CONTENTSコンテンツ

世界景気への懸念から景気循環系商品安い
  • MRA商品市場レポート for PRO

2018年12月17日 第1454号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「世界景気への懸念から景気循環系商品安い」

昨日の商品価格は自国通貨建て商品(ICEココアやTOCOM商品など) が上昇したが、その他の景気循環系商品価格は水準を切下げる動き となった。

中国が米国に対する自動車関税を1-3月にかけて引き下げる方針を 決定したことで、「米中貿易戦争の影響が緩和するのではないか」 との期待感が高まったものの、中国の重要統計(固定資産投資、工 業生産、小売売上高)などの減速、欧州製造業・サービス業PMIの減 速を受けて、世界景気の先行き懸念が強まったことが背景。

世界経済は明確に減速感を強める流れとなっており、その中で政治 がどのような判断をするのかが今後の相場を占う上での重要なポイ ントの1つになりつつある(詳しくは本日のMRA'sEyeをご参照下さ い)。

このコラムで繰り返し主張しているが、米中貿易戦争は中国が、 「すみません、米国の指示に従います」というまで続く、というの がメインシナリオである。恐らくトランプ大統領が変わって別の大 統領になったとしても、この流れは変わらないだろう。

結果、世界1位・2位の経済大国の争いが続くことになるため、当然 世界の景気にマイナスに作用することは間違いがない。

しかし、中国もこの状況を座視するわけにはいかず、何らかの対策 と取ってくることが予想される。具体的には昨日発表された中国固 定資産投資は、1-11月期の伸びが+5.9%(市場予想+5.8%、1-10月期 +5.7%)と加速している。

内訳をみると民間部門の伸びが+8.7%(+8.8%)と若干減速したが、 公的部門投資が+2.3%(1-10月期+1.8%)と伸びが加速している。

また、昨日発表された中国住宅販売も、単月ベースで前年比+8.9% (前月+6.2%)と伸びが加速、新築住宅価格も前年比での上昇幅が 低下していたが、北京(+0.2%→+0.6%)、上海(+0.1%→+0.5%)と 都市にもよるが価格の上昇率が上昇していることがわかる。

このことは、景気の減速による経済崩落を回避するために、中国政 府が住宅セクターや公的投資を拡大して景気を下支えしようとして いる可能性が高いことを示唆している。

しかし、中国の月次の歳入は前年比▲5.4%(前月▲3.1%)と減速、 歳出も▲0.8%(+8.2%)と中国のおかれている状況が楽観できる状 態ではない。この状態で米国との経済戦争継続は、米国にとっても リスクだが、中国の場合、致命的な問題になりかねない。

そもそも人口動態がピークアウトする中で、地方政府の財政が困窮 し、住宅バブルも弾ける、ということになればかつての日本の様な ことが起きる可能性はある。

その場合、習近平が押さえこんできた軍が暴発し、日本を含む東ア ジアの地政学的リスクが高まる、というマイナスのシナリオも想定 される。中国の知的財産侵害や技術移転の強制は全く看過できるも のではないが、景気の顕著な悪化を回避するには、日米欧+中国の 協力は不可欠である。ただ、それができるほど簡単な状況に米中の 関係がないことは、これもまた事実である。

このような状況で、今週、FRBは利上げを継続するのか、あるいは 利上げをするものの年明け以降の利上げを一旦踏みとどまるのか、 に関して市場の注目があつまるのは間違いがない。

今回のFOMCでは利上げが確実としても、年明け以降は一旦打ち止め になると予想される。その中で、金利引き下げ余地のない日本・日 銀は円高圧力にさらされる可能性が高いが、今週の政策会合で黒田 総裁がどのような方針を示すかにも注目したいところだ。

今週も商品価格は方向性に掛け、現状水準で総じてもみ合いを継続 することになると予想する。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

昨日の原油価格は上昇後、下落した。米石油統計で原油生産が減少 したことや、米中貿易戦争の影響緩和期待、英メイ首相が信任投票 で信任されたことが価格を押し上げたが、イランザンギャネ石油 相のOPECの結束に疑問を投げかける発言で、引けにかけて水準を切 下げる動きとなった。

原油価格はしばらく低迷することになると予想する。各地の政治的 な混乱が信用リスクや需要の減速観測を強め、期待需給が緩和する 可能性が高まっていることが背景。需要が減速する中での価格防衛 は、OPECの減産があったとしても難しい。

OPECプラスの減産協議は最終的に▲120万バレルの減産(OPEC▲80 万バレル、非OPEC▲40万バレル)となった。先日発表された米DOE の需給見通しは、OPEC減産と需要の増加で前月からは上方修正され ているが、北米の増産もあって12ヵ月平均ベースでの需給環境は大 きく変化していない。

期待されたほどの減産効果はないと考えられるものの、前年比ベー スでの供給過剰感若干緩和されたため、価格は下支えされるだろう。 そして原油価格はBrentベースで65ドル程度、WTIで55ドル程度まで の上昇に止まると予想される。

中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今 回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続するこ とになるだろう。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国 に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

米国が中国と貿易で合意するとの報道があったが、選挙前のリップ サービスであり、実際に合意するのは容易ではない。というのも一 連の制裁で米国は中国から、まだ何も得ていないからだ。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大 が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界 シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった 明確な成果があるまで継続するのではないか。

ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満 が高まる可能性がある2019年末頃が、翌年に大統領選挙を控える 「トランプ政権のリミット」と考えられ、制裁は継続しつつも来年 春頃までに一部制裁が緩和(追加緩和の一時凍結)されるのがメイ ンシナリオだ。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院 で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そし て、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政 権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。

イラン問題の今後の展開は複数考えられるが、今のところ来年の5 月までは制裁の100%履行が延期された。

イランに対する制裁が解除されるのは、イランが明確に核放棄する 場合に限られるとみられる。上下院を民主党が確保できなかったた めだ。

仮に予定通り禁輸措置が行われるとすれば、サウジやUEAがこれを 代替することになるだろう。しかしその場合、OPECスペアキャパシ ティは「ゼロ」の状態になり、微小な有事が発生しただけでも原油 が100ドルを超える上昇になってもおかしくない。

仮に70ドル~80ドルの原油価格が続けば、景気の循環的な減速局面 での原油価格高騰であるため、米国の増産とOPECの減産幅縮小と相 まって、その後、大幅な価格下落がもたらされると予想する。

ただし、需要の減速が明確ではない上に上流部門投資が十分ではな いことから、下落したとしてもWTIで50ドル、Brentで60ドルを長期 にわたって下回り続けるのは難しいと考える。

北朝鮮問題はトランプ大統領からすればある意味「終わった材料 (支持率上昇につながらない材料)」だった。

しかし、選挙の結果議会がねじれたため、大統領選に向けたアピー ル目的で北朝鮮と和平条約を結ぶ可能性はあり得る。この場合、地 政学的リスクは後退するが、日本の防衛負担が増えると考えられる ため、日本は国防を巡って議論が紛糾することが予想される。

ロシアとの距離を縮めているのは、イスラエルと敵対するイランを 擁護しているロシアを懐柔することで、シリアからのイラン軍撤退 を促す、という意図があるためと考えられる。

よってロシアとの関係改善は、ある程度中東情勢の緊張緩和に寄与 すると期待される。原油の価格面では下押し材料となるだろう。

欧州はかつての最も親密な同盟地域だったが、民主主義の傾向が強 く、リベラルな雰囲気が強いこの地区とトランプ大統領は反りが合 わない。この地区との対立は貿易問題での対立を激化させ、需要面 で価格にマイナスに作用すると予想される。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、12月4日付の WTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比▲6,387枚の505,292枚、 ショートが+11,588枚の175,146枚、Brentは12月4日付でロングが▲ 18,027枚の253,702枚、ショートは+14,019枚の117,236枚となって いる。

WTI、Brentともロングの解消売り圧力が非常に強く、新規にショー トポジションが増えている。景気の減速と、OPEC減産が十分ではな い、米国の増産が始まる、といった見方が強まっていることが背景 にある。

ただ、ショートの積み上がりは先々の買戻し圧力を強めるものであ り、足元が軟調地合いであっても先々の反発を想定しておいた方が 良いだろう。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年 頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれるこ とから強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年~2040年頃にピークを迎える との見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、リチウムやコバ ルトの供給問題や、EV普及のための財政負担を考えると、補助金の サポート無しでは成立しないEV化が、市場の期待通りに進むとは考 え難い。

同様に、補助金のサポートが必要なバイオ燃料が化石燃料に取って 代わるシナリオも想定し難い。

これに加えて、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加) なども期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然 割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると見ら れることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に 転じると判断するのは早計ではないだろうか。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃 (2050年頃か)になると見る。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、 需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せ ざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難 い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.中東情勢不安の顕在化

2.PDVSA(ベネズエラ)の生産停止

3.上流部門投資の低迷(徐々に再開)

この中で顕在化の可能性が高まっているのが1.と2.だ。

1.については米国・サウジ・イスラエルvsロシア・イランの構図 で考えると理解しやすい。トランプ政権がイランに対して強硬な態 度を取っているのは、ユダヤ人ロビーとキリスト教福音派に配慮し てのことであり、議会としてもロシアとの対決姿勢を強める構図と なる。

そして、イラン産原油を一滴も買うな、という相当強硬な政策が採 用されている。それが実際に可能とは思えないが、この結果、イラ ンは核合意離脱並びにホルムズ海峡封鎖オプションを誇示せざるを 得ず、それだけで価格は上昇するだろう。

また、イランからすればこれは従来からこの地域に存在する、シー ア派とスンニ派の争いである。今までと違うのが、サウジアラビア がイスラエルと一時的に連携する可能性があることだ。ただ、米国 のイスラエルへの大使館移転で、連携する可能性は低下している。

これにクルド人vsトルコ・イラン・シリア・イラク、といった対立 軸も入ってくると本当に理解が困難になる。基本、目の前の敵の敵 は見方の構図がその時発生している問題を理解する上での手助けと なる。

これに加えてムハンマド皇太子のスキャンダル、それに伴う欧米の 制裁と報復が原油供給を著しく減じるシナリオも想定される。

さらに、東西分裂状態が続くリビアで原油生産が安定して増加する 可能性が低いことも、供給不安を高めるだろう。

2.については5月の選挙でマドゥロ大統領が再選を果たし、国内の 状況はさらに悪化している。

PDVSAの生産が完全に停止すれば恐らく原油価格は10ドル単位で上 昇するとみるが、これが現在じわじわと顕在化している形。これは もはやメインシナリオとなっている(その後OPECの減産解除で大幅 に下落する展開を予想)。

1.と2.の違いは、1.はホルムズ海峡の封鎖が意識されるため、 供給途絶が長期にわたる可能性がある一方、2.が顕在化した場合 湾岸諸国の増産が予想されるため、影響が一時的なものに止まる点 である。

1.の場合、実際に封鎖が起きれば原油価格が100ドルを超えても何 ら不思議はない。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼ ゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が 出てきた。FRBパウエル議長も微妙に発言をハト派に傾けている。 今のところ利上げは継続するとみているが、しばらくはこうした口 先介入が続くとみられる。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材 料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの 強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.価格上昇に因る需要の減少(レーショニング)

8.トルコ問題の新興国への拡大による、新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ せるほどのものにはなっていない。

2.については原油高やトランプ関税引き上げの影響でその可能性 が意識されていたが、足元の経済統計の鈍化やトランプの人気取り 目的の緩和支持を受けて、その可能性は後退している。

これと相まって、5.の長期金利急上昇観測も後退している。

4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下し た。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶか はわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担 は相当重くなるということだ。

中東についてはイランと米国は挑発の応酬となっている。しかし、 石油製品価格の上昇が米国民からの支持率を押し下げる可能性があ るため、ここにきてイランに対する米国のトーンは若干後退してい る。

しかし、イランは(国民向けのポーズもあってか)強気の姿勢を崩 していないため、しばらく緊張状態は続くだろう。

イランと米国が欧州やロシアのとりなしで交渉のテーブルに着く、 というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、中間選挙 を受けて対外的なポイントを稼ぎたいトランプ政権が、イランに対 して弱腰になると考え難いため、このシナリオの可能性は後退した。

6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探 る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを 示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税 問題は解決しないだろう。

7.は保護主義政策の拡大で世界的に景気の拡大ペースの鈍化が懸 念されている中で原油価格が高騰していることは、消費者がこの価 格高騰に耐えられない可能性が高まることを示唆している。顕在化 の可能性が高いリスク要因となってきた。

8.はトルコやアルゼンチンの通貨安を契機に新興国にそれが波及 する懸念があったが、米国の利上げが打ち止めになるのではとの期 待も高まっているため、「今のところ」その危機感は後退している。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに 対して622億ドル程度の融資(TheInter-AmericanDialogue調べ) をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統 領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、 この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終 的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷 山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊 するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの出口戦略が意識される

3.イスラエルを中心とした中東情勢絵不安でサウジアラビアや イランなどの足並みが揃わず、OPECの結束が崩壊する場合

1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペース は鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まる までの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増 産ペースが加速するのはQ119になってからだろう。

2.は、サウジとロシアがむしろ減産に舵を切る可能性が出てきた ため、顕在化の可能性が後退した。

3.はイランに対する制裁の度合いによるが、今のところは崩壊ま でには至らないとみられる。

石炭価格はじりじりと水準を切り下げながら、高値圏での推移を続 けている。中国の国内の生産が減少しているうえに北朝鮮の制裁が 続いていることが影響している。価格の減速は、価格に対する説明 力が高い、「中国の景況感の鈍化」が影響していると見る。

北朝鮮への制裁解除は当面ない見込みだが、中国が米国にゆさぶり をかける目的で解除する可能性もなくはない(この場合、さらに米 国が中国に制裁を科す可能性がある上、米国と関税関連で共闘でき ると考えていた欧州や日本の協力が得られなくなるため、その可能 性は低いが)。

また、12月にCOP24(第24回気候変動枠組条約締結国会議)が開催 される。米国はこの枠組みから脱退を表明しており欧州諸国は米国 の引き留めに必死だ。

この状況で中国は脱退しない方針を打ち出しており、「対米協調」 を目的として積極的に石炭使用や鉱山向け融資を絞る可能性もあり 得る。このリスクは小さくなく石炭供給懸念を通じて石炭価格を高 止まりさせるとみている。

---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は堅調。米中の貿易戦争が若干緩和するとみられ たことや、英Brexitを巡る懸念が若干後退したことに伴うドル安進 行が価格を押し上げた。

非鉄金属の最大消費国である中国の構造的な景気減速、米国の利上 げ継続や原油価格の続落を受けた実質金利上昇、並びに新興国から の資金流出観測が強まっていること、米国の中国に対する追加制裁 発動が外需を減速させ、非鉄金属価格を下押しすると予想される。

米国の制裁が3ヵ月棚上げとなったこと、中国政府は景気を軟着陸 させるために預金準備率を引き下げたり、公共投資などの財政政策 に傾斜せざるを得なくなってきていることが需要を押し上げるとみ られるが、華為技術のCFOがカナダで拘束され、「米国は制裁に本 気」であるとみられているためその影響は限定されている。

今回の制裁は相当中国に影響を与えており、本来であれば開催され ているはずの四中全会も開催されないまま、12月の中央経済工作会 議に突入しそうだ。そして、制裁再開が来年の全人代の直前である。 習近平はこのピンチをどう切り抜けるのだろうか。

華為技術のCFOがカナダで拘束されたことを見てもわかるように、 米国は今回の制裁については本当に本気のようだ(詳しくは2018年 12月13日の「昨日の商品市場(全体)の総括」をご参照ください)。

中国に対する米国の制裁は、超党派で決定していると考えられるた め、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続 することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難 い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、 工業金属価格にマイナスに作用すると見る。

足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米中首脳会談で中国 に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっていたが、 制裁一時棚上げに止まり、制裁自体は継続する方針であることが確 認された。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国 に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大 が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界 シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった 明確な成果があるまで継続するだろう。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益 は、年初来ベースで前年比+13.6%の5兆5,212億元(1-9月期+14.7% の4兆9,713億元)、10月は+3.6%の5,480億元(前月+4.1%の5,455億 元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加 え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども 継続する見込みであるため、非鉄金属需要にとってマイナスに作用 することは避けえない。

また、中国の構造的な景気の減速、循環的な減速、保護主義政策に 対抗するための人民元安誘導が資本流出を招き、その他の新興国に も影響が出ること、なども価格を下押ししよう。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院 で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そし て、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政 権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。

なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそら く次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020 年頃からになるとみているため、長期的には強気の見通しである。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、12月7日付のLMEポジショ ンを見ると全ての金属でロング・ショートとも減少している。シ ョートの解消圧力が強かった亜鉛と鉛のみ、ネット買い越し幅が増 加している。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は157.8億ドル(前週 166.8億ドル)と買い越し額が減少、買い越し枚数もトン数換算 ベースで4,456千トン(4,732千トン)と減少している。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス 期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に 入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気の スタンスを崩していない。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規 模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算し ている。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる かは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プ ロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道 案件も先送りとなった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその 土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略 の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み 増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているの は明らかだ。

しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなど を前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪 化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、と も考えられる。

一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日 本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。

また、結果的に省エネが進む中では非鉄金属需要が増加するため、 この観点からも強気だ。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、 EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80 キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、若干鎮静化してい る。EV普及のためには補助金負担は必須であり、景気が減速する中 ではなかなか積極的にEV政策を推し進められないことが背景にある。

よって、市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていな い。ただ、新世代自動車の主流が電気自動車であることは間違いが なく、実際の需要に影響を及ぼすのは順調に行ったとして2020年頃 以降になるのではないか。

3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られや すいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能 性は高まった。

供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを 掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

4.労使交渉動向

5.Rusalに対する制裁が長期化し供給懸念が強まる場合

5.はすでに顕在化してしまったリスクだが、特にアルミ・ニッケ ル・パラジウムへの影響が大きい。Rusalに対する制裁は米財務省 が一部緩和する趣旨のコメントをしており、事前予想ほどの影響が 出ない可能性が出てきた。

金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼ ゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が 出てきた。FRBパウエル議長も微妙に発言をハト派に傾けている。 今のところ利上げは継続するとみているが、しばらくはこうした口 先介入が続くとみられる。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要 因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けた、リスク回避の動き の強まり

5.長期金利の上昇

6.5.に付随するが株価の調整

7.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

8.トルコ危機や米利上げの影響を受けた新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ せるほどのものにはなっていない。

2.については原油高やトランプ関税引き上げの影響でその可能性 が意識されていたが、足元の経済統計の鈍化やトランプの人気取り 目的の緩和支持を受けて、その可能性は後退している。

これと相まって、5.の長期金利急上昇観測も後退している。

4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下し た。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶか はわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担 は相当重くなるということだ。

中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対 してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。

欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、 というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、選挙結果 を受けて、トランプ政権はイランに対してより強硬な姿勢を取ると 予想されるため、この可能性は低下している。

懸念されるのは、CIAがムハンマド皇太子がカショギ氏殺害を指示 したと結論付けた、と報じられていることだ。この通りであれば欧 米が制裁をせざるを得なくなり、サウジアラビアが報復措置を取る 可能性も排除できない。

6.は株式市場は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が 高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手 仕舞い売りが加速する可能性がある。

7.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探 る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを 示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税 問題は解決しないだろう。

8.はトルコやアルゼンチンの通貨安を契機に新興国にそれが波及 する懸念があったが、米国の利上げが打ち止めになるのではとの期 待も高まっているため、「今のところ」その危機感は後退している。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに 対して622億ドル程度の融資(TheInter-AmericanDialogue調べ) をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統 領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、 この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終 的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷 山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊 するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は上昇、原料炭スワップ先物 は横這い、鉄鋼製品価格は直近限月が上昇した。

中国唐山市が汚染防止を強化し、12月31日まで規制を強化する方針 を示したことが鉄鋼製品価格を押し上げ、鉄鉱石価格を押し上げた。

鉄鉱石価格は現状水準で推移すると考える。季節的に中国の生産が 減少、輸入が増加する時期に当たること、鉄鉱石在庫日数の低下、 米国の制裁を受けて、中国政府は国内鉄鋼製品需要を刺激する政策 を採らざるを得なくなる可能性が高いこと、冬場の鉄鋼生産抑制継 続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買い を誘うと考えられること、冬場の鉄鋼製品減産が需給面で鉄鋼製品 価格を下支えすると予想されることが背景(詳しくは2018年10月31 日付のMRA'sEyeをご参照ください)。

11月の中国鉄鋼PMIは45.2(前月52.1)と大幅に減速した。特に新 規受注が35.4(52.3)と急落、完成品在庫も58.8(42.3)、 原材料在庫も54.8(54.2)と大きく積み上がった。

より注目すべきは輸出向け新規受注の落ち込みが47.3→43.2にとど まっている一方で、全体では52.3→35.4となっていることだ。この ことは中国国内の鉄鋼需要が減少していることを意味し、鉄鋼製品 価格の下落要因となる。当然、鉄鉱石価格にもマイナスに作用する だろう。

こうした国内の減速による、景況感の悪化、とくに中小企業の景況 感悪化を回避するために中国政府は何らかの経済対策(インフラ投 資)を実施するとみられる。

ただし、同時に地方政府の財政状況も厳しく、バブルを誘発するほ どの公共投資も実施できないため、鉄鋼製品、鉄鉱石価格の下支え 要因にはなるが、価格を大きく押し上げるほどの効果はないと見る。

なお、米中貿易戦争がどのように決着するか、現時点で誰も見通す ことはできないが、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れ られることを承諾します」というまで継続すると予想する。

しかし、中国はアフリカなどの今後成長が見込める新興国を囲い込 み、毛沢東が中国を農村から掌握していった戦略と同様の戦略を推 し進め、数の力で米国の思惑を挫く戦略を採用するとみられ、いず れも時間との戦いになる。

そして、それほど短期決戦にはならないと考えられるため、比較的 長い間景気にマイナスに作用することになるため、非鉄金属を始め とする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益 は、年初来ベースで前年比+13.6%の5兆5,212億元(1-9月期+14.7% の4兆9,713億元)、10月は+3.6%の5,480億元(前月+4.1%の5,455億 元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加 え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども 継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用 することは避けえない。

中国最大の鉄鋼生産地区である河北省の高炉稼働率は、現在74.6% と過去5年平均の83.1%を下回っている。しかし、強制的に生産削減 となった昨年の58.1%よりかなり高い水準を維持している。

今後、昨年と同様、生産抑制される見込みであるため、鉄鋼製品価 格は冬場、高い水準を維持することになるのではないか。

鉄鋼製品在庫が前週比▲12.9万トンの794.3万トン(過去5年平均 947.7万トン)であり鉄鋼製品価格は例年よりも高い水準を維持し そうだ。

鉄鋼製品が高止まりするため、鉄鉱石に関しても、冬場に向けた国 内生産の減速時期に突入していることから、季節的に鉄鉱石価格は 高止まりするだろう。

直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比+90万トンの1億3,710万トン、 (過去5年平均1億706万トン)、在庫日数は前週比+0.2日の 30.6日(過去5年平均30.6日)と、例年の水準まで低下している。 粗鋼生産が駆け込み前の増産で増加したことが影響したためだが、 在庫水準の低下は価格を下支えするだろう。

長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期 は2030年頃まで続く事、2021年からインドが人口ボーナス期に入る ことから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規 模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算し ている。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる かは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プ ロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道 案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み 増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているの は明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行す ることはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は 透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束し た。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を 欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国を たたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合

3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに は内需刺激しかなくなっており、固定資産投資も公的セクターが伸 びるなど、実際に行動に移し始めている。ただ、景気が過熱するほ どの緩和策や景気刺激策は取られない、というのが現在のメインシ ナリオだ。

2.はそのプロジェクトの質(たち)の悪さから導入を見送る国が 増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリス クではない。

3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性 が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているた め、部分的に実施される可能性はある。

下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。

1.中国の住宅バブル崩壊

2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない 場合

3.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が 下落する場合

4.地政学的リスクの顕在化

5.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

6.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

4.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・ 極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019 年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続が リスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸 国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視 できない。

5.は常識的な落としどころを探る動きになる、とみていたが結局、 米中の貿易戦争は開戦となった(その他の地域に対する関税引き上 げはこれとは別に存在)。

関税引き上げは消費税引き上げのような緊縮財政と同様の経済効果 をもたらすため、景気には明らかにマイナスだ。今のところ、中間 選挙を睨んだ対策であるため、目に見える効果が上がらない限りは 解除はしないだろう。

結果、中国国内の鉄鋼製品価格を押し下げ鉄鉱石価格の押し下げ要 因となるだろう。

6.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに 対して622億ドル程度の融資(TheInter-AmericanDialogue調べ) をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズ エラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統 領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、 この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終 的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷 山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊 するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪貴金属≫---

金銀価格は下落した。実質金利は低下後上昇したが、景況感格差を 背景にドルが上昇したことが材料となった。PGMは金銀の下落に加 え、株価が大きく調整したため、金銀を上回る下落となった。

金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。依然、Brexitが ハードなものになる懸念が強まっていること、米国の中国制裁は本 気である可能性が高く、長期化懸念が強まっていることが価格を押 し上げると考える。

また、こうした一連の政策や循環的な景気の減速を受けて米国の利 上げが想定よりも早く打ち止めになるのではないか、との見方も金 融面で価格を下支えしよう(ただし足元は原油価格の下落がこれを 相殺)。

英国は予定されていた議会の採決を延期した。延期してEU案に反対 している勢力の説得に回ると考えられるが、今の状況だととてもEU 合意案が通るとは思えない。

EUは再交渉には応じないとしているが、これはEU司法が判断したよ うに「EUの承認を得ない、英国のEU離脱取りやめ」が最も被害が少 ない選択なのではないだろうか。

しかし、メイ首相がそれを否定している上、国民投票の実施も否定 していることから、どちらに転ぶかわからないが、メイ首相の不信 任案を可決し、解散、総選挙、国民投票再度実施、という流れにな るのではないか(これをしたからと言ってハードBrexitが回避でき るわけではないのだが..).

一番現実的な解は、「とりあえずBrexitの期限を延期する」である が、今のところこの動きは見えていない。

なお、金価格は、地政学がフルに影響すれば1,400ドル程度までの 上昇はあると考えていたが、現在の実質金利水準や、過去の実質金 利からの乖離(いわゆるリスクプレミアム)を考えると、あと50ド ル程度しかリスクプレミアム分の上昇余地はなさそうだ(詳しくは 2018年10月18日付のMRA'sEyeをご参照ください)。

なお、地政学的リスクの影響がないとすれば、実質金利で説明可能 な水準である1,050ドル程度までの下落はあると考える。

銀は、SilverInstituteなどの分析では供給の減少と電気製品向け の需要増加で供給不足になっていると指摘されているが、それより は金価格動向や貿易戦争の影響が強く意識され、対金で軟調な推移 となっている。

今後についても金価格が軟調に推移することから水準を切り下げる 動きになると考える。現在の金銀レシオは80に大きなチャートポイ ントが重なり、底堅い推移となりつつ過去最高水準を維持している。

足元、COMEXの金銀在庫レシオの金銀レシオに対する説明力が高い が、足元でも金銀在庫レシオは高い水準を維持している。記録的な 水準まで積み上がった銀の取引所在庫の影響で、しばらくはこの80 越えの水準を維持するだろう(詳しくは2018年10月19日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

金銀レシオが80である前提であれば、地政学的リスクがフルに影響 して1,300ドルになった場合、リスクプレミアムがはげ落ちて1,150 ドルまで下落した場合に対応する銀価格は、16.25ドル、14.4ドル となる。

金銀レシオが鉱工業生産などから説明可能な、長期の平均的な水準 である74程度であれば、17.6ドル、15.5ドルとなる。

短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、 12月11日時点で金のロングが▲3,419枚の169,600枚、ショートが ▲14,917枚の109,101枚、銀のロングが+1,822枚の71,136枚、 ショートが▲10,069枚の59,880枚となっている。

先週から様子が変わり、金はロングが減少、ショートがそれ以上に 減少、銀はロングが増加、ショートが減少している。

PGM価格は金銀価格が上昇するため同様に上昇するとみるが、米中 貿易戦争がやはりこれから激しくなるとの見方から景気循環系商品 が売られる流れを受けて、対金銀での割安感が強まる展開になると 予想する。

ただし、パラジウムは供給が限定されるため下げ余地は限定される だろう。

米国の11月の自動車販売は1,740万台(市場予想1,720万台、前月 1,750万台)と再び減速した。駆け込み需要の剥落や長期金利の上 昇(足元は下落)が影響したとみられる。

11月の米消費者信頼感は135.7と引き続き高い水準を維持、6ヵ月以 内に自動車を購入すると答えた人の比率も13.8と前月の14.0から小 幅に低下している。自動車関税引き上げ前の駆け込み需要の剥落の 影響だろう。

FRBの利上げも継続する見込みであり、自動車メーカーのディー ラー向けのインセンティブ負担も重くなることが予想され、自動車 関税引き上げが宣言通り実施されるのであれば、自動車販売は減速 する可能性が高く、PGM価格を下押しすると予想される。

中国の10月の自動車販売(工場出荷台数)は前年比▲11.7%の238万 台(前月▲11.55%の239万4,100台、前々月▲3.75%の210万3,400台、 前々々月▲4.02%の188万9,100台)と4ヵ月連続でマイナス成長とな り、同国の耐久財需要が減少していることが伺える。

弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが、直 近の見通しでは2018年のプラチナの需給は50万5,000オンスの供給 過剰と、前回発表の29万5,000オンスから供給過剰幅が引き上げら れた。2019年についても45万5,000オンスの供給過剰が見込まれて いる。

2019年の自動車向けの触媒需要は前年比▲40万オンスとなる一方、 供給は、南アフリカ(+5.5万オンス)、北米(+4.5万オンス)の増 産がロシアの減産(▲2万オンス)を相殺、供給が+13万オンスとな ることで需給の緩和感が強まる見込み。

この結果、地上在庫は312万オンス(2018年266万5,000オン ス))に増加する見込みで、在庫日数も146.8日(128.4日)と増加 見込みであり、在庫の顕著な増加が価格上昇を抑制することになろ う。

なお、南アフリカのPGM生産指数は9月時点で108.00(季節調整前) と過去5年平均を回復した。今の需要動向をみるとよりプラチナ需 給が緩和し、パラジウムの供給は不十分で両者のスプレッドは、需 給面からまた拡大する可能性が出ている。

12月11日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが+2,249枚の 48,259枚、ショートが+5,884枚の37,268枚、パラジウムはロングが ▲941枚の17,777枚、ショートが▲215枚の3,532枚となっている。

---≪農産品≫---

シカゴ穀物市場は小動きで高安まちまち。

穀物価格は引き続き、現状の水準でもみ合うものと見ている。米中 の対立解消には相当の時間がかかるだろうとの見方が強まっている こと、Brexit懸念を受けてドル高圧力が高まっていることが背景。

12月の米需給報告では、トウモロコシの在庫見通しが17億8,100万 ブッシェル(市場予想17億4,400万ブッシェル、前月17億3,600万ブ ッシェル)、大豆が9億5,500万ブッシェル(9億4,400万ブッシェル、 9億5,500万ブッシェル)、小麦が9億7,400万ブッシェル(9億6,500 万ブッシェル、9億4,900万ブッシェル)と、総じて在庫は市場予想 を上回っている。

12月11日付のCFTC投機筋ポジションは、トウモロコシのロングが +11,788枚の404,390枚、ショートが▲36,193枚の232,680枚、大豆 のロングが▲10.077枚の144,809枚、ショートが▲7,057枚の 138,878枚、小麦のロングが+1,243枚の137,470枚、ショートが ▲2,509枚の135,810枚となっている。

ポストハーベストプレッシャーの買戻しでショートが減少する中で、 価格が下支えされている。

◆本日のMRA's Eye


「政治リスクが強まる世界経済」

米国を除く世界の経済統計の鈍化傾向が鮮明になりつつある。米保 護主義政策の影響、というよりはまだ循環的な景気の減速懸念の影 響のほうが大きいと考える。

弊社は「景気減速の懸念がなければ」原油価格はOPECの減産によっ て維持されるとみていたが、欧州や中国がこのまま有効な対策を打 ち出せず景気減速が継続した場合、価格防衛は不可能となり、期待 インフレ率も低下、多くのインフレ系商品価格を押し下げることに なるだろう。

ただ、景気は循環的に減速・加速を繰り返すものであるため、構造 的に成長するステージにある国(この20年の中国)でもない限り、 常に右肩上がりの成長を想定することの方が不自然である。

欧州の景況感は昨年末で恐らくピークを打った。在庫循環に伴う景 気の減速とするのであれば、底入れまでの期間は一般に18ヵ月~20 ヵ月程度と言われているため、来年の夏~秋にかけて底入れする、 「はず」だ。

しかし、政治が混乱する中では景気が減速する局面で、適切な対策 が打たれないことは多い。これは「景気が減速する→与党・現政権 が悪い→反対の主張をしている野党に投票→今までと180度違う政 策が採択される」といったことが往々にして起きる。

現在、イタリアで起きている財政支出拡大も、EUの統一した緊縮財 政にマジョリティを占める低所得者層(多くの国で、最も「票を有 している」のは低所得者層である)が反発したことによるものだ。

政治家の主な仕事は、税金として上がった「利益の再配分」である が、景気が減速する中では「負担の再配分」となる。そのため、各 国の選挙結果が最も現在の景況感を適切に表しているといえる。

独政権でメルケルが引退せざるを得なくなったのは、「好況の時に は悪くなかった、移民政策」が影響したのは明らかだ。不況時に移 民が流入すれば、「移民が自国民の雇用機会を奪っている」と解釈 されてしまうのだ。

隣国のフランスも燃料税の引き上げで「黄色いベスト運動」が拡大。 ただ、報道を見るに店は破壊する、窃盗は行うで、とても「デモ」 とは言えない。マクロンは2017年の5月に就任したが、その半年後 に景気はピークアウトしており、有効な手段を打てずにいる。

真実はまだ明らかになっていないが、日産ルノーの話も、日産の工 場をフランスに移し、「雇用対策を行う」ことが狙いだった可能性 はあるだろう。このまま住民の反発が継続し、マクロンが辞任する というシナリオもなくはない。

欧州はあまり意識されていないが、EUの名目GDPは17兆3,254億ドル と米国に次ぐ2位。さらにEUは全体の方針を決めるのに加盟国すべ てがあつまって議論しなければならず、以前、欧州危機があったと きも最終的な合意まで世界経済が大混乱したことは記憶に新しい。

あの時はメルケルの指導力で乗り切ったが、今、欧州全体を差配で きるトップはマクロンの指導力が低下する中で、いないといっても 言い過ぎではないだろう。

これに対して、米国の景気はここまでの明確な減速を見せているわ けではない。ISM製造業指数などを見るに、米国の景気のピークア ウトはあるとすればこのQ418だろう。

欧州と同様に「景気の循環のみ」の影響であれば、景気の底入れは 再来年の夏ごろ、ということになる。となると、欧米の景況感格差 は来年の夏ごろまで続くと考えられるため、ドルに政策的な上昇圧 力が掛かり、多くのドル建て商品価格を押しする圧力になると考え られる。

翻って日本であるが、週末に発表された日銀短観は市場予想を上回 るものもあったが、まだ明確な景気の減速がみられていないものの、 先行き見通しは慎重なものが目立った。

大企業製造業は15(前回調査比▲4)、大企業非製造業は20(▲4) と、業況の悪化を見込んでいる。業績悪化の背景として、米中貿易 戦争の激化懸念、原油価格の上昇懸念、価格転嫁の困難さ、が挙げ られていた。

その一方で、人手は足りておらず、雇用人員判断DIは顕著な人手不 測が継続していることを示唆した。しかしこれによる設備投資の進 捗は、「景気減速時の有効求人の伸びを抑制」する要因として作用 するため、世界的な不況に陥った場合の影響は小さくない。

必要以上に景気に悲観的になる必要はないが、やはり来年の前半に かけては景気の減速を「いかに適切に政治家が乗り切ることができ るか」が大きなテーマとなる。

商品価格は年初、経済対策で強含む局面もあろうが夏に向けて下落 し、その後年末から2020年にかけて再び上昇余地を探る展開になる と予想しているが、米国の景気底入れがどこのタイミングで訪れる かにより、そのタイミングは前後しよう。

◆主要ニュース


・11月東京都心オフィス空室率 1.98%(前月 2.20%)

・12月日銀短観業況判断DI(3ヵ月後見通し/現状/前回)
 大企業製造業 15/19/19
 中堅企業製造業 11/17/15
 中小企業製造業 8/14/14

 大企業非製造業 20/24/22
 中堅企業非製造業 13/17/18
 中小企業非製造業 5/11/10

 雇用人員判断DI(過剰-不足)
 大企業全産業 ▲24/▲23/▲23
 中堅企業全産業 ▲37/▲34/▲33
 中小企業全産業 ▲43/▲39/▲37

 需給判断DI(需要超-供給超)
 大企業製商品サービス ▲2/▲1/1
 中小企業製商品サービス ▲14/▲11/▲9
 大企業海外向け ±0.0/3/4
 中小企業海外向け ▲8/▲6/▲4

 在庫判断DI(過大-不足、現状/前回/前々回)
 大企業製商品在庫 6/7/6
 中小企業在庫 10/10/10
 大企業流通在庫 2/3/3
 中小企業流通在庫 9/7/7

 価格判断DI(上昇-下落)
 大企業販売価格 1/6/7
 中小企業販売価格 6/4/5
 大企業仕入 20/24/27
 中小企業仕入 42/41/41

 生産・営業設備判断DI(過剰-不足)
 大企業製造業 ▲4/▲5/▲3
 中堅企業製造業 ▲5/▲4/▲6
 中小企業製造業 ▲9/▲7/▲10

 設備投資計画前年比(前回発表時)
 大企業製造業 +15.6%(+17.5%)
 中堅企業製造業 +15.0%(+17.2%)
 中小企業製造業 +15.2%(+11.6%)
 大企業非製造業 +13.5%(+11.0%)
 中堅企業非製造業 +8.6%(+3.7%)
 中小企業非製造業 ▲12.8%(▲18.1%)

・12月日経日本製造業PMI速報 52.4(前月52.2)

・10月日本鉱工業生産改定  前月比+2.9%(速報比変わらず、前月▲0.4%)、前年比+4.2%(±0.0%、▲2.5%)
 出荷+3.5%(▲1.9%、▲2.0%)、+5.7%(▲2.0%、▲2.9%)
 在庫▲1.3%(▲0.1%、+1.2%)、▲0.7%(+0.1%、+3.5%)

・1-11月期中国工業生産 前年比+6.3%(1-10月期+6.4%)、11月+5.4%(前月+5.9%)

・1-11月期中国固定資産投資 前年比+5.9%の60兆9,267億元(1-10月期+5.7%の54兆7,567億元)
 国有 +2.3%(+1.8%)、私有 +8.7%(+8.8%)

・1-11月期中国小売売上高 前年比+9.1%の34兆5,093億元(1-10月期+9.2%の30兆9,834億元)。11月+0.5%の3兆5,260億元(+0.6%の3兆5,534億元)

・1-11月期 不動産開発投資 前年比+9.7%の11兆83億元(1-10月期+9.7%の9兆9,325億元)

・11月対中直接投資 前年比▲26.3%の645億元(前月+7.2%の763億元)、 1-11月+3.3%の7,012億元(1-10月+2.9%の6,367億元)

・11月独消費者物価指数改定 前月比+0.1%(速報比変わらず、前月改定+0.1%)、前年比+2.2%(±0.0%、+2.4%)

・11月独卸売物価指数 前月比+0.2%(前月+0.3%)、前年比+3.5%(+4.0%)

・11月欧州新車登録台数 欧州合計 前年比▲8.1%の1,158.300台(前月▲7.4%の1,118,859台)

・12月独製造業PMI速報 51.5(前月改定 51.8)、サービス業 52.5(53.3)、コンポジット52.2(52.3)

・12月ユーロ圏製造業PMI速報 51.4(前月改定 51.8)、サービス業 51.4(53.4)、コンポジット 51.3(52.7)

・11月インド卸売物価指数 前年比+4.64%(前月+5.28%)

・11月インド貿易収支 ▲16億6,700万ドルの赤字(前月▲171億1,300万ドルの赤字)
 輸出 前年比+0.8%(+17.9%)、輸入 +4.3%(+17.6%)

・11月米輸入物価 前月比 ▲1.6%(前月+0.5%)、前年比+0.7%(+3.3%)
 輸出物価 前月比▲0.9%(0.5%)、前年比+1.8%(+3.1%)

・米週間新規失業保険申請件数 206千件(前週233千件)失業保険継続受給者数 1,661千人(1,636千人)

・11月米財政収支 ▲2,049億ドルの赤字(前月▲1,005億ドルの赤字)

・11月米小売売上高 前月比 +0.2%(前月+1.1%)
 除く自動車+0.2%(+1.0%)
 除く自動車ガソリン+0.5%(+0.7%)
 除く自動車・建材+0.9%(+0.7%)

・11月米設備稼働率 78.5%(前月改定 78.1%)

・11月米製造業生産 前月比±0.0%%(前月改定▲0.1%)

・12月米製造業PMI速報 53.9(前月改定 55.3)、サービス業 53.4(54.7)、コンポジット 53.6(54.7)

・ECB政策金利を±0.00%に据え置き。上限政策金利も0.25%に据え置き、下限政策金利も▲0.4%に据え置き。資産買入を終了。償還金再投資は利上げ開始後も継続。

・米政府、中国に対して関税引き上げを3月1日まで延期することを正式に通知。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 2,913BCF(前週比▲79BCF)
 東部 732BCF(▲20BCF)
 中西部 885BCF(▲29BCF)
 山間部 160BCF(▲8BCF)
 太平洋地区238BCF(▲15BCF)
 南中央 898BCF(▲7BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数873(前週比▲4)、 ガスリグ 198(前週比±0)。

・IEA月報
 世界石油需要 Q118:98.2、Q218:98.5、Q318:99.6、Q418:100.2、2018:99.2
 非OPEC供給(含むNGLs) Q118:59.1、Q218:60.0、Q318:61.3、Q418:61.2、2018:60.4
 Call on OPEC Q118:32.2、Q218:31.6、Q318:31.3、Q418:32.0、2018:31.8
※生産見通し北米下方修正修正でCall on OPEC増加。

・サウジアラビア、対米原油輸出の大幅削減を米製油所に通達。原油在庫の積み上がりを抑制する狙い。

・大阪ガス、米火力発電事業に参画。

【メタル】
・11月中国粗鋼生産 前年比+11.5百万トンの77.6百万トン(前月 82.6百万トン)

・11月日本アルミ港湾在庫港湾在庫 前年比+60,500トンの295,400トン(前月 317,300トン)

・ストライキの影響で豪州の石炭輸送に障害。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGE小豆 ( 穀物 )/ +5.24%/ +4.45%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +4.70%/ +186.75%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +2.13%/ +20.41%
4.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +1.75%/ ▲12.69%
5.ICEココア ( その他農産品 )/ +1.68%/ +18.23%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲7.20%/ +29.60%
67.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲4.76%/ ▲26.00%
66.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲2.97%/ ▲20.28%
65.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲2.62%/ ▲15.26%
64.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲2.30%/ ▲15.81%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,100.51(▲496.87)
S&P500 :2,599.95(▲50.59)
日経平均株価 :21,374.83(▲441.36)
ドル円 :113.39(▲0.24)
ユーロ円 :128.20(▲0.90)
米10年債利回り :2.89(▲0.02)
独10年債利回り :0.25(▲0.03)
日10年債利回り :0.04(▲0.02)
中国10年債利回り :3.36(+0.02)
ビットコイン :3,156.89(▲97.92)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.48(▲0.8)
エネルギー :51.38(▲1.59)
ベースメタル :18.48(+1.2)
貴金属 :15.80(+0.18)
穀物 :15.84(▲0.12)
その他農畜産品 :24.28(▲1.89)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :48.04(+0.62)
Brent :45.21(+0.25)
米天然ガス :111.03(▲11.26)
米ガソリン :51.37(+0.93)
ICEガスオイル :40.32(+0.03)
LME銅 :15.18(+0.97)
LMEアルミニウム :14.02(+0.32)
金 :17.26(▲1.13)
プラチナ :17.29(+0.06)
トウモロコシ :11.28(+0.03)
大豆 :17.26(▲1.13)

【エネルギー】
WTI :51.20(▲1.38)
Brent :60.28(▲1.17)
Oman :59.30(▲1.15)
米ガソリン :143.43(▲4.39)
米灯油 :184.53(▲3.12)
ICEガスオイル :556.25(▲1.25)
米天然ガス :3.83(▲0.30)
英天然ガス :67.95(+1.42)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :60.28(▲1.17)
SPO380cst :362.71(▲8.43)
SPOケロシン :74.04(▲1.72)
SPOガスオイル :71.93(▲1.46)
ICE ガスオイル :74.66(▲0.17)
NYMEX灯油 :184.25(▲1.17)

【貴金属】
金 :1239.02(▲2.97)
銀 :14.58(▲0.17)
プラチナ :787.00(▲9.50)
パラジウム :1243.26(▲20.01)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,101(▲84:3B)
亜鉛 :2,516(▲74:44B)
鉛 :1,939(▲23:12C)
アルミニウム :1,921(▲11:13C)
ニッケル :10,815(▲50:75C)
錫 :19,375(▲50:10C)
コバルト :55,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6140.50(▲12.50)
亜鉛 :2533.00(▲42.00)
鉛 :1954.00(+7.00)
アルミニウム :1925.50(▲4.50)
ニッケル :11040.00(+190.00)
錫 :19390.00(▲65.00)
バルチック海運指数 :1,365.00(+12.00)
※C=Cash2M コンタンゴ、B=Cash2M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :68.62(+1.13)
NYMEX鉄鉱石 :67.89(+0.63)
NYMEX原料炭スワップ先物 :226(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,542(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,427(+38)
米鉄スクラップ :390(±0.0)

【農産物】
大豆 :900.50(▲6.50)
シカゴ大豆ミール :309.40(±0.0)
シカゴ大豆油 :28.39(▲0.25)
マレーシア パーム油 :1835.00(±0.0)
シカゴ とうもろこし :376.75(+1.25)
シカゴ小麦 :527.75(±0.0)
シンガポールゴム :141.30(+0.60)
上海ゴム :11005.00(▲10.00)
砂糖 :12.65(▲0.10)
アラビカ :96.95(▲1.85)
ロブスタ :1443.00(▲34.00)
綿花 :79.60(+0.19)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :54.95(+0.15)
シカゴ生牛 :119.58(+0.13)
シカゴ飼育牛 :147.58(▲0.40)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。