株高・ドル安で買い戻し続く 日本総選挙結果を受けて日本株は急騰
- MRA商品市場レポート
2026年2月10日 第3161号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「株高・ドル安で買い戻し続く 日本総選挙結果を受けて日本株は急騰」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、総じて堅調な推移となり水準を切り上げる商品が目立った。米国市場で売られていたハイテク株に買い戻しが入り、株高がリスク資産価格を押し上げやすい環境にある中、中国政府が中国の金融機関に対して米国債の保有を抑制するよう勧告していると報じられたことがドル安を促した事も、ドル建て資産の名目価格を押し上げる形となった。
報道では中国当局は金融機関に対して米国債の保有を制限するように勧告したが、「市場リスクの分散の観点」という説明にはなっている。しかし中国政府が政治的な対立で米国債を回避している可能性は高い。
なお、今回の勧告は中国が国家として保有している米国債は対象にならないとされている(既に売却しているのだが)。
この週末に行われた日本の総選挙は、自民党が単独で定数の3分の2(310議席超)を確保する歴史的な圧勝に終わった。今回の結果は、高市政権への積極的な支持もさることながら、野党第一党の戦略ミスが招いた側面が強い。
対立軸となるはずだった立憲民主党と公明党の一部による中道改革連合は、自民党に対して明確な差別化を示せなかった。特に最大の争点と目された消費税減税についても、自民党が「時限的な引き下げ」で歩調を合わせたことで、野党側の攻撃材料が消失した影響は決定的だったと言える。
結果として「国民の信任を得た」形となった高市首相は、今後、自らが掲げる「責任ある積極財政」を加速させるための強固な政治基盤を手にしたことになる。
市場はこれを受けて、株高・金利高・円安で反応した。日経平均株価は窓を開けて急騰し、ザラ場で史上初の57,000円を突破(一時57,337円)。為替も一時159.45円と節目の160円に迫る円安が進行した。一方、10年金利も急上昇し、前日比+6bpの2.28%を記録している。
高市政権が掲げる「成長のための投資拡大」と「金融緩和の継続(ないしは慎重な正常化)」は、構造的にインフレと通貨安を誘発しやすい。市場は早くも、政権のフリーハンド拡大による高市トレードの本格化を織り込み始めている。
今後の焦点は、積極財政を通じた経済成長が「財政の持続可能性」を維持できるかにある。
いわゆる「ドーマー条件(名目成長率>名目金利)」を満たすことができれば、政府債務残高の対GDP比は低下し、中長期的に日本経済への信頼回復から円高・金利安定へとシフトするシナリオが描ける。
しかし、もし成長が伴わず金利上昇だけが先行すれば、財政状況は急速に悪化し、さらなる円安と資本逃避を招くリスクも孕んでいる。同時に円安による輸入物価の上昇と調達コストの増大は、製造業の設備投資意欲を減退させる「諸刃の剣」となる。
ここで忘れてはいけないのが対米投資を軸とする「日米投資イニシアティブ」の枠組みである。これは高市政権ではなく、石破政権時代に成立した枠組みだ。
トランプ政権との約束に基づき米国への投資を強制される一方で、高市政権はこの枠組みを活用し、サプライチェーンの日本国内への「回帰」や「強靭化」に対する大規模な財政支援を組み込むと予想される。
結局のところ、円安の逆風を「輸出競争力の回復」と「国内投資の加速」に変えられるかが、この3-4年が勝負どころとなる。
企業にとっては、政策に連動したコスト高(インフレ)が常態化する世界を前提に、確実な利益を確保するための価格リスクマネジメントの重要性が一段と増す局面に入ったと言えるだろう。
本日の見通し、昨日のセクター別動向と本日の見通し、マクロ見通しのリスクシナリオ、本日のMRA's Eye、主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について