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日刊工業新聞連載『調達コストのリスク管理(27)バックワーデーション』
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「受渡」調整で割安メリット

調達品の取引価格は二つのタイミングで決定する。一つは「いつ値決めするのか」という“値決め”のタイミング、もう一つは「いつ受渡するのか」という“受渡”のタイミング。調達品の取引価格はこの二つのタイミングの掛け算で決まる。原材料など調達品の価格は日々市場価格に振らされるので、通常前者の値決めのタイミングに意識を奪われがちだが、後者の受渡のタイミングも無視することはできない。では、その受渡のタイミングの違いで実際に取引価格がどれだけ変わるのか、原油価格(BRENT)を例にとって確認する。

【半々の出現頻度】

過去10年間の最短受渡価格(直近限月価格)と12カ月先受渡価格の比率の推移(図)を例に挙げる。この比率が100%未満で12カ月先受渡価格の方が最短受渡価格よりも安い状態を「バックワーデーション」、逆にこの比率が100%以上で12カ月先受渡価格の方が高い状態を「コンタンゴ」と呼ぶ。

過去10年間を見る限り出現頻度はほぼ半々、2―4年という周期で入れ替わり出現し、昨年9月に最低比率89%をつけ、コロナショックでいったん最高180%まで跳ね上がった後、現在は106%程度の若干のコンタンゴで落ち着いている。

【明確な効果】

受渡時期の違いによる取引価格の差異については、調達コストのリスク管理ではリスク低減策を実施する際のコストに直結する話なので、常に意識せざるを得ない視点だ。ただ調達コストの低減を追求する際においても注意を払っていて損はない。

特にバックワーデーションによる割安メリットを享受しようと思えば、「受渡時期のコントロール」という在庫管理と絡むお題への取り組みは必須だが、調達コストを一定程度引き下げる明確な効果があり、最初からその機会を放棄するのはもったいない。

【2つの選択肢】

手順を確認しておく。例えば、2021年11月(12カ月先)の調達品の値決めであれば、一つは「12カ月後に最短受渡価格でスポット調達する」、もう一つは「21年11月より前(例えば今月)に12カ月先受渡価格で事前の値決めをする」の二つの選択肢があるが、バックワーデーションによる割安メリットを得るには後者の道筋をたどる必要がある。

事前の値決めができる体制が整っていない場合、まず売り手と交渉して受渡時期に応じた値決めの仕切り方に変更するか、金融取引可能な指標で調達フォーミュラを締結し、併せて金融商品でリスクヘッジできる体制を整えるところから始める必要がある。(隔週木曜日に掲載)

◇マーケット・リスク・アドバイザリー代表 大崎将行

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