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米中の景気に配慮した政策期待で景気循環銘柄上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年1月8日 第1460号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中の景気に配慮した政策期待で景気循環銘柄上昇」

昨日の商品価格は債券や貴金属の一角、農産品セクターが売られ、総じて景気循環銘柄が上昇する展開となった。先週末に発表された米雇用統計が良好な内容だったこと、中国政府の金融緩和による景気刺激、米FRBの利上げペース鈍化観測が価格を押し上げた。

というよりは、昨年10月以降の過剰な景気への懸念で相場が急落、ファンド閉鎖などの手仕舞い売りと相まってややオーバーセルの状態になった中、景気循環系商品の買戻しが優勢になったと整理するのが適当だろう。

2019年は景気の下振れリスク要因が非常に多く、いずれも政治的な材料ばかりである。繰り返しこのコラムで紹介している通り、主なところでは

1.米中貿易戦争2.米国の利上げ動向3.中国の地方政府財政のひっ迫並びにデフォルトリスク4.ハードBrexitのリスク5.欧州の政治不安(ドイツ、イタリア)6.中東情勢の悪化に伴う景気減速下での原油価格上昇7.北朝鮮情勢の悪化

辺りが考えられる。

国内に目を向けると、

1.消費税上げによる消費の落ち込み2.夏の参議院選挙で与党が敗退するリスク3.省力化投資の一巡に伴う雇用の減速リスク4.韓国文在寅政権の親北朝鮮・反日政策がビジネスに影響をおよぼすリスク

などが考えられる。この中で、実は2.のリスクが小さくないとみている。安倍政権の評価はここでは置いておくとしても、世界の景気が減速する局面では、「国のエゴ」が強く出るため経験の少ない首相が対応すると「舐められる」可能性が高まる。

自民党の景気減速時に政権が交代することは、過去の例を見ても市場が混乱するケースが多い。その意味では、韓国が対日姿勢を強めていることも国内の混乱、とくにハイテク向けの素材産業に打撃となるため、看過できないリスクである。

これらのリスクはいずれも政治的な要因であるため、アナリストやエコノミストの意見では、「分かっているリスクなので、顕在化しないように政治家が努力することから、その発生のリスクは低い」という整理になる。

しかし、必ずしもそうならないのは過去の歴史が証明しており、発生確率が低いとしてもリスク要因として意識し、事前に対応できるリスクなのかそうでないのかを、平時に把握しておくことが肝要だ。

これらのリスクを「当てに行っても正直意味がない」と弊社は考えている。年中予想をしているアナリストでも、当たる確率は高くない。

そして当てなければならないものが「リスク」である場合、その発生確率は通常、10%もないためこれを当てるのは困難だ。むしろそれを当てるためにコストを割くよりも、「そのリスクを列挙し、それが発生した時の対応方針を事前に決めておくこと」にコストを割くべきだ。

そして、ここで押さえるべきは、リスク顕在化時の対応方針を事前に検討していた場合としていない場合では、対応するために掛けられる時間やコストの差があるため、そのリスクに対する対応の範囲や深さに大きな差が出る点である。

2019年は特にそのことを意識するべき年になるのではないかと考えている。

本日は、上記の政治要因のうち、商品価格に最も影響を与えるとみられる材料の1つである米中貿易交渉に注目している。両国ともこれ以上の景気減速は「一旦回避したい」と考えているとみられるため何らかの妥協はあると思うが、覇権を争う戦いであるため長期戦は必須とみており、その効果は一時的なものになると予想される。

とはいえ、中国の軽罪対策や米国の利上げペースの鈍化期待から、総じて景気循環銘柄価格に上昇圧力が掛かる展開になると予想する

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

昨日の原油価格は上昇した。OPECの減産開始や先週末の米雇用統計の改善、FRBの金融政策スタンスの柔軟化が材料となり、買戻しが優勢となった。

原油価格は一旦上昇余地を探る動きになると考える。昨年からの下落は循環的な景気の減速に、米国の中国制裁が重なり、景気の先行きが懸念されての下落だったと考えられるが、それを受けた株価の急落などもあって11月末、12月末を意識したファンドの売りが嵩んだことでオーバーセルの状態になったことから、1月からOPECの減産が始まることもあり、買戻しが入りやすいため。

また、昨年後半のリスク資産価格下落の主因の1つとなった米国の利上げも、そのペースが鈍化すると期待されていることも金融面で価格を支えると考える。

とはいえ、米中貿易戦争の長期化や北米の増産がQ119も緩やかに増加すると予想されること、年後半にかけて米国の減税効果が剥落することから上値も重く、本格的に上昇に転じるのは2020年以降のインドの人口ボーナス期入り以降となるのではないか。

足元の景気循環銘柄価格下落の主因の1つである米中貿易戦争であるが、どのように決着するか現時点で誰も見通すことはできないが、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れられることを承諾します」というまで継続すると予想する。

そして、それほど短期決戦にはならないと考えられるため、比較的長い間景気にマイナスに作用すると予想されることから、原油を始めとする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、12月18日付のWTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比▲1,869枚の502,715枚、ショートが▲1,971枚の193,107枚、Brentは12月18日付でロングが▲967枚の260,466枚、ショートは▲13,370枚の108,466枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月18日以降、データは更新されていない。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれることから構造的に需要増加が見込めるため強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年~2040年頃にピークを迎えるとの見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、財政的なサポートが必要なEVは、市場の期待するようなペースで拡大するとは見ていない。

また、EV化が進むにつれて同時に発生する、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)も期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると予想されることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に転じると判断するのは早計と見る。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃(2050年頃)になるのではないか。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.中東情勢の悪化

2.上流部門投資低迷の影響

1.の中東情勢はより混迷を極めている。年初は、「米国+イスラエル+サウジ」vs「イラン+ロシア」という構図だったが、米国の大使館移転や、サウジアラビア ムハンマド皇太子のジャーナリスト殺害疑惑などで、米国・サウジアラビアの関係がギクシャクしてきている。

OPECもカタールが脱退、反サウジアラビアの姿勢を強め、イランもOPECの継続についてやや懐疑的な見方を示すなど、「景気後退局面・需要減速局面での産油国のエゴ」がむき出しになりつつある。

通常であれば増産攻勢が強まり、価格の下落要因となりそうだが、軍事的な衝突やサウジ対する制裁やそれに対する報復としての原油輸出停止も、ムハンマド皇太子が今のポジションにいる以上ない話ではない。

仮に、イランやサウジが軍事的に衝突した場合や、米国のイランに対する制裁が貫徹され、本当にイランが原油輸出できなくなるような場合には、ホルムズ海峡封鎖の可能性が高まるため、原油価格が100ドルを超えても何ら不思議はない。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

4.米中貿易戦争が終結する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が出高まっている。FOMCメンバーもハト派的な論調が増えてきており、2019年以降の利上げペースは当初予想よりも減速すると予想される。

4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国の中国制裁強化による中国の財政状況悪化ないしは地方政府のデフォルト

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.新興国の財政状況悪化ないしはデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。

2.は構造的な中国の経済成長減速に、米国の制裁強化が重なっているためデフォルトまでは行かなくとも地方政府の財政状況が悪化し、地域経済に影響を与える可能性は低くなくなっている。

3.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

5.は既に顕在化した。株価下落のきっかけは7月のFOMCでの利上げ以降の金利上昇で、米2年-5年金利が逆転したのを「景気後退」と株式市場参加者が判断、過剰に反応し、ファンドの閉鎖も伴いながらポジション解消が進んでいる。今や最大の下落要因となっている。

6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし大統領選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しない。

7.は米国の利上げ継続などで新興国からの資金流出が継続すると、現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの結束の揺らぎ

1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペースは鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まるまでの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増産ペースが加速するのはQ119になってからだろう。

2.は、12月のOPEC総会の結果を見てもわかるように、出口を模索する状態にはない。

ムハンマド皇太子の強硬姿勢に嫌気が指し、財政状況も厳しくなったカタールがOPEC脱退を決定するなど、結束にはほころびが出始めている。イランの減産分をサウジが肩代わりするなど、対立国の利害関係が対立しており、イランの脱退で生産調整が機能しなくなる可能性もある

石炭価格はじりじりと水準を切り下げる展開となっている。北朝鮮への制裁強化や中国の環境を意識した減産の影響で需給がタイト化し、価格水準が大きく切り上がったが、現在の供給環境を所与のものとしたとき、価格動向を左右するのはやはり景況感、すなわち需要動向である。

最大消費国である中国の景況感は悪化しており、需要面では石炭価格には下押し圧力が掛かりやすい状況になっている。当面、100ドル挟みの展開になると予想される。

なお、米国と北朝鮮の交渉が進捗し、制裁が緩和された場合にはさらに価格は下押しされることになると予想される。しかし、北朝鮮が核開発を継続している可能性が高い中、制裁緩和の可能性は高くない。

それよりは、米中貿易戦争の激化で中国が米国に従わない、親北傾向を強める韓国が非合法に北朝鮮に対する制裁を緩和する、という展開はあり得るだろう。

ただし、環境規制強化の世界的な流れを受けて、上流部門投資が抑制される見通しであることに伴う供給制限から下値余地も限定されると考える。この場合、石炭先物の期先の価格が目安として参考になるが、85ドル程度が下値の目途になるのではないか。

---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は上昇した。中国人民銀行が預金準備率の引き下げを決定したことを受け、今後も景気刺激策の実施が続くと期待されたこと、米FRBの金融政策の柔軟化によるドル安の進行、LME指定倉庫在庫の減少などが材料となった。

非鉄金属価格は米中の金融面での政策期待と、昨年後半の売られすぎからの反動で上昇するが、米中貿易戦争がそう簡単に解決しないとみられることから春先にかけて再び下落、原油価格が減産などの影響で6月頃に向けて上昇する中、実質金利の低下で非鉄金属価格も上昇するとみられるものの、秋口にかけては米減税効果の一巡から再び下落、2020年にかけてはインドの人口ボーナス期入りを背景に需要面が価格をけん引すると考える。

ただし、米中貿易戦争は一時的な緩和はあるものの今後も継続する見込みであること、欧州の景況感悪化に伴う政情不安の高まり、英Brexitがハードなものになる可能性があること、といった現在顕在化しつつあるリスク要因が景気に対する懸念を強めるため、特に上期中は下振れリスクを意識する必要がある。

足元の景気循環銘柄価格下落の主因の1つである米中貿易戦争であるが、どのように決着するか現時点で誰も見通すことはできないが、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れられることを承諾します」というまで継続すると予想する。

そして、それほど短期決戦にはならないと考えられるため、比較的長い間景気にマイナスに作用することになるため、非鉄金属を始めとする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年+11.8%の6兆1,169億円(1-10月期+13.6%の5兆5,212億元)、11月は▲1.8%の5,948億円(前月+3.6%の5,480億元)と減速が鮮明となっている。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が顕在化していることは間違いなさそうだ。

なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする来年以降になるとみており長期的には強気の見通しである。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、12月28日付のLMEポジションを見ると、全ての金属でロング・ショートとも増加しており、総じてロングの増加が大きいようだ。10月頃から始まったリスク回避と手仕舞いによるポジション解消の動きが一巡、中国や米国の政策期待が高まったことで市場参加者のポジションテイクが回復した形。

唯一ネットロングを減らしたのがアルミ。米政府はプーチン大統領とのつながりが強いとされる新興企業財閥(オリガルヒ)のデリパスカ氏のルサルへの出資持ち分を大幅に減らすことで合意したことを受け、同社に対する制裁解除を決定、これにより供給不安が後退している。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は12月21日に80.3億ドルの最低値を付けたが、28日時点では105.6億ドルまで買い越し額を増加させている。一方買い越し枚数もトン数換算ベースで一時2,965千トンまで減少したが、28日時点では3,405千トンまで回復している。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気のスタンスを崩していない。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の景気刺激策の実施

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

4.米中貿易戦争が終結する場合

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。

2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、若干鎮静化している。EV普及のためには補助金負担は必須であり、景気が減速する中ではなかなか積極的にEV政策を推し進められないことが背景にある。よって、市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていない。

3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られやすいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能性は高まった。

4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。

1.米金融規制緩和

2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼゼロになった。

2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が出てきた。FRBパウエル議長を含むFOMCメンバーもハト派に傾きつつある。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

3.株価の調整

4.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

5.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。

2.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

3.は既に顕在化した。株価下落のきっかけは7月のFOMCでの利上げ以降の金利上昇で、米2年-5年金利が逆転したのを「景気後退」と株式市場参加者が判断、過剰に反応し、ファンドの閉鎖も伴いながらポジション解消が進んでいる。今や最大の下落要因となっている。

4.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし大統領選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。

5.は米国の利上げ継続などで新興国からの資金流出が継続すると、現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は上昇、原料炭スワップ先物は横這い、鉄鋼製品価格は小動きだった。中国政府の金融緩和を受けて鉄鋼製品価格が再び上昇していることが材料となっている。

鉄鉱石価格は現状水準で推移すると考える。中国政府が景気刺激のために金融緩和実施を決定したこと、冬場の鉄鋼生産抑制継続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買いを誘うと考えられること、季節的に輸入鉱石の需要期に当たること、環境面を意識した高品位鉱選好の動きは継続するとみられることが価格を押し上げるが、中期的には鉄鋼製品生産の減速で鉄鋼向け鉄鉱石需要の減速が予想されることが、価格の上値を押さえると考えられるため。

12月の中国鉄鋼業PMIは44.2(前月45.2)と低迷。特に生産削減方針を受けて生産の減少(47.6→39.1)が顕著だ。新規受注は国内向けがやや回復(35.4→39.5)したものの、輸出新規受注が大幅に減速(43.2→35.8)しており、地合いは弱い。

ただし完成品在庫(58.8→45.9)、原材料在庫(54.8→47.7)と在庫水準が低下していることが、鉄鋼製品・鉄鋼原料価格を下支えしよう。

こうした国内外の減速による景況感の悪化、とくに中小企業の景況感悪化を回避するために中国政府は減税や公共投資実施などの対策を行う方針を、中央経済工作会議で示した。

ただし、同時に地方政府の財政状況も厳しく、バブルを誘発するほどの公共投資も実施できないため、恐らく金融緩和程度に止まり、鉄鋼製品、鉄鉱石価格の下支え要因にはなるが、価格を大きく押し上げるほどの効果はないと見る。

なお、米中貿易戦争がどのように決着するか、現時点で誰も見通すことはできないが、恐らく米国は「中国が西側の仕組みに組み入れられることを承諾します」というまで継続すると予想する。

そして、それほど短期決戦にはならないと考えられるため、比較的長い間景気にマイナスに作用することになるため、非鉄金属を始めとする景気循環系商品価格の下押し要因となるだろう。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年+11.8%の6兆1,169億円(1-10月期+13.6%の5兆5,212億元)、11月は▲1.8%の5,948億円(前月+3.6%の5,480億元)と減速が鮮明となっている。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が顕在化していることは間違いなさそうだ。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。

鉄鋼製品在庫は前週比+40.5万トンの833.7万トン(過去5年平均991.2万トン)であり鉄鋼製品価格は例年よりも高い水準を維持しそうだ。このことは鉄鉱石価格の下支え要因となる。

直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比+155万トンの1億4,055万トン、(過去5年平均1億964万トン)、在庫日数は前週比+0.4日の33.4日(過去5年平均30.4日)と例年の水準を上回った。粗鋼生産が駆け込み需要が剥落したためと考えられ、鉄鉱石価格を下押しするだろう。

長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年からインドが人口ボーナス期に入る見込みであることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。

1.中国の景気刺激策の実施

2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合

3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。

2.はそのプロジェクトの質(たち)の悪さから導入を見送る国が増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではない。

3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているため、部分的な財政出動で合意する可能性はある。

下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。

1.中国の住宅バブル崩壊

2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない場合

3.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が下落する場合

4.地政学的リスクの顕在化

5.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

6.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

2.に関しては地方財政が悪化していることは確かなようで、財政状況を悪化させるような財政追加出動よりは金融緩和に舵が切られる可能性が高く、その顕在化の可能性も高まっている。

4.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

5.は常識的な落としどころを探る動きになる、とみていたが結局、米中の貿易戦争は開戦となった(その他の地域に対する関税引き上げはこれとは別に存在)。

関税引き上げは消費税引き上げのような緊縮財政と同様の経済効果をもたらすため、景気には明らかにマイナスとなる。その結果、中国国内の鉄鋼製品価格を押し下げ鉄鉱石価格の押し下げ要因となるだろう。

6.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪貴金属≫---

金価格は比較的狭いレンジでのもみ合いとなった。リスクテイク再開でドル安が進行したこと、金正恩が中国を訪問していると伝えられたが米国へのけん制と捉えられたことが買い材料となった。

その一方で株価が上昇したことや、株上昇・金利上昇に伴う実質金利の上昇が上値を押さえた。

PGMもほぼ同様の相場展開であったが、プラチナは前日比マイナス、需給タイト感が強いパラジウムはプラスで引けた。

金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。米国の政府閉鎖が始まったこと、国防の要である米国防長官が実質上更迭され、米国の軍事的な政策が強硬になる可能性があること、米国の中国制裁は本気であり簡単に解除されない見込みであること、英Brexitの問題が何ら解決していないことが、安全資産需要を高めるため。

また、こうした一連の政策や循環的な景気の減速を受けて米国の利上げが想定よりも早く打ち止めになるのではないか、との見方が名目金利を押し下げる一方、原油がOPEC減産などの影響で上昇しており、期待インフレ率の上昇圧力となっていることから実質金利が低下する可能性が高いことも価格を下支えすると考える。

英Brexitの一番現実的な解は、「とりあえずBrexitの期限を延期する」であるが、足元の報道ではこちらに向けて一時的に英国に対する規制を緩和するなどの案が検討されているようだ。ただ、これは諸刃の剣で他のEU離脱を企図する国が、「我々にも同様の措置を」となれば、EUが瓦解するリスクも秘める。

なお、金価格は実質金利が切り下がってきたため、地政学的リスクがフルに影響すれば1,400ドル程度までの上昇はありえる状況になってきた(この辺りの分析は後日MRA's Eyeで解説の予定)。

なお、地政学的リスクの影響がないとすれば、実質金利で説明可能な水準である1,050ドル程度までの下落はあると考える。

銀は、Silver Instituteなどの分析では供給の減少と電気製品向けの需要増加で供給不足になっていると指摘されているが、それよりは金価格動向や貿易戦争の影響が強く意識され、対金で軟調な推移となっている。

今後についても金価格が軟調に推移することから水準を切り下げる動きになると考える。現在の金銀レシオは80に大きなチャートポイントが重なり、底堅い推移となりつつ過去最高水準を維持している。

足元、COMEXの金銀在庫レシオの金銀レシオに対する説明力が高いが、足元でも金銀在庫レシオは高い水準を維持している。記録的な水準まで積み上がった銀の取引所在庫の影響で、しばらくはこの80越えの水準を維持するだろう(詳しくは2018年10月19日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

金銀レシオが80である前提であれば、地政学的リスクがフルに影響して1,400ドルになった場合、リスクプレミアムがはげ落ちて1,050ドルまで下落した場合に対応する銀価格は、17.5ドル、13.1ドルとなる。

金銀レシオが鉱工業生産などから説明可能な、長期の平均的な水準である74程度であれば、18.9ドル、14.2ドルとなる。

短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、12月18日時点で金のロングが+12,568枚の182,168枚、ショートが▲2,893枚の106,208枚、銀のロングが+2,887枚の74,023枚、ショートが▲5,688枚の54,192枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月18日以降データは更新されていない。

PGM価格は金銀価格が上昇するため同様に上昇するとみるが、世界景気が減速するとの見方が強まっていること、米中貿易戦争がやはりこれから激しくなるとの見方から景気循環系商品が売られる流れを受けて、対金銀での割安感が強まる展開になると予想する。

ただし、パラジウムはリースレートが30%を超える状態が続いており、実際の需給が非常にタイトであることを示している。景気の減速が明確にならない限り、しばらくは供給面が強く意識され、価格は高止まりするだろう。

米国の12月の自動車販売は1,750万台(市場予想1,724万台、前月1,740万台)と小幅に回復している。しかし、世界的な景気の減速や関税の引き上げなどの影響で2019年の自動車販売は減速する、というのが市場のコンセンサスとなりつつある。

12月の米消費者信頼感は128.1と前月の136.4から大幅に減速した。6ヵ月以内に自動車を購入すると答えた人の比率も12.7と前月の13.8から減速している。これは今年の7月以来の低水準だ。

FRBの利上げも限定的ではあるが継続する見込みであり、自動車メーカーのディーラー向けのインセンティブ負担も重くなることが予想され、自動車関税引き上げが宣言通り実施されるのであれば、自動車販売は減速する可能性が高く、PGM価格を下押しすると予想される。

中国の11月の自動車販売(工場出荷台数)は前年比▲13.9%の254.8万台(10月▲11.7%の238万台、9月▲11.6%の239万4,100台、8月▲3.8%の210万3,400台、7月月▲4.0%の188万9,100台)と5ヵ月連続でマイナス成長となり、同国の耐久財需要が減少していることが伺える。

弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが、直近の見通しでは2018年のプラチナの需給は50万5,000オンスの供給過剰と、前回発表の29万5,000オンスから供給過剰幅が引き上げられた。2019年についても45万5,000オンスの供給過剰が見込まれている。

2019年の自動車向けの触媒需要は前年比▲40万オンスとなる一方、供給は、南アフリカ(+5.5万オンス)、北米(+4.5万オンス)の増産がロシアの減産(▲2万オンス)を相殺、供給が+13万オンスとなることで需給の緩和感が強まる見込み。

この結果、地上在庫は312万オンス(2018年 266万5,000オンス))に増加する見込みで、在庫日数も146.8日(128.4日)と増加見込みであり、在庫の顕著な増加が価格上昇を抑制することになろう。

なお、南アフリカのPGM生産指数は9月時点で108.00(季節調整前)と過去5年平均を回復した。今の需要動向をみるとよりプラチナ需給が緩和し、パラジウムの供給は不十分で両者のスプレッドは、需給面からまた拡大する可能性が出ている。

12月18日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが▲1,278枚の46,981枚、ショートが▲1,674枚の35,594枚、パラジウムはロングが▲181枚の17,596枚、ショートが+261枚の3,793枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月22日以降データは更新されていない。

---≪農産品≫---

シカゴ穀物市場は小動きだったが、トウモロコシと小麦が下落、大豆が上昇した。大豆は中国が輸入を再開したとの報道が材料となったが、トウモロコシ・小麦は全体的に景気循環銘柄が物色され、非循環銘柄が売られる流れを受けて軟調だった。

穀物価格は下押し圧力が強まる展開が予想される。現状の水準でもみ合うものと見ている。米中の対立解消には相当の時間がかかるだろうとの見方が強まっていることが背景。

中国が米国から再び大豆を購入したと報じられていたが、米中首脳会談の結果や北半球と南半球の季節の違いに加え、シカゴ大豆が割安になったことが背景。結局、これ以上中国は米国以外の国からの調達シェアを引き上げる余地はないため、シカゴ大豆は下支えされるだろう。

12月の米需給報告では、トウモロコシの在庫見通しが17億8,100万ブッシェル(市場予想17億4,400万ブッシェル、前月17億3,600万ブッシェル)、大豆が9億5,500万ブッシェル(9億4,400万ブッシェル、9億5,500万ブッシェル)、小麦が9億7,400万ブッシェル(9億6,500万ブッシェル、9億4,900万ブッシェル)と、総じて在庫は市場予想を上回っている。

12月18日付のCFTC投機筋ポジションは、トウモロコシのロングが+16,559枚の420,949枚、ショートが▲14,859枚の217,821枚、大豆のロングが+348枚の145,157枚、ショートが▲8,252枚の130,626枚、小麦のロングが+8,490枚の145,960枚、ショートが▲7,444枚の128,366枚となっている。

なお、政府閉鎖の影響で12月18日以降データは更新されていない。

◆本日のMRA's Eye


「2019年原油価格見通し~上昇も上値重く」

2018年を簡単に振り返ると、循環的な欧州・中国の景気の減速に、米国の対中政策強化、米利上げの継続を受けて年後半にかけて景気の減速懸念が強まった。

原油だけは夏場のイランに対する制裁強化の影響による供給懸念で上昇していたが、結局下落に転じている。つまり価格動向は原油の減産度合いではなく、需要、すなわち景気動向の与える影響が大きいことを表している。(続く:次回は工業金属セクターの見通しです)

弊社は2019年に景気が減速し、原油価格が下落するとみていたがそれよりも早くこのリスクが顕在化した形である。

2019年以降の世界景気の見通しは、昨年10月時点のIMF見通しでは、2018年~2020年まで経済成長見通しは3.7%が見込まれており、景気は高原状態が継続すると予想されている。

これを前提とすると、2019年の原油価格は年央にかけて上昇、その後秋口にかけて下落、年末から来年中頃にかけて再び緩やかに上昇余地を探る動きになると考えている。

年央にかけての上昇は、OPECの減産が開始していること、価格の下落が需要を押し上げる可能性があることが背景で、秋口にかけての下落はトランプ減税の効果の剥落と、米国の循環的な景気減速、季節的な減速が背景。

年後半から来年にかけての上昇は、1.インドの人口ボーナス期入りに伴う構造的な需要増加、2.米国・欧州の循環的な景気底入れ、3.価格下落に伴う需要の増加が期待されることによる。

なお、過去の例を見てみても景気減速時はOPECの減産が価格を顕著に押し上げることはなく、下支え効果をもたらすものと整理しておいたほうが良い。

実際に価格が上昇するには景気の回復が必要である。そのため、価格が上昇するにしても上値は重いと考えられる。

ただしこれは希望的観測を含めたメインシナリオであり、このようにならないリスクイベントは多数存在する。以下が主なところだ。

1.利上げの継続による長短金利の上昇2.1.に伴う長短金利の逆転の可能性3.景気とは関係ない次元で行われている対中制裁とそれに対する報復4.一昨年末から始まっている景気の減速を受けた、欧州政治の混乱の懸念(イタリア、ドイツなどの与党敗退)5.先行き不透明なBrexitの問題6.トランプ政権の関税政策の完遂7.中国景気の一段の悪化8.原油価格下落に伴う産油国の財政状況の悪化で世界株の売却懸念が強まる

これらはそのほとんどが政治的な材料であり、どのように転ぶかを正確に見通すことは難しい。ただ、その多くが上期中に集中しているためQ119にさらに原油価格が下値余地を試す展開は十分に想定される。

例えば、IMFは仮にトランプ政権が関税政策を完遂した場合には世界経済成長は▲0.8%下押しされると予想している。

仮にそうなると世界経済の成長は3%を下回り、2.9%となる。過去36年のデータをもとに簡単な回帰分析を行うと、GDP成長と石油需要の増加率の間には相関があるが、±1標準偏差の誤差が±0.9%と比較的大きいもののが、GDP成長が2.9%を下回ると石油需要の伸びが前年比マイナスとなる可能性が出てくる。

この場合、OPECが減産を続けたとしても価格の下落は継続することになるだろう。

逆に価格が上昇するリスクシナリオとしては、上記の下落リスクシナリオが顕在化しない場合だろう。

例えば米国が利上げを見送ったり、場合によっては利下げが行われたり、Brexit問題が穏当に解決する場合などだろう。というのも市場はこれらのリスクを徐々に織り込んでいるためだ。

このほかの上昇リスク要因としては、中東情勢の悪化(イラン・サウジの中東派遣を巡る対立、価格下落に伴う財政状況の悪化に伴う治安悪化など)による供給懸念、米国のイランに対する制裁完遂(インドや中国も完全に輸入を停止)などが挙げられる。

ただ、このリスクが顕在化した場合には、景気減速下での価格上昇となるため、明らかに景気にはマイナスであり、さらに原油価格が上昇する中では生産調整が行い難い北米のシェールオイルの増産が始まるため、価格低迷が長期化する可能性が出てくる。

いずれにしても2019年の原油相場は非常に見通し難い状況が継続するとみられ、価格リスクマネジメントの重要性が強く意識される年になるだろう。

これらのイベントは上期に集中しているため、Q119に再び原油価格は下値余地を探る可能性があるが、基本、OPECの減産効果が徐々に出始めること、価格下落による需要押し上げがあることからいわゆる「ショック級」に分類されるイベントが顕在化しなければ、下値も限定されると考える。

◆主要ニュース


・12月日本マネタリーベース 前年比+4.8%の504.2兆円(前月+6.1%の501.6兆円)

・12月日経日本サービス業PMI 51.0(前月52.3)、コンポジット 52.0(52.4)

・12月日本国内自動車販売 前年比▲4.4%(前月+8.3%)

・12月中国製造業PMI 49.4(前月50.0)
 生産 50.8(51.9)
 新規受注 49.7(50.4)
 輸出新規受注 46.6(47.0)
 受注残 44.1(44.3)
 輸入 45.9(47.1)
 完成品在庫 48.2(48.6)
 原材料在庫 47.1(47.4)
 雇用 48.0(48.3)

・12月中国鉄鋼業PMI 44.2(前月45.2)
 生産 39.1(47.6)
 新規受注 39.5(35.4)
 輸出新規受注 35.8(43.2)
 完成品在庫 45.9(58.8)
 原材料在庫 47.7(54.8)

・12月中国非製造業PMI 53.8(前月53.4)
 新規受注 50.4(50.1)
 新規輸出 49.0(50.1)
 受注残 43.7(43.7)
 在庫 46.6(46.7)
 雇用 48.5(48.7)

・12月中国外貨準備 3兆727.1億ドル(前月3兆617億ドル)

・12月ユーロ圏製造業PMI改定 51.4(速報比変わらず、前月改定 51.8)
 サービス業 51.2(▲0.2、53.4)
 コンポジット 51.1(▲0.2、52.7)

・12月独製造業PMI改定 51.5(速報比変わらず、前月改定 51.8)
 サービス業 51.8(▲0.7、53.3)
 コンポジット51.6(▲0.6、52.3)

・11月独小売売上高 前月比 +1.4%(前月▲0.3%)、前年比 +1.1%(+5.0%)

・11月独製造業受注 前月比▲1.0%(前月+0.3%)、前年比▲4.3%(▲2.7%)

・1月ユーロ圏センティックス投資家信頼感 ▲1.5(前月 ▲0.3)

・12月独建設業PMI 53.3(前月51.3)

・11月ユーロ圏小売売上高 前月比+0.6%(前月改定+0.3%)、前年比+1.1%(+1.7%)

・12月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比+312千人(前月改定+176千人(速報比+21千人))
 民間部門雇用者数 +301千人(+173千人)
 製造業雇用者数 +32千人(+27千人)

・12月米失業率 3.9%(前月 3.7%)
 不完全雇用率 7.6%(7.6%)
 労働参加率 63.1%(62.9%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.4%(+0.2%)、前年比+3.2%(+3.1%)
 週平均労働時間 34.5時間(34.5時間)

・12月米ISM製造業景況指数 54.1(前月59.3)
 仕入れ価格 54.9(60.7)
 生産 54.3(60.6)
 新規受注 51.1(62.1)
 受注残 50.0(56.4)
 在庫 51.2(52.9)
 顧客在庫 41.7(41.5)
 輸出 52.8(52.2)
 輸入 52.7(53.6)

・12月米ISM非製造業景況指数 57.6(前月 60.7)
 新規受注 62.7(62.5)
 受注残 50.5(55.5)
 在庫増減 51.5(57.5)
 在庫景況感 59.0(60.0)
 雇用 56.3(58.4)

・2019年インド年間GDP予想 前年比+7.2%(前期+6.7%)

・中国人民銀行、1月15日と25日の2回に分けて預金準備率を合計1%引き下げ。

・アトランタ連銀ボスティック総裁(投票権なし・中間派)、「2019年は1回の利上げを支持。」

・クリーブランド連銀メスター総裁(投票権なし・タカ派)、「市場の流動性状況に影響を与えているのは実際のところFEDのバランスシート縮小ではない。」

・中国人民銀行、1月15日と25日の2回に分けて預金準備率を合計1%引き下げ。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・GS、2019年のBrent価格見通しを70ドルから62.5ドルに引き下げ、WTIを64.5ドルから55.5ドルに引き下げ。

・BP、北海のSharewater権益の売却を検討。

【メタル】
・トランプ大統領、「コンクリートではなく、鋼鉄製フェンスを計画。」

・GS、「中国の成長がQ418に著しく減速し製造業PMIが予想を下回ったことが売りに拍車をかけた。短期予想は修正するものの引き続き市場のファンダメンタルズに前向きであり、銅とアルミの12ヵ月予想をそれぞれ7,000ドル、2,000ドルに維持。銅の3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月の見通しは6,100ドル、6,400ドル、7,000ドル。」

・MS、「鉄鉱石価格は鉄鋼製品の生産減少で中国正月までに60ドル台に下落する見込み。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +6.04%/ +5.15%
2.日経平均 ( 株式 )/ +2.44%/ +0.12%
3.TCM原油 ( エネルギー )/ +2.24%/ ▲5.19%
4.ICEココア ( その他農産品 )/ +2.08%/ ▲0.25%
5.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ +1.96%/ +1.71%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲6.75%/ ▲2.96%
67.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲6.16%/ ▲10.68%
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.29%/ +0.14%
65.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.51%/ +5.72%
64.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲1.32%/ +4.39%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :23,531.35(+98.19)
S&P500 :2,549.69(+17.75)
日経平均株価 :20,038.97(+477.01)
ドル円 :108.71(+0.20)
ユーロ円 :124.74(+1.10)
米10年債利回り :2.70(+0.03)
独10年債利回り :0.22(+0.01)
日10年債利回り :▲0.01(+0.03)
中国10年債利回り :3.16(+0.03)
ビットコイン :4,011.94(+178.41)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :24.96(+0.19)
エネルギー :48.86(▲0.11)
ベースメタル :16.47(▲0.1)
貴金属 :13.97(▲0.28)
穀物 :14.44(+0.14)
その他農畜産品 :26.01(+0.61)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :57.88(▲0.19)
Brent :54.93(▲0.4)
米天然ガス :78.13(+1.17)
米ガソリン :50.41(▲0.02)
ICEガスオイル :37.42(▲3.29)
LME銅 :14.46(▲0.53)
LMEアルミニウム :16.71(+0.11)
金 :14.29(▲0.04)
プラチナ :17.39(▲0.57)
トウモロコシ :12.75(▲0.22)
大豆 :14.29(▲0.04)

【エネルギー】
WTI :48.52(+0.56)
Brent :57.33(+0.27)
Oman :56.27(+0.27)
米ガソリン :134.78(±0.0)
米灯油 :178.60(+1.68)
ICEガスオイル :538.75(+10.25)
米天然ガス :2.94(▲0.10)
英天然ガス :59.26(▲4.29)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :57.33(+0.27)
SPO380cst :355.27(+4.84)
SPOケロシン :72.15(+0.94)
SPOガスオイル :70.78(+1.17)
ICE ガスオイル :72.32(+1.38)
NYMEX灯油 :177.14(▲0.00)

【貴金属】
金 :1288.54(+2.49)
銀 :15.65(▲0.05)
プラチナ :821.57(▲1.13)
パラジウム :1305.55(+3.36)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,914(+54:24.5C)
亜鉛 :2,462(+28:73.5B)
鉛 :1,950(±0.0:15.5C)
アルミニウム :1,874(+12:16C)
ニッケル :11,105(+105:65C)
錫 :19,740(+190:25B)
コバルト :44,000(▲1,000)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5914.00(▲22.00)
亜鉛 :2496.00(+48.00)
鉛 :1948.00(▲8.00)
アルミニウム :1878.00(+10.00)
ニッケル :11150.00(+25.00)
錫 :19730.00(+140.00)
バルチック海運指数 :1,260.00(▲7.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :74.32(+1.37)
NYMEX鉄鉱石 :74.15(+1.06)
NYMEX原料炭スワップ先物 :197(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,856(▲7)
上海鉄筋中心限月 :3,498(+39)
米鉄スクラップ :377(±0.0)

【農産物】
大豆 :912.25(+2.75)
シカゴ大豆ミール :318.20(+3.10)
シカゴ大豆油 :28.26(▲0.15)
マレーシア パーム油 :2092.00(▲28.00)
シカゴ とうもろこし :382.25(▲0.75)
シカゴ小麦 :516.75(▲0.25)
シンガポールゴム :157.00(▲2.40)
上海ゴム :11500.00(+75.00)
砂糖 :12.65(+0.72)
アラビカ :102.75(+1.15)
ロブスタ :1524.00(▲1.00)
綿花 :72.75(+0.23)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :61.90(▲0.05)
シカゴ生牛 :123.20(+1.28)
シカゴ飼育牛 :146.00(+1.10)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。