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日刊工業新聞連載『調達コストのリスク管理(29)光熱費の調達単価リスク』
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  • 大崎将行

“作法”にのっとり管理可能

【「固定費」的扱い】

しばしば寄せられる調達コストのリスク管理についての問い合わせも、従来までは生産に直結する「直接材」に関する内容が多かったが、昨今では間接材、特に電気やガスといった「光熱費」に関する相談が増えてきている。背景としては、電気やガスの原材料となる原油や天然ガス、石炭といったエネルギー価格の「変動性」の高止まりを起因とした調達単価のリスクの顕在化が挙げられる。元来、これら光熱費自体は「固定費」的な扱いをしていたにもかかわらず、ふたを開けてみれば当初の予算や年度計画を超過するというリスクの顕在化が相次ぎ、慌てて相談されてくるというのが実情だ。電気・ガスといった光熱費の調達単価のリスクについては、業種を問わず共通の経営課題であり、調達コストのリスク管理に対する理解を深める上でも、本コラムでその概要を紹介する。

【複雑な構造】

電気料金はやや複雑な構造で、基本料金と電気の使用量に応じて課金される三つの従量料金の単価((1)電力量料金単価、(2)燃料費調整単価、(3)再生可能エネルギー発電促進賦課金単価)から構成されている。また「燃料費調整制度」という火力燃料の燃料価格変動を料金単価に反映させる仕組みのもと、料金改定時点の燃料価格を基準とした「基準燃料価格」と「直近の実勢燃料価格」との差分が燃料費調整単価という形で調整される。よって、燃料費調整単価が「マイナス」というと割引のイメージが、逆に「プラス」となると値上げのイメージが連想されるが、あくまでもこの部分は単に実勢の燃料価格を料金単価に反映させるための“調整項”に過ぎず、良くも悪くも燃料価格が上昇しようが下降しようが、料金改定時点の基準燃料価格以外の料金単価の内訳(コスト構造)は維持される。

【努力が水の泡に】

電気の買い手からしてみれば、この燃料費調整単価による調達単価の調整は、「調達単価のリスク」にほかならないが、「明確にフォーミュラ化された計画調達」とも整理することができるため、調達コストのリスク管理の作法にのっとってリスク管理が可能となる。

電力自由化以降、新電力への乗り換えや競争入札等による「(1)電力量料金単価の引き下げ」というコスト低減策を実施してきた企業も多いかと思うが、この調達単価のリスク管理がおろそかになると、せっかくの努力が水の泡になりかねない。その努力を無駄にしないためにも、光熱費の低減策と並行し、光熱費の調達単価のリスク管理についても取り組んでいきたい。(隔週木曜日に掲載)

◇マーケット・リスク・アドバイザリー代表 大崎将行

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