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過去のリスクイベントを振り返る
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第375号

今年も後半戦に突入し、早くも後4ヵ月で2020年になります。こうなってくると年後半に集中しているイベントリスクの顕在化が意識されます。現在、分かっているだけでも、米中通商協議、英国のEU離脱、イスラエルの選挙、中国共産党70周年記念式典、OPEC総会などが挙げられます。これらが市場が期待してない結果となった場合に、リスクが顕在化することになります。この時、どの程度のリスクが発生するのでしょうか?

最近ではAIを使ってその時の影響を考える、シミュレーションする、ということもあり得るかもしれませんが、実際に企業がそのシミュレーションの結果を100%信じられるほど予測の精度が上がっていないうえ、「AIを使った分析を信頼できる」ほど認知度が上がっているわけでもないため、現実的にAIを使った分析を基にするリスク制御は困難でしょう。

そうなってくると結局のところ「過去、類似のリスクイベントが顕在化した場合、どのようなことが起きたのか」を検証する方がより納得感があるといえます。英国のEU離脱はリーマンショックが参考になるでしょうし、イスラエルの選挙もそれがもとで戦闘が生じたリスクを考えるのであれば、シリア危機や、アフマディネジャド大統領時代の市場の反応を参考にすればいいでしょう。

しかし、類似のリスクがないイベントリスクや、「リスクとして認識していなかったリスクの顕在化」の場合、類似した過去のイベントリスクを探してくることが困難です。そのためこのような場合には、「過去最大のリスクが顕在化した時に、各商品の価格がどの程度振れたのか」を代用して用いることが推奨されます。

ただし最近では、全く過去ではありえなかったようなことが、当たり前のように起きてしまう世の中になってしまったため、実は過去の例と比較した分析を行うよりもAIなどの分析の方が精度が高く、納得感がある結果をもたらす時代が早晩訪れるかもしれません。