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PCE予想通りも雇用関連統計減速で景気循環系商品軟調
  • MRA商品市場レポート

2024年3月1日 第2662号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「PCE予想通りも雇用関連統計減速で景気循環系商品軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、エネルギーや非鉄金属、発電系燃料の発電燃料価格が下落した。注目の米PCE価格指数はほぼ市場予想通りだったが、米週間新規失業保険申請件数が増加するなど、足下の景気の弱さを意識させる統計が発表されたこともあり、金融緩和は6月頃から実施されるとの期待を高めたことが逆に市場参加者のリスク選好を高めたことが背景。

昨日発表のPCE価格指数は、総合指数が前月比+0.3%(市場予想+0.3%、前月+0.1%)、前年比+2.4%(+2.4%、+2.6%)、コア指数が前月比+0.4%(+0.4%、+0.1%)、前年比+2.8%(+2.8%、+2.9%)であった。

前年比の物価上昇率は低下しており、インフレ抑制が進捗していることを伺わせる内容。しかし、前月比ベースでは+0.3%となっており、年率に倒せば+3.7%、コア物価指数は+0.4%であるため、+4.9%に相当する。これを見る限り、米国のインフレが沈静化していると考えるのはやや早計と言える。

結局、FRBは高金利を維持せざるを得ず、当面、リスク資産価格の上昇を抑制することが予想される。ただ、このまま高金利政策を継続した場合、景気減速時の下振れリスクが高まることになる。

確かに米経済は堅調であるが、商業用不動産セクターはコロナショック後以降、冴えない状態が続いており、不動産不良債権問題に揺れる中国からチャイナマネーも欧米の不動産市場(日本も含まれる)に流入していることから、中国市場の不安定化が欧米市場に影響する恐れもある。

「景気減速局面での高金利政策がもたらすリスク」は意識しておきたいところだ。

【本日の見通し】

本日は、FOMCメンバーの発言が予定されているが、基本、タカ派的な発言に終始すると考えられ、影響は限定されると考える。

それ以上に米ISM製造業指数や中国PMIなどのフォワードルッキングな指標の内容には注目したいところ。

本日の注目材料は以下の通り。

・アトランタ連銀総裁講演

・リッチモンド連銀総裁講演

・サンフランシスコ連銀総裁講演

・クーグラーFRB理事講演

・イラン国会議員選挙

・ロシア外相トルコ往訪

・2月米自動車販売 市場予想 1,540万台(前月 1,500万台)

・2月米ISM製造業指数 49.5(49.1) 支払い価格指数 53.2(52.9)

・1月米建設支出 前月比+0.2%(+0.9%)

・2月ユーロ圏CPI 前月比+0.6%(▲0.4%)、前年比+2.9%(+3.3%)

・2月中国製造業PMI 49.0(49.2) 非製造業PMI 50.7(50.7)

・中国財新製造業PMI 50.7(50.8)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は乱高下した結果、小幅安で引けた。米PCE価格指数は市場予想通りだったが、米週間新規失業保険申請件数が増加したことが価格を下押しした。

米週間新規失業保険申請件数と原油価格は緩やかな相関性があるが、昨日のPCE価格指数にサプライズがなかったため、むしろこちらの方が材料視されたようだ。ただ、小動きであり日々の値動きの範囲内。

今年は多くのリサーチハウスが弱気な見通しを予想しているが

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナやロシアなどのOPECプラス諸国の供給危機、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況にはやや変化が見られている。現在は 3.の状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、OPEC・OPECプラス諸国からの供給が途絶する場合 中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されないが、地政学的不安がある場合
Brent 70-95ドル

4.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

5.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産が下支え(→)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓)地政学的リスクの高まりが原油輸送に影響を及ぼす場合(↑)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気減速継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

2月20日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが+15,474枚、ショートが▲5,355枚と、強気のポジション取りに。ロングの増加は需要回復期待を映じたものだが、期待先行の部分は否めずむしろ今後の下落圧力となるか。

Brentはロングが+357枚、ショートが+4,125枚と、ショートの積み直しの動きが見られる。高値圏に有ること、米国と異なり欧州域内の景気が弱いことがロングの新規積み増し圧力が弱いことの背景か。

本日は、複数のFOMCメンバーの講演が予定されているが、恐らくタカ派なトーンは変わらないため大きく材料視はされないだろう。しかし、足下改善基調が強まっているISM製造業指数の改善があれば、需給ファンダメンタルズのタイト化観測を強め、価格の押し上げ要因となり得る。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は小幅に下落。この数日の価格上昇による調整売りと考えられるが、英国の風力発電量が減少するとの見通しが価格を支えた。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

しかし、足下のガス価格の下落や、この「浮く」ガスの解消を考えると、現在FID済のプロジェクトであっても実施が見送られる可能性がある。

この場合、2027年頃から逆に液化能力がかなりタイト化する恐れがあり、期間構造は期先はコンタンゴとなっている(ただし、供給のタイト感が解消することから、期先の価格が金利と保管コストで形成される通常の状態になっているため、とも言えるが、かなり期先の価格の上庄は顕著に)。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行の不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は、現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、米国の統計の改善が確認されておおり、カーゴ供給減少の可能性もある。

5.は2.とも関係するが、今年は夏以降にラニーニャ現象の発生が懸念されている。ラニーニャ現象は猛暑・厳冬をもたらすことが多いため、需要面で価格の上昇リスクに。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、過去2年の平均程度で推移している。

2月12日-2月18日のLNGトレードは805万トン(前週719万トン)と増加。日本・韓国・インド・英国の増加が、中国や台湾の減少を相殺した。

なお、Freeportからの輸出減少はまだ継続している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は小幅に下落。気温上昇見通しが背景。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物価格は小幅に下落。TTF下落の影響で。

11月のJLCの水準は11.87ドル(前月比±0.0ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を下回っている。スポット調達圧力は今後弱まる可能性が高い。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

12月の中国の天然ガス生産は▲1.5%の1,477万9,000トン(前月+5.8%の1,470万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を下回った。

12月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+9.9%の1,165万5,000トン(前月+6.1%の1,095万トン)と前年比ベースの伸びが大幅に加速した。気温低下や、季節的な渇水による需要増加が材料と考えられる。

12月のパイプラインベースの輸入は前年比+15.5%の425万トン(前月+6.7%の415万トン)と過去5年の最高水準(402万トン)を上回っている。

12月のLNG輸入は前年比+27.3%の840万トン(前月+5.9%の680万1,000トン)と過去最高となった。

合計の「ガス顕在需要」は前年比+5.9%の2,573万5,000トン、年初来累計2億6,198万1,000トン(前月+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン、前々月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と、季節性の影響もあるが着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

2月25日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は216万トン(過去5年平均 246万6,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は213万トン)と、過去5年の最低水準(205万8,600トン)に近接している。足下の気温低下が影響しているとみられる。

現在発生しているエルニーニョ現象は5月で終了、6月以降は55%の確率でラニーニャ現象の発生が見込まれている。

ラニーニャ現象の場合、猛暑・厳冬となる可能性が高まる。過去データの分析だと海洋ニーニョ指数とJKM価格は逆相関の関係(海面温度が下がる=ラニーニャ現象になる→価格が上昇する)にあることが確認されている。

本日は、冬場が終了に向かっていることから軟調地合だが、割安感からの買いで底堅い推移になるのではないか。しばらくは材料に乏しく凪の状態が続こうが、初夏以降の猛暑への警戒が強まりつつあることも価格を底堅くしよう。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ価格は上昇。主要国の石炭調達再開による上昇が続いている。しかし、中国の主要電力会社の石炭在庫の水準は低いが、週間ベースの石炭輸入が減少しており、そろそろ上昇余地も限定される可能性。

全ての発電業者が、燃料をガスから石炭に切り替えられる訳ではないが、

1.実際に切り替えが可能な消費者はガス価格対比で割安であれば石炭を選択する2.ガス対比での備蓄のしやすさ3.石炭が脱炭素の影響で否定される中、需給関連の統計が十分に提供されておらず、ガス価格を参考に価格が決まりやすい状況になっていること

からガス価格動向は無視できない。

また、燃焼効率の観点と国内炭価格の下落に伴う採算悪化、国内炭の品位低下(そもそも中国の石炭は品位が低い)から、高品位の海外炭へのシフトを進めており、NEWCとの連動性が高まっている。

結果、NEWCの価格が中国国内の状況により左右されやすくなることが予想される。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は114ドル、±1標準偏差で45~185ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。期先の価格の低下は、需給バランス緩和時の現物価格の下落余地を拡大することになる。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が120~130ドル程度に再び上昇しており、120~185ドルが説明可能なレンジ。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

ただし、足下の天然ガス価格の下落や環境保護派の圧力によってガスのプロジェクトの開発が見直される可能性が出てきており、中長期的にはガス価格の上昇が石炭価格を押し上げる可能性が出てきており、実際、期先の価格に上昇圧力が掛かっている状況。

特に石炭は環境保護派から目の敵にされているため、供給減少に伴うアップサイドリスクは無視できない。

12月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+53.0%の4,729万7,000トン(前月+34.7%の4,350万6,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

12月の燃料炭輸入は、ロシア(538万トン→517万トン)とモンゴル(158万トン→122万トン)からの輸入が減少したが、豪州(612万トン→620万トン)、インドネシア(513万トン→623万トン)が増加している。

12月の中国の石炭生産は、前年比+4.4%の4億1,961万トン、1,354万トン/日(前月+0.2%の4億955万トン、1,365万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

12月の中国の電力消費量は前年比+11.0%の8,563億kwh(前月+11.6%の7,619億kwh)と伸びが鈍化した。

本日は、ガス価格に底入れ感が強まっていること、主要国の石炭輸入増加の動きを受けて上昇余地を探る動きになると考えるが、不需要期であること、週間ベースの中国の石炭輸入がやや減速していることから上昇余地は限定されるとみる。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は底堅い推移に。鉛は冬場の終了が意識される中で大きく下落、ニッケルは生産調整観測が価格を押し上げ、錫は供給面が意識されて上昇していたが昨日は一服、アルミは特段材料はなかったが、先週急増したショートの巻き戻しが、中国製造業PMI発表前に入ったと考えられる。

COTレポートではLME銅と、錫を除けばネット売り越しの状態となっており、何らかの対策期待が高まる中では買い戻しが入って価格を押し上げてもおかしくはない。

ただ、具体的な財政出動は住宅セクターを加熱させる可能性があるため、これ以上積極的に実施するのは難しい。そのため、財の消費(耐久財など)や、鉄道などの近代化に必要なインフラ投資が中心になると考えられ、即効性は乏しい(効果が顕在化するのに時間が掛かる)と見る。

今年は景気が減速する中で、年前半は多くの非鉄金属価格に下押し圧力が掛りやすいが、金利や人件費、エネルギーコストの高止まりや、金属によっては最終製品価格(EV向けのバッテリーなど)の下落を受けた生産調整が発生する可能性は高いとみており、下落余地を限定することになると予想される。

欧州によるロシア産金属の禁輸措置の動きは、短期的にはLME需給をひっ迫させて価格を押し上げるが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じるとみる。その後、ロシアと懇意な国とそうでない国とで「一物二価」の状態となることが予想される。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に終了に向かう中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

なお、問題を先送りするというよりは「今回の問題の規模と深度が想定以上であるため」仮に不良債権の処理をしたとしても、その影響が拡散することを排除するために相応の調査と準備・対応をする必要があることから、拙速に対応していない(できない)ともいえる。

結果、不動産問題の解消には時間が掛かり、大規模な損失が発生しなかったとしても不動産セクターが中国経済をけん引することは当面見込み難いということである。

不動産問題ヘの対応が困難になるタイミングの推定は、習近平のさじ加減一つのところが有るためはっきりしたことが言えないが、構造的に対応が困難になる人口オーナス期入りする2035年以降まで時間を掛けて対応する体力はないと考えられる。

労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話だ。

12月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲10.6%の45万9,338トン(前月+2.0%の55万566トン)と過去5年平均を下回った。

12月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+18.2%の248万1,161トン(前月+1.2%の244万トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。電力供給の回復や、TCが高い水準で推移していることもあり、鉱石からの生産インセンティブが維持されているためと考えられる。

12月の中国の精錬銅生産は+22.3%の117万7,000トン(前月+0.4%の111万9,000トン)と過去5年の最高水準を維持。

12月の銅スクラップの輸入は前年比+43.7%の19万9,973トン(前月+13.2%の18万2,935トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入は減少しているが銅鉱石輸入が増加し、総供給量は増加している。製造業PMIが低迷、上海取引所在庫の水準が過去5年レンジを下回っていることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は、基本的には軟調地合の中でレンジワーク継続を予想。

本日発表の中国製造業PMIは小幅な悪化が見込まれており、予想通りであれば価格の下押し要因に。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭価格は上昇、上海鉄筋先物は下落した。

引き続き鉄鋼製品需要は低迷している一方、季節的な鉄鋼製品積増しの動きが見られるため、鉄鋼原料価格は高い水準を維持している。

12月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が46.0(前月46.0)と横這い。新規受注が43.8(前月43.0)と回復、輸出受注も51.1(48.7)と改善したが、生産が43.7(45.8)と大幅に悪化したことが影響した。いずれにしても閾値の50を上回っていない状況が続いている。

生産調整にもかかわらず、完成品在庫(42.9→43.7)は積み上がっており(原材料在庫の指標は公表されず)在庫調整が必要な状況とも言えるが、季節的に完成品在庫を積み増す時期に有ることもあり、今月~来月に掛けては景況感とは余り関係無く在庫が積み上がる可能性は高い。

バランスシート不況にあると考えられる中国がどの程度財政出動を行い、民需の不足をカバーできるかが景気回復のタイミングを図る上で重要になるが、やはり全人代を待つ必要があると考えられる。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は+138万4,000トンの1,669万7,000トン(過去5年平均 1,868万2,000トン)と過去5年平均を下回った状態が続く。しかし、今週に関しては、鉄鋼製品在庫の積み増しペースは前週比+31.3%と顕著(過去5年平均+12.6%)だった。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+685万トンの1億3,310万トン(過去5年平均 1億4,117万トン)、在庫日数は29.8日(+1.5日、過去5年平均 29.0日)。

鉄鉱石の在庫は数量ベースは過去5年平均を下回っているが、需要の減少を受けて在庫日数は過去5年平均を上回っている。結果、鉄鉱石の需給も緩和が見込まれ価格の下押し要因となろう。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+17万トンの187万トン(過去5年平均162万5,000トン)、在庫日数は+0.7日の7.8日(過去5年平均 6.7日)と、在庫の絶対水準・在庫日数とも再び過去5年平均を上回っている。

本日は、中国の鉄鋼業PMIが発表されるが、ローン金利の引下げなどでどの程度不動産在庫の解消が進み、鉄鋼製品生産が回復しているかに注目が集まるが、それほど期待した回復はなく、水準を切下げる展開を予想。

◆貴金属

金価格は上昇。アジア時間と欧州時間は、PCE発表を控えてインフレ圧力高止まりに対する警戒ムードの中、実質金利とドル指数は上昇、金価格下落の流れだった。

しかし、米国時間にPCEが発表されおおむね事前予想通りの結果となったこと、同時に発表された米新規失業保険申請件数が労働市場の軟化を示唆したことで一転、実質金利が低下、ドル指数も下落、金価格は上昇し3週間ぶりの高値となった。

FRBの利下げ開始のタイミングについて市場は5月および6月の織り込みをやや進めた。

銀価格は上昇。基本的には金価格に追随する動き。米株がやや上値重い局面では銀価格もつられる場面もあったが、結局は前日比1%弱上昇で引けた。

プラチナ価格は下落。引き続きテクニカル要因を意識した動きで、金プラチナレシオはボリンジャーバンドの上限付近で抑えられる格好となり、金価格が上昇する中でプラチナ価格に下落圧力がかかったとみられる。

また、インパラ・プラチナ社がジンバブエでの精製所や太陽光発電所などのプロジェクトを延期、また赤字鉱山を閉鎖する可能性などが報道されたことはむしろ買い材料だが、昨日は材料視されなかった。

パラジウム価格は上昇。対金レシオでボリンジャーバンドの20日平均線が一旦のレジスタンスとなった形。

本日は、フォワードルッキングな指標である米ISM製造業指数に特に注目しているが、市場予想は49.5(49.1)と小幅な改善を見込んでいるが、支払い価格指数は53.2(52.9)と上昇を見込んでいる。

昨日のPCE価格指数もコアデフレータが前月比+0.4%と、年率に換算すれば+4.9%であり想定よりも物価上昇が顕著である、と判断され利下げタイミングが先送りされる可能性もある。

ここまで、利下げ先送りを織り込んできた市場だが、さらに利下げ先送りが意識される可能性もあるため、むしろリスクは下向きか。

PGMについては、価格下落に伴う生産調整の動きが見られていること、米自動車販売が年率1,540万台(前月1,500万台)と回復する見通しであることから底堅い推移を予想する。

◆穀物・農産品

シカゴ穀物市場はまちまち。トウモロコシと小麦は小幅に上昇、大豆は下落した。南米の増産などが売り材料だが、米週間輸出統計を見るに、米国産穀物需要は底堅く推移している。

足下、エルニーニョ現象が継続していることから価格には下押し圧力が掛かりやすいものの、夏以降の景気の底入れ期待が原油価格を押し上げる見通しであること、夏場以降のラニーニャ現象の発生による不作、北アフリカの穀物生産動向に影響を及ぼすバッタ被害ヘの懸念から、年後半は価格上昇リスクを意識する必要がある。

本日は、昨日のPCE価格指数が市場予想通りであり、6月利下げ開始期待が高まっていることがドル安を誘発するため堅調推移を予想。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国の金融緩和が遅れる中、高金利状態で商業用不動産向け融資の借換ができず、商業用不動産価格が下落し地銀の経営悪化に繋がる場合(信用収縮の発生リスク)。

・トランプ政権が誕生した場合の「米国第一主義」の推進で、世界の政治・経済のあり方が大混乱するリスク(米国の「目先の利益が上がる」ディールを優先するため、全くバランスを欠いた政策が行われるリスク)

恐らく過剰な景気刺激によるインフレや、同盟国との結束崩壊、中国・ロシア・北朝鮮・イランの結束がより強まる形に。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・インド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2025年以降か。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(暴力装置を習近平が掌握している以上、可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

・再生可能エネルギーのコスト上昇と、景気減速に伴う再生可能エネルギー向け政策の見直し(化石燃料回帰が起きる場合。むしろ実現可能な制作に回帰する、という意味ではリスクシナリオというよりは、メインシナリオか)


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