非鉄金属下落もエネルギー・貴金属は上昇 高ボラティリティのリスク高まる
- MRA商品市場レポート
2026年2月5日 第3158号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「非鉄金属下落もエネルギー・貴金属は上昇 高ボラティリティのリスク高まる」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品やLME非鉄金属が下落したが、エネルギーや発電燃料、貴金属は水準を切り上げた。
ウォーシュ・ショックが一巡、現在の米景気がさほど悪くない状態であることが確認される中、金利が上昇して株ではグロース株が売られたが、割安感があるバリュー株の循環物色が入る中、総じて「割安になったものヘの投資」が再開したと考えられる。市場はまだ、極端に乱高下している現在の市場を楽観している状態。
昨日発表の米ISM非製造業景気指数は良好な内容で53.8(市場予想 53.5、前月 53.8)と前月比横這いだったが市場予想は上回った。新規受注は53.1(55.0、56.5)、雇用は50.3(51.8、51.7)と減速。一方、仕入れ価格は66.6(65.0、65.1)と上昇しており、トランプ関税の影響による価格の上昇で、緩やかに景気拡大の速度調整が起きている状況。
なお、株のみならずほとんどの商品の価格変動性が高まっている。弊社が算出している商品セクター毎の価格変動率(ボラティリティ)指数は、エネルギーセクターが72.0%、貴金属が84.5%、LME非鉄金属が42.7%、ソフトコモディティが32.8%、穀物が20.3%となっており、一般にコモディティで平均的な変動率とされる25%をはるかに上回っている。
確率統計の観点では、25%の変動性は1年後に現在100の価格が7割程度の確率で75-125の範囲内に収まる事を意味する。価格がマイナスにならないという前提で対数正規分布モデルを用いると、77.9-128.4の範囲に収まることになる。
あくまで正規分布を用いた統計的な処理によるものだが、主要商品の現在のボラティリティを元にした想定される価格レンジ(カッコ内は単純計算)は以下の通りとなる。
Brent 現在 65ドル→31.6-133.5ドル(単純計算時:18.2-111.8)
金 5,000ドル→2,148-11,640.ドル(775-9,225)
銀 90ドル→39-210ドル(14-166)
銅 13,000ドル→8,482-19,924ドル(7,449-18,551)
アルミ 3,000ドル→1,9579-4,598ドル(1,719-4,281)
トウモロコシ 430セント→351-527セント(343-517)
大豆 1,100セント→898-1,348セント(877-1,323)
ちなみに1日の価格変化の場合、原油は±3ドル、金は±275ドル、銀は±5ドル、銅は±350ドル、アルミは±80ドルは変動しても統計的にはおかしくない。
ちなみにコロナ前は資源争奪戦やインフレが定着していなかったため、この1日あたりの変動性は原油は±1ドル、金は±40ドル、銀は±0.85ドル、銅は±150ドル、アルミは±30ドル程度だったため、いかに日々の値幅が大きくなっているかが分かる。
リスクマネジメントの観点では、「ターゲットに入っている場合」は値決めは速やかに行った方が良いことを示唆している。もちろん、もっと良い水準で値決めができる可能性はあるのだが、そのような対応をしても良いポーションとそうでないポーションは分けて考える必要があるだろう。
インフレでかつ、最終価格に転嫁が難しい状況(特に国内消費者向け)では原燃料・原材料の価格変動リスク制御は業績への影響、延いては株価ヘの影響が無視できない。
このコラムでも指摘しているが、2025年のトランプ政権発足以降、特に鉱物資源でこの傾向が強まっていると言える。
そして円安が進行するなかでは業績悪化で株価の急落があれば、外国系資本に買収される可能性も高まることになる。一概に買収が悪い事とは言えないが、相場に左右される中で第三者の影響力が増すリスクが以前よりも増していると考えられる。
有価証券報告書で価格リスク制御を「経営上対処すべきリスク」に挙げている企業は多いが、具体的な対策まで踏み込んでいる企業はまだ多くはない。それは30年以上、日本がデフレで価格は「最終的に元に戻る」ことが通常だったからであり、意識はしているものの対応は問題が顕在化してからとなりやすい。
しかし、現在の世界情勢を俯瞰すると、「中心回帰」というよりも「中心回帰させない」方向でこれまでの秩序を変えようとする勢力が各地で台頭しており、このまま望ましくない方向に市場が動く事を前提に考える必要があるのではないか。
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