中東情勢緊迫でコモディティ物色される
- MRA商品市場レポート
2024年10月2日 第2814号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「中東情勢緊迫でコモディティ物色される」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は金を含む貴金属や工業金属、エネルギー、その他農産品など広く物色される流れとなった。下落したのは自国通貨建て商品などに限定された。
株は売られたが、中東情勢の緊迫で戦時にコモディティが物色される流れだったともいえるだろうか。
イスラエルが周辺国ヘの攻撃を激化させ、イランが支援していたヒズボラのトップナスララ師が殺害されたことの報復で、180発の弾道ミサイルをイスラエルに発射したことで、地政学的リスクが高まったことから安全資産とされる金が買われ、過去にも見られたが戦時には金やその他の金属が物色される、といった動きとなり、工業金属も堅調な推移となった。
今のところ中東で本格的な戦争が開戦となる展開はリスクシナリオの位置づけであるが、イスラエルは恐らく米大統領選挙後の米国の対応が変わる事を懸念し、「今のうちにイランの周辺組織の能力を削ぐ」ことを企図していると考えられる。
米政権はイスラエルの無差別な殺害行為を批判しつつも、武器は供与しており民間人にも多数死者が発生しているが、ネタニヤフにすれば「今の政権のうちであれば、今回の軍事行動も口先では批判するが、イスラエル支援は変わらない」と判断していると考えられる。
この状態がエスカレートしてイラン対イスラエル、という戦争になった場合、周辺諸国のみならずその他の国も巻き込んだ非常に大きな話になるため、基本はそのような本格的な軍事衝突は発生確率の低いリスクシナリオ、となる。
しかし、仮にトランプ大統領が誕生した場合、「イスラエルを強力に支持」であり、サウジアラビアなどのアラブ諸国に対しては「武器や防衛、原子力の技術を供与するのでイスラエル側に着く、ないしは静観」を要求すると考えられる。
この場合、イランの孤立が深まるため、ホルムズ海峡封鎖や戦闘拡大のリスクは高まることになる。しかし、原油価格が高騰すれば漸く沈静化して来た各国のインフレも再燃することになるため、基本は事態のエスカレートを(イスラエルは分からないが)誰も望んでいない。
とはいえ、戦闘状態にある国と国の場合、偶発事故が戦火の拡大に繋がる可能性があることは歴史が証明しているため、そのリスクに備える必要はあろう。
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