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【SATSUKAN】
  • 新村ブログ《油売りのひとりごと》

いやぁ、今回の大統領選挙も大混乱ですね。
このたびに思い出す、誰が書いたか分からないこの「SATSUKAN」の話。
どうも、当時ニューヨークにいた興銀の誰かが書いたらしいのですが、
本当のところはよく分かりません。

ただ、このレポート(以下のレポートは事実ではないんですけれど)、
あまりに出来が良くて、興銀・富士・第一勧銀の株が上昇した、っていう曰く付きのものです。

私の雑感など、足下にも及ばない完成度の高さですので、お楽しみください。

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世界最大の銀行「みずほファイナンシャルグループ」が、今世紀最悪の混とんと言われた米国大統領選挙に終止符を打った。

11月23日、フロリダ州のパームビーチ、ブロワーズ、マイアミ・デイドの3郡で手作業による大統領選挙の投票結果を再集計していた開票作業員たちが、突然、作業の続行をボイコット。州最高裁が定めた期限(日曜日の夕方)までに全ての作業を終えることは不可能、とお手上げ状態になった。

3郡計の618,000票はもちろん、投票集計機による読み取りで白紙とされた10,750票分の再集計も出来ないという事態に、州選挙管理委員会は天を仰いだ。

その直後、日本の銀行から大胆な提案が舞い込んだ。提案の差出人が3人の共同CEOの連名であることに、ハリス州務長官は大きな違和感を覚えたというが、「手作業要員333人が既に成田空港からフロリダに向けて飛び立った。」という日本の金融機関としては異例のスピード決断に驚き、藁をもすがる思いで提案を受け入れた。

333人の手作業要員の内訳は、DKB(第一勧業銀行)の預金部、富士銀行の預金部およびIBJ(日本興業銀行)の証券事務部の精鋭部隊各111人。アメリカ東部時間24日午後にオーランド国際空港に到着した彼らは、長旅の疲れも見せず各集計所に直行。 直ちに集計作業を開始した。

州の手作業による再集計は、16日以降、4人一組で行われてきたが、集計作業は殆ど進んでいなかった。ところが、日本からやってきた銀行員たちは驚くべきスピードで集計を進めた。

彼らは「札鑑(さつかん)」という特殊技能を備えており、投票用紙を機械のようなスピードで数えていく。特に、悪名高いパームビーチ郡の「バタフライ投票用紙」については、IBJ行員が目覚しい活躍をおさめた。

同行は「ワリコー」という一風変わった愛称の金融債を発行しており、「現物(げんぶつ)」を扱う証券事務部のメンバーは、厚紙を数えるツボを心得ている。

大統領選挙の再集計を巡っては、開票作業員の恣意性により、不公正な結果がもたらされるのではないか、との懸念から、双方の弁護士立会いのもと行なわれてきたが、米国の選挙権をもたない日本人による集計は、中立性という点からも大いに評価できる。

ブッシュ、ゴア両陣営は、元国務長官級の大物を次々とフロリダ入りさせて、様々な発言を通して関係者にプレッシャーをかけたが、英語が良くわからない日本の銀行員たちは、こうした雑音に邪魔されることなく、黙々と作業を続けた。

日本の銀行員たちは疲れ知らず。深夜労働を何とも思っていないようだ。時差のせいか、それとも生活習慣の違いからか、報道陣が寝静まった深夜になると、がぜん集計のスピードが上がり、アメリカ東部時間25日朝には第一回目の集計を完了。同日午後5時には、海外からの不在者投票も含めて第二回目の集計も完了した。

頼みもしない二回目の再集計が行われたことについて、ハリス州務長官はとまどいを隠しきれない様子であったが、日本の銀行では、上司からの指示がなくても、現金等は必ず2回以上数える「再鑑(さいかん)」が行われるのが常である。

驚くべきことに、一回目と二回目の誤差はゼロであり、日本の銀行員たちの集計精度は、フロリダ州が採用した投票集計機の精度をはるかに上回るものであった。

集計結果は、大方の予想通り、パームビーチ郡で票を伸ばしたゴア候補が大逆転。納得がいかないブッシュ候補は、再集計結果を無効として、連邦裁判所に持ち込む構えを見せている。

しかし、同氏は、記者会見の席上で、IBJを「International Bank of Japan」、富士銀行を「Geisha Bank」、またDKBをドレスナー銀行(DrKB)と混同するなど、日本の某首相と同レベルの「問題発言」を行い、共和党内部からも大統領候補としての「資質に問題あり」と糾弾されている。

結局、これ以上の政局の混乱は避けたいとの慎重論に押され、最終的に提訴は見送られる模様。

クリントン大統領は「アメリカにとって最も重要なパートナーである日本の協力によって大統領選挙が完了したことをうれしく思う。」とのコメントを発表。ホワイトハウスからニューヨーク州チャパカへの引越し準備を開始した。

お手柄の333人の手作業要員は、本日以降、オーランドのディズニー・ワールドやユニバーサル・スタジオ、パームビーチのゴルフ場やショッピングモールなどで、1週間の特別休暇が与えられる。

これだけの大偉業を成し遂げたにもかかわらず、彼らは「1週間の長期休暇は極めて珍しい」と素直に喜んでいる。

全米のケーブルTVで報道された彼らの特殊技能「SATSUKAN」とポケモンキャラクターをプリントした「みずほTシャツ」(13ドル)が、フロリダの新名物として爆発的な人気を呼びそうである。

みずほファイナンシャルグループは、今回の集計事務代行により手数料4百万ドルを受け取った。3で割り切れない特別収入に、3人の共同CEOは頭を抱えている。

ムーディーズは同グループの格付け引き上げ見通しを発表。「みずほファイナンシャルグループは、今回の代行事務成功により、選挙集計という新ビジネスを確立した。正確な手作業を要するこの業務は米銀には到底参入不可能。より重要なポイントは、労働集約的な新ビジネスの今後の展開次第では、邦銀の最大の問題点であった過剰人員の解消に役立つことだ。」と述べた。

チェースマンハッタンのエマ上級副社長も「我々にはないエクスパティーズであり、大いに脅威を感じる。」と語った。

みずほファイナンシャルグループの3人の共同CEOは「次は東ティモールでの集計作業を」と目論んでいるが、これに対しては、労働環境の悪化を理由に、従業員の間から早くも反対の声が出ているようだ。