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米統計減速 全人代期待倒れで軟調
  • MRA商品市場レポート

2024年3月6日 第2665号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計減速 全人代期待倒れで軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、発電燃料価格が上昇したが、その他の商品は総じて軟調な推移となった。

中国で全人代が開幕、経済対策への期待があったが結局昨年と同程度の財政赤字(昨年は実質GDP比▲3.5%、今年は▲3.4%であり横這い)を許容してインフラ投資などを行う方針が示されたが想定の範囲内だった。

また、ゼロコロナからの回復で大幅な回復が期待された昨年と同程度の成長見通し(昨年は実感としてはゼロ成長なのだが、統計が恐らく正しい状況を反映していないと考えられる)を示したが、「大幅反動でも5%程度」だったことを考えると、今回の目標の達成も怪しいと見られたことが、工業金属価格を押し下げた。

エネルギーは最大消費国の米国の経済統計減速が価格を下押ししており、ドル安と原油安が同時に進行している。

この一方で金は大幅な上昇を続けている。ISMを初めとする米国統計の悪化が何らかのロスカットを巻き込んだと考えられるが、それ以外に「トランプ候補の躍進」もあると推察される(詳しくはMRA's Eyeをご参照ください)。

【本日の見通し】

本日は、足下の弱めの統計を受けたパウエル議長の議会証言と、ベージュブックに市場は注目しており、神経質な推移が継続すると見られる。

なお、この状況においてもタカ派の発言が継続される可能性が高いため、市場が注目していると言っても積極的に材料視はされないのではないか。

本日の注目材料は以下の通り。

・FRBパウエル議長、下院金融委員会で証言

・サンフランシスコ連銀総裁講演

・米地区連銀経済報告(ベージュブック)公表

・ミネアポリス連銀総裁討論会に参加

・米大統領選挙、民主党ハワイ州党員集会

・カナダ中銀、政策金利発表

・ポーランド中銀、政策金利発表

・2月米ADP雇用統計 市場予想 前月比+15万人(前月+10.7万人)

・1月米JOLT求人 8,850千人(9,026千人)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は下落した。IS非M製造業指数が市場予想を下回る減速となり、先週のISM製造業指数の減速と合わせて、やはり夏までに景気の減速があるとみられたことが需給面で価格を押し下げる形となった。

恐らく、足下、再び米経済統計が鈍化しているため、原油安・ドル安の流れになると予想される。しかし需給面ではOPECプラスが6月末までの供給削減延長を決定しており、中東情勢不安などを背景とする供給面の不安が価格を支えると予想されるため下げ余地は限定されるだろう。

その一方で、景気減速、需要減速時にはOPECプラスの減産遵守率が低下しやすいため、毎月の生産動向を受けて価格が下押しされる可能性は十分あると考えている。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナやロシアなどのOPECプラス諸国の供給危機、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気減速継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

2月27日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが+30,448枚、ショートが▲2,441枚と、強気のポジション取りを継続。ロングの増加は需要回復期待を映じたものだが、期待先行の部分は否めずむしろ今後の下落圧力となるか。

Brentはロングが▲11,434枚、ショートが+6,054枚と弱気のポジションに。買い戻しが進んでいたショートの積み直しの動きが継続している見られる。高値圏に有ること、米国と異なり欧州域内の景気が弱いことがロング解消の背景か。

本日は、複数のFOMCメンバーの講演とベージュブックが予定されているが、足下、金融政策の急激な変更はないと考えられるため、FOMCメンバーが金融政策運営方針の判断材料の1つとしている、ADP雇用統計やJOLT求人に振らされる展開が予想される。

雇用者数は増加するが、求人・失業レシオの変数であるJOLT求人は減少の見込みであり、軟調推移となるのではないか。

また、米石油統計では原油在庫の増加(+1.7MB)が見込まれていることも価格の下押し要因に。ただ、在庫動向以上に、過去5年の最低水準まで落ち込んでいる石油製品出荷動向に注目している。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は上昇。米国によるロシアの石炭生産者に対する制裁以降、石炭価格が上昇していることに伴い、経済合理性の観点からガス火力が選好されていることが引き続き材料になっている。

また、価格下落に伴う採算性の悪化からLNGの液化プロジェクトの先送りや、ガス生産自体の見通し引き下げのニュースも散見され始めていることも価格を底堅くしている。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

6. 価格低迷によるLNG液化プロジェクトの見直し

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

しかし、足下のガス価格の下落や、この「浮く」ガスの解消を考えると、現在FID済のプロジェクトであっても実施が見送られる可能性がある。

この場合、2027年頃から逆に液化能力がかなりタイト化する恐れがあり、期間構造は期先はコンタンゴとなっている(ただし、供給のタイト感が解消することから、期先の価格が金利と保管コストで形成される通常の状態になっているため、とも言えるが、かなり期先の価格の上庄は顕著に)。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は、現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難かった。しかし、2024年でウクライナ経由のロシア産ガス供給契約が終了する見通しで、ウクライナ側はこの契約の継続を否定している。

4.は顕在化しているが、足下、米国の統計の改善が確認されておおり、カーゴ供給減少の可能性もある。

5.は2.とも関係するが、今年は夏以降にラニーニャ現象の発生が懸念されている。ラニーニャ現象は猛暑・厳冬をもたらすことが多いため、需要面で価格の上昇リスクに。

6.は顕在化し始めた。既に米国のLNG液化プロジェクトの稼働の先送りや、ガス自体の生産見通しの下方修正が米国では起きている。価格下落と高金利でこの動きはしばらく続く可能性がある。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

2月12日-2月18日のLNGトレードは805万トン(前週719万トン)と増加。日本・韓国・インド・英国の増加が、中国や台湾の減少を相殺した。

なお、Freeportからの輸出減少はまだ継続している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は上昇。価格下落と生産削減の動きで。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格は小幅に上昇。欧州ガス価格が生産の調整や石炭価格の上昇で乗したことが材料となっている。

11月のJLCの水準は11.87ドル(前月比±0.0ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

2月25日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は216万トン(過去5年平均 246万6,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は213万トン)と、過去5年の最低水準(205万8,600トン)に近接している。足下の気温低下が影響しているとみられる。

現在発生しているエルニーニョ現象は5月で終了、6月以降は55%の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

本日は、北米生産者が価格低迷を受けて生産削減に舵を切り始めたことや、競合燃料の石炭価格上昇を受けて上昇余地を探る動きになると考える。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格は続伸。米国によるロシアの鉄鋼・石炭会社メシェルとチェルパイプヘの制裁を受けて第三国を通じて売られていた石炭の供給が制限されるとの見方が、需給をタイト化させている状況。

また、競合のガス価格も生産調整の動きで上昇していることも価格を押し上げている。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替えられる訳ではないが、

1.実際に切り替えが可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する2.ガス対比での備蓄のしやすさ3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること

からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点と国内炭価格の下落に伴う採算悪化、国内炭の品位低下(そもそも中国の石炭は品位が低い)から、高品位の海外炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっている。

結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は114ドル、±1標準偏差で45~185ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。

ここしばらく、期先の価格は再び上昇しており、130~140ドルとなった。期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、130~185ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

ただし、足下の天然ガス価格の下落や環境保護派の圧力によってガスのプロジェクトの開発が見直される可能性が出てきており、中長期的にはガス価格の上昇が石炭価格を押し上げる可能性が出てきており、実際、期先の価格に上昇圧力が掛かっている状況。

特に石炭は環境保護派から目の敵にされているため、供給減少に伴うアップサイドリスクは無視できない。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

12月の中国の電力消費量は前年比+11.0%の8,563億kwh(前月+11.6%の7,619億kwh)と伸びが鈍化した。

本日は、ガス価格が堅調に推移していること、中国主要電力会社の在庫水準の低さなどから中国の輸入も増加すると見込まれること、米国によるロシア生産者の動きが価格を押し上げると考える。

ただし基本的に不需要期であることから上昇余地は限定されるとみる。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は総じて水準を切り下げる金属が目立った。

中国全人代が開幕となったが、GDP成長見通しは5%前後であり、財政赤字幅は▲3.0%としたが昨年調達した2024年度分が▲0.4%であり、結果、昨年の▲3.9%は実質▲3.5%、今年が▲3.4%と昨年程度のインフラ投資や公共投資が行われることになるが、恐らくそれでは影響は限定される、とみられたことが材料視されたと考えられる。

COTレポートではネット売り越し枚数はほぼ横這い。銅、鉛、アルミのネット買い越し幅が縮小(売り越し幅が拡大)したが、その他の金属は買い戻しが入った。

特にニッケルの買い戻しが顕著であり、ロシアに対する制裁懸念や、インドネシアの鉱石採掘許可更新の遅れ、といった供給面が意識されてファンド筋がスクイーズされた可能性がある。

今年は景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになると予想される。

欧州によるロシア産金属の禁輸措置の動きは、短期的にはLME需給をひっ迫させて価格を押し上げるが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じるとみる。その後、ロシアと懇意な国とそうでない国とで「一物二価」の状態となることが予想される。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、問題を先送りするというよりは「今回の問題の規模と深度が想定以上であるため」仮に不良債権の処理をしたとしても、その影響が拡散することを排除するために相応の調査と準備・対応をする必要があることから、拙速に対応していない(できない)ともいえる。

結果、不動産問題の解消には時間が掛かり、大規模な損失が発生しなかったとしても不動産セクターが中国経済をけん引することは当面見込み難いということである。

不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところが有るためはっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降まで時間を掛けて対応する体力はないと考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話だ。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は全人代での対策期待が想定の範囲内であることから、需給面は価格を下押ししやすい物の、足下の米統計の減速もあってドル安が進行していることが価格を押し上げると予想され、底堅い推移に。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭価格は上昇、上海鉄筋先物は小動きだった。

全人代が開幕となり、5%の成長目標が掲げられたが、コロナからの回復が期待されたもののほぼ空振りに終わった昨年と同じ水準であり、それでも達成は困難とみられ、センチメントは弱気なままとなっている。

昨日やや軟調な推移となったのはほぼ予想通り。

2月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が41.4(前月43.8)と大幅に減速、輸出受注は発表されず(前月51.1)、生産は45.2(43.7)と回復したがそれでも閾値の50を下回っている。この中で完成品在庫が52.9(43.7)と増加しており、やはり想定以上に需要が低迷していると言える。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+90万3,000トンの1,760万トン(過去5年平均 1,990万トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。鉄鋼製品在庫の積み増しペースは前週比+5.4%と(過去5年平均+6.5%)減速した。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+180万トンの1億3,490万トン(過去5年平均 1億4,068万トン)、在庫日数は32.2日(+2.5日、過去5年平均 30.9日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回っている。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は▲12万トンの206万トン(過去5年平均171万1,000トン)、在庫日数は+0.1日の9.2日(過去5年平均 7.2日)と、在庫の絶対水準・在庫日数とも再び過去5年平均を上回っている。

本日は、中国の経済対策期待の剥落と季節的な在庫積み増し時期があと2週間程度で終了することから水準は小幅に切り下がるとみている。

◆貴金属

金価格は上昇。アジア時間から堅調な推移となっていたが、米国時間に発表された米ISM非製造業指数が想定を下回ったことで金利が低下、実質金利が断続的に低下したことが価格を押し上げた形。

リスク・プレミアムもドル安や、米大統領選でトランプ前大統領が有利に選挙戦を展開していることが水準を押し上げた(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照ください)。

銀価格は米国時間まではほぼ金と同様の動きになっていたが、米ISM非製造業指数の悪化を受けて、下落に転じ、結局前日比マイナスで引けている。結局、工業金属としての色彩が金よりも強いことから、経済活動の鈍化は価格の下落につながりやすい。

銀価格動向を探る上で重要な金銀レシオは、20日移動平均線近辺でもみ合っていたが、昨日の米統計悪化を受けて再び水準を切り上げている。

プラチナ価格は下落。金プラチナレシオがボリンジャーバンドの上限を目指して上昇(対金でのプラチナ価格は下落)していたが、昨日のISM非製造業指数の悪化でこれが加速した。パラジウムもテクニカル要因が意識されているが、昨日の統計を受けて金パラジウムレシオが20日移動平均線でサポートされる形となり、下げを加速させた。

結局、フォワードルッキングな指標の悪化を受けた景気減速懸念が、工業金属の色彩が強い金属価格を押し下げたが、金は今後の「世界の分裂」を意識した買いが入っていると考えられる。

本日は、ベージュブックやパウエル議長の議会証言が予定されているが、足下の米統計減速を受けてハト派的な発言が出るかに注目が集まるが、恐らくスタンスは変わらないだろう。

その中で、世界の分裂リスクを意識して金は堅調推移、銀・PGMは統計悪化を背景に軟調推移を予想する。

PGMはプラチナの対金レシオがボリンジャーバンドの上限に達していることから、テクニカルに買いが入る展開を予想。パラジウムは対金レシオにテクニカルな上昇圧力がかかり、価格を下押ししやすい地合が続く。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場は下落した。穀物価格に対する説明力が高まっている原油価格が、ISM非製造業指数の悪化を受けて下落したことが材料となった。

穀物がバイオ燃料やエタノールに用いられる様になったため、以前と異なり景気・原油価格動向に連動しやすい傾向が強まっている。

足下、エルニーニョ現象が継続していることから価格には下押し圧力が掛かりやすいものの、夏以降の景気の底入れ期待が原油価格を押し上げる見通しであること、夏場以降のラニーニャ現象の発生による不作、北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害ヘの懸念から、年後半は価格上昇リスクを意識する必要がある。

本日は、引き続き米原油市場動向を背景に主体性のない動きが続くと予想されるが、昨日の下落やドル安を受けてまずは買い戻しが優勢になると考える。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国の金融緩和が遅れる中、高金利状態で商業用不動産向け融資の借換ができず、商業用不動産価格が下落し地銀の経営悪化に繋がる場合(信用収縮の発生リスク)。

・トランプ政権が誕生した場合の「米国第一主義」の推進で、世界の政治・経済のあり方が大混乱するリスク(米国の「目先の利益が上がる」ディールを優先するため、全くバランスを欠いた政策が行われるリスク)

恐らく過剰な景気刺激によるインフレや、同盟国との結束崩壊、中国・ロシア・北朝鮮・イランの結束がより強まる形に。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・インド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2025年以降か。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

・再生可能エネルギーのコスト上昇と、景気減速に伴う再生可能エネルギー向け政策の見直し(化石燃料回帰が起きる場合。むしろ実現可能な制作に回帰する、という意味ではリスクシナリオというよりは、メインシナリオか)

◆本日のMRA's Eye


「金価格とトランプ支持率」

金価格が大幅に上昇しており、この3日間の上昇は100ドルを超えた。

金価格は実質金利で説明が可能な基準価格と、それ以外の要素であるリスク・プレミアムで構成されるのはこのコラムで何回か説明している通り。

現在は米国の利下げが「それでも行われるだろう」と思われていることや、足下の米統計の減速を受けて長期金利が低下していることが実質金利を押し下げており、金価格の上昇要因となっている。

リスク・プレミアムは弊社の定義では、実質金利以外の要因である。そこで直近3年のリスク・プレミアムとその他の指標の相関関係を調べると、最も説明力が高いのが10年実質金利であり、次いでFF金利となった。

このことは、利上げに伴う信用不安などのリスクを織り込み、利上げによって諸々のリスクが増加すると整理されていたと考えられる。このロジックでは、米国の金融緩和が始まる中では、金のリスク・プレミアムが低下して、金価格は押し下げられることになる。

しかし、もしこの関係性が維持されているならば、CDSの水準は低下基調にあることからリスク・プレミアムが低下してもおかしくはない。さらに米国の政策金利は据置かれていることを考えると、足下のリスク・プレミアムの上昇は信用リスクなどの安全資産需要によるものではない可能性が高い事を示唆している。

ここで改めて金価格とその他の指標の説明力を期間3年で分析し直しすると、最も金価格(リスク・プレミアムではない)に対する説明力が高いのが、各国中央銀行・政府の金準備であり、ついで「もしトラ」であった。

金準備の金価格への影響についてさらにもう少し長いスパンで見てみよう。1990年以降のデータに年度別の先進国、新興国、ETFの残高と金価格の相関分析を行うと、最も相関性が高いのがETFの管理残高であり、次いで新興国の金準備だった。

新興国の金準備は2008年のリーマンショック以降増加している。これは債券など米国通貨建て資産を保有していることのリスクが意識されたことが背景で、最も積極的に積み増しを行ったのが中国とロシアだった。

直近、最も金価格に対して説明力が高いのが中国の金準備動向だが、2008年のリーマンショック、2014年のロシアのクリミア併合に対する制裁、2018年以降の米中対立、2022年のロシアに対するドル決済禁止のタイミングで顕著に金準備が増加している。

この動きは外貨準備ポートフォリオ中の米国資産への配分を減らす動きである。つまり、米中対立が続き東西分裂が続けば、ドル資産回避の動きが強まり、リスク・プレミアムの上昇でさらに押し上げられる可能性があるということだ。

先週の金価格上昇はISM製造業指数が想定外に悪化したため、米国時間のオープンから上昇したが、これは先物市場のプレイヤーが何かしらのロスカットを余儀なくされたことによるものと考えられる。

しかし、それが今も続いているということはその他の要因も影響したのではないか。

そこで考えられるのが、「何らかの米中対立の激化を想起させる要因」だが、たまたまかもしれないが、金価格とトランプ前大統領の支持率の相関性は高く、この傾向は昨年10月のイスラエルのガザ侵攻以降、強まっている。

ほぼ、共和党の代表指名を得られる見通しとなる中、「ポストバイデン」の世界を睨んだ安全資産需要の高まりがあるのではないか。

ただ、トランプ前大統領は、中国との対立激化を想起させる発言を繰返しており、この推定も当たらずとも遠からず、市場参加者が金を購入する材料にしていてもおかしくはない。

トランプ前大統領の返り咲きが取り沙汰されているが、「もしトラ」が現実のものになれば、米中対立が深まり、さらに金価格が押し上げられる可能性があるのではないか。また、言葉を換えるとこのロジックが成立するならば、バイデン大統領勝利、となれば価格は下がることになる。


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