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FOMCをこなし米英通商合意を受けて上昇
  • MRA商品市場レポート

2025年5月9日 第2970号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「FOMCをこなし米英通商合意を受けて上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて上昇した商品が目立った。朝方から株価が堅調に推移する中、米英が通商合意に至ったこと、トランプ大統領が中国に対する関税引き下げを示唆したことが材料となった。

「一応」市場は関税の悪影響を織り込み済みであり、今後は関税合意で良くなる方向にしか行かない(でも経済の絶対水準はトランプ就任以前よりも低い)とみる市場参加者は少なくない。

昨日の米英合意のポイントだけまとめると以下の通り。

・鉄鋼・アルミニウムの関税を撤廃
・自動車の27.5%関税を10%に(上限10万台)
・一律10%の相互関税は継続
・英国が米国に対して課している平均関税率を5.1%→1.8%に引き下げ
 →これに対して米国は3.4%→10%に引き上げ
・英国が50億ポンドの米農産物輸入を確約

英国に取ってそこまでメリットはなく、米国の良いとこ取りである。とはいえどこの国も合意できない中で、「米国に花を持たせた」という恩を売ったことになる。このあたり、英国人は強かだ。

なお、英国産の鉄鋼・アルミの米国の輸入シェアは全体の1%に満たないレベルであり、米国からすれば「どうでも良い」レベル。

英国も鉄鋼・アルミとも輸出全体に占めるシェアは1%に満たない。自動車は英国のモノの輸出では最もシェアが大きい(10%弱、サービスも含めると4%程度)が、英国はコンサルや法律・会計などのサービスの輸出の方が多いため、今回の関税政策の影響が相対的に低い国、といえる。

これに対して同盟国である日本や韓国はモノの輸出の方が多いため、今回の関税のど真ん中であり簡単に合意できるとは考え難い。

現在日本政府は船の技術を提供することを検討しているようだが、恐らく「それは素晴らしいことだ。日本は素晴らしい国だ」という発言はするだろうが「で、何を米国から買ってくれるんだ?」と返されてしまうのがオチのような気がする。目の前ですぐにお金になること以外に余り興味はなさそうだ。


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