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日本株高騰と円相場~新NISAと内外投資家動向
  • MRA外国為替レポート

2024年1月15日号

◆先週の市場総括


先週は日経平均が連日のバブル後最高値更新。週末にかけて35,000円の大台を回復して金曜日は35,500円台で取引を終えた。年初から新NISA開始による個人資金が投資信託経由で株式市場に流入。またそうした思惑で強気が維持され、売り方の買い戻しもあいまって上昇基調が続いた。

米国景気への楽観や日銀が超金融緩和政策を当面維持との見方も支え。電機・情報・半導体関連が堅調、またドル高円安が輸出関連銘柄を支えた。

ドル円相場は144円台から145円台へと堅調な値動き。米雇用情勢が堅調との見方、FRBの早期利下げ期待牽制がドルを支えた。ただ週末の生産者物価指数は弱めで長期金利が低下するとドル円相場は144円台に下落して取引を終えた。

月曜日の東京市場は休場。アジア時間のドル円相場は上値の重い展開で円高気味に推移。144円60銭で始まり30銭台~50銭台で上下動。夕刻には144円10銭近辺まで下落した。

欧州市場では20銭~60銭で上下したが米国市場にかけて143円70銭近辺まで下落。引けにかけて持ち直して144円20銭。

米国では長期金利が低下。NY連銀の12月消費者調査で期待インフレ率が低下。1年が前月3.4%から3.0%へ低下して21年1月以来の低水準。3年も3.0%から2.6%へ、5年も2.7%から2.5%へ低下した。

10年債利回りは4.013%へ、2年債利回りは4.366%へ低下した。

ユーロドル円相場は158円20銭で始まり夕刻には157円80銭に下落して158円を挟んで上下。米国市場では157円80銭に下落したあとやや持ち直して引けは157円90銭。

ユーロドル相場は1.0940で始まり30~50で緩やかに上下して夕刻は1.0950。米国市場では1.0980まで上昇したが引けは1.0950。

米国株は主要指数がそろって続伸。このところ上昇していた長期金利が低下し支えとなった。NYダウは前週末比+216ドル高の37,683ドル。ナスダックは+319ドル高の14,843ドル。

火曜日の東京市場では日経平均が取引時間中、引値、ともにバブル後最高値を更新。33年振りの高値をつけた。一時33,900円台まで上昇。米ハイテク株が堅調、電機・情報通信がしっかり。引けは前週末比+385円高の33,763円。

ドル円相場は144円20銭で始まり朝方は円高に振れて143円40銭に下落。ただその後は夕刻にかけて円安となり144円30銭まで戻した。

欧州市場では144円ちょうどを挟んで推移。米国市場では143円70銭割れから上昇して144円50銭近辺でもみ合い引けた。

ユーロ円相場は157円90銭で始まり20銭台に下落。その後夕刻にかけては堅調で158円ちょうどまで戻した。欧州市場では157円台半ばでもみ合い米国市場では20銭台に下落。その後はドル円相場同様に円安に戻して158円手前でもみ合い引け。

ユーロドル相場は小動き。1.0950近辺でもみ合い、欧米市場では1.09台前半で上下して引けは1.0930近辺。

米国株はまちまち。米長期金利が小幅上昇、早期利下げ期待が弱まるなか上値は重かった。NYダウは一時▲300ドル安となり引けは▲157ドル安の37,525ドル。ナスダックは+13ドル高の14,857ドル。

10年債利回りは4.015%、2年債は4.368%に小幅上昇した。

水曜日の東京市場では日経平均が大幅に3営業日続伸しバブル後最高値をさらに更新。半導体関連株が上昇、円安も支え。新NISAスタートによる個人投資家からの資金流入が支えとの見方も。引けは+678円高の34,441円。

為替市場では円安の流れが継続。外貨資産投資が活発化するとの見方も支え。ドル円相場は144円50銭で始まり堅調。午後には80銭~145円ちょうど近辺で推移した。

ユーロ円相場、クロス円相場は東京市場から欧米市場を通じて一貫して大幅高。リスク選好を背景に円が独歩安となった。

ユーロ円相場は157円90銭で始まり158円40銭台に上昇。夕刻には20銭程度に押し戻されたが欧州市場から米国市場にかけて159円80銭近辺に上昇しそのままもみ合い引けた。

ドル円相場も米国市場で145円80銭近辺に上昇して引け。ユーロドル相場は1.0930近辺で小動きののち、欧米市場ではやや上昇して1.09台後半でもみ合い引け。

米国株は堅調。インフレ鈍化期待が支えとなり長期金利上昇が一服するなかハイテク中心にしっかり。NYダウは前日比+170円高の37,695ドル、ナスダックは+111ドル高の14,969ドル。米長期金利はほぼ横ばい。10年債は4.03%、2年債は4.36%。

木曜日の東京市場では日経平均が1990年2月以来、33年11ヵ月ぶりの高値をつけバブル後最高値を更新。35,000円の大台に乗せた。半導体関連が引き続き堅調。円安が輸出関連株の支えとなった。引けは前日比+608円高の35,049円。

ドル円相場は145円70銭で始まり30銭~60銭でもみ合い、米CPIの発表待ちで小動き。ユーロ円相場も159円80銭で始まり50銭~80銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.0970~80近辺で緩やかに推移。

注目の米消費者物価指数(CPI、12月)は前年同月比+3.4%と前月+3.1%から上昇加速。コア指数は前月+4.0%から+3.9%に上昇率が小幅鈍化したが予想+3.8%をやや上回った。

米長期金利が上昇し発表直後にドル円相場は乱高下しつつ急上昇。145円ちょうどに下落してから146円40銭へ。その後は145円70銭~146円20銭で上下。その後30年債入札が好調で長期金利が低下すると145円40銭に下落して引けた。

ユーロドル相場は1.0930に下落したあと反発して1.0970で引け。ユーロ円相場は160円20銭に上昇したあと159円50銭に下落。引けは159円80銭~160円ちょうどで上下して引けは159円50銭。

米国株は小動き。決算期待が支え。NYダウは+15ドル高の37,711ドル。ナスダックはほぼ変わらず14,970ドル。クリーブランド連銀総裁は、インフレ率の低下が捗々しくないこともあり3月利下げは時期尚早な可能性が高い、と述べた。ECBラガルド総裁は、データでインフレの軌道が確認できれば利下げ開始は可能、と述べた。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅続伸してバブル後最高値を更新。新NISAによる個人投資家からの資金流入が引き続き支えとみられる。引けは+527円高の35,577円。

ドル円相場は145円40銭で始まり朝方145円割れ。欧州市場にかけては144円80銭~145円30銭で上下。

米国市場は、朝方は145円60銭まで反発した。しかし発表された米国の生産者物価指数PPIが弱く米長期金利が低下しるとドル円相場は144円40銭まで下落。引けにかけては持ち直して144円90銭で取引を終えた。

ユーロ円相場も総じて軟調、やや円高。159円50銭で始まり159円台前半で推移。夕刻から欧米市場にかけては158円50銭台まで下落した。引けは158円70銭。

ユーロドル相場は1.0970~80で小動き。欧米市場では1.0930~80で上下し引けは1.0950。米国株は利益確定売りに押されて上値が重かった。

NYダウは前日比▲118ドル安の37,592ドル、ナスダックは+2ドル高の14,972ドル。10年債利回りは3.939%へ、2年債は4.146%へ、それぞれ低下。米国のPPI(12月)は前年同月比+1.0%、コア指数は前月の+2.0%から+1.8%に低下してインフレ沈静化を示した。

◆今週の3つの注目ポイント


月曜日の米国市場は休場。

1.米国の経済指標、ベージュブック(米地区連銀経済報告)

引き続きソフトランディング期待を支持する堅調な景気動向を示すか。

火曜日 NY連銀製造業景気指数(1月、予想▲2.7、前月▲14.5)

水曜日 小売売上高(12月、前月比、予想+0.4%、前月+0.3%) 鉱工業生産(12月、前月比、予想▲0.1%、前月+0.2%) 設備稼働率(同、予想78.6%、前月78.8%)

木曜日 住宅着工(12月、季節調整済み年率換算、予想1,408千戸、前月1,560千戸) 週次の失業保険申請件数

金曜日 ミシガン大学消費者信頼感指数(1月速報、予想68.0、前月69.7) 中古住宅販売(12月、季節調整済み年率換算、予想383万戸、前月382万戸)

また水曜日にはFOMCでの政策判断の基礎となる景気物価動向を示すベージュブックが公表される。

2.欧州の経済指標、ECB議事要旨、ラガルド総裁発言

欧州景気の悪化懸念は根強いが基調はどうか。

月曜日 ユーロ圏鉱工業生産(11月、前月比、前月▲0.7%、前年同月比、同▲6.6%)

火曜日 ZEWドイツ企業景況感(1月、期待指数、前月12.8) 同ユーロ圏(前月23.0) ドイツ消費者物価指数(12月改定値、前年同月比、速報+3.7%)

水曜日 ユーロ圏消費者物価指数(12月改定値、コア指数、速報+3.4%)

木曜日にECB理事会議事要旨が公表される。利下げに向けた議論の気配はみられるか。ラガルド総裁が発言する機会があり利下げに向けて前向きな発言となるか、時期尚早とするか、注目される。

3.中国の経済指標

水曜日に主要経済指標が発表される。中国景気に対する不安感が沈静化するか、なおも悪化リスクがみえるか。

GDP(10-12月期速報、前期比、予想+1.0%、前期+1.3%)12月の小売売上高(前年同月比、予想+8.0%、前月+10.1%)鉱工業生産(同、予想+6.6%、前月+6.6%)、固定資産投資、失業率。

ほか、金曜日に日本の消費者物価指数(12月)が発表される。前年同月比で前月は、総合指数が+2.8%、除く生鮮食品が+2.5%、除く生鮮食品・エネルギー価格が+3.8%。12月はどれほど低下するか。日銀のマイナス金利解除にいかなる影響を及ぼすか。

◆今週のMRA's Eye


日本株高騰と円相場~新NISAと内外投資家動向

日本の個人投資家のリスク選好、株式投資姿勢が足元で強まっているのは確かなようだ。新NISA制度がスタートし、投資信託への資金流入が急増したとの報道が散見される。ミクロでそうした動きがあるのは疑いがない。

一方、マクロでどれほどの資金が今後も投資信託や株式市場に流入したのか、今後流入していくのか、証券業協会のデータや対外証券投資など統計資料で量的に確認するのには時間が必要だ。

個人の金融資産がストックとして1,000兆円存在し、その過半はなお預金に留まっているのは事実。それがリスク資産に動けば金融市場、リスク資産価格に大きなインパクトをもたらすことは確実だ。

ただその巨額資金が一気に動くわけではない。まずはフローの貯蓄のうち、積み立てなどで預金よりリスク資産への投資が増加することになる。ストックについては、若年層が保有しいるわけではなく、今後、シニア層から相続などによって移転していくにつれて徐々にリスク資産比率が増加していくとみるのが妥当だろう。

さらに新NISA導入の円相場への直接的なインパクトとなると、円安方向への作用はあるのは間違いないが、量的なインパクトは株価への影響以上に不確実になる。

第一に、為替リスクをヘッジしない外国株投資がどれほど増加するかにかかる。現状では、円相場はなおかつてない円安水準にあり、円高に振れるとの見方が根強い。そのなかで為替リスクをとった外国株投資がどれほど活発化するかは不透明だ。

そもそも、今回の制度導入の趣旨は、個人投資家の資金を日本株市場に呼び込み、日本株市場を活性化することを目的としている。海外へ資金流出させることは目的としていない。

足元で円安に影響している経路としては、海外勢の日本株投資にかかる為替ヘッジオペレーションが挙げられる。

海外投資家が為替ヘッジ、円売りヘッジをしながら日本株投資を行っていた場合、株価上昇で保有時価総額が増加すれば、ヘッジ比率を維持するためには追加的に円売りを行う必要がある。

新NISA導入が日本株、日経平均を押し上げれば、海外投資家の円売りが増加することになる。このところ日本株は急騰し連日バブル後の最高値を更新している。これが海外投資家の為替ヘッジオペレーションを通じて円安に作用している可能性はある。

この観点からは、株価上昇の勢いが衰えれば円売りも鎮静化することになる。今後、足元のようなペースで高値を更新し続けることは考えにくいことから円安圧力は軽減されるだろう。

一方、海外投資家からは今年は相対的に日本株投資を積極化しようという投資方針が散見される。

いくつかの投資家インタビューでは、日本経済の変化、デフレからの脱却、金融正常化、為替が円高に振れることも含め、日本株にポジティブな見方をしているようだ。

発言からみれば、為替ヘッジなし、すなわち円買いをともなう日本株投資が昨年より増加する可能性がある。ただし、ここまで株価が上昇したあとで、日本株になおも積極的な投資姿勢が維持されるかは不透明だ。

総じて、内外投資家のリスク選好が強まっていることは、今のところどちらかといえば円安に作用しているとみられる。

ただし、投機的な為替売買ボリュームと相対比較して、量的な円相場への影響、円安圧力となるかどうかは諸条件次第。仮に米国の金利低下が想定よりも急速かつ大幅となれば、円高というよりもドル安の勢いは勝るだろう。

欧州でもECBラガルド総裁からはFRB以上に利下げに前向きな発言がみられる。昨年までの円安が欧米の金利急騰に支えられていたが、それが反転すれば円安が反転、円が全面高となる蓋然性は高い。そうしたなかで、日本の投資家のスタンスは円高の勢いをやや緩和する程度とみておいたほうが良さそうだ。


主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
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