ドル高進行で軟調 米国債格下げの影響は限定
- MRA商品市場レポート
2025年5月19日 第2976号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ドル高進行で軟調 米国債格下げの影響は限定」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品や原油系エネルギー価格が上昇したが、その他の商品は水準を切り下げるものが多かった。米金利上昇に伴うドル高進行が広くドル建て資産価格の下押し材料となったようだ。
ただし、週末の金利上昇・ドル高は米景気を楽観したものと言うよりは、Moody'sが米国債の格付を最高位のAaaからAa1に引き下げたことによるものであり、ネガティブな上昇の色彩が強い。
今回の格下げの決定は、米国の債務の増加が続いており、トランプ減税の恒久化方針を受けて更に財政状況が悪化する見通しであることが材料となっている。
実際、2000年のドットコムバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ・ショックを通じて、景気刺激の目的もあり米国の財政状況は悪化、ほぼ毎年債務上限問題が政治ショーと化している状況。そして早ければ来月にも再び債務上限問題が俎上に上ってくる。
そもそも国民も借金をして消費をするのが当たり前にあり、企業も買収や投資をするのが当たり前で、それを補う為に借金をして海外から資金を集めている、という構造になっている。
通常、余り借金が増えて財政状況が悪化すればその国の通貨の価値は下落して然るべきだが、基軸通貨としての強さがあるためドル安にはならず、資金調達も継続できている。
もちろん、緩やかなドル安になれば米国内の物価も上昇して過剰消費が抑えられ、借金体質の改善に寄与する可能性はあるがそれは正に一朝一夕にできることではない。
ここに来てトランプ政権は過激な政策を収束させる方向に、そろりと踏み出している感がある。恐らく今回の関税政策の悪影響が出てくるのは、駆け込みで輸入して積み上げた在庫が捌ける7月頃になるのではないか。
◆本日のMRA's Eye
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