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緩和期待で株上昇 下げ幅削る
  • MRA商品市場レポート

2025年11月24日 第3108号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「緩和期待で株上昇 下げ幅削る」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は下落した後、米国時間の後半にかけて切り返して下げ幅を削る商品が目立った。

AIバブルを意識した株下落が続いていたが、ニューヨーク連銀総裁が利下げに前向きな発言をしたことで急速に市場が米12月の利下げを意識、FF金利先物ベースを基準に判断される利下げ確率が前日の39.1%から71.0%に急上昇したことが緩和期待でリスク資産価格、特に株価を支えることになり商品価格を下支えした。

基本的には関税の影響などで世界景気はQ126頃まで減速する、というのがメインシナリオではあり、自然体でいろいろな商品価格は下値を試しやすい。特に景気循環系商品価格は下押しされやすい。

しかし米国が利下げに踏み切り(10月・11月時点で既に2回の▲25bpの利下げを実施)、かつ、QTが12月1日から終了し、過剰流動性が市場に滞留したままになる。この結果、多くの商品価格は下支えないしは上昇しやすい地合となる。

なお、これらの過剰流動性は低格付企業に対しては、プライベート・エクイティ(PE)やプライベート・クレジット(PC)などの銀行の金融システムを介さない形で流入している。単純に銀行から資金を調達することが出来ない小規模、ないしはクレジット上の問題がある企業だ。

なお、リーマンショックの反省から銀行の連鎖破綻に繋がるような直接的なシステミックリスクの発生は、規制強化(例: ストレステストや資本要件)により回避しやすくなっている。

そのため、PC・PEが問題になってリーマンショック級の大規模な金融危機が発生するとの見方は多くない。ただし、間接的な波及は警戒する必要がある。発生すれば具体的には特に景気循環系商品価格の下落要因となり得る。

恐らく、何かしらのマクロ的なショックが発生した場合に、これらのPCやPEで投資をしていたファンドなどの運営が厳しくなって、場合によると破綻、連鎖、ということはありえる。

PEが買収する会社はイグジットする時のリターンを増やすために借入を大きくする傾向があるため、金利上昇には弱い。そのため、利下げの遅れは危機顕在化に繋がる可能性がある。

今のところ問題として意識はされているものの、まだ大丈夫というのが市場の大方の判断であるが、特に政策金利の引き下げが議論されているタイミングは、明確に景気が悪くなっていないとノータイムで利下げ、という訳にはいかないことからこうしたリスクが顕在化しやすい。

恐らく景気が底入れしてくれると期待されるQ126までは、そのリスクは継続すると予想される。


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