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【Kちゃんの笛】
  • 新村ブログ《油売りのひとりごと》

家にいることが増えたのだが
娘がリコーダーの練習をしている

私も小学校の頃やった。
なぜか、2人組でペアになっていて
曲目が10曲ぐらいあって
ミスなく引けるとハンコを1つもらえるルールで
上の楽曲になると上のパートと下のパートに分かれ
きれいにハモれるかどうかも試される
(この場合のハモるって表現はあってるのか?)

で。

それは小学生の頃の話で
中学か高校の頃の音楽の時間にも
なぜか、リコーダーの試験があった。
2週間にわたり、1人1人前に出て笛を吹くのだ
今から思うと、明らかに音楽の先生がサボっていたと思われる
音楽の授業を真剣にやられると
男子校の場合は相当つらいので、それはそれでいいんですけど。

で。

その中に、K君という、剣道部にいたガタイのいいヤツがいた。
あまり面白いことを話すでもなく
ぼくとつとした感じで、とても笛が上手そうな感じがしない
で、期待にたがわず上手くない
いや、別に「俺の方が上手いし」っていうレベルじゃなくて
本当に音があっていないのですよ

例えようがないんですが

「ドレミファソラシド」

って吹いても、この世のものとは思えない
不思議な音階が出てくるのですよ

すごく簡単に言えば
リコーダーの後ろの親指で押さえる穴
あの穴を少しだけ開けて吹くと、ピーって高い音が出るじゃないですか
彼の笛はすべてその音が出るのです
ばらばらの音階で。

で。

普通の人間であれば「音が違う」ということで気にして
正しい音がするまで練習するはずですが
彼はそれに気づいているのかいないのか
全く直さないのだ。
もう、なんというか、呪いの音楽というか
壊れたパソコンから出てくるような音が5分ぐらい奏でられるわけですよ
当然、全員が笑ってしまう(しまった今も思い出して笑えてきた)

それを見ていた音楽の先生が

「こらッ!!Kが一生懸命吹いているんだから笑うんじゃないっ!!」
「先生、笑ってますよ!」
「笑ってないよ!!!」

という感じ。
この声を聴いてもK君は全くたじろぎもせず
誰も想像していないタイミングで演奏が終わった

私「Kちゃん、笛の音おかしくない?」
K「壊れてるんだよ、これ(笑←初めてここで笑った)」

いや...みんな知ってるよ、壊れてるの。。
しかし、この呪いの曲はどうやって練習したんだろうか?
普通音があってるか、確認しながら練習するもんだけど。

「どこの穴を抑えるかを暗記して、その通り指を動かした」

マジすか。
もはやその覚えた指使いがあっているかどうか、全くわからない。
もう彼とは連絡を30年以上取っていないので消息は不明だが
もし結婚して子供がいたら

「パパ、リコーダーを教えて」

といわれる瞬間があったはずだ。
その時、彼はどうしたんだろう...?
と、思うと結構笑っちゃって、夜も眠れません。