工業金属軟調も上昇する商品目立つ
- MRA商品市場レポート
2025年1月1日 第2879号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「工業金属軟調も上昇する商品目立つ」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、工業金属セクターが米金利上昇に伴うドル高進行で軟調、エネルギー、発電燃料、貴金属は地政学的リスクが意識される中で上昇、農産品も総じて堅調だった。
週末発表された中国の製造業PMIは50の閾値は超えたものの50.1(市場予想50.2、前月50.3)と市場予想・前月を下回った。一方で不動産を含む非製造業PMIは52.2(50.2、50.0)と改善、建設業PMIも53.2(前月49.7)と改善しており、中国当局の一連の不動産関連対策が好感されていることをうかがわせる内容だった。
しかし、中国の不動産不良債権問題が解決した訳ではないこともあり、製造業PMIの悪化や米トランプ政権誕生後の関税引き上げに伴う製造業の業況悪化(モノ関連ビジネスの悪化)懸念は小さくなく、製造業全体に暗い影を落としている。
エネルギーは50年間続いたウクライナ経由欧州向けのロシア産ガス供給が、宇露両国首脳の宣下通り終了する見込みであり、本日以降、主要国境ハブの通過契約が失効することになる。結果、スポットのLNGカーゴの価格にも想定通り上昇圧力が掛かることになる。
2025年は年初は減速するものの、循環的には春先以降の回復が期待される年ではある。しかし、米政権の政策とそれを受けた各国の反応・対応が不透明であることや、この年末年始で中東情勢は明らかに悪化しており、イスラエルを中心とする暴力の連鎖が周辺諸国に波及する恐れも無視できない。
今年は小麦などの食品価格の上昇リスクも意識される年であり、中東・北アフリカの情勢不安は無視できない。特に、シーア派国の一角であるシリアの政権崩壊は、同地域のパワーバランスの変化をもたらす可能性は低くないと考えている。
「何もなければ穏やかな回復が期待できる年」であるが、今年は巳年。曲がりくねった道を行く年になりそうだ。
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