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液体エネルギー続伸 金属セクター続落
  • MRA商品市場レポート

2024年2月9日 第2647号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「液体エネルギー続伸 金属セクター続落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、液体系エネルギー価格は続伸、その他農産品も上昇したが、金属セクターは総じて軟調な推移となった。

エネルギー価格の上昇はイスラエル ネタニヤフ首相が停戦を拒否、中東での戦闘継続が供給不安に繋がるとして特に液体系燃料価格は上昇した。一方、同時に発表された米雇用関連統計が改善しており、需給ファンダメンタルズのタイト化観測が強まったこともエネルギー価格を押し上げている。

一方、米統計の改善や原油高を背景にドル高が進行したことで、最大の買い手が正月休暇で不在の中、非鉄金属を始めとする工業金属セクターは軟調な推移となっている。

景気に遅行する雇用関連統計は改善しており、ISM指数などのフォワードルッキングな指標も改善が確認されている。問題は、このままインフレが鈍化するのかどうかだが、労働市場の需給がタイト化している以上、インフレの鈍化は一筋縄ではいかないだろう。

むしろ、月次の賃金は上昇しており、年率換算では7%を超えている。FRBは非常に難しい選択を迫られるが、結局当面は利下げは困難、というのが徐々にコンセンサスとなりつつあると考えられる。

【本日の見通し】

本日は、目立った手掛かり材料にとぼしく、米国の景気改善観測を受けたドル高と、エネルギー供給不安を背景とする期待インフレ率の上昇による価格下支えで、もみ合うものと考える。

本日の注目材料は以下の通り。米国のCPI年次改定には特に注目している。

仮にCPIが想定よりもインフレ鈍化が示唆されれば金融緩和期待で価格は上昇、逆であれば引き締め継続期待で価格は下落するとみられる。

通常、CPIの年次改定は小幅になることが多いが、昨年の改定が大きかったこと、FRBウォーラー理事が年次改定に注目している、と発言したことから注目度が増しているため。

・米独首脳会談

・ダラス連銀相殺Q&Aに参加

・1月中国人民元建て新規融資 市場予想 4兆5,000億元(前月1兆1,709億元) マネーサプライ M2 +9.3%(+9.7%)、M1 +2.9%(+1.3%) 資金調達総額 5兆6,000億元(1兆9,401億元)

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国のPPIは前年比▲2.5%(市場予想▲2.6%、前月▲2.7%)と前年比マイナスの状態が続き、CPIは前年比▲0.8%(市場予想▲0.5%、前月▲0.3%)とマイナス幅を拡大した。

PPIは特に投入物価の中の燃料・電力価格が前年比▲6.7%(前月▲7.2%)、建築資材が▲7.0%(▲7.6%)と低迷したことが影響、産出物価では生産財が▲3.0%(▲3.3%)と低迷している。

CPIは不動産価格の下落と株価下落による資産効果の剥落が消費者マインドを冷え込ませたためと考えられる。。

変動の大きな食品とエネルギーを除くコアは前年比+0.4%(前月+0.6%)と前月から伸びが鈍化した。

CPIは毎度話に上る豚肉の価格が前年比▲17.3%(前月▲26.1%)と前年比でマイナス幅を縮小させているが、食料品全体では▲5.9%(▲3.7%)とマイナス幅が拡大。油脂(▲4.6%→▲4.9%)、生鮮野菜(+0.5%→▲12.7%)が影響したようだる。

その他、フローの耐久財受注需要の指標の1つである自動車は前年比▲5.6%(前月▲5.4%)とマイナス幅を拡大。大きい流れではコロナ明けの2021年11月に前年比+1.1%のプラスとなって以降、長期にわたって前年比マイナス幅を拡大し続けている。

スマホなどの通信機器は▲1.7%(前月▲2.3%)と前月からマイナス幅縮小の流れが続き、半導体サイクルによる回復が期待されている。しかし、前年比マイナスであることに変りは無く、消費は弱い。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は急騰した。ハマスが提案した休戦案をネタニヤフ首相が拒否、「ハマス壊滅以外の選択肢はない。勝利は目前だ。あと数ヵ月の問題だ」と発言、戦闘が長期化することでアラビア半島近海の原油輸送に影響がでる上、その他の地域でも石油関連施設での破壊工作リスクが高まる、と見られたことが買い戻しを誘った。

また、米石油関連統計の出荷動向は、同国の消費が減速・低迷していることを示唆しているものの、昨日発表の米週間新規失業保険申請件数が改善したことで、消費回復への期待が高まったことも価格を押し上げた。

これにより、Brentは一目均衡表と200日移動平均線が重なる大きなレジスタンスラインまで水準を切り上げており、これを下回って引けた。

原油市場動向のメインシナリオは、米国の石油製品出荷を見るに、同国の景気がこのまま順調に回復するとは思えず、調整すると見ているが、足下の米統計が景気の回復や、労働市場のひっ迫が続いていることを示唆するものが増えていること、地政学的リスクの高さが長期的なショートポジションの保有を困難にしていることから、当面底堅い推移が予想される。

実際、ボリュームは大きくないが年明け以降の原油価格は投機筋のショートのポジション動向に左右されている点は否めない。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナやロシアなどのOPECプラス諸国の供給危機、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)
Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気減速継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

1月30日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが+4,444枚、ショートが▲8,202枚と統計改善などを受けて強気ポジションに転じた。

Brentはロングが+50,711枚、ショートが▲2,558枚と、中東情勢不安を受けたショートの買い戻しは継続しているが、買い戻せるポジションが限定される中でニューロングを取る動きがみられ始めた。

本日は、米年次CPIの改定に注目が集まるが、それ以外は目立った材料が無いため、昨日の上昇の反動で下落からスタートすると考える。

仮にCPIが想定よりもインフレ鈍化が示唆されれば金融緩和期待で価格は上昇、逆であれば引き締め継続期待で価格は下落するとみられる。通常、CPIの年次改定は小幅になることが多いが、昨年の改定が大きかったこと、FRBウォーラー理事が年次改定に注目している、と発言したことから注目度が増している。

目立った新規手掛かり材料に乏しい中、引き続きFOMCメンバーの講演が複数予定されているが、恐らくタカ派な発言を継続するとみられ、価格を下押しすると考える。

ただ、イスラエルがハマスの停戦提案を断っており、地政学的リスクの解消はほど遠いため供給面の問題が価格を下支えし、結局レンジワークになると考える。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は下落した。ノルウェーの生産回復と冬場の終了見通しが、気温低下予報の影響を上回った。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

2022年、欧州向けにロシアが削減したパイプライン輸出量は708億立方メートルで、総輸出量9,685億立方メートルの7.3%に及ぶ。

これを他地域の需要増加で補うことは恐らく不可能であり、FID済みのプロジェクトも見直しせざるを得なくなると予想される。

これが現実となった場合、2027年頃から液化能力がかなりタイト化することが指摘され始めており、期間構造は期先はコンタンゴとなっている(ただし、供給のタイト感が解消するため、期先の価格が金利と保管コストで形成される通常の状態になっているため、とも言えるが)。

また、バイデン政権が同盟国以外にLNG輸出の新規契約を認めないとする環境保護派に配慮した方針を決定したことで、新規プロジェクトの見直しの可能性が高まり、先々のカーゴ市場の需給が想定以上にタイト化するリスクが高まることに。

長期契約分は原油価格リンクのため影響は限定されるが、スポットベースに移行している契約に関しては、カーゴの取り合いでコストアップ要因となり得る。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、米国の統計の改善が確認されておおり、カーゴ供給減少の可能性もある。

5.は2.とも関係するが、今年は夏以降にラニーニャ現象の発生が懸念されている。ラニーニャ現象は猛暑・厳冬をもたらすことが多いため、需要面で価格の上昇リスクに。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

1月29日-2月4日のLNGトレードは849万トン(前週870万トン)と減少。日韓の輸入は増加したが、中国、台湾、欧州、インドの輸入減少がこれを相殺して上回った。

米Freeportの輸出向けファシリティの不稼働は継続している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は続落。気温低下見通しの若干の緩和やLNG輸出の障害、米天然ガス統計がほぼ市場予想通りだったことから下げを継続した形。

この水準まで低下すると、FID済みだったとしても、プロジェクトの見直しや先送りの可能性は否定できない。

ただ、期先の価格はまだ4ドル台であり、ヘッジなどを行えばワークするプロジェクトもあろうが、米金利の高止まりを勘案すると採算が取れるプロジェクトは限定されるのではないか。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格はTTFの下落を受けて水準を切り下げた。

なお、中東危機発生以降、欧州へのLNG輸送にスエズ運河を利用できなくなってから喜望峰回りのLNG船が増加した。

極東向けのカーゴも増加していたと見られるが、極東の気温低下やそもそもの在庫の低さ、中国などは価格下落に伴い備蓄に回されたとみられる(もちろんガスであるため長期間の備蓄ができる訳ではない)。

また、欧州のガス在庫水準が高いことも欧州の輸入減少に寄与したとみられる。JKM・TTFのスプレッドは昨年12月以降、欧州の輸入減少と日本などの輸入増加で縮小している。

11月のJLCの水準は11.87ドル(前月比±0.0ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

2月4日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は229万トン(過去5年平均 246万6,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は191万トン)と、過去5年平均を下回った状態が続く。足下の気温低下が影響しているとみられる。

現在発生しているエルニーニョ現象は6月で終了、7月以降は4割の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている(4割は何も発生しない見通し)。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

本日は、欧州の供給回復による価格下落が欧州・極東の価格を下押し、米ガスも輸出低迷や気温低下見通しの緩和で軟調推移を予想。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格はほぼパラレルに続伸した。アジアの気温低下や、先日の下落を受けて割安感からの買いが継続したと見られる。

年初から増加していた主要国の石炭輸入は日中台韓印ともに減少しており、足下の期間構造のコンタンゴ化に寄与している。今後の気温次第の面も否めないがしばらくは期近は、生産コストに近い期先の価格で推移するのではないか。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替える訳ではないが、1.実際に切り替えが可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する、2.ガス対比での備蓄のしやすさ、3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること、からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点から中国が低品位炭から高品位炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっているようだ。結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は114ドル、±1標準偏差で44~184ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。期先の価格の低下は、需給バランス緩和時の現物価格の下落余地を拡大することになる。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が110~120ドル程度まで低下しているため、110~200ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

ただし、足下の天然ガス価格の下落や環境保護派の圧力によってガスのプロジェクトの開発が見直される可能性が出てきており、中長期的にはむしろ価格が上昇する可能性が出てきた。

特に石炭は環境保護派から目の敵にされているため、供給減少に伴うアップサイドリスクは無視できない。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

11月の中国の電力消費量は前年比+11.7%の7,630億kwh(前月+8.6%の7,419億kwh(前月+10.1%の7,811億kwh)と伸びが加速した。

本日は、ガス価格が現状水準を維持する中、石炭も同様に現状水準での推移となろう。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は総じて軟調。中国勢が正月休みの長期休暇入りしており、積極的な買い手が不在の中で、昨日はドル指数が上昇したことが価格を下押しした。

唯一上昇したのがインドネシアからの輸出が停止している錫価格。半導体サイクルの回復と相まって比較的大きな上昇が続いている。

今年は景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになろう。

なお、ベンチマークの銅とLME指定倉庫在庫の逆相関の関係は回復しているが、現在の在庫水準で約90%の確率で説明可能な価格の下限は8,000ドル程度である。

中国の在庫循環も早ければQ124の後半で在庫調整が終る可能性があること、半導体サイクルもQ224以降の回復が見込まれているため、銅や錫など、半導体関連の金属価格は比較的早いタイミングで上昇する可能性があると考えた方が良いかもしれない。

また、欧州によるロシア産金属の禁輸措置の動きは、短期的にはLME需給をひっ迫させて価格を押し上げるが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じるとみる。その後、ロシアと懇意な国とそうでない国とで「一物二価」の状態となることが予想される。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、問題を先送りするというよりは「今回の問題の規模と深度が想定以上であるため」仮に不良債権の処理をしたとしても、その影響が拡散することを排除するために相応の調査と準備・対応をする必要があることから、拙速に対応していない(できない)ともいえる。

結果、不動産問題の解消には時間が掛かり、大規模な損失が発生しなかったとしても不動産セクターが中国経済をけん引することは当面見込み難いということである。

恒大集団に対して香港高裁は法的整理を命令したが、中国本土の高裁がこれを受け入れるかどうかはまだ不透明だ。ただ2年以上かけて織り込んで来た材料であることもあり、当面は材料にはならないと考える。

不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところ有るためはっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降まで時間を掛けて対応する体力はないと考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話だ。

就任以降の習近平国家主席の経済政策は、決して習近平だけの責任ではないのだが、暴力装置の掌握に注力した結果、なおざりになっていたといえるのではないか。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は、主要な買い手である中国勢が不在の中軟調推移となりやすい中、米金融政策動向を睨んだドル指数が神経質な推移となっており、軟調地合の中でもみ合うものと考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭価格は小幅に下落、上海鉄筋先物は中心限月価格が続伸した。

本日から中国正月入りするが、今年は例年よりも早く休暇入りする市場参加者が多いと見られ、取引自体は閑散。

12月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が43.8(前月43.0)と回復、輸出受注も51.1(48.7)と改善したが、生産が43.7(45.8)と大幅に悪化したことが影響した。いずれにしても閾値の50を上回っていない状況が続いている。

生産調整にもかかわらず、完成品在庫(42.9→43.7)は積み上がっており(原材料在庫の指標は公表されず)在庫調整が必要な状況とも言えるが、季節的に完成品在庫を積み増す時期に有ることもあり、今月~来月に掛けては景況感とは余り関係無く在庫が積み上がる可能性は高い。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+81万7,000トンの1,162万6,000トン(過去5年平均 1,240万6,000トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。WoWの在庫の積み増しペースも過去5年平均を下回っている。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+60万トンの1億2,460万トン(過去5年平均 1億3,632万トン)、在庫日数は31.9日(▲2.0日、過去5年平均 28.8日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回っている。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は▲11万トンの154万トン(過去5年平均154万4,000トン)、在庫日数は▲1.1日の7.4日(過去5年平均 6.3日)と、在庫の絶対水準は過去5年平均を下回ったが、需要の低迷で在庫日数は過去5年平均を上回っている。今後の需給は中国の経済活動(粗鋼生産動向)次第、といえる。

本日は、中国の春節休みによる市場参加者の不在、生産活動の鈍化、製造業・鉄鋼業・建設業PMIの低迷、鉄鋼原料の港湾在庫水準が増加していることから水準を切下げる展開を予想。

◆貴金属

昨日の金価格は小幅に下落した。米週間新規失業保険申請件数が改善し、労働環境の改善観測が強まる中で長期金利・実質金利が上昇したことが価格を押し下げた。しかし非常に小幅な変化に。

昨日下げ幅が大きかった銀は金価格が高値を維持する中で、買い戻しで比較的大きな上昇となった。PGMはプラチナが買い戻しで同様に上昇、パラジウムは米国の自動車販売低迷で、5年振りにプラチナ価格を下回った。

今後、PGMは南アフリカなどの主要生産国が価格下落に伴う採算性の悪化から減産を実施すると見られ、時間差を以て価格は反発すると考えられるものの、生産調整に時間が掛かるのはどの資源も同じであり、しばらくは需給ファンダメンタルズ面では軟調に推移しやすい。

一方、価格に対する説明力が比較的高い株価は堅調な推移となっており、このことが下落余地を限定するのではないか。

米国のFF金利の引き上げと共に「諸々のリスクの高まりヘの懸念」から、リスク・プレミアムが上昇して金価格を押し上げてきた。金リスク・プレミアムの上昇要因の主なところは、

1.米利上げによる信用不安の高まり(低格付企業・新興国)

2.ロシアに対するドル決済禁止制裁を受けた、準備金におけるドルから金ヘのシフト

3.ロシアのウクライナ侵攻

4.イスラエルとパレスチナの戦争開始による中東情勢不安並びに、テロ組織の大規模攻撃であるため、各地にテロが拡散するリスク

あたりだろう。これらと同じ事象は、ニクソン・ショック~プラザ合意~アジア危機収束まで30年近く続き、金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが高止まりした。

2019年基準で算出した現在のリスク・プレミアムのシェアは50%と、ニクソン・ショック~アジア危機収束までの時期のシェアとほぼ同じ水準まで上昇している。

このことは、実質金利と同等のレベルでリスク・プレミアムを議論、即ち金価格を考える上では、地政学的リスクや信用リスク動向も無視できない状況になったと言える。過去の例を見ると、この状態は数年単位で続く可能性がある。

現状を理解する手助けとなるため、あえて実質金利・信用リスク・その他、に分離した場合、実質金利部分が48%、信用リスク要因が8%、その他の要因が45%となった。

直近1年間の説明力を相関係数で確認するとほとんどの項目が金価格と無相関の状態。3ヵ月間の相関関係では、最も金価格に対する説明力が高いのが米10年金利で▲0.80、次いで10年実質金利で▲0.76、ドル指数で▲0.75、期待インフレ率で▲0.52となった。

なお、金価格に対するリスク・プレミアムの相関性は▲0.32となっており、これまで説明力がほとんどなくなっていた実質金利要因の説明力が増しているといえる。リスク・プレミアムは「価格の絶対水準」を議論する上で重要と整理すべきだろう。

この5年間のデータを元にした分析では、FF金利±1%の変化で、金の基準価格は±150ドル変化し(負の相関)、リスク・プレミアムは±165ドル変化(正の相関)する。

FOMCの直近のドットチャートは今年▲0.75%の利下げを予想しているが、市場予想は2024年は▲1.25%程度のFF金利引下げを見込んでいる。

上記感応度分析の結果を正とした場合、金の基準価格は金の基準価格は+190ドル程度の押し上げ要因となり、リスク・プレミアムは、▲205ドルの低下要因となるため、仕上がりで▲15ドルの価格低下となる。結果、金価格は現状の水準を維持すると予想される。

リスク・プレミアムから信用リスク要因(CDS部分)を除いた「その他のリスク・プレミアム」はガザ紛争発生前から直近まで270ドル程度上昇しているため、紛争終了後は▲270ドル程度の下落余地があることになる。

この場合、現在の価格を2,050ドルとすると1,800ドル程度までの下落余地があることに。

本日は、年次CPIの見直しに注目が集まるが、その他の新規手掛かり材料に乏しく、現状水準を維持すると考える。

仮にCPIの修正が情報修正であれば、タカ派金融政策観測が強まり価格は下落、逆であれば上昇すると考える。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場は総じて引けに掛けて水準を切り下げる動きに。米USDAの需給報告で総じて在庫の増加見通しが示されたことや、ドル高進行が材料となった。

北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害だが、紅海周辺地域で繁殖期を迎えており、昨年の降雨の影響で群生体の発生が懸念される。

2月8日夜間に発表されたUSDA、CONAB統計は以下の通り。

・2月米単収見通し 実績(前月)トウモロコシ 177.3Bu/エーカー(177.3Bu/エーカー)大豆 50.6Bu/エーカー(50.6Bu/エーカー)小麦 48.6Bu/エーカー(48.6Bu/エーカー)

・2月米生産見通し 実績(前月)トウモロコシ 153億4,200万Bu(153億4,200万Bu)大豆 41億6,500万Bu(41億6,500万Bu)小麦 18億1,200万Bu(18億1,200万Bu)

・2月米輸出見通し 市場予想(市場予想、前月)トウモロコシ 21億Bu(21億783万Bu、21億6,200万Bu)大豆 17億2,000万Bu(17億4,217万Bu、17億5,500万Bu)小麦 7億2,500万Bu(7億2,891万Bu、7億2,500万Bu)

・2月米在庫見通し 市場予想(市場予想、前月)トウモロコシ 21億7,200万Bu(21億4,933万Bu、21億6,200万Bu)大豆 3億1,500万Bu(2億8,463万Bu、2億1,000万Bu)小麦 6億5,800万Bu(6億4,744万Bu、6億4,800万Bu)

・2月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 2,044万ha(2,144万ha、2,102万ha)大豆 4,509万ha(4,539万ha、4,526万ha)

・2月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億1,370万トン(1億1,694万トン、1億1,760万トン) 単収 5,561kg/ha(5,462kg/ha、5,596kg/ha)大豆 1億4,940万トン(1億5,041万トン、1億5,527万トン) 単収 3,314kg/ha(3,317kg/ha、3,431kg/ha)

本日は、やや弱めの米需給報告とドル高進行を受けて軟調推移を予想。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国の金融緩和が遅れる中、高金利状態で商業用不動産向け融資の借換ができず、商業用不動産価格が下落し地銀の経営悪化に繋がる場合(信用収縮の発生リスク)。

・トランプ政権が誕生した場合の「米国第一主義」の推進で、世界の政治・経済のあり方が大混乱するリスク(米国の「目先の利益が上がる」ディールを優先するため、全くバランスを欠いた政策が行われるリスク)

恐らく過剰な景気刺激によるインフレや、同盟国との結束崩壊、中国・ロシア・北朝鮮・イランの結束がより強まる形に。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・インド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2025年以降か。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

・再生可能エネルギーのコスト上昇と、景気減速に伴う再生可能エネルギー向け政策の見直し(化石燃料回帰が起きる場合。むしろ実現可能な制作に回帰する、という意味ではリスクシナリオというよりは、メインシナリオか)


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