CONTENTSコンテンツ

景気循環系商品軟調
  • MRA商品市場レポート

2024年2月2日 第2642号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気循環系商品軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、農産品セクターが引き続き堅調だったが、景気循環系商品と金属セクターは軟調な推移となった。

注目の米ISM製造業指数は1年3ヵ月振りの高水準となり、米景気の先行き楽観が広がったが、まだ閾値の50を下回っており製造業の景況感の改善には時間が掛かると見られたことや、米週間新規失業保険申請件数の増加などが需給緩和観測を強めたことが総じて価格を下押しした。

金属は中国勢が春節休みで不在となり、買い手不在の中で水準を切り下げている。

一方、株や貴金属などは、フォワードルッキングな統計の改善がある中でも、雇用市場の悪化が見込まれていることから「利下げが近い」との期待が広がったため、実質金利の低下やドル安進行が価格を押し上げる形となっている

FEDウォッチでは3月の利下げの可能性は38.0%(前日52.8%)と大幅に低下、5月の利下げ確率は59.6%(46.3%)と上昇している。

【本日の見通し】

本日は、雇用統計を控えてアジア~欧州時間に掛けては方向感が出難い展開が想定される。なお、雇用統計はやや減速が見込まれており、利下げ観測を強めてドル安が進行しやすくなるため、ドル建て資産価格を押し上げることになろう。

ただし、同時にファンダメンタルズ面の減速が確認されるため、景気循環系商品は需要面から下落するため、結局現状維持と考える。

本日の注目材料は以下の通り。

・EU外相会合

・1月米雇用統計 非農業部門雇用者数 市場予想 前月比+18.5万人(前月+21.6万人) 平均時給 前月比+0.3%(+0.4%)、前年比+4.1%(+4.1%) 労働参加率 62.6%(62.5%) 失業率 3.8%(3.7%)

・12月米製造業受注 +0.2%(+2.6%) 除く輸送機器 +0.2%(+0.1%)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は下落した。高値圏での推移となっていたが、アルジャジーラがイスラエルとハマスが停戦で合意、と報じたため、中東情勢緊迫観測が後退したことが背景。

ただし、その後、アルジャジーラはそのニュースを削除、ドル安が進行していたこともあり引けに掛けては下げ幅を削って引けた。

中東ではヨルダンとシリアの国境付近に展開する米軍の拠点をイスラム系武装組織(イランが支持するとされる)が攻撃、米兵が3名死亡した。ただし親イラン武装組織「カタイブ・ヒズボラ(報道を受けて先日のレポートで挙げた組織とは別組織に変更しています)」は米軍を攻撃しないと声明を発表、同組織の攻撃が疑われている。

これを受けてバイデン大統領は報復を示唆、イラン攻撃、イラン支援組織への攻撃、何もしない、といった選択があるが、国内の強硬派への配慮と中東での戦闘をエスカレートさせたくないとの思惑が交錯しており、非常に厳しい状況に。

一方、イランは国内の強硬派の突き上げもあり、周辺の反イラン組織に対して周辺諸国への攻撃を行っているが、イランの国内情勢を考えると戦争をやっているゆとりはない。

ただ、親イラン組織の米軍攻撃は、ガザ紛争前からも頻繁に発生しており、言葉は適切ではないかもしれないが、通常状態であるとも言える。

とはいえ、今回は米兵が死亡しているため、何らかの行動を起こさざるを得ないと考えられる。ただ、恐らく今回の件は何かあったとしても一部の親イラン組織が展開する基地を攻撃する程度に止まると考えられる。

原油市場動向のメインシナリオは、米国の石油製品出荷を見るに、同国の景気がこのまま順調に回復するとは思えず、調整すると見ているが、地政学的リスクの高さが長期的なショートポジションの保有を困難にしているため、当面底堅い推移が予想される。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナ危機の顕在化、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。米労働市場の改善があれば上昇は顕著なものになろう。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気幻想継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

1月23日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが▲5,822枚、ショートが▲27,806枚とポジションを落す動きだが、ショートの解消圧力の方が強かった。

Brentはロングが▲11,987枚、ショートが+6,739枚と、こちらは弱気に。

本日は、夜間の雇用統計を控えてアジア時間は様子見気分強いが、昨日の下落の調整で買い戻しからスタートすると考える。

なお、雇用統計は先月から減速すると予想されており、ファンダメンタルズ面では下落要因、ファイナンシャルな面では上昇要因となるため結局中立とみている。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は期近が下落、期先が上昇した。期近の下落はこれまで寒波や中東情勢不安で上昇していたが、アルジャジーラがイスラエルとハマスが停戦(誤報)と伝えた事もあり、調整売りに押された。

基本、需給バランスは脱ロシアの進捗で緩和するとみられているが、足下の価格低迷を受けてFID済みの案件であっても稼働の遅延、検討中の案件は建設が見送られる可能性も出ているため、2027年以降に需給がタイト化する、との見方が徐々に強まっている。

弊社のシミュレーションの結果では、今年の夏以降にガス調達が不足するリスクはまだ残存している。結局のところ需要動向が需給を左右すると考えられる。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

2022年、欧州向けにロシアが削減したパイプライン輸出量は708億立方メートルで、総輸出量9,685億立方メートルの7.3%に及ぶ。

これを他地域の需要増加で補うことは恐らく不可能であり、FID済みのプロジェクトも見直しせざるを得なくなると予想される。

しかしこの結果、2027年頃から液化能力がかなりタイト化することが指摘され始めており、期先の価格は水準が切り上がり始めている。長期契約分は原油価格リンクであるため影響は限定されるが、スポットベースに移行している契約に関しては、カーゴの取り合いでコストアップ要因となり得る(詳しくは2月のマンスリーをご参照ください)。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、欧州の統計が改善しており今年以降の需要回復が価格の押し上げ要因となる可能性が出てきた。

5.は2.とも関係するが、エルニーニョ現象中は暖冬になりやすく価格上昇方向のバイアスは強まらないと予想される。ただ、エルニーニョ現象発生後のラニーニャ現象発生はリスクとなる(2024年夏以降か)。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は下落。米週間ガス統計でガス在庫の減少幅が、市場予想、前月とも下回ったことが材料視された。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格は下落。TTFが中東情勢不安の後退(誤報)を受けて調整したことが材料となった。

11月のJLCの水準は11.85ドル(前月比▲0.01ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

1月21日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は249万トン(過去5年平均228万8,500トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は191万トン)と、過去5年平均を上回った状態が続いている。

現在発生しているエルニーニョ現象は6月で終了、7月以降は4割の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている(4割は何も発生しない見通し)。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

本日は、欧州・極東のガス価格は中東情勢不安と米LNGプラントの不稼働、欧州の気温低下見通しを材料に上昇するが、米国は気温上昇とLNG輸出ファシリティの稼働停止で国内需給が緩和する見通しであり、軟調推移を予想。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格は下落。ガス価格の下落と、足下、NEWCに対する説明力が上がっている中国勢が春節休み入りしていることが材料となった。

昨年12月以降の中国、日本、韓国などの輸入増加で石炭価格の期間構造はバックワーデーションになっている、足下、中国の輸入が顕著に増加して過去5年平均を上回っているが、その他の地域の輸入は鈍化しているため、早晩、期近の下落があるだろう。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替える訳ではないが、1.実際にスイッチ可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する、2.ガス対比での備蓄のしやすさ、3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること、からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点から中国が低品位炭から高品位炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっているようだ。結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は131ドル、±1標準偏差で60~200ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。期先の価格の低下は、需給バランス緩和時の現物価格の下落余地を拡大することになる。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が110~125ドル程度まで低下しているため、110~200ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

11月の中国の電力消費量は前年比+11.7%の7,630億kwh(前月+8.6%の7,419億kwh(前月+10.1%の7,811億kwh)と伸びが加速した。

本日は、ガス価格が中東情勢不安と欧州の気温低下見通しを材料に堅調に推移すると予想される中、ピークシーズンは終了に向かっていることが上昇を抑制するため現状維持と見る。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は下落した。取引序盤は株安やドル高進行を受けて水準を切下げていたが、春節休み入りしている中国勢が増加する中、水準を切り下げる動きとなった。

今年は恐らく景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになろう。

なお、IMFの見通しでは世界経済のソフトランディングの可能性が高まったとしており、当初見込んでいたQ324ではなく、Q224に景気が底入れする可能性もあると考えられる。

中国の在庫循環も早ければQ124の後半で在庫調整が終る可能性があること、半導体サイクルもQ224以降の回復が見込まれているため、銅や錫など、半導体関連の金属価格は比較的早いタイミングで上昇する可能性があると考えた方が良いかもしれない。

英国によるロシア産金属の取扱禁止の方針は、LMEの金属需給がひっ迫するため短期的には価格が上昇するが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じると予想される。

現在、EUがロシア産のアルミの取引制限を検討しているとされており、この場合はやはり短期的に価格が上昇、そしてLME外で取引される金属が増加、ロシアに対する制裁発動国と、非発動国の価格が異なる「一物二価」の状態となることが予想される。

ロシア産のアルミやニッケルを加工して生産した製品が流通すると予想されるが、このとき西側諸国政府がどこまでこの原料のトレースを要求してくるかが次の焦点となろう。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、恒大集団に対して香港高裁は法的整理を命令したが、中国本土の高裁がこれを受け入れるかどうかはまだ不透明だ。ただ2年以上かけて織り込んで来た材料であることもあり、当面は材料にはならないと考える。

とはいえ、不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところ有るためはっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降は先送りは不可能と考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話。

就任以降の習近平国家主席の経済政策は、決して成功しているとは言えない。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は、主要な買い手である中国勢が不在の中軟調推移となりやすいが、昨日の米統計を受けた米国の利下げ期待がドル安を誘発していることから、ファイナンシャルな面で価格は下支えされると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連は小幅に上昇、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭価格は上昇、上海鉄筋先物は続落下落した。

中国の製造業PMIや鉄鋼業PMIが冴えない内容で、中国の鉄鋼需要低迷観測が台頭、鉄鋼製品価格が続落していることが、鉄鋼原料価格を押し下げた。

また、一足早く中国正月入りしている市場参加者がいると考えられることも鉄鋼製品・原料価格を押し下げている。

12月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が43.8(前月43.0)と回復、輸出受注も51.1(48.7)と改善したが、生産が43.7(45.8)と大幅に悪化したことが影響した。いずれにしても閾値の50を上回っていない状況が続いている。

生産調整にもかかわらず、完成品在庫(42.9→43.7)は積み上がっており(原材料在庫の指標は公表されず)在庫調整が必要な状況とも言えるが、季節的に完成品在庫を積み増す時期に有ることもあり、今月~来月に掛けては景況感とは余り関係無く在庫が積み上がる可能性は高い。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+48万4,000トンの1,080万9,000トン(過去5年平均 1,127万トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+180万トンの1億2,400万トン(過去5年平均 1億3,623万トン)、在庫日数は33.9日(+0.5日、過去5年平均 30.4日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回った。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+5万トンの190万トン(過去5年平均161万2,000トン)、在庫日数は+0.3日の9.7日(過去5年平均 6.8日)と、原料炭の需給は緩和した状態が続いている。

本日は、早めに始まっている中国の春節休みにより、生産活動が鈍化すると考えられること、製造業・鉄鋼業・建設業PMIの低迷、鉄鋼原料の港湾在庫水準が増加していることから水準を切下げる展開を予想。

◆貴金属

昨日の金価格は上昇。金利は低下したが、原油価格の下落や、労働生産性の改善、雇用コスト指数の伸びが市場予想ほどではなかったことが期待インフレ率を押し下げたことが実質金利を押し上げたため、基準価格は低下したが、リスク・プレミアムがドル安の進行を受けて水準を切り上げたことが材料。

銀は金価格上昇を受けて連れ高となった。PGMは株の下落もあって水準を切り下げていたが、米国時間に株価が上昇したため、引けに掛けて下げ幅を削る展開。

米国のFF金利の引き上げと共に「諸々のリスクの高まりヘの懸念」から、リスク・プレミアムが上昇して金価格を押し上げてきた。金リスク・プレミアムの上昇要因の主なところは、

1.米利上げによる信用不安の高まり(低格付企業・新興国)

2.ロシアに対するドル決済禁止制裁を受けた、準備金におけるドルから金ヘのシフト

3.ロシアのウクライナ侵攻

4.イスラエルとパレスチナの戦争開始による中東情勢不安並びに、テロ組織の大規模攻撃であるため、各地にテロが拡散するリスク

あたりだろう。これらと同じ事象は、ニクソン・ショック~プラザ合意~アジア危機収束まで30年近く続き、金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが高止まりした。

2019年基準で算出した現在のリスク・プレミアムのシェアは50%と、ニクソン・ショック~アジア危機収束までの時期のシェアとほぼ同じ水準まで上昇している。

このことは、実質金利と同等のレベルでリスク・プレミアムを議論、即ち金価格を考える上では、地政学的リスクや信用リスクを今まで以上に注視する必要があることを示唆している。

現状を理解する手助けとなるため、あえて実質金利・信用リスク・その他、に分離した場合、実質金利部分が45%、信用リスク要因が20%、その他の要因が35%となった。

直近1年間の説明力を相関係数で確認するとほとんどの項目が金価格と無相関の状態になっている。3ヵ月間の相関関係では、最も金価格に対する説明力が高いのがドル指数で▲0.85、次いで10年金利で▲0.84、実質金利で▲0.81、期待インフレ率で▲0.66となった。これまで説明力がほとんどなくなっていた実質金利要因の説明力が増している。

このことは、リスク・プレミアム以上に金融政策動向が価格を左右しやすいことを示唆している。

この5年間のデータを元にした分析では、FF金利±1%の変化で、金の基準価格は±150ドル変化し(負の相関)、リスク・プレミアムは±160ドル変化(正の相関)する。

今回のFOMCでFRBは今年▲0.75%の利下げを予想しているが、市場予想は2024年は▲1.75%程度のFF金利引下げを見込み始めている。

上記感応度分析の結果を正とした場合、金の基準価格は金の基準価格は+260ドル程度の押し上げ要因となり、リスク・プレミアムは、▲280ドルの低下要因となるため、仕上がりで▲20ドルの価格低下となる。

結果、金価格は現状の水準を維持すると予想される(FF金利の感応度を、基準価格とリスク・プレミアムに分けて行う方向に変更した結果、これまでの分析結果とは異なる結果に)。

リスク・プレミアムから信用リスク要因(CDS部分)を除いた「その他のリスク・プレミアム」はガザ紛争発生前から直近まで200ドル程度上昇しているため、紛争終了後は▲200ドル程度の下落余地があることになる。

この場合、現在の価格を2,000ドルとすると1,800ドル程度までの下落余地があることに。

本日は、金銀価格は米雇用統計を控えてアジア時間は様子見気分が強く、昨日の反動でいったん水準を切り下げる展開を予想。

PGMは株高もあるため、下値も堅いと考えられるが朝方発表の米自動車販売が減速(1,500万台、市場予想 1,570万台、前月 1,583万台)と減速しているため、需給面で価格は下押しされる公算。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場はまちまち。トウモロコシは週間輸出統計の増加を受けて取引後半に水準を切り上げる展開。大豆は輸出統計の減速で下落、小麦は割安感から買われた。

小麦も大幅に下落。米国の干ばつの影響緩和や、トウモロコシの下落に押された。

北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害だが、紅海周辺地域で繁殖期を迎えており、昨年の降雨の影響で群生体の発生が懸念される。

本日は、翌週の需給報告を控えて様子見気分強く、もみ合うものと考える。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国債の格下げリスク、米国債格下げの動きが連鎖して、金融機関の格下げが加速、信用不安に繋がる場合。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(可能性の低い顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、極めて可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

また、再生可能エネルギーのコスト上昇で化石燃料回帰が起きる場合。


主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について