テレビ東京「モーニングサテライト」に新村が出演しました。
- メディア出演
モーサテでの解説終了しました。
佐々木さん、林さん、佐野さん、スタッフの皆様ありがとうございました。
原油価格の下落に歯止めがかかっていません。背景にはOPECが3ヵ月は3,000万バレルの生産目標を変更しないと強調していること(具体的に40ドルという数値も挙げられている)、非OPECやその他の営利目的の生産者の生産調整があるとしても2015年度以降になること、といった生産調整が直ちに起きない、との見通しに加え、原油価格急落によるロシアを含む産油国の経済情勢悪化、ひいては新興国経済の悪化懸念が強まっていることが、将来の期待需要を減じていることが背景です。
基本的に価格下落と共に生産調整が進み、価格下落と共に需要が増加する、と考えているため基本的な価格見通しは強気です。ですが、年末のクリスマス休暇で市場参加者が薄い中での「ショック」発生ということもあり、必要以上に売られている感は否めません。
需給ファンダメンタルズから説明がつきにくい水準まで急落しているため、中長期的な安定の目途となる生産コストを以って価格を予想するのが困難になります。こうなると市場参加者はチャートを頼りに売買せざるを得なくなるため、リーマン後に付けた45ドル近辺が意識されてもおかしくありません。価格が底を打つのは年明け以降、上昇基調に転じるのはFRBの利上げが織り込まれた後の2015年後半になると考えます。
ですがこの前提が成り立つのは、「新興国不安が拡大して経済がクラッシュする」というシナリオが回避された場合です。オーバーシュートする相場の中では連鎖的にリスクが顕在化(いわゆるテールリスクの顕在化)の可能性を高めます。引き続きロシアを初めとする新興国の中央銀行政策には注目する必要があるでしょう。
仮に産油国の一角がデフォルトする、といったこと、あるいはデフォルトしなくても原油価格下落で財政状況が悪化し、OPECを含む産油国が十分に上流部門に投資ができない、という状態になれば2016年以降に期待される新興国需要(インドネシア等)の顕在化時点で十分な供給が出来ず、価格が急騰するリスクすらあり得ます。
OPECが生産調整役を降りている、ということは、価格が下落したときの歯止めも、上昇したときの歯止めもなくなる、ということです。原油価格の変動性は増すことになるでしょう。こんな時ですので、むしろ資源価格が上昇することに備えるべきだと私は考えます。
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