米統計を受けて下落後上昇
- MRA商品市場レポート
2025年5月1日 第2964号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米統計を受けて下落後上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は下落後、上昇する商品が目立った。朝方発表の中国PMIは米関税の影響で減速、注目の米GDPが前期比年率マイナス成長となり、トランプ政権の政策が景気にマイナスに作用しているとの見方がリスク回避を誘い株価が急落、それを受けてほとんどの資産価格が下落に転じた。
その後発表された米個人消費が市場予想を上回る堅調な内容になったほか、懸念されていたインフレ期待も景気減速を織り込んで前月から後退、金融緩和期待が高まったことが価格を押し下げる形となった。
今回のGDPの悪化や個人消費の回復は正にトランプ関税の影響とみるのが妥当であり、それほど楽観できる様な内容ではない(詳しくは本日の見通しのコラムをご参照下さい)。
ただ、「現在の関税政策が継続するならば、景気は悪くなるものの、市場の混乱を受けるとトランプ大統領が政策を調整することが確認されたため、想定よりも景気は悪くならない」という希望的観測も含めた楽観が、市場に広がっていることも事実であり、徐々にリスク資産価格の下値は堅くなると予想される。
今回のGDPは前期比年率▲0.3%(市場予想▲0.2%、前期+2.4%)と減速、個人消費は+1.8%(+1.2%、+4.0%)とやはり減速した。GDP構成要素の中で大幅に増加したのが輸入で前期比年率+41.3%(前期▲1.9%)となった。
明らかに関税引き上げ前の駆け込み需要だったといえ、個人消費が市場予想ほど落ち込まなかったのも関税上げ後の値上げを意識してのものと言える。
その後発表の米個人消費は前月比+0.7%(市場予想+0.6%、前月+0.5%)と加速、実質消費も+0.7%(+0.5%、+0.1%)と改善。一方で、コア価格指数は前月比±0.0%(市場予想+0.1%、前月+0.5%)、前年比+2.6%(+2.6%、+3.0%)と減速している。
結局、関税の影響で駆け込み需要が増え、関税(増税)の影響で景気が悪化、インフレが鈍化しているだけの話とも言える。
もちろん、リーマン・ショック後の民主党政権による過度な歳出拡大策(バランスシート不況時には、歳出増加は必須の政策ではあるが)がインフレを誘発したことも事実であるため、トランプ大統領だけが悪いと言うわけではない。
ただし、米現政権のやり方があまりにも雑、という誹りは免れないだろう。各国を交渉のテーブルに引きずり出して、関税は速やかに緩和するというのであればまだ分かるが、メンツの問題もあってそう簡単に関税を引き下げる決断はできないと予想される。
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