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日刊工業新聞連載『調達コストのリスク管理(30)電気料金の調達単価のリスク』
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  • 大崎将行

実勢燃料価格の算出、難しい

【最も複雑な形態】

電気料金の従量料金単価は、燃料費調整制度という火力燃料の燃料価格変動を料金単価に反映させる仕組みのもと、料金改定時点の燃料価格を基準とした基準燃料価格と直近の実勢燃料価格との差分が燃料費調整単価という形で調整される。よって電力の調達自体は明確にフォーミュラ化された計画調達に分類されるが、そのフォーミュラの中身は知り得る限り、数ある調達品の中でも最も複雑な形態であり、「明確→分かりやすい」という構図が成立していない。そのため、電力コストのリスク管理を難しくしている。

【構成比に違い】

その複雑な電気料金のフォーミュラの中身は、3段階に分けると理解しやすい。第1に燃料費調整単価の算出式である。これは基準燃料価格と実勢燃料価格との差分を単価に換算するため、基準単価という掛け目を乗じているだけであり、理解しやすい。この式に基づいて従量料金単価が直近の実勢燃料価格を反映して調整される。

では、実勢燃料価格はどう求められるか。これが第2段階だ。火力発電はその燃料に原油、液化天然ガス(LNG)、石炭を使う。電力会社ごとに発電設備や使用する燃料の構成比が違うため、各電力会社の実情に応じた係数(α、β、γ)を乗じて電力会社ごとに火力発電の実勢燃料価格を算出する。最後に、その燃料ごとの実勢価格をどう求めるか。これが第3段階だ。燃料のほとんどは海外からの輸入に頼っている。そこで毎月財務省から発表される貿易統計を元に、燃料別の実勢価格を計算する。ただ、その際、過去5カ月前―3カ月前の3カ月平均価格を用いる。

【至難の業】

燃料費調整単価を複雑にしている元凶は、2、3段階目の実勢燃料価格の算出にあり、一般的なフォーミュラと比較して「三つの複雑さ」が際立つ。一つ目は「参照指標の複雑さ」である。原油、LNG、石炭と3種類もの燃料価格を参照するのに加えて、その価格指標がなじみの薄い貿易統計を用いている。二つ目は「実勢価格算出の複雑さ」。当月の電気料金と参照価格との間に5カ月―3カ月といったタイムラグが生じるのに加え、それらの3カ月平均価格を参照価格としている点だ。三つ目は「掛け目・係数の複雑さ」である。α、β、γや基準単価など、燃料価格に手を加える要素が多い上、調達する電力会社ごとに掛け目・係数が異なる。さすがにここまでくると調達単価のリスクを完全に理解しリスク管理することは至難の業となる。(隔週木曜日に掲載)

◇マーケット・リスク・アドバイザリー代表 大崎将行

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