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季節性
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第395号

商品の価格動向を売分析する上で、意外と見落とされがちなのが「季節性」です。株や為替の場合に季節性が考慮されることはあまり有りませんが、商品にとっては季節性は重要です。例えば原油の場合ですと、冬場と夏場に2回ピークが訪れます。夏場は最大消費国である米国がドライブシーズン入りし需要が増加しますので、通常価格が上昇しやすくなります。また、夏場よりは大きな傾向値は出ませんが、冬場は灯油需要の増加等で価格が上昇しやすくなります。ベースメタルも同様で、夏前に価格が上昇しやすくなります。これは製造業が夏休みで工場が停止する前に、必要な量だけ前倒し生産しておこう、というインセンティブが働くためです。供給途絶が無く、特殊な事情で需要が増加していない場合(例えば公共投資が大規模に行われ、「特需」が発生しなかった場合)、商品価格はこの季節性に比較的沿った動きになることが分かっています。

季節性を分析する上で特に注意しなければならないのが、特殊な事情が発生した年のデータの取り扱いです。例えば過去5年の平均を求めようとした時に、リーマンショック時のデータが入っていると正しい判断にならない可能性があります。この場合には特殊な事情が発生した年を除外して分析する等の修正が必要になる場合があります。次に過去3年のデータを使うのか、過去5年なのか、過去7年なのか、といった過去データの選択期間の問題が出てきます。情報が多ければそれだけ精度が上がるか、というと必ずしもそうではありません。あまり過去のデータ、例えば2000年以前のデータを用いると中国が国際市場に参入していない状態の情報が入りこんでしまいますし、また、リーマンショック前後だと市場の環境も異なります。ですので、比較的直近のデータを用いることをお勧めします。

季節性を考慮することは商品価格動向を分析する上では非常に重要なポイントであると言えるでしょう。