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市場の波乱が燻ぶるなか迎える日本の総選挙
  • MRA外国為替レポート

2026年2月2日号

◆先週の市場総括


先週は為替市場、貴金属市場が波乱となった。週初は前週末のレートチェックの影響が残り円高がさらに進行。ドル円相場は154円台半ばから一時152円台前半へ下落した。トランプ大統領が円高ドル安を容認する発言をしたことも後押し。

ドルは対ユーロでも下落して一時1.20台へユーロ高ドル安が進んだ。カナダと中国の関税引き下げ交渉に対してカナダに対し100%の追加関税を課す可能性を示唆したことも嫌気された。

その後FOMCで予想通り政策金利が据え置かれたものの、景気見通しが上方修正され、インフレ懸念と雇用悪化懸念の双方が緩和したとの認識が示され利下げ様子見が示されるとドルの支えに。

その後木曜日、金曜日は貴金属市場が波乱、加速度的に急騰していたが急反落。FRB次期議長に量的緩和に批判的なウォーシュ氏が指名されたことで警戒感が高まったことがきかっけとなった。

ドル円相場は週末154円台後半で引け、ほぼ週初と変わらず。ユーロ円相場も同様に週初の183円台半ばとほぼ変わらず引け。ユーロドルも週初の1.18台半ばに押し戻されて引けた。米国株主要指数は前週末とおおむね同水準で引け。

日経平均は円高の重石もありやや下落したが53,000円台を維持して引けた。

月曜日の東京市場では為替市場で円高がさらに進んだ。先週末にレートチェックが実施された流れから円買い戻しが継続した。ドル円相場は154円60銭台で始まり20銭台に続落したあと朝方155円20銭~30銭に反発したが大きく反落して154円割れ。その後は153円80銭~154円40銭で上下。

欧州市場に入ると続落して153円40銭~30銭へ。米国市場にかけて154円30銭へ戻したが上値重く153円60銭へ反落すると、その後引けにかけては154円を挟んで153円80銭~154円20銭近辺で上下し、引けは154円20銭。

ユーロ円相場は東京市場では183円50銭で始まり朝方184円ちょうどに反発したが、その後欧州市場にかけて一貫して下落。181円80銭まで下げた。ただその後米国市場に入ると持ち直し。183円20銭近辺で引けた。

ユーロドル相場は1.1860で始まり1.19ちょうどに上昇したあと反落して1.18台半ば近辺でもみ合い。欧州市場から米国市場にかけて1.1830台から1.19ちょうど近辺へ上昇し引けは1.1880。

日経平均は3営業日ぶりに反落。大幅安。午後には一時前週末比▲1,100円超下落し全面安。円高を嫌気して輸出関連に売り。景気敏感株も下落した。引けは▲961円安の52,885円。

米国株は上昇。ハイテク中心に買い。ただトランプ大統領の発言に上値も重かった。トランプ大統領は、カナダと中国が関税引き下げ協議に合意ならカナダに対し100%の追加関税を上乗せする、と述べけん制した。NYダウは前週末比+313ドル高の49,412ドル、ナスダックは+100ドル高の23,601ドル。

米長期金利はまちまち。10年債はやや低下して4.215%、2年債は変わらず3.592%。

火曜日の東京市場では日経平均が反発。前日の急落のあと、米国株の底固さを受けて自律反発。値がさ半導体関連株が買われた。半導体関連投資が継続との見方が支え。

一方、円買い介入への警戒感で輸出関連株は上値が重かった。引けは+448円高の53,333円。

東京市場では円高一服。ドル円相場は154円20銭で始まり夕刻には154円80銭へ上昇。しかし欧州市場に入ると急落。米国市場にかけてドル安円高が進み152円10銭近辺まで下落し引けは152円20銭。

トランプ大統領が、中国と日本は常に通貨安を望んでいた、ドルが過度に下落したとは考えていない、と発言。ドル安容認との思惑でドルが全般的に売られた。

ユーロドル相場は東京市場では1.1880近辺で小動きもみ合い横ばい。午後に1.19ちょうど~1.1850で上下。その後欧州市場ではドル安ユーロ高が進み米国市場では一時1.2080まで上昇した。引けは1.2040近辺。

ユーロ円相場は東京市場では183円20銭近辺で始まり午後には183円40銭~60銭で推移。欧州市場に入ると円高に振れて182円10銭台へ下落したがその後は持ち直し。米国市場ではユーロ高ドル安に支えられ183円40銭へ戻した。その後一時182円80銭に下落したが183円20銭~40銭でもみ合い引け。

米国株はまちまち。NYダウは前日比▲408ドル安の49,003ドル、ナスダックは+215ドル高の23,817ドル。ユナイテッドヘルスが大幅安となりダウを押し下げ。ハイテク株は堅調。マイクロソフト、アップルの決算期待が支えた。

米長期金利はまちまち。10年債利回りは上昇し4.242%。2年債は3.573%へやや低下。

発表されたリッチモンド連銀製造業指数(1月)は前月▲7から▲6へわずかに改善。消費者信頼感指数(1月、コンファレンスボード)は前月89.1から90.1への改善予想に反して84.5へ悪化した。

水曜日の東京市場では日経平均が小幅続伸。ドル安円高を受けて午前に一時▲500円ほど下落。朝方から幅広い銘柄が売られた。とくに輸出関連、自動車関連が下落。引け際にオランダ半導体製造装置大手ASLM社が良好な決算を発表すると半導体関連銘柄の一角が買われた。引けは+25円高の53,358円。

ドル円相場は152円20銭で始まり昼頃に153円ちょうど近辺まで上昇。ただ上値重く、その後夕刻から欧州市場にかけては152円30銭~80銭で上下動。米国市場に入ると153円40銭から154円ちょうど近辺へ上昇して引けは153円40銭。

この日FOMCの2日目が開催された。結果は予想通り政策金利は3.50%~3.75%で据え置き。

ただ声明文やパウエル議長会見では利下げ様子見姿勢がみてとれた。議長は、インフレ懸念と雇用悪化懸念の双方が緩和し、金利据え置き、様子見がより適切になったと述べた。また経済見通しは明らかに改善しているとした。

これを受けてドル安は一服。ユーロドル相場は東京市場では1.2040で始まり1.20を挟んで底固く推移。ただ欧州市場から米国市場にかけては下落して1.19ちょうど近辺。その後反発して引けは1.1950近辺。

ユーロ円相場は東京市場から欧米市場にかけて方向感定まらず183円を挟んで上下。183円20銭~40銭で始まり182円80銭に下落したあと夕刻に183円20銭へ反発するも反落して欧州市場では182円60銭へ。米国市場では183円20銭~50銭でもみ合い引けは183円40銭と東京市場と変わらず。

米国株は小幅高。FOMCの結果は予想通りでサプライズはなかったが利下げ期待後退は重石。ハイテク株の一角が買われたが指数は大きく動かず。

NYダウは前日比+12ドル高の49,015ドル、ナスダックは+40ドル高の23,857ドル。米長期金利は変わらず。10年債は4.245%、2年債は3.573%。ドルインデックスは前日比95.81へ大きく下落していたが96.34へおおむね半値戻し。

木曜日の東京市場では日経平均が小幅高ほぼ前日と変わらず引け。アドバンテスト社の好決算で上昇し1社で指数を+350円押し上げたが他の銘柄でほぼ打ち消した。

自民党過半数確保との報道があったが買われず。財政不安は重石。選挙結果の不透明感が漂い、半導体関連も様子見。引けは前日比+16円高の35,375円。

ドル円相場は153円40銭で始まり上値重くもみ合い。朝方152円80銭に下落したあとは153円を挟んで152円90銭~153円10銭で夕刻までもみ合い。

欧州市場で153円50銭まで上昇したが米国市場に入り貴金属価格が急落、反発と市場を揺るがせた煽りで一時152円70銭に急落。その後は貴金属市場の落ち着きで持ち直して153円10銭近辺で引け。

ユーロ円相場は183円20銭~40銭で上下したあと夕刻は183円70銭。欧州市場では押し戻されて20銭~40銭のもみ合い。米国市場に入るとリスクオフで182円10銭近辺へ急落。その後は持ち直して引けは183円30銭近辺。

ユーロドル相場は東京市場では1.1950で始まり欧州市場にかけて1.19台後半で上下動。米国市場に入ると1.1910へ下落したが持ち直し引けは1.1970。

米国株は乱高下。NYダウは一時▲400ドル超下落したがプラス圏に戻して引けた。朝方、金、プラチナ、ほか貴金属価格が急落し、市場全体がリスク回避となってハイテク中心に利益確定売りが嵩んだ。全体としては決算でまちまち。

IBMやキャタピラーは買われたがマイクロソフトは決算を受けて大幅安。ソフトウェア関連も安かった。貴金属市場の落ち着きとともに持ち直して引けはNYダウが+56ドル高の49,071ドル。ナスダックは▲172ドル安の23,685ドル。

米長期金利はやや低下。10年債は4.236%、2年債は3.559%。

金曜日の東京市場では日経平均が4営業日ぶりに反落。前日の米ハイテク株安が重石。このところ上昇していた半導体関連など値がさ株の一角に売り。一時▲500円近く下げた。

一方、好決算銘柄には買い。円高一服も支えとなった。ただ選挙前で様子見姿勢も強く一進一退。引けは▲52円安の53,322円。

ドル円相場は153円10銭で始まり朝方一時152円90銭に下落したが大きく反発して午後には153円80銭~154円10銭で154円を挟んだもみ合いとなった。

日本時間朝方、次期FRB議長にウォーシュ氏が指名されると報じられた。ウォーシュ氏は量的緩和に異論を唱え財政悪化にも批判的だったこともあり、タカ派とみられている。そのため利下げに消極姿勢を示すのではないかとの思惑からドルが買われた。

ドル円相場は欧州市場から米国市場にかけて一段高。154円70銭台へ上昇しその後20銭に反落する場面もあったが引けは154円70銭。

ユーロドル相場は東京市場では1.1970で始まり下落して午後から夕刻にかけては1.1910~30で推移。欧州市場では1.19ちょうどに下落し、その後一時1.1950に反発したが米国市場では下落基調。引けは1.1850近辺。

ユーロ円相場は183円30銭で始まり183円ちょうど~40銭で上下。その後欧州市場から米国市場にかけて上昇し184円ちょうど近辺へ。その後はユーロ安に押されて183円30銭~50銭で取引を終えた。

この日もNYの貴金属・金属市場は波乱。金、銀、銅、ほかが急落。リスク回避ムードとなった。

米国株も下落。ハイテク株には利益確定売りが嵩んだ。ウォーシュ氏が次期FRB議長に指名され、想定ほどハト派ではなく利下げが進まないとの見方が強まって株価に逆風となった。

ただ米長期金利は上昇せず。10年債は4.239%。2年債は3.527%。リスク回避が金利上昇を抑制。ドルインデックスは97.15へ上昇した。

発表された生産者物価指数(PPI、12月)は前年同月比+3.0 % 、コア指数は+3.3%。シカゴ購買部協会景気指数(1月)は前月43.5から44.0へ小幅改善予想に対し54.0へ大幅改善となった。

なお、財務省の月次報告によると1月に為替介入を実施しなかったことが判明した。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

今週は重要指標の発表が多い。すでに景気見通しは上方修正されているが、それに沿った内容となるか。

月曜日 ISM製造業景気指数(1月、予想48.5、前月47.9)

火曜日 雇用動態調査(12月、JOLTS求人数、予想7,250千人、前月7,146千人)

水曜日 ISM非製造業景気指数(1月、予想53.5、前月54.4) ADP雇用報告(1月、雇用者数前月比、予想+45千人、前月+41千人)

木曜日 週次の失業保険申請件数

金曜日 雇用統計(1月、非農業部門雇用者数前月比、予想+65千人、前月+50千人、失業率、4.4%で前月と変わらず、平均時給、前年同月比、予想+3.6%、前月+3.8%) ミシガン大学消費者態度指数(2月速報、予想55.0、前月56.4)

2.ECB理事会、ラガルド総裁会見

木曜日にECB理事会が開催され終了後にラガルド総裁が会見を行う。今回は政策金利の変更は予想されておらず、中銀預金金利は2.00%で据え置きとみられる。

インフレ率同水準まで利下げを実施したあと、インフレ率は下げ止まり、景気は底打ち状況にあり、追加緩和の必要性は低下している。次の一手は利上げとの見方もあるが、肝心のドイツの景気が低迷しておりまだまだ先とみえるがスタンスはどうか。

利上げ否定、あるいは利下げの可能性もみえれば新たな材料となる。

3.総選挙、高市首相発言

総選挙を週末に控え、選挙戦の終盤がどうか。高市首相は失言も多々みられるが影響はどうか。週末に円安容認ともとれる発言があり、また米関税のバッファーとなり助かったと述べた。

つい先日、介入準備を匂わせるレートチェックで円安を止める動きと整合性がとれない。

また米当局の協力も得て行ったにもかかわらず、米政権との不協和音を招きかねない。週明けの市場が円売りで反応しかねないがどうか。選挙情勢とともに留意が必要だ。

◆今週のMRA's Eye


市場の波乱が燻ぶるなか迎える日本の総選挙

先週、為替市場では円安が一服。週初と週末では、ドル円相場、ユーロ円相場、ともに同水準となった。またドル安も生じたが週末にかけてドルは反発し、ユーロドル相場もほぼ週初と週末が同水準となった。

ただ様々な波乱要因が重なって、また解消し、あらたな材料が生じ、複雑に要因が絡み合うなか、たまたま同水準で終わったようだ。

米国サイドではトランプ発言が波乱要因となった。グリーンランド領有問題で、米国の領有に反対する欧州数ヵ国に対し追加関税の脅しをかけたが、猛烈な反対にあって撤回した。

ただトランプ政権の対応に不信が拡大。欧州の年金など政府ファンド、あるいは投資家のドル回避の流れが強まった。

そうしたなか隣国カナダが中国と相互に関税引き下げ交渉を行った。これに対しても、合意するようならカナダに大幅な追加関税導入を示唆して脅しにかかった。

イギリスは中国と関係強化を図るなど、欧州諸国の中国に対する歩み寄りが止まらず。米国離れ、ドル離れを促す材料が散見。そのうえで、トランプ大統領が、中国と日本はこれまで常に通貨安を望んでいた、ドルが過度に下落したとは思わない、と発言。ドル安の動きを容認する構えをみせた。

このため市場のドル回避にさらに火がついて、投機的な動きとともに貴金属市況をさらに、加速度的に上昇させた面もあろう。

ベッセント財務長官は強いドルが国益との考え方のもと、市場の不穏な動きに歯止めをかけた。裏事情はわからないものの、ドル不信の鎮静化を財務長官にゆだねたようだ。

FRBの独立性への侵害、過度な利下げ圧力もドル不信の原因となっていたことから、次期FRB議長が誰になるかも、ドルの帰趨を左右する重要なイベント。

そこにウォーシュ氏が指名されることとなり、ドル不信にも歯止めがかかった。ウォーシュ氏は量的緩和に異を唱えて理事を退任した経緯もありハト派とはいえない。財政悪化や量的緩和によるインフレ高進に対しては厳しいスタンスとみられる。

一方、金利操作について、今次局面で利下げを継続する姿勢ではあろう。そうでなければトランプ大統領の承認は得られなかったはずだ。

現在、量的緩和の巻き戻し、量的引き締め、保有資産の売却、バランスシートの縮小は停止している。今後は、利下げと同時に量的引き締め、バランスシートの縮小を再開する可能性も否定はできない。

こうした思惑は確かに金融政策面からドルの信認を回復する要因となる。一方、バランスシート縮小スタンス、量的緩和に厳しいスタンスは、リスク資産にとって逆風となる。とくに痛手を負うのが投機勢だろう。

FRBのバランスシート縮小への思惑とそれを背景にするドルの信認回復は、ドル安の反対側で加速度的に進んできた貴金属価格上昇、その背景にある投機勢が利益確定に動くひとつのきっかけになったとみられる。

ドル円相場にとっては、日米協調したレートチェックが功を奏しひとまず円安が一服したものの、協調の相手方である米国から、ドル高という思わぬ向かい風に遭ったかたちだ。

こうした大きな動き、波乱があったなか、今週末に日本では総選挙を迎える。欧州や、さらにカナダでさえ、米国から離れようという動きがみえるなか、日本の政治体制がどうなるのか。

これまでの財政政策は決して緊縮財政ではなかったが、ここからさらに積極財政を推し進めることにお墨付きを与えることとなるのか。野党サイドが力を得ても財政悪化の不安は燻ぶる。

高市首相からは円安容認発言がみられたが、円安阻止の動きとの整合性はどうなのか。ここから選挙当日まで、円相場が思惑で左右される状況が続こう。

ただ短期的には、選挙結果があまりに不透明で市場は反応しきれないか。今週末の選挙結果を受けて週開けの東京市場がどう動くかということになるか。

すくなくとも日銀が利上げ継続姿勢を貫くこと、財政悪化への不安が払しょくされることが、円がもう一段明確に円高に動く条件だ。

ドル円相場については、米国要因、ドル要因ではドル安に多くは望めない状況になりつつある。今週は重要経済指標の発表が相次ぐ。ここまでは景気が底固さを増していることがみてとれる。

ユーロ円相場についても同様。ECBは利下げに動く気配がなく、バイアスはやや利上げに傾いたまま。もちろん利上げは来年にずれ込みそうだが、リスクバイアスが逆転することがあるか。先進国では豪州中銀(RBA)が今週の金融政策決定会合で、先進国のなかで先陣を切って利下げ局面のあとで初めての利上げを実施するとみられている。

こうしたなかで、日本の財政金融政策が舵取りを間違えば円安に転じてしまうリスクがありなお要注意だ。


主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
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