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用語解説-その7
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第389号

「ファイナンス取引」
2012年頃、欧州問題に対して欧州の政治家が不対応であったことから景気の拡大ペースが鈍化、世界経済に深刻な悪影響をもたらしました。特に欧州と欧州の最大の貿易相手国である中国の景気動向が不安定になりました。これに伴い、ベースメタルの需給が急速に緩和するということが起きています。実際に、アルミや亜鉛等はリーマンショック以降、慢性的な供給過剰になっており、LMEの指定倉庫在庫は増加。アルミニウムの場合、在庫は特定の倉庫に積み上がり、欧米の投資銀行が倉庫を保有している、デトロイト、シカゴ、ロッテルダム、フリシンゲン等の在庫増加が顕著になったことがあります。ですがこの時LME価格は然程低下しませんでした。これはいわゆる、「LME非鉄金属のファイナンス取引」の影響によるものです。ファイナンス取引とは読んで字のごとく、「在庫保有者の資金調達」を目的とした取引で、昔から用いられている古典的な取引の1つですが、リーマンショック後以降に活発に行われるようになりました。簡単に概要を説明すると、資金が必要な余剰在庫を抱えた企業がいた場合、もしその企業が自身で在庫を保有するとすれば、どこからか運転資金を調達する必要があります。しかし、景気が後退する局面で在庫を保有し続けることは負担になりますので、一時的にこの余剰在庫を買い戻し条件付きで金融機関に購入してもらい、その間の資金繰りに充てるという仕組みです。これにより、企業は通常よりも有利な水準での資金調達が可能になり、更に余剰在庫も削減でき、一定期間後に金融機関に売却した在庫を買い戻すため、不況の中生産調整も可能という一石三鳥のスキームなのです。金融機関は金融緩和が続いていることからこれらの在庫を引き受けるだけの資金調達には問題がありませんし、特定の国の信用リスクを取る訳ではないので、メリットが大きいのです。ですがこの取引が活性化するということは、実際に使うことができる在庫の水準が減少することを意味します。例えばアルミニウムを例に取ると、LME在庫の実に80%近くが前述の5つの倉庫に集中しましたが、これらのほとんどがファナンス目的の在庫でした。つまり、ファイナンス取引の期限が来て、更にそのファイナンス取引を延長しない場合にしか利用可能な在庫とはならないということです。LME倉庫に積まれている在庫の多くが、自由に出し入れできないものであるとも言えるでしょう。商品価格動向を占う上で、「どれだかの在庫が保有されているか」は需給ファンダメンタルズをみる上で非常に重要な指標となりますが、「実際に利用可能な在庫がどれだけか」を把握することがより必要になってきたといえます。