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中東情勢緊迫化で上昇
  • MRA商品市場レポート

2024年4月22日 第2698号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中東情勢緊迫化で上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は軒並み上昇した。日本時間の午前中、イスラエルがイランに対して攻撃を行ったとの報道を受けて原油を中心に商品に買いが入り上昇、その他の商品価格もこれに追随する動きとなった。

ただし報道でそれほど大きな被害が出ていないこと、イランが追加の報復措置について積極的に言及していないことなどから徐々に沈静化に向かい、引けに掛けて水準を切り下げる動きとなった。

また、商品市場では米FRBのスタンスの変化が小さくないと考えられる。FRBパウエル議長はついに利下げを行わない可能性についても言及している。米統計の改善が続き、期待インフレ率なども上昇を始めておりこれらの数字を見る限り、米景気が減速し、インフレが沈静化して利下げに踏み切れるとは考え難い。

このコラムでも何回か指摘しているが、米好景気の背景はやはり大規模な財政赤字が影響していると考えられ、IMFもこれについて指摘している。

減税などの緩和マネーに支えられた株価、株の上昇によるトリクルダウン効果で消費が堅調であること、ほぼ際限なく増加している移民による労働力の供給と基礎消費の増加が米国経済を支えている状況。

「米国と一緒に利下げを」といっていたEUも完全に白旗であり、先行して利下げがある可能性がある。日本は利上げを検討していると考えられるが、どちらかと言えば円安対策の色彩が強い。こうなると、もはや世界で景気がよいのは米国だけかもしれない。

もちろん、これまでの統計の改善が一時的であり、減速の可能性もあるがこの状態で2%の物価目標にこだわると、大きなリスクとなりかねない。

世界中で物価上昇率は2%が目標、と金科玉条のように言われているが、国の構造や置かれている財政状況なども加味すると、世界で一律2%の物価上昇率というのはやはり無理があるのではないか。

なお、米10年期待インフレ率の上昇に従って、CRB指数は上昇している。金利上昇は株下落のトリガーとなっているが、しばらく、インフレ期待が高まる中では商品価格には上向きのバイアスが掛かるのではないか。


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