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【元祖・タイの楽しいご旅行は-その2】
  • 新村ブログ《油売りのひとりごと》

プーケットまでは直行便だった(はず)。 
何航空に乗ったのか、何を食べたのかも定かではない。 
空港に着いたら、現地に名前を書いたスタッフがいるので
分かるようになってます、とのことだった。
空港に到着。さぁ、どういう人が迎えに来るのか?
タイの人は美人が多いと聞いていたので期待していた。
と思っていると、向こうの方からひょろ長い感じの
アディダスのジャージを着た人間がふらふらと歩いてくる。

「まさかあれではあるまいな?」

と二人の間にやや不安感が漂う。
一緒に旅行した人間は、私が高校の頃、
一緒にバンドをやっていたときのリーダーで
二人とも基本的には何も言わなくても分かり合える仲である。
実名を出すのはまずいので、仮に山口君としておこう。
山口も私の不安な気持ちを察したのか、
ややどんよりした目で私のほうを見ている。 
アディダスジャージのおっさんはどんどんこっちに近づいてくる。

「やはりあれなのか!?」と、不安に思っていたら

「ヤマグチ様」と書いたプラカードを持っていた。 全部日本語で

「ようこそ田中様。タイの楽しいご旅行は、
このソムチャイにお任せください」

orz がっかり...
しかも、「ヤマグチ」が本名なのに、「タナカ」とは....。 
ちょっと前に書いた「伝説のサムライ」でも披露した通り
外国人からすれば日本人は皆、タナカなんだろうか?
早速、彼が乗ってきた車に乗る。
本当に乗っても良いのか?と思いつつ、乗る。
車に乗ったらもう一度、彼はこういった。

「タナカ様、タイの楽しいご旅行は、このソムチャイにお任せください」

とにかくプーケット島に到着。
アディダスジャージのソムチャイに連れられ、車に乗る。
初日はプーケットのホテルに一泊し、
翌朝高速船に乗ってピィピィ島へ出発、というスケジュールだ。 
ソムチャイがどういう人間かは分からないが
とにかくここに来るまでに思っていた
「ピィピィ島への疑問」をぶつけてみた。 
まず我々が心配しているのは、「何があるのか?」ということ。

「ソムチャイ。ピィピィ島には何があるの?
 ガイドブックではヤシの木しか書いてなかったんだけど」

ソムチャイは何故だか分からないが、サングラスをしている。
到着したのは夜中なのにずっとサングラスをしているのだ。 
(後で分かったが、別に目が悪いわけではない。ただ格好つけているだけ、とのこと)
その問いに対し、助手席のソムチャイはクルっと振り向き、
ニヤリと笑った。 そして、カタコトの日本語でこう答えた。

「それは、教えてあげないですねィ」

.....教えてあげないですねィ、って、あんた。 
なんだか、監獄島に送られる囚人の様な気分だ。 
ついでに色々聞いてみる。
ここからホテルまで、どれぐらいかかるのかまず、聞いてみる。

「そうですねィ。30ぷんぐらいです」

なるほど。ホテルまでは左程遠いわけではなさそうだ。 
ついで、高速船にどれぐらい乗るのか、聞いてみる。

「そうですねィ。30ぷんぐらいです」

これも30分か。高速船、というだけあって確かに早い。

「明日は、タナカさんを6:30に迎に行きます。
タイバーツにお金を替えたい場合は私に言ってください。
良いレートで交換します」

相変わらずヤマグチはタナカ呼ばわりである。
タイバーツへの交換も良いレートでしてくれるらしい。
そもそも両替の免許を持っているのか?怪しさ満点である。
ホテルに無事、チェックインし、明日の予定をチェックしてみる。
山口が叫んだ。
「おい、ピィピィ島までは2時間ぐらいかかるみたいだぞ」 
(続く)