高安まちまち
- MRA商品市場レポート
2025年7月1日 第3007号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「高安まちまち」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は高安まちまち。エネルギーやベースメタル、その他農産品が調整したが、発電燃料の一角が上昇した。トランプ関税関連の交渉が終盤に差し掛かり、概ね終了するとみられていること、7月の米利下げを期待する向きが米長期金利の低下を促し、実質金利を押し下げたことが買い材料となる一方、米景気の減速も確かであり、景気循環系銘柄に売り圧力が強まったと考えられる。
冷静に見て、現在の商品市場は比較的「凪」の状態にあり、トランプ関税の影響で価格がゆがんだ銅や、安全資産需要が高まっている貴金属セクターを除くと落ち着いた推移になっているという印象である。
ただし、想定以上に北半球は猛暑であり、猛暑であることによる水温上昇を受けてフランスの原発も稼働を停止した。2021年のガスパニック時と似たような状況になっている。恐らく電力・燃料市場(発電燃料市場)に問題が発生するのは夏場以降となるだろう。
また、イランとイスラエル、米国の問題もなんら片付いていない。イランの軍事力は弱体化したが、「攻め滅ぼす好機」とネタニヤフ首相が考えている可能性も排除できない。
一方でプーチンは軍事費の削減を公言している。開戦後、額面ベースでは4倍(今年度の国防費はGDP対比6.3%に相当する13兆5,000億ルーブル)となっている。
不足分を戦時国債でという議論もあるが、ルーブル債を国内外で消化できない(海外は当然としても、国内はインフレの伸張で国債が消化できず、中央銀行が実質引き受け→インフレ伸張となりやすい)ことからそれも無理、ということで軍事費を削減しようとしている。
結局、財政的にはそろそろ停戦したいというのがロシアの本音だろう。となると世界は「仮初めの平和」が訪れ、市場の関心時はトランプ関税の影響が実際にどの程度、実態経済に影響を及ぼすかということに移っていくと予想される。
関税の影響が文字通り顕在化するのは、ベッセント財務長官の関税交渉スケジュールを見るに今年の後半であり、Q425~Q126に掛けて景気が下振れる可能性は高まっている。ただ、どれほどの影響があるか分からない事もあり、「今は考えない」としている可能性はある。
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