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中国リスク、仮想通貨波乱、はドル高要因
  • MRA外国為替レポート

2021年9月27日号

◆先週の市場総括


先週は、週初に中国不動産大手・恒大集団が利払い期限を迎えるところで支払い不能との見方からデフォルトリスクが現実のものと意識された。市場では急速に不安感が広がりリスク回避が強まった。香港株を皮切りに日本市場が休場の月曜日に米国株も大幅安。

為替市場ではクロス円相場を中心にリスク回避を手掛かりに円が全面高となった。ユーロ円相場は128円ちょうどへ、ドル円相場も109円に迫った。

そうしたなか、市場は火曜日・水曜日の2日間開催されるFOMCに注目。結果はややタカ派的な内容となった。

パウエル議長はハト派スタンスを崩さなかったものの、量的緩和縮小は11月に開始し来年半ばに終了するのが適切との見方を示した。

またメンバーの予想では2022年の利上げ予想も半数に。23年、24年の利上げがそれぞれ3回と、ドル金利先高感を強める内容だった。

一方、パウエル議長は、恒大問題は過剰債務をかかえる中国固有の問題として米国へ波及するリスクはないと述べ、市場にはやや安心感が広がった。

週後半はリスク回避が後退し米国株は大きく反発。ドル円相場はドル金利先高感とリスク回避の後退で110円台後半へ上昇した。ユーロ円相場も129円台後半に反発。ユーロドル相場は週初とほぼ変わらず1.17台前半。

月曜日の東京市場は祝日で休場。そのなか中国発のリスク回避が広がった。約33兆円におよぶ巨額の債務を有する中国不動産大手・恒大集団がこの日利払い不能に。デフォルトが現実味を帯びてきたとの見方が台頭。

アジア市場では中国本土市場が休場となるなか、開場している香港市場で株価が急落。ハンセン指数が一時▲4%下落して不安が広がった。

株安が欧米株にも波及。米国株先物は日本時間10時頃から下落。昼には一旦下げ止まったが15時から再び大きく下落し19時には▲700ドル安に。欧州市場でも株価は全面安。市場全体に不安が広がった。

為替市場ではリスク回避が急激に強まるなかクロス円相場を中心に円が全面高。ユーロ円相場は128円90銭~129円ちょうどで始まり128円70銭~80銭に下落。欧州市場が始まった15時以降は欧州株・米国株先物が本格的に下落するのに連れ、米国市場朝方にかけて128円10銭台まで下落した。

ドル円相場は109円90銭~110円ちょうどでもみ合いの後、15時以降に下げが明確となり、米国市場朝方にかけて109円50銭割れに下落した。

ユーロドル相場は1.1730で始まり1.1710~20で推移し、1.17ちょうど近辺へ続落。ドルがユーロに対しては堅調となった。

米国株は大幅安。NYダウは前週末比▲400ドル~▲600ドル安の大幅安で始まりその後も一貫して軟調。日本時間未明4時頃には▲1,000ドル安まで下落した。ただ引けにかけては買い戻され▲614ドル安の33,970ドル。世界的リスク回避、投資家心理の悪化が重石となった。

FOMCを前に買い手控えとなったことで下げ止まらない要因に。リスク回避で米国債が買われて米10年債利回りが1.312%に低下したがハイテク株も下落。ナスダックは▲330ドル安の14,713ドルで引け。

VIX指数は一時28.8ポイント近辺に上昇し、引けはやや低下して前週末比+4.9ポイント上昇の25.71。ビットコインや原油価格も下落した。

為替市場では円高一服。ドル円相場は109円60銭台に反発した後、反落したが109円40銭近辺でもみ合い引け。ユーロ円相場は128円50銭に反発した後、128円20銭~30銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.1730台に反発した後、20~30でもみ合い引けた。

火曜日の連休明けの東京市場では日経平均が大幅安。前日の香港株、欧米株の下落を受けて、30,000円ちょうど近辺で大幅安寄り。

その後は割安感による押し目買い、9月末の権利取りによる買いが支えとなり下げ渋ったが、引けにかけて売り直され前週末比▲660円安の29,839円で引けた。

前日に下げを主導した香港ハンセン指数は続落して始まったが、午後から引けにかけて持ち直し前日比若干のプラスで引けた。

為替市場では円が米国株先物の動きに連動。日中は米国株が持ち直したのにつれてやや円安に。ただ夕刻から欧州市場に入ると下落に転じ円高に振れた。クロス円相場が主導して上下した。

ドル円相場は109円40銭で始まり、その後は底固くじり高。昼前から午後にかけては50銭~60銭で上下、夕刻には70銭に上昇した。ユーロ円相場も同様に128円30銭で始まり底固く50銭~60銭で上下。

ユーロドル相場は1.1730~40でもみ合い、夕刻は1.1730近辺。ただ欧州市場から米国市場にかけては米国株先物の下落につれ再び円高。ユーロ円相場は128円ちょうど~20銭に下落して引けは128円10銭。ドル円相場も109円20銭近辺でもみ合い引けた。

ユーロドル相場は1.1750にやや上昇した後反落して1.1720~30。

米国株はまちまち。NYダウは寄付きこそプラスとなり34,300ドルに上昇したが反落し引けは▲50ドル安の33,919ドル。S&Pが恒大集団の破綻の可能性が高いとの見解を示したことが重石。

ナスダックは前日比+32ドル高の14,746ドル。VIX指数は市場の過度な不安感が一服し株価が落ち着き、前日比▲1.35ポイント低下して24.36。米10年債利回りは1.33%。この日は米国でFOMCの1日目が開催され翌日の結果に次第に注目が集まった。

水曜日の東京市場では日経平均が続落。中国・恒大集団が23日に期限を迎える人民元建て利払いの一部実施を表明したことから一時プラスとなる場面もあったが買いは続かず。リスクの大勢に大きな変化がないとの見方で下落に転じ、前日比▲200円安の29,639円で引けた。

日銀は金融政策決定会合の2日目を終えたが政策に変更なく市場はとくに反応せず。ドル円相場は109円20銭で始まり早々に10銭近辺に下落。

ユーロ円相場は128円10銭で始まり127円90銭に下落した。ただリスク回避を材料とする円買いも一巡し円高に歯止め。ユーロ円相場は128円30銭~40銭でもみ合い欧州時間が始まる頃には128円50銭。ドル円相場も109円40銭~50銭でもみ合い109円60銭に上昇した。

ユーロドル相場は1.1720~30でもみ合い。欧州市場から米国市場にかけてはFOMCの結果待ち。ドル円相場は109円60銭近辺、ユーロドル相場は1.1730近辺、ユーロ円相場は128円50銭近辺でもみ合い。結果は市場の想定よりもタカ派的な内容だった。

量的緩和縮小を11月に開始することを示唆したことは概ね想定内。ただメンバーによる政策金利見通しで利上げタイミングが前回予測から前倒しとなった。

平均値は2022年が1回の利上げを織り込む0.25%。23年が3回利上げで1.00%、24年が3回利上げで1.75%。2022年の予想では8人が据え置き、9人が利上げ、と意見が割れた。2024年の予想で最も多かった中央値は2.00%だった。

パウエル議長は量的緩和縮小について11月に開始して来年半ばに終了することが適切と述べた。利上げについては量的緩和縮小が終了した後、改めて別の見方で慎重に検討するとハト派スタンスを維持した。

中国・恒大問題については、過剰債務をかかえる中国固有の状況で米国に信用不安が伝播するなどの大きなリスクはない、とした。

米国株は上昇。中国金融不安が後退。恒大の利払い実施方針で不透明感がやや緩和。米国経済への影響なしとするFRBの見方に安堵感が広がった。

NYダウは前日比+338ドル高の34,258ドル。ナスダックは+150ドル高の14,896ドル。VIX指数は▲3.49ポイント低下して20.87。米10年債利回りは1.304%とやや低下した。

ドル円相場はFOMCを受けて109円90銭に上昇し引けは109円80銭。ユーロドル相場は1.1750に上昇した後反落して1.17を割り込み1.1690で引け。ユーロ円相場は128円80銭に上昇した後反落して128円30銭~40銭。

木曜日の東京市場は祝日で休場。アジア時間は米国株先物がじり高。上海株は恒大を巡り行き過ぎた警戒感が緩和して上昇。リスク選好がやや回復した。

リスク選好をもっとも反映しやすいユーロ円相場は128円40銭で始まり終始上昇基調。夕刻には129円ちょうどをつけた。ドル円相場は109円80銭~90銭でもみ合いの後、ややレンジを切り上げて109円90銭~110円ちょうどで推移した。

ユーロドル相場は1.1690で始まりじり高。夕刻には1.1730に上昇した。

米国株は大きく続伸。恒大に関し、中国政府は破綻に備えるように公に表明しつつ、同社に対してデフォルトを回避するよう指示した。

FOMCが終わり不透明感が解消したことであく抜け、恒大問題の米国への波及は警戒する必要ないとの安心感などからリスク選好が強まった。

NYダウは寄付きから大幅高となりその後も底固く推移し前日比+506ドル高の34,764ドル。ナスダックは+155ドル高の15,052ドル。VIX指数はさらに▲2.24ポイント低下して18.63。

リスク選好・株高と、タカ派的なFOMC、利上げ前倒し観測の台頭を受けて米10年債利回りは1.4%台に上昇し1.435%。

リスク選好に支えられユーロ円相場が終始堅調、円が軟調。128円60銭~70銭に押されたものの、反発して129円30銭台で推移し129円50銭に一段高で引け。

ドル円相場も109円80銭に押した後は反発して110円10銭~20銭で推移し引けは110円30銭台。ユーロドル相場は1.1740~50で方向感なく推移した。

発表された週次の失業保険新規申請件数は351千件と前週から増加。増加は2週連続。継続受給者数も2,845千件に前週2,665千件から増加した。感染再拡大の影響で就業を手控える動きがみられた。

欧州時間朝方に発表されたPMI景況感指数は、ユーロ圏・製造業が61.4から58.7へ、サービス業が59.0から56.3へ、ドイツ・製造業が62.6から58.5へ、サービス業が60.8から56.0へ、いずれも想定以上に悪化した。

米国のPMIは製造業が61.1から60.5へ、サービス業が55.1から54.4へ、それぞれ改善予想に反して悪化したが悪化幅は欧州よりも小さかった。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅高。前日の米国株が大幅高となったことで寄付きから3万円の大台を回復。中国・恒大のデフォルトを懸念して警戒していた投資家が買いに回った。

30,200円を挟んでもみ合いの後、後場は30,200円台半ばで小動き。引けは前日比+609円高の30,248円。ドル円相場は底固く推移。110円30銭で始まり40銭へ、さらに午後には上昇が加速して欧州市場朝方にかけて110円60銭に迫った。ただその後は反落して40銭近辺で上下動。

ユーロ円相場は129円50銭~70銭で上下、ユーロドル相場はやや上値重く1.1730~40で推移した。

その後、日本時間18時頃に中国人民銀行が仮想通貨取引を全面的に禁止する措置を発表。インターネットを通じたオフショアでの売買も禁止された。

これを受けて仮想通貨が全面安。ビットコインが7%超下落したほか、他の仮想通貨では10%超下落するものも続出した。

一方ドルが堅調。クロス円相場はやや軟調。ドル円相場は上昇し米国市場では110円70銭~80銭で上下。ユーロドル相場は1.17ちょうど近辺に下落した後、1.1720近辺で推移した。

ユーロ円相場は129円40銭に下落した後、129円80銭近辺でもみ合い。

米国株はまちまち。NYダウは前日まで2日間で800ドルも上昇した後だけに利益確定売りが優勢。ただ引けにかけてはしっかり。前日比+33ドル高の34,798ドル。

長期金利上昇でハイテク株の上値は重く、ナスダックは▲4ドル安の15,047ドル。株価の落ち着きでVIX指数はさらに低下。▲0.88ポイント低下して17.75。

この日からFOMC明けでFRB当局者の発言が解禁。クリーブランド連銀総裁は、早期の量的緩和縮小を支持、2022年末までには利上げの条件が整う、と述べた。カンザスシティ連銀総裁も、量的緩和縮小開始の条件は満たされた、と述べた。

◆今週の3つの注目ポイント


26日日曜日のドイツ総選挙結果を受けたユーロの動向(緑の党躍進で警戒感高まるか)、29日水曜日には自民党総裁選挙投開票が行われる。中国・恒大を巡る動向に変化はあるか。また30日木曜日に米国で政府機関閉鎖回避のためのつなぎ融資可決期限を迎える。

1.FRB当局者発言、イエレン財務長官、ラガルド総裁、黒田総裁、発言

先週、FOMCが終了したことで、FRBメンバーの発言が解禁となった。すでに先週もクリーブランド連銀総裁が、2022年末までに利上げの条件が整う、と発言。カンザスシティ連銀総裁が、量的緩和縮小開始の条件を満たした、と述べた。

今週はさらに多くの当局者の発言機会がある。とくに利上げに関してどのような発言がみられるか。

パウエル議長やイエレン財務長官の発言機会もあり、他のメンバーよりハト派的なニュアンスが期待されるがどうか。市場の金利先高感がさらに刺激されるか。

またECBがフォーラムを開催。ラガルド総裁や黒田総裁が発言する。米国の金融政策スタンスとの相違が明確となるか。

2.米国の経済指標

中国・恒大集団のデフォルト懸念はなお燻っているが、米国金融システムや経済への波及は懸念ないとのパウエル議長の発言で落ち着きを取り戻している。FRBは金融正常化に向けてさらに前進したが、強い経済指標がその裏付けとなるか。

月曜日 耐久財受注(8月、前月比、予想+0.6%、前月▲0.1%)ダラス連銀製造業活動指数(9月、前月9.0)

火曜日 ケースシラー住宅価格指数(7月、前年同月比、予想+20.0%、前月+19.1%)、消費者信頼感指数(9月、予想115.0、前月113.8)、リッチモンド連銀製造業指数(9月、前月9)

木曜日 週間新規失業保険申請件数、GDP(4-6月期確報)、シカゴ購買部協会景気指数(9月、予想65.2、前月66.8)

金曜日 個人所得・消費支出(8月、前月比、予想+0.2%・+0.6%、前月+1.1%・+0.3%)消費支出価格指数(コア、前年同月比、予想+3.5%、前月+3.6%)ミシガン大学消費者信頼感指数(9月・確報)ISM製造業景気指数(9月、予想59.5、前月59.9)

3.中国PMI景況感指数

恒大集団のデフォルト懸念で中国経済の先行き懸念が強まっている。そうしたなか経済指標に弱さがみられれば市場がさらにネガティブな反応をする可能性があり注意を要する。

木曜日 PMI景況感指数(9月、製造業、予想50.2、前月50.1、非製造業、前月47.5、総合指数、前月48.9)民間調査の財新PMI(同、製造業、予想49.6、前月49.2)

ほか、金曜日には日銀短観が発表される。景況判断DIは先行きが若干改善すると見込まれている。木曜日に鉱工業生産(8月)、金曜日には失業率、有効求人倍率が発表される。

◆今週のMRA's Eye


中国リスク、仮想通貨波乱、はドル高要因

中国・恒大集団を巡って過度な不安感は後退したものの、不透明感はなお払拭されていない。FRBパウエル議長は米国経済・金融市場への悪影響波及はない、過剰債務を抱える中国固有の問題だ、と述べ、市場のリスク回避を水際で遮断した。

恒大は人民元建て債務の利払いは行ったものの理財商品の償還見通しは立たず。ドル建て債務の利払いは留保されてデフォルト認定まで30日間の猶予期間に入った。

不動産売却による利払いないし償還資金の捻出は困難とみられ、破綻の可能性は高いままであることには変わりない。

焦点は中国経済の動向、中国の金融システムがどうなるか、に絞られる。この点に関しては、中国政府は大きな混乱による景気悪化・金融システムの混乱は避けるだろう、という推測は可能だ。

今回の発端は、中国政府が不動産市場の過熱、バブルを鎮静化するために、過剰な不動産投資を抑制すべく規制を強化したことが発端。金融機関に対する不動産融資規制など意図的な不動産バブル潰しに動いた結果であり、予想外に突然生じたわけではない。

恒大集団のデフォルトリスクも予想の範囲内だろう。債務総額がいくらあるのか、人民元建て債務、ドル建て債務、理財商品による資金調達がいくらあるのか、は把握済みのはずだ。

また個別の金融機関にどのような影響が生じるか、調査ヒアリングも済んでいるだろう。

そもそも不動産価格高騰の抑制は住宅に手が届かなくなってきた民衆の不満に対応するものだ。景気悪化は住のみならず衣食に影響する。

そうなれば本末転倒、角を矯めて牛を殺すようなものだ。中国政府は不動産バブルを抑制しつつ景気悪化を防ぐ手立ては打つだろう。金融システムの安定を維持することも怠らないはずだ。

今回の動きは、長期政権、毛沢東を目指す習近平国家主席が、構造改革に動き始めた一環でもあろう。

共産党発足100周年にあたり、原点回帰に動いたとの見方はできないか。?小平が改革開放路線を始め、富める者がまず富み、経済成長を遂げて世界第二位の経済大国にはなった。

しかし国内では格差がさらに拡大し、富裕層主導でバブルが発生。共産党の本来目指すべき社会とかなり乖離した状況になったのではないか。

民間部門は過剰債務を抱え、いずれ修正が必須となっている。バブルや過剰債務の処理は経済が高度成長している間はショックの吸収力がありやりやすい。しかし少子高齢化が急速に進み、低成長、低インフレとなっては処理が難しくなる。

日本の経験がまさにそうだ。中国は長年にわたり日本のバブル、不良債権問題を、日米貿易摩擦とともに研究してきた。

そうしたことを踏まえ、あらためて今回の事態をみると、不動産バブル潰しは着実に実施するとみた方が良いだろう。

政府は恒大集団を救済せず、同社は自力で解決できなければデフォルトに至る可能性が高まっているのではないか。

すでに理財商品の償還が不能となり国内の投資家が不満を強めているが、そうした投資家は一部であり、本来の共産党支持層である多くの非富裕層はむしろ快哉の声を上げているのではないか。

不動産価格の下落もしかりだろう。ハイリスク・ハイリターンの理財商品に資金を投じた投資家は救済されないのではないか。そうした「見せしめ」によりシャドーバンキングが縮小する可能性がある。

ただそれこそ、金融システム全体のコントロール、管理強化を図りたい政府・中央銀行の目指す構造改革・金融システム改革なのではないか。

ここで政府・金融当局が避けるべきは金融システムの混乱だ。恒大のデフォルトが中国金融システム不安の引き金となってはならない。ただ実際に不安感、中国の銀行に対する警戒感が高まっていることも事実だろう。

こうした不安は人民元の信認悪化にもつながる。中国国内の投資家が海外へ資金を逃避させてもおかしくない。そうした資本流出を当局は懸念しているのではないか。

唐突感のある中国人民銀行による暗号資産取引(仮想通貨取引)の全面禁止も、こうした文脈からみれば、恒大問題とリンクしてみえる。内外資本移動規制を実施しているもとでは本来、海外への資本逃避は難しいはずだが、仮想通貨取引はその抜け道となりうる。

インターネットを通じた海外の仮想通貨取引サービスも禁じ、抜け道をふさいだ。当局は足元で早くも資金逃避の気配を感じ、急遽、仮想通貨取引禁止に動いた可能性もある。

中国人民銀行はデジタル人民元の早期導入に動いている。資金移動の管理を強化する狙いもあろう。

その際に様々な仮想通貨が流通していれば阻害要因となるとの思惑もある。いずれは仮想通貨取引が規制される可能性があった。期日を決めて禁止すれば、その前に大量の資本流出が発生する可能性がある。唐突な規制強化・取引禁止は必然だろう。

恒大集団のデフォルトリスク、中国経済・金融システムへの不安、中国による仮想通貨取引の全面禁止、はいずれもドル高要因だろう。

リスク回避の強まり、リスク資産からの資金の逃避は、ドルへの資金流入、資金還流をもたらす。消去法的なドル高要因だ。

また対照的に先週のFOMCでは、米国経済への楽観を背景に量的緩和縮小の11月開始・来年半ばの終了が示唆され、メンバーの一部が2022年の利上げを予想し、全体として利上げの予想が前倒しされた。

これはポジティブなドル高要因だ。仮想通貨高は中央銀行通貨が空前の量的緩和を実施するなかで「価値の希薄化」が意識された部分もある。

とくにグローバルなキャッシュであるドルが大規模な量的緩和を進めてきたことは大きい。いよいよFRBが金融正常化に動き、量的緩和縮小を開始して来年半ばには終えるという流れの反転は、中央銀行通貨のなかでのドル高、さらにはドル高・仮想通貨安につながり、全般的にドル高リスクが強まっているのではないか。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :110.73(+0.40)
ユーロ :129.77(+0.25)
英ポンド :151.405(+0.03)
豪ドル :80.407(▲0.08)
カナダドル :87.483(+0.31)
スイスフラン :119.738(+0.38)
ブラジルレアル :20.7575(▲0.05)
中国人民元 :17.121(+0.06)
韓国ウォン(日本円=100) :9.412(+0.03)

【対ドルレート】
ユーロ :1.172(▲0.002)
英ポンド :1.3679(▲0.004)
豪ドル :0.7262(▲0.003)
カナダドル :1.2652(▲0.000)
スイスフラン :0.9248(+0.001)
ブラジルレアル :5.3355(+0.032)
中国人民元 :6.4662(+0.007)
韓国ウォン :1176.67(+0.89)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.45(+0.02)
米2年債 :0.27(+0.01)
日本10年債利回り :0.06(+0.02)
日本2年債利回り :0.06(+0.02)
独10年債利回り :▲0.23(+0.03)
独2年債利回り :▲0.69(+0.00)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :34,798.00(+33.18)
NASDAQ :15,047.70(▲4.54)
S&P500 :4,455.48(+6.50)
日経平均株価 :30,248.81(+609.41)
ドイツ DAX :15,531.75(▲112.22)
インド センセックス :60,048.47(+163.11)
中国上海総合 :3,613.07(▲29.15)
ブラジル ボベスパ :113,282.70(▲781.70)
英国FT250 :23,608.79(▲221.39)
ビットコイン :42981.54(▲1728.66)

【主要商品価格】
WTI :73.98(+0.68)
Brent :78.09(+0.84)
米ガソリン :218.75(+1.60)
米灯油 :226.71(+1.80)

金 :1750.42(+7.66)
銀 :22.42(▲0.09)
プラチナ :985.36(▲6.90)
パラジウム :1972.96(▲12.93)
銅 :9271.00(+20:4B)
アルミニウム :2918.00(▲33:12.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1285.00(+0.75)
シカゴ とうもろこし :526.75(▲2.50)
シカゴ小麦 :723.75(+6.00)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。