月曜日は、米国市場が休場のため方向感が出難く、現状水準でのもみ合いとなるだろう。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場はまちまち。昨日の米USDAによるアウトルックフォーラムで在庫の増加見通しが示されたことが引き続き価格の下押し材料となったが、大豆に関しては、昨日の原油価格の上昇とそれに伴う期待インフレ率の上昇が価格を押し上げた。

ただ、月曜日がプレジデンツデーで休場のため、週末を控えたポジション調整的な取引が主体だったと考えられることも否めない。

再掲となるが、USDA見通しでは、2024-25年の期末在庫が、トウモロコシが25億3,200万Bu(2023-24年 21億7,200万Bu)、大豆が4億3,500万Bu(3億1,500万Bu)、小麦が7億6,900万Bu(6億5,800万Bu)と大幅な増加見通しとなっている。

作付け面積は、トウモロコシが9,100万エーカー(9,460万エーカー)、大豆が8,750万エーカー(8,360万エーカー)、小麦が4,700万エーカー(4,960万エーカー)。

足下、エルニーニョ現象が継続していることから価格には下押し圧力が掛かりやすいものの、夏以降の景気の底入れ期待が原油価格を押し上げる見通しであること、夏場以降のラニーニャ現象の発生による不作、北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害ヘの懸念から、年後半は価格上昇リスクを意識する必要がある。

週明け月曜日は米国市場が休場。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国の金融緩和が遅れる中、高金利状態で商業用不動産向け融資の借換ができず、商業用不動産価格が下落し地銀の経営悪化に繋がる場合(信用収縮の発生リスク)。

・トランプ政権が誕生した場合の「米国第一主義」の推進で、世界の政治・経済のあり方が大混乱するリスク(米国の「目先の利益が上がる」ディールを優先するため、全くバランスを欠いた政策が行われるリスク)

恐らく過剰な景気刺激によるインフレや、同盟国との結束崩壊、中国・ロシア・北朝鮮・イランの結束がより強まる形に。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・インド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2025年以降か。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

・再生可能エネルギーのコスト上昇と、景気減速に伴う再生可能エネルギー向け政策の見直し(化石燃料回帰が起きる場合。むしろ実現可能な制作に回帰する、という意味ではリスクシナリオというよりは、メインシナリオか)

◆本日のMRA's Eye


「銅の構造的な需要増加・価格上昇は年後半以降へ」

非鉄金属価格のベンチマークであるLME銅の価格は年明け以降、水準を切下げていたが1月24日に水準を急速に切り上げた。

中国人民銀行が大手銀行向けの預金準備率を引き下げ、経済活動再開への期待が高まったことを材料に、これまでショートを積み上げてきた投機筋が買い戻しを入れ、新規の買いも入ったからだ。

しかし、中国国内外の景気はまだ循環的に成長が鈍化する局面にあり、景気の循環的な減速が需要を下押しすることから、中国の経済対策期待が一巡した後は景気が底入れすると予想される7-10月頃まで銅価格は軟調な推移となりやすいと予想される。

恐らく銅価格の上昇は中国内外の景気回復によって年後半に掛けて水準を切り上げる展開が予想される。

本格的に銅価格が上昇するためには、

1.中国の抱える不動産問題が解消する2.脱炭素の動きが加速することに伴う電化需要の増加3.構造的な成長局面入りが見込まれるインドの需要増加

といった需要面の構造的な環境の変化が必要条件となる。

1.の中国の不動産問題解消には時間が掛かると考えられる。労働人口がピークアウトする中で住宅需要の伸びが鈍化する可能性が高いこと、消費を後押ししようと不動産市場での規制緩和(住宅取得の頭金比率の引き下げや、借り入れ条件の緩和など)は、再び不動産バブルをもたらしたり、習近平政権が掲げる共同富裕のコンセプトとは逆に、持てるものと持てないものの格差が拡大する可能性があるため、積極的な対策は見送られると考えられることなどが理由だ。

また、実際に不動産関連の不良債権の処理を実行しようとした場合、様々な業態、規模で損失発生とそれに伴う市場の混乱、取り付け騒ぎを通じた金融不安の発生、といったリスクの拡散が懸念されるため、連鎖倒産のリスクを回避し、同時に銀行の健全性維持を図る、といった慎重な対応が必要になるため、「すぐに実施することが現実的には難しい」ことも処理に時間が掛かる理由の1つである。

この結果、これまで不動産セクターを含む投資需要が中国の景気や工業金属需要をけん引してきたが、これが当面、景気・需要のけん引役としては期待できなくなる。

この中で2.の脱炭素に関しては、パリ議定書で合意した化石燃料の非化石燃料ヘの転換は補助金などの支援が不可欠だったが、足下の景気減速の影響で補助金の削減を余儀なくされる国も多く、当初予定していたスケジュールでの達成が恐らく困難になっている。

しかし言葉を換えると、脱炭素・電化のペースは経済的に達成可能なペースに鈍化するため無理がなくなり、逆に着実に進捗する可能性が高まったと整理するのが妥当ではないか(ただ、ここに来てEV車は車重が重いため道路ヘの負荷が大きい、タイヤ摩耗による粉塵被害ヘの懸念などの問題も指摘されているため、そのペースがさらに鈍化する可能性は排除できない)。

そのため、今後も脱炭素向けの構造的な需要増加は継続すると予想される。

3.のインドの需要増加は、モディ政権の経済運営が比較的上手く機能しているため、かなり高い確率で顕在化すると予想される。

ただ、一人っ子政策を行っていた中国と異なり、通常の農業国と同様、多産の国であったことから世帯当たりの自由に使える所得の伸びは中国ほどではない。そのため、白物家電などの需要が増加するペースは中国よりは緩やかなものになるし、中国も人口ボーナス期入りしてから需要が急増するまで6~7年掛かっていることを考えると、インドの需要増加が始まるのは、早くても2025年頃からになると予想される。

また、構造的な問題ではないが地政学的リスクの高まりも銅を含む鉱物資源需要を増加させ、価格を押し上げる可能性がある。

今回のロシアのウクライナへの軍事侵攻は、重要拠点を破壊して終了する短期戦ではなく、消耗戦の様相を呈しており長期化の可能性が高い。このことは、鉱物を原料とする武器や弾薬(場合によっては駐留軍のためのエネルギーや食料)などの需要が増加することを意味する。ある意味現在はモノの価格が上昇しやすい「戦時相場」であるとも言えるだろう。

以上を考えると、鉱物資源価格は市場構造の変化から中長期的に上昇圧力が掛りやすい展開が継続すると予想され、足下の価格下落は一時的なものに止まる可能性は否定できない。しかしこれは先々の価格上昇に備えるための時間、とも言えるだろう。


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