米雇用関連統計悪化によるドル安で堅調
- MRA商品市場レポート
2025年9月12日 第3057号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米雇用関連統計悪化によるドル安で堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はエネルギーセクターが売られたが、その他の商品は総じて堅調な推移となった。注目の米CPIは市場予想を上回る物価上昇となったものの、同時に発表された米週間新規失業保険申請件数が増加したため、現在、物価よりも雇用環境の悪化を注視しているFRBの利下げ幅拡大期待を高めて金利が低下、ドル安が進行したことがドル建て資産価格を押し上げる形となった。
基本、足元の商品市場は供給不足になっているのが銅や錫ぐらいであり、その他の商品の需給は中立~緩和している状況で、基本的には価格が下がりやすいが、ECBの利下げが一巡したことや、米景気の減速を背景にドルが減価しているため、ファイナンシャルな要因が価格を押し上げる状況が続いている。
CPIを少し細かく見ると、総合指数は前月比+0.4%(市場予想+0.3%、前月+0.2%)、除く食品エネルギーが+0.3%(+0.3%、+0.3%)と伸びが加速している。
価格押し上げは住宅(+0.2%→+0.4%)、食品(+0.2%→+0.4%)の影響が大きくCPIヘの影響が大きい帰属家賃も+0.4%(前月+0.3%)と伸びが加速している状況。ただし前年比では帰属家賃は+4.0%(+4.1%)とやや低下基調にある。これらを見ると、関税の影響などで物価の低下圧力はかなり限定されていることが分かる。
しかし、同時に発表された米週間新規失業保険申請件数は263千件(市場予想 235千件、前週 236千件)と大幅に増加しており、雇用環境の悪化が加速していることを示唆している。
結局、雇用と物価の2大責務を負うFRBは、足元、雇用環境の悪化に対応することを優先することが想定されるため、米利下げ期待がドル安を誘発して、ドル建て商品価格を押し上げる状況が続いている。
ベッセント財務長官が指摘するように、リーマンショックからコロナショックにかけての「景気下支えのための量的緩和が、やり過ぎだった」と言える。
結局、この状況を解消するためには増税しかないが、米国は今それを行っているので「ある意味」筋が通った政策を行っているとも言える。
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