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足元でドル高円安にやや傾くリスクバイアス
  • MRA外国為替レポート

2026年1月12日号

◆先週の市場総括


先週は週初から日本株のみならず欧米株も含めグローバルに株価が堅調。年初から今年の景気動向にポジティブな見方から株式市場の先行きを楽観して資金が流入した。

日経平均は市場最高値を更新。米国がベネズエラを攻撃し大統領を拘束したが、リスク回避に振れず原油価格はむしろ低下して安心感をもたらした。

米国では重要な経済指標の発表が相次いだが総じて景気の底固さ、雇用は徐々に冷え込んでいるものの労働市場の底固さを示し、景気腰折れ懸念が払しょくされた。

米利下げ期待が後退してドル金利先安観が弱まり2年債利回りが上昇。ドルを支えた。ドルインデックスは98ポイント台を回復。為替市場では株高リスク選好を受けて円の上値が重い展開。

ドル円相場は156円台~157円台で横ばい圏内の動きながら底固く推移。ただ週末にかけて衆議院解散の可能性が報じられると海外市場で日経平均先物が急騰し円安が進行。ドル円相場は一時158円台に乗せ、ユーロ円相場も184円に迫った。

月曜日の東京市場では日経平均が大幅高。半導体関連がけん引して3銘柄で+800円指数を押し上げた。年初で今年の株高期待から買い優勢となり全面高。円安も輸出銘柄を支えた。引けは年末比+1,493円高の51,832円。

ドル円相場は156円80銭で始まり株高リスク選好を背景に堅調に推移し上下しながら午後には157円30銭へ上昇。新年入りでNISAの外貨証券投資による円売りも寄与したとみられる。

ただその後は上値重く156円70銭に反落。欧州市場では50銭~60銭で推移した。

米国市場に入ると157円ちょうどをつけたが弱い米経済指標を受けて大きく反落して156円10銭近辺に下落して引けは156円40銭。

ユーロ円相場は183円80銭で始まり朝方に184円ちょうど近辺へ上昇。ただその後はユーロ安に押されて一貫して軟調。欧州市場では182円80銭まで下落した。その後米国市場では持ち直し183円30銭へ上昇して183円ちょうど~30銭で上下し引けは183円30銭。

ユーロドル相場は1.1720で始まり1.1670へ下落したあと1.1680~90で推移したが欧州市場では1.1660まで下落した。米国市場では弱い米経済指標を受けて1.1730へ反発し引けは1.1720。

発表された米国のISM製造業景気指数(12月)は47.9と前月48.2から予想48.4への改善に反して悪化した。米長期金利は低下。10年債は4.163%、2年債は3.454%。

米国株は上昇。NYダウは市場最高値を更新。一時前週末比+800ドル高。ベネズエラ攻撃および大統領拘束を受け、ベネズエラの石油利権を米国が獲得するとの見方から石油関連株が上昇。また景気敏感株が買われた。

米国経済に強気の見方が支え。ハイテク株も堅調でナスダックは6営業日ぶりに反発した。NYダウは+594ドル高の48,977ドル、ナスダックは+160ドル高の23,395ドルで引けた。

火曜日の東京市場では日経平均が大幅続伸して2か月ぶりに市場最高値を更新した。欧米株を中心に世界的な株高を受け海外投資家の資金が流入。一時+700円高。個人が年初の買いを活発化。機関投資家も期初の買い。引けは+685円高の52,518円。

ドル円相場は上昇一服、一貫して横ばい圏の動きとなった。156円40銭で始まり朝方80銭に上昇したが反落してその後は夕刻から欧州市場、米国市場にかけて156円台前半で小動きもみ合い。米国市場終盤で強含んだが156円60銭~80銭でもみ合い引けは156円60銭台。

ユーロ円相場も上値重く動意薄。183円30銭で始まり朝方60銭台に上昇したが反落して30銭~60銭で上下したあと夕刻は183円ちょうど近辺まで押した。その後欧米市場では183円ちょうど~20銭で小動きとなり引けは183円10銭近辺。

ユーロドル相場は1.1720で始まり午後には1.1730~40で推移したが欧米市場ではじり安となり1.1690近辺へ下落しもみ合い引けた。

米国株は続伸。ディフェンシブ銘柄に加えAI関連にも買い。ベネズエラ大統領拘束は世界経済や原油価格に大きな影響を与えないとの見方が強まり安心感。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は2.7%高。NYダウは+484ドル高の49,462ドル、ナスダックは+151ドル高の23,547ドル。

原油価格WTI先物は下落して56.97ドル。米長期金利はやや反発して10年債は4.177%、2年債は3.463%。

水曜日の東京市場では日経平均が反落。一時▲600円安。中国が日本に対してレアアース輸出規制の強化を表明したことで懸念が広がった。とくに自動車関連が下落。引けは▲556円安の51,961円。

一方、財政拡張策への懸念を背景に日本国債10年債利回りの上昇基調は続きこの日は2.123%まで上昇した。

ドル円相場は上値の重い展開。この日も欧米市場まで通じて動意薄だった。東京市場では156円60銭台で始まり午後には156円30銭へ下落。欧州市場では40銭~60銭でもみ合い、米国市場では強い経済指標を受けて156円80銭へ上昇した。ただ上昇はそこまで60銭~80銭で上下して引けは156円70銭台。

ユーロ円相場も小動きだったが上値が重かった。東京市場では183円10銭で始まり40銭に上昇したが反落して182円70銭~90銭で上下動。欧州市場では183円ちょうどに持ち直し、米国市場では20銭まで上昇したが反落して引けは183円ちょうど近辺。

ユーロドル相場は終始小動き横ばい。東京市場では1.1690で始まり横ばい小動きもみ合い。欧州市場でも1.1680~90で推移し米国市場にかけてやや軟化して引けは1.1670。

米国株はまちまち。NYダウは4営業日ぶりに反落。前日まで3営業日で1,400ドルほど上昇しており高値警戒感で景気敏感株などに利益確定売りが広がった。NYダウの引けは▲466ドル安の48,996ドル、ナスダックは+37ドル高の23,584ドル。

米国の経済指標はまちまち。求人は弱めで雇用が徐々に冷えていることを示した。ADP雇用報告(12月)は雇用者数前月比が+41千人と前月▲32千人減少から増加に転じたが予想+48千人には届かず。

雇用動態調査(JOLTS求人数、11月)は7,146千人と前月7,670千人から減少した。製造業新規受注(10月)は前月比▲1.3%と前月+0.2%から減少に転じた。

一方、ISM非製造業景気指数(12月)は54.4と予想52.3への小幅悪化に反して前月52.6から改善した。雇用判断は48.9から52.0へ上昇。新規受注も52.9から57.9へ改善した。米長期金利はまちまち。10年債は4.149%へやや低下、2年債は3.471%へ上昇。

木曜日の東京市場では日経平均が大幅続落。米国で景気敏感株が下落、日中間のレアアース問題が嫌気され終日軟調となった。引けにかけ海外短期筋が売りに回り先物も巻き込んで一段安となった。一時▲900円安。引けは▲844円安の51,117円。

日本国債10年債利回りは2.08%に低下した。為替市場は引き続き小動き。ドル円相場は156円70銭で始まり90銭台に上昇したものの夕刻には50銭割れに反落。その後は持ち直し。

欧州市場では70銭~80銭で推移し米国市場では157円ちょうどを挟んで上下動。引けは156円80銭。終盤はドルが堅調だった。

ユーロドル相場は東京市場から欧州市場にかけて一貫して1.1670~80の狭いレンジでもみ合い横ばい。米国市場で1.1640へ下落して引けは1.1660。

ユーロ円相場は183円ちょうどで始まり20銭に上昇したあと夕刻に182円70銭に下落。欧州市場では183円ちょうどを挟んで上下し米国市場ではユーロ安に押されて182円60銭に下落し引けは182円90銭。

米国株はまちまち。労働市場のデータが急速な悪化を示さなかったことで景気敏感株や消費関連株の一部が買われた。トランプ大統領の防衛予算拡大要求を受けて軍需関連も上昇。一方、ハイテク株は利益確定売りに押された。NYダウは前日比+270ドル高の49,266ドル、ナスダックは▲104ドル安の23,480ドル。

米長期金利は上昇。10年債は4.167%、2年債は3.486%。ドルインデックスは98.87まで上昇した。

発表されたチャレンジャー社の人員削減数(12月)は35,553人と前月71,321人から半減し2024年7月以来の低水準。週次の失業保険申請件数は208千人と前週199千人から増加。継続受給者数は前週1,866千人から1,914千人に増加した。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅高。ファーストリテイリングが大幅高となり上昇を牽引。出遅れの内需関連株、バリュー株に買いが広がった。AIやハイテク関連頼みの上昇から物色の広がりがみられた。引けは+822円高の51,939円。

為替市場では円安が進行。ドル円相場は156円80銭で始まり夕刻から欧州市場にかけて157円70銭まで上昇した。

ユーロ円相場も182円90銭から183円60銭台へ。株高リスク選好が円売りを促した。その後米国市場にかけて円売りは一服したが、深夜に読売新聞が通常国会冒頭に高市首相が衆議院を解散し総選挙を行う方針を固めたと報じたことで、日経平均先物が東証引け比で+1,500円を超える急騰。

円安も進んでドル円相場は158円20銭をつけ引けは157円90銭。

ユーロ円相場は183円90銭をつけ引けは183円70銭。ユーロドル相場は上値重く引き続き小動き。東京市場では1.1660で始まりじり安、夕刻は1.1640。米国市場では1.1620に下落して引けは1.1630台。

米国株は堅調。雇用統計が労働市場の底固さを示し、消費者態度指数も良好だったことで景気腰折れ懸念が払しょくされ景気敏感株を中心に買われた。NYダウは+237ドル高の49,504ドル。ナスダックは+191ドル高の23,671ドル。

米長期金利は10年債が横ばいの4.169%、2年債は上昇して3.532%。ドルインデックスは99.13に上昇した。

雇用統計(12月)は、非農業部門雇用者数前月比が+50千人と前月+64千人から減少し予想をやや下回ったが、失業率が前月4.6%から4.4%へ低下。労働参加率が62.5%から62.4%へ低下した寄与もあるが良好と判断された。平均時給は前年同月比で前月+3.5 %から+3.8%へ上昇。ミシガン大学消費者態度指数(1月速報)は前月52.9から54.0へ改善した。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

今週は物価指標に注目。利下げ慎重派がなお警戒を緩めない材料となるか。

火曜日 CPI(12月、前年同月比、予想+2.7%で前月と変わらず、コア、予想+2.7%、前月+2.6%) 新築住宅販売(10月、季節調整済み年率換算、予想710千戸、前月800千戸)

水曜日 PPI(12月、前年同月比、前月+2.6%) 小売売上高(11月、前月比、予想+0.4%、前月0.0) 中古住宅販売(12月、季節調整済み年率換算、予想423万戸、前月413万戸)、

木曜日 週間新規失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(1月、予想▲2.9、前月▲10.2) NY連銀製造業景気指数(1月、予想1.0、前月▲3.9)

金曜日 鉱工業生産(12月、前月比、予想+0.2%で前月と不変) 設備稼働率(同、予想76.0%で前月と不変)

2.ベージュブック(米地区連銀経済報告)

今月のFOMCは27日・28日に開催されるが、それに先立ってベージュブックが今週水曜日に公表される。経済指標の発表はようやく政府機関閉鎖による混乱から正常化したが、各地区連銀の定性的な景気物価雇用判断は引き続き重要。

景気先行き楽観の広がりで市場の利下げ観測は足元で後退しているが、それを支持する内容となるか。

3. FRB当局者発言

今週はFRB当局者の発言機会が多い。昨年12月のFOMCでは利下げの要否や今後の見通しについて意見がさらに割れたかたちとなったが、足元でバランスに変化がみられるか。利下げ慎重派が優勢となっている様子がみられるか。

月曜日にNY連銀総裁、リッチモンド連銀総裁、火曜日にセントルイス連銀総裁、水曜日にミネアポリス連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁、アトランタ連銀総裁、らがそれぞれ講演など発言機会を予定している。

◆今週のMRA's Eye


足元でドル高円安にやや傾くリスクバイアス

先週は週末にかけてややドル高円安が進行した。円安要因もあったが、むしろ先週はドル高要因の方が強かった。

ドル円相場は週初の156円80銭から週末は157円90銭へ。一方、ユーロ円相場は183円80銭で始まり183円70銭で引けほぼ変わらず。さらにドル高円安が強く進むかどうかが目先の注目点。

日本サイドの要因で円安を促す要因はいくつかみられた。ファンダメンタルズにおいては、中国がレアアースの対日輸出規制を強化することが懸念材料に。生産とくに自動車業界に支障が生じれば裾野が広いだけに景気全体の下押し圧力になりかねない。

日銀は昨年末にかけて利上げ継続姿勢を強めてきた。高市政権の発足当初は緩和継続の圧力がかかっていたが、円安の進行を受けて政権サイドも利上げ容認に舵を切ったとみられる。

年末時点では市場の利上げ織り込みは4月までに4割ほど、6月までに利上げとの見方は7割ほどに上昇していた。ただ足元で中国からの多面にわたる経済的な圧力を受けていることから、景気見通しの悪化とともに、政権の利上げ容認姿勢に変化が生じる可能性もある。

こうした見方が足元でやや円先高観の後退につながっているとみられる。実際に景気下押し圧力が確認されれば一段と利上げ見通しが後退し円高を阻むリスクがある。

また、にわかに浮上してきた解散総選挙への思惑も円売りを促している。観測気球なのか、実際に総選挙実施に傾いているのかは現時点では定かではない。

ただ高市政権の支持率の高さから与党が単独過半数を回復するとの見方が、政権の政策運営をしやすくし、結果として株高円安が進むとの見方につながっているようだ。先週末に関しては円安の動きが強まったといえる。

こうした因果関係は株高にともなう円売りを除き、投機的な動きの材料に過ぎない。しかし今後の展開には留意する必要がある。

フローの面では年初のリスク選好の強まり、株高が円安を促しているとみられる。今年の株価見通しは内外ともに強気に傾いている。日経平均は6万円を窺う展開との見方が大勢だ。

こうした予想を受けて国内個人投資家は年初から強気。買われる前に買う動きとなり、NISA枠の利用も活発化したとみられる。こうした動きは外貨建て投信への資金流入を通じて円売りを促したとみられる。

また海外投資家の動きとして、日本株の上昇は保有する日本株ポートフォリオの為替ヘッジ、円売りを積み増す必要に迫られる。日本株の堅調が円売りを促す状況が年初に生じたとみてよい。

これは米国株が堅調なこと、とくに景気敏感株が堅調に推移していることが、日本株の押し上げ要因にもなっている。リスク選好が米国景気見通しの改善が主因の場合、ドル円相場には上昇バイアスがかかりやすい。

一方、足元でユーロ円相場が上昇一服となりドル円相場の上昇が明確なことから、円安というよりもむしろドル高との整理ができる。

株高リスク選好の場合、一般的にはドル円相場よりもクロス円相場、ドル以外の通貨に対する円相場において、円安が進みやすい。しかし足元でユーロ円相場が横ばいで、ドル円相場が上昇している。

このためリスク選好株高による円売り・円安と言い切れない部分もある。むしろ米国景気の先行き見通しの改善、利下げ見通しの後退、ドル金利先安観の後退によるドル高が主要因とみてよさそうだ。

視野を広げてみれば、豪ドル円相場も上昇している。豪州では2月に利上げが実施されるとの見方が強い。先進国において最も利上げに近い豪ドルがドルとともに堅調だ。

FRBの利下げ見通しは足元で後退している。この間発表された経済指標が、雇用が冷え込みつつも悪化ペースは緩慢で労働市場の底固さを示した。

ISM景気指数は製造業の不振を示したが、関税に影響のないサービス業は底固く推移している。そうしたなか足元でインフレ鈍化が停滞する可能性があり、利下げ織り込みは後退している。

年前半に2回利下げとの見方が後ずれ。年内2回との見方に変わりはないが、年央を挟んで2回との見方になりつつある。これにより2年債利回りが上昇。それとともにドルが堅調だ。ドルインデックスは先週末に99ポイントに乗せてきた。

総じて足元のリスクバイアスがドル高円安サイドに傾いていることは否めない。米国景気の動向、利下げの遅延がどの程度になるか。現時点での織り込みからなお利下げ停止まで織り込みにいくか。また日本サイドでは利上げ遅延のニュアンスが強まっていくか。見極めが必要となっている。


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