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キャッシュ化一巡の兆しも強いリスク回避継続
  • MRA外国為替レポート

2020年3月23日号

◆先週の市場総括


先週も市場は極めて不安定な値動きを続けた。市場の混乱、とくに流動性不足、ドル資金不足に対してG7各国中央銀行が協調してドル資金を供給。鎮静化を図ったが容易には収まらず。欧州・米国における感染拡大と非常事態宣言や営業停止・外出禁止などの対策強化から景気悪化懸念は強まった。

週初はなおキャッシュ化、あらゆる資産を売却してドルにしようという動きが続き、安全資産である米国債や金でさえ売却され下落。週央まで米国債利回りの上昇が続いた。

債券市場の流動性が低下しており金利は乱高下。10年債利回りは0.7%から1.2%台に上昇した後、週末には0.8%台に低下した。

米国株はなおも乱高下しつつ下落。NYダウは結局20,000ドルを割り込んでトランプ政権下での上昇分をすべて吐き出した。

値動きの荒い展開にVIX指数(恐怖指数)は高止まり。週初に80台に高騰して始まり、週末にやや低下したものの60ポイント台半ばまで。

原油価格は世界景気の悪化懸念、需給悪化懸念から大きく下げて一時20ドルを割った。

ドルは終始堅調。ドル円相場は107円で始まり一時105円台に下落したがその後はもみ合いながら一貫して上昇。週末にかけて一時111円台に達し引けは110円80銭。ユーロドル相場は1.106から1.070へ大きくユーロ安ドル高が進んだ。

日経平均は軟調。17,500円近辺で始まり木曜日は16,300円まで下落し、引けは16,550円だった。

月曜日の東京市場は早朝から大きく動いた。前週末にかけて市場でのドル資金需要が急速に強まりドル流動性が不足。ドルの市場金利が上昇。また感染拡大もとくに欧州で勢いを増し、ドイツが事実上の国境封鎖に動くなど景気悪化懸念がさらに強まっていた。

そうしたなか米国FRBは現地15日日曜日、日本時間16日月曜日朝、▲1.0%の緊急利下げを実施して実施的にゼロ金利政策を再開。また量的緩和も再開した。

今後数ヵ月にわたり国債を5,000億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を2,000億ドル、合計7,000億ドル購入することを決定。さらに日米欧など6か国の中央銀行はドルスワップ協定を通じてドル資金供給の拡充を表明した。

これに先立ち、ニュージーランド中央銀行は▲0.75%の緊急利下げを実施した。また日銀は18日・19日の両日に予定されていた金融政策決定会合を16日月曜日に前倒しして1日で実施することを公表した。

日銀は昼過ぎに結果を公表。政策金利は据え置きとしてマイナス金利の深掘りは実施せず。一方、ETF購入目標を年6兆円から12兆円に倍増。J-RETの購入目標を900億円から1,800億円に倍増することとした。

またCP購入枠を2.2兆円から3.2兆円に、社債購入枠を3.2兆円から4.2兆円へ、資産購入枠を合計2兆円拡大した。

ドル円相場は前週末の108円ちょうど近辺から107円30銭に下落して始まった後、FRBの緊急緩和を受けて105円80銭に下落。その後は日銀の緊急会合を受けて107円40銭に反発した。ただ夕刻には反落して106円ちょうど近辺へ。

ユーロドル相場は1.1060で始まった後、FRBの利下げを受けて1.1190へとユーロ高ドル安。その後反落したものの夕刻には1.1240へと上昇した。ユーロ円相場は118円40銭に下落して始まった後119円80銭に上昇。その後も118円台前半から119円台前半で乱高下となった。

日経平均はFRBの緊急緩和や日銀の緊急会合での対応を期待して17,500円近辺で底固く始まった。日銀会合の結果を受けて300円超上昇したものの、その後は失速して500円超のマイナス。結果、17,000円ちょうど近辺で引けた。

中国で発表された小売売上高(2月)は前年同月比▲20.5%の大幅減少。鉱工業生産も同▲13.5%。固定資産投資は▲24.5%。かつてない悪化を示した。

中国人民銀行は統計発表前に金融機関に対して1,000億元の資金供給を発表した。欧米市場では株価が暴落。米国株式市場では今年3回目のサーキットブレーカーが発動され取引が一時中断した。

G7首脳はテレビで会合を実施したが、世界的流行への対処を最優先し保健対策で協調体制を組むこと、経済のリスク解決に取り組むことを示したが市場の反応は鈍かった。

トランプ大統領は国内感染拡大が落ち着くのは7月~8月、景気後退の可能性も、と言及した。NYダウは結局前週末比ほぼ3,000ドルの暴落。VIX指数(恐怖指数)は82.7ポイントに高騰。原油価格、金価格、ともに下落。

米国の長期金利は低下して2年債利回りは0.37%、10年債利回りは0.74%に。

一方為替市場では荒い値動きのなかドルが堅調。ドル円相場は一時105円20銭に下落したもののその後は106円台を回復、もみ合いの後105円90銭近辺。ユーロドル相場は1.1100へと大きくユーロ安ドル高となった後、1.1180で引け。ユーロ円相場は117円20銭に下落した後反発して118円40銭で引けた。

ラガルドECB総裁は、ユーロ圏財務相会合で、ユーロ圏の分裂を回避するためのあらゆる措置を講じる用意があると述べた。

火曜日の東京市場では海外株式の暴落を受けて日経平均が16,500円割れで安寄り。ただ日銀がETFを過去最大の1,200億円購入。また3.4兆円のドル資金を供給した。日経平均は17,500円に急反発。その後は17,000円割れに押されたが底固く、17,000円ちょうど近辺で引けた。

為替市場は株価動向を睨む値動きとなったが、ドルの堅調が続いた。ドル円相場は105円90銭で始まり、昼前には107円に上昇。その後106台前半に押されたがじり高となり夕刻は107円ちょうど近辺。

ユーロドル相場は1.1180近辺でもみ合いの後、夕刻から欧米市場にかけて一貫してユーロ安ドル高が進んだ。ユーロ円相場は118円40銭で始まり、株価反発につれ119円60銭に上昇したが反落して119円ちょうど近辺でもみ合い。

欧米市場に入ると米国株は乱高下のなか大きく反発した。FRBは来年3月まで財務省による100億ドルの拠出を背景にCPを購入することを表明。トランプ大統領が、新たに1兆ドルの大規模な経済対策を実施すると報じられた。

NYダウは一時20,000ドルの大台を割り込んだが反発して前日比1,050ドル高。VIX指数は前日比やや低下したものの乱高下を受けて75.9で高止まり。原油価格WTIは26.7ドルに小幅安。金相場は6営業ぶりに反発した。

欧州で発表されたZEW景況感指数(3月)はドイツの期待指数が前月の+8.7から▲49.5と大幅にマイナス。ユーロ圏も同様に+10.4から▲49.5に悪化した。

米国の小売売上高は前月比▲0.5%で1年2か月ぶりの大幅減少で感染拡大の影響を示唆した。一方、鉱工業生産(2月)は同+0.6%と2月時点ではなお堅調だった。

米長期金利はやや上昇して2年債利回りは0.49%、10年債利回りは1.07%。市場のドル資金需要は根強くドルは堅調。ドル円相場は一時106円30銭に下落したがその後は一貫してドル高。107円80銭に上昇して引けは107円60銭。

ユーロドル相場は1.098中心にもみ合い。引けは1.1100近辺。ユーロ円相場は117円40銭に下落した後、株価反発を受けて118円60銭に戻し、引けは118円40銭。

水曜日の東京市場では日経平均が前日引値17,000円近辺で寄り付いた後、前場は17,500円に上昇。しかし後場に入ると下落に転じ16,730円近辺で安値引け。

NY市は外出禁止令の発動を検討するとした。ドル円相場は107円60銭で始まり午後には株価軟調とともに106円80銭に下落。ただドルは堅調で夕刻には107円60銭に戻した。

ユーロドル相場は1.1000中心に上下した後1.1040に小幅上昇した後、1.0970に下落した。ユーロ円相場は118円40銭で始まり117円台後半に下落したが、夕刻は戻して118円30銭。

欧米市場では当局の対応にもかかわらず、市場における資産売却、キャッシュ化、ドル需要が続いた。EUは入域禁止措置を決定。ECBは全ての政策措置を適切に調整する用意がある、と表明した。

トランプ大統領はカナダ国境での人の移動を封鎖。FRBは緊急信用プログラムとして、MMFから購入した資産を担保として差し出す銀行に貸し出しを行うことを決定した。

3.8兆ドルのMMFのうち国債など質の高い資産の売却がスムーズに行えるように措置。英中銀は150億ドルを金融機関に資金供給した。

米国株はウィルス対策の強化を嫌気して大幅安。サーキットブレーカーが発動される暴落となった。NYダウは▲1,338ドルの下落で19,898ドルとなり、トランプ大統領就任後の上昇をすべて失った。

金相場は47ドル下落して14.8ドル。原油価格WTIは一時20ドル割れの大幅安で20.4ドル。キャッシュ化、ドル資金需要は続き債券価格も下落、長期金利は上昇。2年債利回りは0.53%、10年債利回りは1.18%。

為替市場では終盤やや押されたものの引き続きドルが堅調。ドル円相場は108円60銭に上昇した後反落して108円ちょうど近辺。ユーロドル相場は1.0800へユーロ安ドル高が進んだ後1.09に反発して引け。ユーロ円相場は117円ちょうど近辺に下落した後に118円に反発し引けは117円80銭。

木曜日の東京市場では、朝方にECBが資産購入プログラムを発表。一時円安に振れたもののその後は反落し、その後はドル堅調な流れが続いた。ドル円相場は108円ちょうどから109円50銭に、ユーロ円相場は117円80銭から119円20銭に。ユーロドル相場は1.090から1.098に上昇した後1.090に反落してもみ合い。

夕刻のドル円相場は109円ちょうど近辺に上昇。ユーロ円相場は反落して118円ちょうど~20銭で上下。ユーロドル相場は軟化して1.085中心に上下した。

日経平均gは17,100円台に高寄りしたもののその後は下落し16,300円に。後場は16,400円中心にもみ合い、引けはやや戻して16,550円。アジア時間でも米国債利回りは荒い値動きで、10年債利回りは1.28%に上昇した後、1.16%に低下した。

ECBは7,500億ユーロ(約89兆円)のパンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)を発表。すべての適格資産に加え信用十分なCP、ギリシャ国債も購入対象とした。欧米市場ではやや市場に落ち着きがみえた。

米国株が下げ止まり小反発。NYダウは前日比+188ドルの20,087ドル。VIX指数は4.45ポイント低下して72.0。金相場(4月限先物)は下げ止まり+1.4ドル小幅高で1,479.3ドル。原油価格WTI(4月限先物)は+4.85ドルで25.22ドル。

トランプ大統領は原油価格安定のために介入する意向を示した。米国務省は渡航警戒レベルを最高の4段階に引き上げ。すべての国への渡航を禁止し、海外米人に帰国命令を出した。

発表されたフィラデルフィア連銀製造業景気指数(3月)は前月の36.7から▲12.7へ大きく悪化。週次の失業保険申請件数は281千人と前週の211千人から増加して雇用に影響が出始めたのではないかとの懸念を生じた。

米10年債利回りは1.00%に低下した後1.16%に反発。2年債利回りは0.46%。ドルは引き続き堅調。

ユーロドル相場は1.073に下落した後一時1.08に反発したがその後大きくユーロ安ドル高。1.065~1.070でもみ合い引けは1.066。ドル円相場は109円50銭~110円ちょうどで上下した後、110円90銭に一段高となり引け。ユーロ円相場は118円80銭に上昇した後117円40銭に反落した後持ち直し118円10銭~40銭でもみ合い。

金曜日の日本市場は祝日で休場。アジア時間のドル円相場は値動きの荒い展開。ドル高に歯止めがかかり一旦反落した。110円90銭で始まり111円30銭台に小幅上昇したが、その後反落して110円20銭近辺で一旦もみ合い、その後下げを拡大して109円40銭。

ユーロドル相場は1.066でもみ合いの後1.074に上昇してもみ合い、さらに1.082へとユーロ高ドル安が進んだ。ユーロ円相場は118円20銭から70銭に上昇した後反落し118円30銭中心に上下した。

アジア株は反発上昇。前日までにFRBがMMFの流動化支援を、ECBが量的緩和の拡大を、それぞれ実施し、各国中銀がスワップ協定に基づきドル資金・流動性供給を続けていることでドル不足感がやや沈静化した。

ただ終盤はドルが底固い展開。欧州株も反発上昇。米国株も当初は堅調に推移したが、その後大きく反落した。

NY州知事がすべての必須でない事業・営業の停止、在宅命令を発令。またカリフォルニア州も4,000万人を対象に外出禁止令を発令した。

トランプ大統領は世界中でビザの発給業務を停止。またメキシコと国境での移動制限に合意した、と述べた。

こうした動きを嫌気して米国株は急反落し、NYダウは前日比▲913ドルの19,174ドルで引け。一方、VIX指数は▲5.96ポイント低下して66.04。

金相場(先物4月限、3/20取引最終日)は前日比+5.3ドルの1484.6ドル。一方、原油価格WTI(4月限先物)は一時20ドル割れ。2.69ドル安の22.53ドルで引けた。経済失速、需要減退懸念が根強い下押し材料。

米国はサウジアラビアにエネルギー省高官を派遣して原油価格安定化について協議すると報じられた。

米国長期金利は低下。2年債利回りは0.32%、10年債利回りは0.89%。ドル円相場は欧州時間に110円ちょうど~20銭で上下した後111円50銭に上昇。その後は111円割れとの間で上下して引けは110円80銭。

ユーロドル相場は1.064に下落、ユーロ安ドル高。その後は1.07に反発して引け。ユーロ円相場は117円70銭に下落した後119円80銭に上昇。その後は大きく反落して118円50銭を挟んで上下し引けは118円50銭

◆今週の3つの注目ポイント


1.株価・VIX指数・金相場

先週末も米国株は反落。この間、荒れ相場になって以降、2営業日上昇した日はない。

先週は、週初に各国中銀が協調してドル資金供給に踏み出したものの、なお様々な資産の売却、キャッシュ化の動きが続いた。

ただ週末には金相場が下げ止まり、株価下落にもかかわらずVIX指数はやや低下した。換金売りが一服し、金融市場の混乱が鎮静化の兆しをみせるか。米国株の年初来安値更新に歯止めがかかるか。

2.感染拡大状況と各国の対策

市場の混乱以前の問題として、感染拡大のペースや各国の対応強化の動きがみえるか。金融当局の市場対応や政府の景気対策・感染対策でも、一方で感染拡大や非常事態宣言、外出禁止令などが発令されると、回復しかけた市場のマインドが悪化して帳消しになる動きが続いている。

加速度的な事態悪化に歯止めがかかり、政府の厳しい対策が追加されるような事態が避けられるか。

3.欧米の経済指標

感染拡大の悪影響が次第に欧米の経済指標に顕在化しつつある。すでに欧州、米国の景気後退、さらには世界経済の景気後退を織り込みつつある。しかし実際にさらに悪い経済指標が突きつけられればマインドの悪化、株価の安値更新につながる可能性がある。

月曜日 ユーロ圏消費者信頼感指数(3月、予想▲13.0、前月▲6.6)

火曜日 PMI景況感指数(3月、ユーロ圏製造業、予想39.5、前月49.2、米国製造業、予想45.0、前月50.7、サービス業、予想43.3、前月49.4)

米国新築住宅販売(2月、季節調整済み年率換算、予想750千戸、前月764千戸)

リッチモンド連銀製造業指数(3月、予想▲10、前月▲2)

水曜日 米国耐久財受注(2月、前月比、予想▲1.0%、前月▲0.2%)

金曜日 米国の個人所得・消費支出(2月、前月比、予想+0.4%・+0.3%、前月+0.6%・+0.2%)

◆今週のMRA's Eye


キャッシュ化一巡の兆しも強いリスク回避継続

先週も激しい資産売却、キャッシュ化の動き、強いドル需要が続いた。株価の下落には歯止めがかからず、安全資産とされる米国債も売られ価格は下落、債券利回りは上昇基調。さらに金も売られ金価格は下落した。

機関投資家、個人投資家、広くのキャッシュ化に動いていることが推測される。

こうした状況では資産の買い手が乏しく、売買の値が付きにくい状況、市場の流動性=売買のしやすさが低下。結果として相場が乱高下。米国株の予想変動率指数であるVIX指数は急騰。米国債市場でもこれまでになく価格・利回りが上下している。

市場のドル不足、流動性の低下に対し、主要国6中央銀行は、先週初に、FRBを中心として市場への潤沢なドル資金供給を強調して行うことで合意。ドル不足・流動性下支えに動いた。

おそらく中央銀行が最も危機感を感じたのは、インターバンク市場でカウンターパーティーリスクが意識されるようになったことだろう。

景気後退リスク、企業業績への懸念を背景に、株価が下落、企業の信用スプレッドが拡大することはある程度やむを得ない。しかし、「金融機関に対する信用スプレッドが拡大すること」は金融システム不安につながる。

前週末3月13日にかけてインターバンク市場で不穏な動きがみられた。金融機関同士がドル資金を融通する際のレートが、理論的な金利を大きく上回り、上乗せ金利が際立って上昇。

カウンターパーティーリスク、ストレスを示すLibor-OIS※スプレッドが、通常は0.10~0.20%程度で推移しているところ、0.70%に急速に拡大した。

※OIS=Overnight Index Swap翌日物金利を参照金利とするスワップ取引のこと。翌日物金利を変動金利とし、固定金利との交換を行う。

日本円の場合は「無担保コールオーバナイトレート(加重平均値)」を翌日物金利として参照、米ドルの場合は「FF金利(Federal Funds Rate)」、ユーロの場合は「EONIA(Euro Overnight Index Average)」が参照される。

通常でも中央銀行の間でのスワップシステムがあり、それによる市場へのドル資金供給レート、スワップレートはOIS+0.50%とされている。通常ならこのレートがキャップとなり、インターバンク市場の上乗せ金利を抑制する。

今回、この市場のキャップとなっていた+0.50%が機能せず、それを上回ってスプレッドが拡大。強烈なドル需要とともに、インターンバンク市場のリスク急拡大を示した。

そのために6中銀はあらたに市場への資金供給に合意し、その際のスワップレートをOIS+0.25%に引き下げ、スプレッドの抑制、インターバンク市場の混乱鎮静化に努めた。

各国中央銀行は金利面のみならず、量的な側面でも対応。国債や社債、CPの購入によって、信用スプレッドの抑制および市場の流動性下支えに動いている。

とくにFRBはMMF(マネーマーケットファンド)から金融機関が購入した国債など質の高い資産を担保として、銀行へ貸し出し=ドル資金供給を行うこととした。

本来、リスク回避局面で待機資金の受け皿であるはずのMMFさえもキャッシュ化のために売却され、ドル資金不足を加速する事態となることに対応した。

これらの措置で、ドル資金需要・キャッシュ化に対しては万全の備えができつつあると考えられる。

キャッシュ化の動きは本来長期にわたるものでないこととあいまって、早晩落ち着くと考えられる。金相場の下落が止まりつつあることにその気配がみてとれる。

ただキャッシュ化が一服しても通常のリスク回避は続く。欧米で感染対策として緊急事態宣言、外出禁止、事業停止が強化され景気後退懸念は一段と高まっている。

キャッシュ化が一巡しリスク回避となっても、ドル高に歯止めがかかる可能性はあるがドル安円高となる可能性は小さいとみられる。この局面で、一旦手にしたドル資金を手放す投資家はおらず、ドルキャッシュキープだろう。

リーマンショックの際には円高となったがその比較もあたらない。

リーマンショックの際は金融市場にドルキャッシュ需要があったが、実需・投資家はドルやユーロから円キャッシュへ資金をシフトした。日本の金融機関の相対的安定感があったためだ。

しかし今回は米国経済の相対的安心感、米国金融機関の安心感が維持されている。実需・投資家の円資金への逃避はみられない。

今回注目されるのは欧州での事態悪化、景気悪化懸念、欧州金融機関リスク、ソブリンリスク(イタリアやスペイン)、欧州分断リスク、などだ。その結果、ユーロへの懸念が続き、反面でドルが堅調に推移する可能性が大きい。

欧州発リスク回避のなか、ドル高円安の勢いは鈍るものの、ドル安円高に反転する可能性は小さいと予想する。

欧米をみると状況の悪化、不安要因、リスク回避要因ばかりだが、視野を広げれば好材料もある。中国での感染拡大に歯止めがかかりつつあるようだ。少なくとも、工場などが機能し始めたことが確認される。まだ稼働状況は100%ではないにしても、今回の混乱の当初に懸念されたグローバル・サプライチェーンの停滞は解消に向かいつつある。

注目は各国・各地域での事業停滞、生産・サービスの停滞、消費停滞や雇用悪化に移行。今後は感染拡大の強弱、経済活動停滞の強弱、により為替相場の強弱を左右することとなろう。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :110.93(+0.22)
ユーロ :118.53(+0.16)
英ポンド :128.741(+1.59)
豪ドル :64.246(+0.66)
カナダドル :77.104(+0.81)
スイスフラン :112.544(+0.26)
ブラジルレアル :21.8755(+0.14)
中国人民元 :15.655(+0.19)
韓国ウォン(日本円=100) :8.83(+0.03)

【対ドルレート】
ユーロ :1.0688(▲0.000)
英ポンド :1.1629(+0.014)
豪ドル :0.5785(+0.004)
カナダドル :1.4366(▲0.015)
スイスフラン :0.9869(+0.001)
ブラジルレアル :5.0631(▲0.032)
中国人民元 :7.0962(▲0.012)
韓国ウォン :1245.63(▲40.10)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :0.85(▲0.30)
米2年債 :0.31(▲0.14)
日本10年債利回り :0.08(±0.0)
日本2年債利回り :0.08(+0.00)
独10年債利回り :▲0.32(▲0.13)
独2年債利回り :▲0.68(▲0.00)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :19,173.98(▲913.21)
NASDAQ :6,879.52(▲271.06)
S&P500 :2,304.92(▲104.47)
日経平均株価 :休場( - )
ドイツ DAX :8,928.95(+318.52)
インド センセックス :29,915.96(+1627.73)
中国上海総合 :2,745.62(+43.49)
ブラジル ボベスパ :67,069.40(▲1,262.40)
英国FT250 :13,592.64(+762.94)
ビットコイン :5971.92(▲282.48)

【主要商品価格】
WTI :22.43(▲2.79)
Brent :26.98(▲1.49)
米ガソリン :60.54(▲7.96)
米灯油 :100.63(▲3.54)

金 :1498.65(+27.41)
銀 :12.62(+0.50)
プラチナ :613.44(+22.24)
パラジウム :1642.72(▲13.42)
銅 :4868.00(+178:13C)
アルミニウム :1605.00(▲2:24.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :862.50(+19.25)
シカゴ とうもろこし :343.75(▲1.75)
シカゴ小麦 :539.25(+4.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。