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各国政府の対策期待と売られすぎからの買戻しで上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年3月3日 第1698号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「各国政府の対策期待と売られすぎからの買戻しで上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、軒並み水準を切り上げ、貴金属や農産品などの一角が売られたがそれ以外は総じて上昇した。

新型ウイルスの影響による景気減速を回避するため、各国中央銀行が協調して緩和や資産購入などの対策を行う、とみられたことが過度なリスク回避姿勢を弱めたため。これにより、リスクテイクの指標である株価は記録的な上昇となり、商品市場にもリバランスの買戻しが入る形となった。

注目の米ISM製造業指数は市場予を下回り、前月も下回った。新型コロナウイルスの影響で、中国景気が減速するとの懸念から輸出需要が減少したことや、国内の景気減速感から輸入指数が大きく低下したことが影響した。

※関連グラフはリンクをご参照ください。詳しい解説は「MRA商品市場レポート for PRO」をご購読ください。
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※Brent原油の期間構造アップデートはこちらから。
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■新型肺炎関連情報

※新型コロナウイルスの新規感染者数状況は、こちらのリンクからどうぞ。
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【本日の価格見通し総括】

本日も新型コロナウイルスの感染拡大に対する、世界各国の対応状況に注目が集まるが、各国中央銀行が協調して景気刺激に動くことが昨日確認されたため過度なリスク回避姿勢が後退、株価の上昇もあって堅調な推移になると考える。

市場の注目は各国政府の対応に加え、中国の感染者数から、中国以外の新規感染者数の変化と、中国の回復者数に移りつつある。今のところ市場は中国の消費シェアが多い工業金属の方が、エネルギーよりも需給がタイト化する可能性が高いとみられる。

ただし、今回の相場下落は感染拡大防止のためにヒトやモノの移動を制限するものであり、強制的に経済活動を減速させるものであることから金融緩和や財政出動の影響で、需給が直ちにタイト化することはなく、本格的な戻りにはならないと予想される。

本日はスーパーチューズデーで、大統領候補を決定する予備選または党員集会が多数行われる。共和党はトランプ大統領で確定だろうが、民主党はサンダース氏がリードしている。

しかし、サンダース氏が標榜する政策は共産主義そのものであり、仮にトランプ大統領に勝利するとそれはコロナウイルスの影響を上回る大ショックとなる可能性があるため、今年の最大リスクともいえる。

これに民主党の中道派は危機感を覚えたと見られ、健闘していたブティジェッジが離脱(年齢的にも次の次の大統領候補)、徐々にバイデン支持を固める方向にシフトしつつある。2週間前では考えられなかった状況だ。選挙に「必ず」はないとは、このことを見てもわかるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日発表された日本のQ419法人企業統計は、概ね市場予想を下回る悪い内容だった。設備投資は前期の+7.1%から▲3.5%に減速、市場予想の▲2.5%も下回った。消費税上げ前の駆け込み需要が明らかに剥落したことによるもの。除くソフトウェアの設備投資はより落ち込みが顕著であり、▲5.0%(市場予想▲2.0%、+7.7%)となった。

今後についても製造業・非製造業とも厳しい状態が続くと予想される。このQ419は新型コロナウイルスの影響はほとんど影響していない数字であるが、すでに消費税上げの影響が顕在化している形である。

これに加えて新型コロナウイルスの影響がQ120はフルにかかってくるため、インバウンド需要の減少や輸出需要の減少、感染防止のためのヒトやモノの移動制限によって国内消費も低迷が予想される。

また、感染拡大防止の観点から、人が密集する工場での稼働も製品によるが低下が予想されるうえ、世界的にもコロナウイルスの影響が拡大しており、これも商品によるがサプライチェーンの寸断によって生産が途絶し、供給ができなくなるものも出てくるだろう。この間、資金繰りに窮する企業の破綻が予想される。

リーマンショックは信用リスクの拡大が実態経済に影響を及ぼす、という過程を経て景気に顕著な影響をもたらしたが、発信源が金融であるため、金融政策によって個の影響を緩和することは可能である。

しかし今回は、物理的にヒトやモノの移動を制限することが、企業業績悪化を通じて信用リスクを高めるため、逆方向にリスクが拡大している。リーマンショックがバーチャルなリスクだったことに対し、今回のリスクはリアルなリスクの顕在化である。

コロナウイルスが懸念するほどのものではなく、毎年流行するインフルエンザのように終息してくれるのであればこれらの懸念は杞憂となるが、毎年定期的に発生してある程度の抗体を獲得している病気と、全く新しいウイルスを同列に議論はできない。やはりしばらくは、厳しい状態が続く、というのがメインシナリオである。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速。特に中国の製造業・非製造業PMIの減速はショッキングであり、今後、中国以外の国が中国ほど苛烈ではないにせよ、感染拡大防止策を講じた場合、同様の影響が出る可能性があることは需要面での価格下落要因。

今後は、これが短期的な減速で止まるのか、長期的なものになるのかは各国政府の対応に掛かっている。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%)に引き下げ。

なお、新型コロナウイルスの影響による景気の下振れは▲0.1%と、比較的限定的な影響に留まるとの見方。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっていたが、新型肺炎の影響であと2回の利下げを市場は織り込んでいる(▲50bp程度)。景気の減速が懸念されているため追加利下げは景気循環系商品価格の下支え要因に。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の世界的な感染拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済活動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中が通商面で再び対立(国営企業への補助禁止、人権面、知的財産権など)する可能性はあり、景気循環銘柄価格の下振れ要因に。ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・コロナウイルスの影響拡大によるリスク回避の株安が、景気循環系商品価格にマイナスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油価格は大幅に上昇した。G7の中央銀行・財務相総裁が3日にウイルス問題に関して電話協議を行う、との報道を受けてリスク資産に買戻しが入る流れを受けて。

ただ、値動きを見てみるとオプションの建玉の積み上がっているBrentでは50ドルが攻防ラインとなる、と指摘していたがその防戦売買でもみ合っている中、上記のニュースで上昇し、次に建玉が積み上がっている51ドル、52ドルでもみ合った。なお、コールオプションはほとんどといっていいほど積み上がっておらず、55ドル近辺までは真空地帯であり、楽観論が広がれば55ドルまでの急速な戻りはテクニカルにあり得る状況。

【原油価格見通し】

原油価格は新型コロナウイルスの影響を受けた景気悪化回避に向け、各国が協調するとの期待から上昇しているものの、金融面での世界的な協調期待が割安感のある商品に安値拾いの買いを促すため、底堅い推移になると予想する。

昨日の上昇でBrent50ドルの攻防ラインは維持された。逆にコールオプションは55ドルまで特段大きな山がなく、真空地帯であるため一時的にここまでの上昇はあり得る。

逆に50ドルを割り込めば、小さい建玉の山が1ドル刻みにある程度であり、この攻防線で価格はもみ合うものと考えるが、ここを下回ると下げが加速しそうだ。ちなみにWTIは45ドルから1ドル刻みで山がある。コールオプションは50ドル近辺まで特段山はない。

Brent・WTIとも昨日は期近の下落が顕著で、需要減少に伴う需給緩和観測が強まっている状況。

※Brent・WTIの期間構造はこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

中国は早期の可能性が高まっているが、それでも終息は4月末の見込み。一方、中国以外の国での感染者数が増加しておりWHOも最高レベルの警戒を勧告した。当初の4-5月に終息宣言が出るという見通しは楽観的過ぎるかもしれない。

唯一、参考になるデータは新規感染者数の推移のみであり、しばらくこれに左右される展開が続くと考えられる。ただし今後はより、中国以外の感染者数の増加に注目する必要がある。

※状況のアップデートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8925.html

OPECは▲100万バレル程度の追加減産を検討しているようだが、中国向けの輸出が50万バレル程度下落している(アラムコ)との関係者のコメントを見るに、価格を維持するための減産というよりは、需要の減速に伴う現状追認の減産と言ってもよく、価格下支え効果は限定されるだろう。

一方、トランプ大統領の中東和平案を受けて、イスラエルとパレスチナの軍事的な衝突は激しさを増している。

ただ、今回の中東和平案は思いつきでやった、というよりもトランプ政権になってからの親イスラエルによる現状変更を追認した形でありもう逆回転は難しい。米国のエネルギー中東依存度も低く、米国の中東政策は「雑」になりやすい。

イデオロギー的にはアラブ諸国の敗北だが、武装集団や反イスラエル勢力がこの状況を看過するとは考え難い。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化し、供給懸念が高まっているのも事実だ。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下した。しかし、イランの選挙では反米の保守派が大勝、反米機運が高まる可能性が高く中東の地政学的リスクは高まろう。

シリアとリビアに対する関与を強めているトルコの動向も、地政学的リスクを高めるため懸念されるところ。シリアへの介入はイドリブ県のクルド人を巡る対立で、シリアと全面戦争の可能性もある。リビア介入は、イスラエルのガス田からのガス輸送にかかわる権益の問題。

この他、新型コロナウイルスが中東でも拡大しており、政府への対応の不満がさらに高まって、暴動に発展する可能性が出てきた(暴動事態が感染拡大につながるため、感染拡大中は起きないだろうが、終息後に生活困窮で暴動が起きる可能性)。

米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらすと見られる。新型コロナウイルスの影響で、各国とも財政出動は視野に入るだろう。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。新型コロナウイルスの影響で企業活動が低迷していることが価格を下押ししている一方、ピークシーズンであることによる買い圧力が拮抗しているため、レンジワークを続けている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は新型肺炎への対策進捗期待が市場参加者のリスク選好を回復させているものの、新型肺炎の影響拡大は継続しており終息までは時間がかかることから、電力需要が鈍化、現状水準でもみ合うものと考える。

実際、中国の石炭輸入需要は減速しており、バルチック海運指数も低水準で推移している。

また、欧州で天然ガス価格の低迷や環境規制の強化に伴う脱石炭の動きが強まっていることも、石炭価格を下押ししよう。

長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスは減産期間の延長で協議を行っているようだが、今のところ合意は形成されておらず。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落、新型コロナウイルスの影響拡大に伴う不満爆発で、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも解消の圧力が強まった。新型コロナウイルスの影響拡大を受けた株の急落で、ロング・ショートとも解消の動きが強まっている。

Brentは最大消費国である中国のコロナウイルス終息期待でロングが増えているが、世界的な感染拡大で来週以降はこれらのポジションには解消の動きが強まることになるだろう。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが558,798枚(前週比 ▲12,454枚)ショートが127,332枚(▲32,156枚)ネットロングは431,466枚(+19,702枚)

Brentはロングが390,893枚(前週比+12,978枚)ショートが102,818枚(+7,493枚)ネットロングは288,075枚(+5,485枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇した。最大消費国の中国の工場稼働が回復を始めた、との期待感や、G7の中央銀行が協調して対策を行うとの期待感から、割安感も手伝い買いが入った。しかし、どちらかといえば割安感からの買いが入った可能性が高い。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は各国が協調して金融面で対策を行う、との見方が広まっていることで過度な懸念が後退、買戻しが入って上昇しているが、事態が終息したわけではないこともあって本日は下落することになるだろう。

非鉄金属の場合、最大消費国である中国の動向が重要になるが、統計上は新規感染者数が減少しているため徐々に下値は堅くなると予想される。ただ、中国以外の国の感染者数の増加は続いていること、最も終息が早いと予想される中国も、終息は上手くいって4月末頃とみられることから、しばらく非鉄金属価格は低迷するだろう。

実需の手掛かり材料はかなりの時間差を以って発表されること、市場はまだパニック状態にあることから、原油と同様、オプションの建玉動向が価格動向を占う上で参考になる。

ベンチマークである銅のプットオプションは、5,600ドル、5,300ドルに、コールは5,800ドルと6,000ドルに積み上がっており、この価格帯が攻防線となる。状況に大きな変化がない場合、当面5,600ドル~5,800ドルでの推移になるだろう。

直近で発表された中国製造業PMIも、35.7(前月50.0)とリーマンショック時の最低水準を下回った。3月は事態の改善で徐々に稼働は戻ってこようが、時間はかかるだろう。

直近2月のデータが取得できた銅製品生産者の2月の稼働状況は、銅線生産者が34.7%(過去4年平均50.7%)、銅棒生産者40.4%(51.2%)、銅板生産者38.6%(51.8%)、銅管生産者46.5%(63.2%)と低い。

非鉄金属の取引所在庫は急速に積み上がっており、最終製品を製造している企業の稼働は上記の通り低い。非鉄金属業者が政府に対して在庫の買取を要求していることからもわかるように、当面需要が弱い状態が続き、価格も低迷すると予想される。

製造業PMIを詳細にみると、完成品在庫の水準は消費手控えでやや高く(46.0→46.1)、原材料在庫の水準は港湾の機能停止の影響で低い(47.1→33.9)。今後、港湾機能が回復する中で原材料在庫の積み増しが発生、非鉄金属価格にも上昇圧力が掛かると考えられる。

ただし、非鉄金属価格が上昇するには景気への影響が限定されることが必要条件で、さらに中国国内の詳細な情報がもたらされることや、WHOが終息宣言を出すことが必要条件となる。

しかし、中国の新規受注は29.3(前月51.4)と低迷しており、状況は厳しく、回復には時間を要するだろう。現在の感染拡大状況を勘案すると当初見込みの4~5月に終息、との見方は楽観的過ぎるかもしれない。

米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、新型コロナウイルスの影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらすと見られる。新型コロナウイルスの影響で、各国とも財政出動は視野に入るだろう。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは急減速し、リーマンショック時に記録した最低水準を下回った。状況は改善していると伝わっているが、回復にはまだ時間を要する見込み(価格の下落要因)。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の中国の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・2月21日付のLMEロング・ショートポジションの動向はまちまち。鉛と錫のロングが増加したが、それ以外の金属はロングが減少した。新型コロナウイルスの影響を懸念したものか。

ショートはアルミと錫で減少したが、それ以外では増加。やはり新型コロナウイルスの影響を懸念したもの。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲75.1億ドル(前週▲67.5億ドル)と売り越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+11.3%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲2,141千トン(前週▲1,902千トン)とCME銅を除く全ての金属で売り越し幅を拡大している。ネット売り越しの増加率は+12.6%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品先物価格も上昇した。

新型コロナウイルスの影響が中国国内では緩和、港湾が再稼働する見通しであることや、各国の景気刺激策への期待から。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の港湾が再稼働を始めるとの期待感が価格を押し上げるものの、新型コロナウイルスの影響が世界的に拡大しており、経済活動の鈍化懸念が強まる中で需要が減少するため、価格は現状水準でもみ合うと考える。

中国河北省の高炉稼働率は2月28日時点で72.7%(前週72.9%)と再び減速している。鉄鋼製品在庫は積み上がっているが、原材料在庫の水準が低いことが背景にあると考えられる。

実際、先週末に発表された鉄鋼業PMIは、総合指数が36.6(前月47.1)と低下、生産指数も31.3(46.7)と大幅に低下している。新規受注の伸びが国内外で低迷していること(新規受注 32.7(43.8)、輸出新規受注 42.5(49.7))が影響した。

その一方で、完成品在庫は57.5(45.3)と高く、原材料在庫は29.2(51.1)と非常に低い。工場が再稼働して鉄鋼製品在庫の水準が調整されれば、原材料在庫の水準が低いため、再び鉄鉱石価格に上昇圧力が掛かると考えられるが、中国工場の本格稼働は恐らく4月に入ってからと予想される。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、Valeは生産計画を下方修正したが、それでも2020年は同社の生産が本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは36.6(前月47.1)と悪化。新規受注も新型で新規受注も32.7(43.8)に低下している。

一方、最終需要の鈍化で完成品在庫の水準は57.5(45.3)と高く、港湾の稼働停止で原材料在庫の水準は29.2(51.1)と低い。工場再稼働が起きれば、原材料在庫の不足から輸入が増加し、海上輸送鉄鉱石価格の上昇要因となる。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲165万トンの1億2,695万トン(過去5年平均1億2,603万トン)、在庫日数は▲0.3日の26.0日(過去5年平均 34.6日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+202.1万トンの2,363.3万トン(過去5年平均1,562.4万トン)とコロナウイルスの影響で工場の稼働が低迷しているためか、急速に増加している。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、世界的な景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は小幅に上昇した。前営業日の利益確定の動きの反動から買戻しが入ったが、株価が各国政府・中央銀行の対策期待で急速に値を戻す中、引けにかけて水準を切り下げる動きとなった。銀価格も小幅に上昇。

PGMは買戻しは入ったものの、やはり実態経済の悪化が意識されているため引けにかけては水準を切り下げた。

【貴金属価格見通し】

金価格は一旦利益確定の売りに押されたが、新型コロナウイルスが世界的に広がっていることが経済活動を停滞させ、株式市場の大幅調整が長期金利を押し下げ、実質金利を押し下げることから、再び上昇すると考える。

中東にもコロナウイルスの影響が拡大、住民の不満が高まる可能性は高く、エピデミックが鎮静化した後、生活に困窮した市民が反政府行動に出る可能性はある。また、欧州でも感染が拡大していることは、ユーロの結束に影響を及ぼすためやはり、安全資産としての金需要を高めることになるだろう。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。現在のプレミアムは165ドル程度まで低下した。実力ベースでは金価格は1,400ドル程度と考えられる。実質金利の低下で、金のベース価格は切り上がっている。

ただ実際は過去の実質金利からの乖離幅は平均で160ドル程度であるため(リスクが完全になくなることはあまりない)、リスクが回避された場合の下落余地は1,560ドル程度となる。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は再び上昇を始めている。金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられ、20ドル前後まで価格が上昇してもおかしくない。

特にリスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、新型コロナウイルスの影響拡大で景気後退懸念が強まっているため、対金銀で割安に推移しよう。

パラジウムは供給懸念が強く意識されているため、下落余地も限定されると考える。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

1月の米自動車販売は年率1,684万台(市場予想 1,677万台、前月 1,670万台)と利下げの影響もあり回復している。一方、コロナウイルスの影響が出始めた中国は▲18.0%の194.1万台に留まった。

今後、コロナウイルスの影響が拡大する中で、自動車販売が減速する可能性は高く、PGM価格の下押し要因となるだろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・市場はFRBの3回~4回の追加利下げを織り込んでいる状況。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの世界的な拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・原油価格低迷による財政状況の悪化、コロナウイルスの影響拡大に伴う国民の不満爆発で、中東・北アフリカ有事が発生、それに伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立が激化しており、全面衝突の可能性も出てきていることは金の安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・金はロングが減少、ショートが増加。株価の軟調を受けて一旦手じまい売り圧力が強まると見た市場参加者がショートに傾いた。銀も同様。

プラチナ・パラジウムはコロナウイルスの影響拡大でロングの解消圧力が顕著。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが389,339枚(前週比 ▲19,010枚)、ショートが53,474枚(▲1,226枚)、ネットロングは335,865枚(▲17,784枚)、銀が107,490枚(▲450枚)、ショートが32,697枚(+2,634枚)、ネットロングは74,793枚(▲3,084枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが63,973枚(前週比 ▲8,086枚)ショートが13,772枚(+3,328枚)、ネットロングは50,201枚(▲11,414枚)

パラジウムが8,489枚(▲2,024枚)、ショートが4,675枚(▲843枚)ネットロングは3,814枚(▲1,181枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は総じて買戻しが入る流れとなった。各国中央銀行の経済対策期待でリスク資産に買戻しが入る流れとなり、リスクテイク再開でドル安が進行したことが材料となった。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は市場参加者の過度なリスク回避姿勢が緩和、ドル安が進行することから上昇すると考える。

しかし、金融緩和や財政出動が起きたとしても、感染拡大防止のためのヒトやモノの移動規制は継続するとみられるため、上昇余地は限定されると考える。新型コロナウイルスの影響は世界各地で五月雨式に発生しており、影響の評価が非常に難しい。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシの受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、大豆も過去5年平均を大幅に上回っている。

しかし、小麦は豪州火災や干ばつ、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい展開が予想されるが、最終的には帳尻が合いやすい(世界各地で生産されているため)。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。米農務省の予想では、トウモロコシが9,400万エーカー(2019年 8,970万エーカー)、大豆は8,500万エーカー(7,610万エーカー)、小麦が4,500万エーカー(4,520万エーカー)と、トウモロコシの作付けが増加すると見られている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・2月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・2月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億7,972万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億4,832万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億4,000万Bu(9億5,888万Bu、9億6,500万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが321,828枚(前週比 ▲8,895枚)、ショートが328,960枚(+42,010枚)ネットロングは▲7,132枚(▲50,905枚)

大豆はロングが148,248枚(▲20,563枚)、ショートが178,806枚(▲5,869枚)ネットロングは▲30,558枚(▲14,694枚)

小麦はロングが148,910枚(▲18,857枚)、ショートが106,043枚(+479枚)ネットロングは42,867枚(▲19,336枚)

◆本日のMRA's Eye


「期間構造の仕組み」

金利や為替の期間構造は、中央銀行の金融政策に大きく左右されるが、商品の場合は市場参加者の動向により強く左右される。

金利や為替の先物価格の決定要因としては、金利水準が非常に大きく影響するが、商品の場合はそれ以上に需要と供給のバランスの影響の方が大きい。それは為替や金利ほど、裁定取引が用意ではないからだ。理由は以下の通り。

もちろん金利水準が商品価格に影響を及ぼさないわけではない。例えば金利が上昇すればその分資金調達コストが増加するため、「資金を調達して現物を購入、期先で売却する」という裁定取引が行われる。

逆に、期先の価格が理論値よりも割安だったらどうか。例えば足元のアルミの価格が2,000ドル、1年期先の価格が2,100ドル、金利が10%だった場合、現物を売って資金を調達し(2,000ドル)1年間運用して元利合計が2,200ドル、2,100ドルで先物を買っているので、100ドルの運用益を得る(なお、正確には倉庫の保管料やその他の手数料を含むため、ここまで単純ではない)。

しかし、これをやるには現物を保有している必要があるため、現物を扱うことができる参加者でなければこの取引は難しい。そのため、いわゆる裁定取引が金利や為替ほど容易ではない。ただ、いずれにしても上記のようなメカニズムが働くため、金利水準や倉庫の保管料の期間構造が、商品先物の期間構造に影響を与えることは間違いない。

話を元に戻そう。

結果、期先の市場も商品そのものを買いたい・売りたい人が取引を行うことになるため、期先の需給状態が価格に大きな影響を与える。

まず、供給過剰状態で現物の調達に問題生じていない場合には期間構造はコンタンゴ(期先が高い、順鞘)の状態となる。現物の保管が難しい商品の場合、「投げ売り」が発生するためこの傾向は顕著になる。

逆に、供給に懸念が発生した場合は期近の価格が上昇し、バックワーデーションとなる。原油の場合、当然各国が備蓄をしているが、やはり同様に在庫の保管キャパシティが限られるため、OPEC諸国が代わりに「埋蔵」することで在庫として保管している。

結果、必要な時に速やかに確保ができないため、特に景気拡大局面ではバックワーデーションとなるケースが多い。

次に「売り」を入れる市場参加者と「買い」を入れる市場参加者の違いについて考えると、基本的に売りを入れるのは「生産者」であり、買いを入れるのは「消費者」である。

そして生産者の種類にもよるが、まだ償却の終わらない設備で生産をしている生産者の場合はコスト水準が高いため、返済の原資となる資源価格の下落は大きなリスクとなる。そのため比較的長い期間の「下落リスクヘッジ」を行う。期間は案件によってまちまちだが、1年~3年程度で行われる。

これに対して消費者の場合、例えば完成品を製造している消費者の場合、最終需要動向をにらみながらヘッジを行うため、通常会計年度内で取引するケースが多い。

結果、1年~2年後の先物市場の市場参加者は、生産者側の方が比率が高くなり、結果的に期先の価格には下押し圧力が強まる形となる。これが期間構造がバックワーデーションになる要因の1つである。

必ずしもこの仕組みが常に成立するわけではないが、期先の価格が現在の生産コストに近くなる、というのはこういった理屈からだ。

◆主要ニュース


・Q419日本法人企業統計 設備投資 前年比▲3.5%(前期+7.1%)
 除くソフトウェア ▲5.0%(+7.7%)
 売上高 ▲6.4%(▲2.6%)
 企業収益 ▲4.6%(▲5.3%)

・2月日本製造業PMI改定 47.8(速報比▲0.8、前月改定 48.8)

・1月日本住宅着工戸数 前年比▲10.1%の60.3万戸(前月▲7.9%の72.2万戸)

・2月日本国内自動車販売 前年比▲10.7%(前月▲11.1%)

・2月韓国製造業PMI 48.7(前月49.8)

・2月中国財新製造業PMI 40.3(前月 51.1)

・2月中国鉄鋼業PMI 36.6(前月47.1)
 生産 31.3(46.7)
 新規受注 32.7(43.8)
 輸出新規受注 42.5(49.7)
 完成品在庫 57.5(45.3)
 原材料在庫 29.2(51.1)

・2月インド製造業PMI 54.5(前月 55.3)

・2月独製造業PMI改定 48.0(速報比+0.2、前月改定 45.3)

・2月ユーロ圏製造業PMI改定 49.2(速報比+0.1、前月改定 47.9)

・2月米製造業PMI改定 50.7(速報比▲0.1、前月改定 51.9)

・1月米建設支出 前月比 +1.8%(前月改定+0.2%)

・2月米ISM製造業景況指数 50.1(前月50.9)
 仕入れ価格 45.9(53.3)
 生産 50.3(54.3)
 新規受注 49.8(52.0)
 受注残 50.3(45.7)
 在庫 46.5(48.8)
 顧客在庫 41.8(43.8)
 雇用 46.9(46.6)
 輸出 51.2(53.3)
 輸入 42.6(51.3)

・2019年、2020年、2021年 OECD GDP見通し
 世界 +2.9%、+2.4%(11月時点見通し比▲0.5%)、+3.3%(+0.3%)
 米国 +2.3%、+1.9%(▲0.1%)、+2.1%(+0.1%)
 ユーロ圏 +1.2%、+0.8%(▲0.3%)、+1.2%(±0.0%)
 日本 +0.7%、+0.2%(▲0.4%)、+0.7%(±0.0%)
 中国 +6.1%、+4.9%(▲0.8%)、+6.4%(+0.9%)
 インド +4.9%、+5.1%(▲1.1%)、+5.6%(▲0.8%)

・日銀黒田総裁、「潤沢な資金供給と、金融市場の安定確保に努めていく。」日銀は過去最高の1,002億円のETF買いを実施。

・北朝鮮、2発の飛翔体発射。

・ECBラガルド総裁、「新型ウイルスの影響に対し、適切な対応をする用意が在る。」

・G7財務相・中央銀行総裁、3日にウイルス対策で電話会議。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ロシア プーチン大統領、「OPECプラスと協力の用意。原油価格には満足している。」

・米国とタリバン、歴史的な合意。

・イラン、新型コロナウイルスの感染者1,500人超。死者66人。

・イスラエルで選挙実施。出口調査ではネタニヤフ首相率いる与党が優勢も、連立政権は成立しない可能性。

・トルコ政府、シリア難民の欧州越境を容認。ギリシャに殺到。

【メタル】
・CRU主催の世界銅会議は中止。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM RBOB ( エネルギー )/ +11.06%/ ▲8.71%
2.NYM WTI ( エネルギー )/ +6.08%/ ▲22.24%
3.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +5.61%/ ▲24.14%
4.DME Oman ( エネルギー )/ +5.40%/ ▲23.23%
5.S&P500 ( 株式 )/ +4.60%/ ▲4.35%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲8.81%/ ▲23.14%
69.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲4.50%/ +2.91%
68.SHF 銀 ( 貴金属 )/ ▲3.54%/ ▲6.99%
67.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲2.89%/ +30.60%
66.CME生牛 ( 畜産品 )/ ▲2.26%/ ▲11.67%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,703.32(+1293.96)
S&P500 :3,090.23(+136.01)
日経平均株価 :21,344.08(+201.12)
ドル円 :108.36(+0.47)
ユーロ円 :120.67(+1.71)
米10年債利回り :1.16(+0.01)
独10年債利回り :▲0.62(▲0.02)
日10年債利回り :▲0.12(+0.04)
中国10年債利回り :2.74(+0.01)
ビットコイン :8,943.72(+272.45)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.66(+0.23)
エネルギー :39.13(+2.99)
ベースメタル :16.34(+0.8)
貴金属 :31.97(+0.07)
穀物 :15.18(+0.35)
その他農畜産品 :26.57(▲1.2)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :41.62(+7.25)
Brent :36.14(▲2.92)
米天然ガス :38.51(+0.46)
米ガソリン :54.87(+15.57)
ICEガスオイル :42.35(+4.05)
LME銅 :12.78(+0.64)
LMEアルミニウム :11.06(+0.77)
金 :9.44(+0.19)
プラチナ :27.83(▲0.45)
トウモロコシ :15.25(+2.46)
大豆 :9.44(+0.19)

【エネルギー】
WTI :47.48(+2.72)
Brent :52.69(+2.17)
Oman :51.76(+2.65)
米ガソリン :154.99(+15.44)
米灯油 :154.73(+5.67)
ICEガスオイル :465.75(+24.75)
米天然ガス :1.71(+0.03)
英天然ガス :22.38(+0.68)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :52.69(+2.17)
SPO380cst :276.53(+7.40)
SPOケロシン :59.38(+2.13)
SPOガスオイル :60.72(+2.12)
ICE ガスオイル :62.52(+3.32)
NYMEX灯油 :152.23(+1.46)

【貴金属】
金 :1590.16(+4.47)
銀 :16.75(+0.08)
プラチナ :862.77(▲3.53)
パラジウム :2541.00(▲75.55)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,657(+60:17C)
亜鉛 :2,023(+1:14C)
鉛 :1,865(+45:40B)
アルミニウム :1,700(+20:15.5C)
ニッケル :12,510(+260:70C)
錫 :16,405(+180:20B)
コバルト :33,130(▲27)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5723.00(+134.50)
亜鉛 :2026.00(+5.00)
鉛 :1852.50(+4.00)
アルミニウム :1716.50(+15.00)
ニッケル :12680.00(+455.00)
錫 :16590.00(+380.00)
バルチック海運指数 :535.00(+6.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :87.13(+0.67)
NYMEX鉄鉱石 :87.1(+0.64)
NYMEX原料炭スワップ先物 :161.95(+6.48)
上海鉄筋直近限月 :3,417(+27)
上海鉄筋中心限月 :3,399(+45)
米鉄スクラップ :294(+6.00)

【農産物】
大豆 :890.50(+7.00)
シカゴ大豆ミール :302.20(+3.60)
シカゴ大豆油 :28.57(+0.26)
マレーシア パーム油 :2358.00(+1.00)
シカゴ とうもろこし :374.75(+8.25)
シカゴ小麦 :526.25(▲2.75)
シンガポールゴム :161.90(+4.20)
上海ゴム :10745.00(±0.0)
砂糖 :13.81(▲0.65)
アラビカ :114.65(+4.55)
ロブスタ :1265.00(+8.00)
綿花 :63.48(+1.89)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :62.80(+0.53)
シカゴ生牛 :110.15(▲2.55)
シカゴ飼育牛 :133.73(+2.45)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。