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新型肺炎への懸念後退で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年2月20日 第1691号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「新型肺炎への懸念後退で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は非鉄金属などの景気循環系商品とその他の農産品や穀物の一角が売られたが、総じて堅調な推移となった。新型コロナウイルスの新規感染者数の増加ペースが、特に中国で減速していることが、景気の先行きへの楽観を強めたため。

また、昨日発表された米国の経済統計が総じて良好な内容であったことも、景気循環系商品価格の上昇要因となった。

中国の統計が正しいかどうかの議論はあるが、WHOが発表しているベースでは減少傾向が持続している。また、昨日もコメントしたが、中国での感染者はその大半が湖北省に集中しており、その他の地域の感染者数とは1桁から2桁、ケタが異なる。また、死亡者数も湖北省が1,921人だが、全体では2,006人でありやはり湖北省に集中している。

これを勘案すると世界的なパンデミック(ヒトからヒトへの断続的な感染が大規模に発生する)リスクは後退していると考えられ、事態終息は想定よりも早いかもしれない。

ただ、中国以外の国での拡大も懸念されるため楽観は禁物である。やはり中国政府が主張するように3月末で事態が鎮静化するにしても、この悪影響は4月頃までは続くと見るのが妥当だろう。本格的な終息は初夏頃だろうか。

この状況と異なるのが日本である。日本は他国と比較しても検査体制の整備に遅れが目立ち、感染検査が本格化したのは今週からである。実際これを受けて新規感染者数は増加した。

※関連グラフはリンクをご参照ください。詳しい解説は「MRA商品市場レポート for PRO」をご購読ください。
https://marketrisk.jp/news-contents

※Brent原油の期間構造アップデートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

■新型肺炎関連情報

新型肺炎の感染も拡大しており、どのように終息するかは全く予想がつかない状況。今のところ市場参加者は新規感染者数の増加に注目している。

※新型コロナウイルスの新規感染者数状況は、こちらのリンクからどうぞ。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8599.html

※より詳しい解説は、MRA商品市場レポート(有料)の「昨日の世界経済・市場動向のトピックス」「MRA's Eye」などで解説しています。

※レポートのお申込みはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

【本日の価格見通し総括】

本日も新型コロナウイルスの影響度合いが市場動向を左右すると見るが、市場では新規感染者数(世界全体)の減少を材料にしているため、過剰な懸念が後退しているのが実情で、景気循環系商品価格には上昇圧力が掛かりやすい。

現在懸念されているのは日本の動向。政府の対応が十分ではない、との見方は世界中から強まっている。ただ、日本の衛生観念は中国と比較して高く、「それほどの拡大にならないのではないか」との見方が根強いのも確かである。

しかし、今回の新型コロナウイルスがどの程度で感染し、どのようにすれば防げるのかがよく分からず特効薬も存在しないため、実際に感染者数が増加を始めていることから、企業の対応が厳格化する(出張禁止、面談禁止、大人数が集まる飲食店での飲食自粛など)可能性は高く、今週~来週あたりが1つのヤマになるのではないか。

本日予定されている材料としては、ISM製造業指数やGDPの先行指標であるフィラデルフィア連銀製造業景況指数(市場予想11.0、前月17.0)に注目している。

市場予想では減速が予想されており、これまで肺炎問題への楽観から上昇していた景気循環系商品価格には一旦調整圧力が掛かるのではないか。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日発表された日本の貿易統計は、輸出額は前年比▲2.6%と減速したが市場予想(▲7.0%)を上回った。輸出の減速は引き続き自動車(▲4.7%)が不振であることと、需要減速や価格低迷を背景とした建設用・鉱山用機械(▲27.2%)の減速によるところが大きい。

ただ趨勢とすると数量ベースの輸出の減速は季節調整前で▲1.6%(前月▲1.9%)とマイナス幅が縮小方向にある。主にEU向けの輸出減少ペースが顕著であるが、ボリューム的にはアジア向けの輸出減少ペースが鈍化している。

今後の輸出数量は、新型肺炎の影響で中国向けが減速する可能性が高い。また同時に中国の生産者が稼働していないことから、同国からの輸入も減速することになるだろう。

また昨日は機械受注も発表されたが、前月比▲12.5%(市場予想▲8.9%)と市場予想を下回った。製造業向けの受注は前月比+4.3%(前月+0.6%)と回復基調にあるが、非製造業は▲21.3%(+27.8%)と不安定であり先行き不透明感が増している。

今後についてもやはり新型コロナウイルスの影響がどの程度拡大するかに依拠することになるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%)に引き下。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっていたが、新型肺炎の影響であと2回弱の利下げを市場は織り込みつつある(▲50bp程度)。景気の減速が懸念されているため追加利下げは景気循環系商品価格の下支え要因に。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の影響拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済滑動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げによって、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油相場は上昇した。新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向が中国で継続しており、この問題が長期化する懸念が後退していることに加え、米統計の改善、リビアの供給不安、トルコ・シリア問題などによる中東懸念が材料視された形。

また、株価が急速に持ち直したことで、リバランスの買い圧力が強まったことも背景。

【原油価格見通し】

原油価格は統計上は新型コロナウイルスの新規感染者数が減少していることや、各国の経済対策期待が価格を押し上げる一方、中国や日本などの感染者数の上位国での生産・消費活動の鈍化懸念は根強く、価格を下押しするため現状水準でのもみ合いになると考える。

Brentの期間構造は2022年頃までバックワーデーションの状態を維持している。新規感染者数の減少傾向とリビアの減産観測が期近の価格を支えているようだ。最大生産国である米国のマーカー原油であるWTIは、6-7月までコンタンゴの状態であり、需給が緩和した状態が続くと見られている。結果、Brent/WTIスプレッドは拡大する可能性が高い。

※Brent・WTIの期間構造はこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8377.html

中国は早期終息を国際的に喧伝しているが、引き続き統計が正しいかどうかは疑わしい。また、日本での感染拡大の可能性が高まっていること、米国で大量に発生しているインフルエンザが、実は新型コロナウイルス奈のではないか(CDCは再検査を主張)との報道もあり、前回のSARSの例を参考にすればやはり終息宣言がでるのは初夏頃になるのではないか。

唯一、参考になるデータは新規感染者数の推移のみであり、しばらくこれに左右される展開が続くと考えられる。※状況のアップデートはこちらから。https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8599.html

OPECプラスの追加減産に対しては、ロシアが否定的(原油価格は依然、ロシアの予算レートを上回っているため)であり、予算的にも厳しいサウジアラビアが強く望んでいる。

米国の中東撤退方針強化以降、中東へのプレゼンスを高めようとしているロシアが、サウジアラビアに一定の配慮をせざるを得ない状況にあるため、応分の協力はするだろう。恐らく現時点では6月末までの減産期間延長が落しどころになると見ている。

一方、トランプ大統領の中東和平案を受けて、イスラエルとパレスチナの軍事的な衝突は激しさを増している。

ただ、今回の中東和平案は思いつきでやった、というよりも長年の米国のイスラエルに対する政策によって、動かしがたいところまでイスラエルのプレゼンスが上がり、アラブ諸国も経済的に無視できなくなっているため、「反発はするが、果実を得られなければ意味がない」という考えにシフトし始めているのも事実だろう。

イデオロギー的にはアラブ諸国の敗北といえるが、武装集団や反イスラエル勢力がこの状況を看過するとは考え難い。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化し、供給懸念が高まっているのも事実だ。

米国は中東原油への依存度が低下しているため、中東政策が「雑」になる傾向があり、中東情勢不安は今まで以上に高まっていると考えるべきである。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下したものの、武装勢力による小規模な攻撃は継続している。このような状況だと、米国人が1人死ぬことがレッドラインとするならば、局地的攻撃が偶発的な事故を誘発し、大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

現在、中東で特に懸念しているのがトルコの動き。トルコが関連している中東北アフリカ地区で、軍事的な衝突が懸念されるのはシリアとリビアである。

シリアへの介入は、イドリブ県のクルド族を対象とした軍事攻撃であり、これにアサド政権は強く反発しており、本格的な軍事衝突も否定していない。両国とも重要な産油国ではないが、域内原油の輸送に支障をもたらし、かつ、テロによる暴力の拡散懸念を高めるものだ(戦火拡大となれば、難民が南欧に流入して欧州経済のリスクを高めることに)。

リビアへの介入は、イスラエルが生産見込みであるガスの輸送を、地中海パイプラインで南欧諸国に油送することを検討しており、リビア暫定政府に肩入れすることで「領海を通るパイプラインの敷設を認可しない」とさせるためである。

地中海パイプラインを用いなければ、イスラエルのガスはトルコを経由して輸送するしかなくなる。逆に言えばトルコを通じて輸送できなければ、トルコは1.南欧への影響力行使、2.パイプライン使用料の確保、ができなくなるため看過できないのだ。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。米政権は中間層への減税を検討している。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。足元の中国の需要が減速していることと、ピークシーズンであることによる買い圧力が拮抗しているため、レンジワークを続けている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は新型肺炎への対策進捗期待が市場参加者のリスク選好を回復させているものの、新型肺炎の影響拡大は継続しており終息までは時間がかかることから、電力需要が鈍化、現状水準でもみ合うものと考える。

実際、中国の石炭輸入需要は減速しており、バルチック海運指数も低水準で推移している。

また、欧州で天然ガス価格の低迷や環境規制の強化に伴う脱石炭の動きが強まっていることも、石炭価格を下押ししよう。

長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスは減産期間の延長で協議を行っているようだが、今のところ合意は形成されておらず。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落による、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングが小幅増加、ショートが小幅増加となった。相対的な米国の対応力の強さ、感染への影響が限定されるとの見方で小康状態。

Brentはロングが減少、ショートが増加。アジア地区の景気減速とOPECプラスが生産調整で合意できていないことが材料視されている状況。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが577,155枚(前週比 +238枚)ショートが180,386枚(+843枚)ネットロングは396,769枚(▲605枚)

Brentはロングが387,298枚(前週比▲46,784枚)ショートが103,867枚(+22,500枚)ネットロングは283,431枚(▲69,284枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向が持続していることが買い材料視されたが、リスク回避や米統計が強い内容になったことで米ドルが物色される流れが続き、ドル高進行が価格を下押しした。

しかし、米住宅関連統計が良かったことが改めて評価され、かつ、株価が上昇をしたことで引けにかけては水準を切り上げる流れとなった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向が継続していること、中国製造業の稼働が緩やかながら始まったことを受けて徐々に上昇余地を探る動きに転じると見られるが、結局はレンジワークを継続すると見ている。

中国の工場は引き続き低稼働の状態が続いていることから実需の回復ペースは緩慢であり、価格が顕著に上昇するには景気への影響が限定されることが必要条件で、さらに中国国内の詳細な情報がもたらされることや、WHOが終息宣言を出すことが必要条件となる。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

制裁緩和の影響は今後の統計を睨みながらになる。ただ、中国が米国との合意を順守した場合、日本の中国向け工業品輸出が減少して、日本企業にとってはマイナスに作用する恐れがある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、非鉄金属セクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは減速したが、閾値の50を維持。しかし、新型肺炎の影響が統計に表れるのは2月以降であり、さらなる減速の可能性は高い(価格の下落要因。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の中国の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・2月14日付のLMEロング・ショートポジションの動向はまちまち。ピークシーズンが終了したことに伴う需要の減少を受けて鉛、中国鉄鋼業の稼働が低水準であることを受けて亜鉛のロングポジションが減少、錫もロングが減少した。

また、全ての金属のショートポジションは増加し、積み上がる形に。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲67.5億ドル(前週▲51.4億ドル)と売り越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+31.3%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,902千トン(前週▲1,483千トン全て売り越しに転じた。ネット売り越しの増加率は+28.2%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、原料炭スワップ先物も上昇、中国鉄鋼製品先物価格は小幅下落。

新型肺炎の早期終息期待が高まっていることや、Rio Tintoがサイクロンの影響で鉄鉱石生産見通しを下方修正したことが価格を押し上げた。

ただし、新型肺炎の影響で工場の低稼働状態が継続していることもあり、基本的には短期的な需要減少観測は根強く、もみ合いを継続しているとの印象。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の工場が徐々に稼働を始めたこと、Valeの生産調整、Rio Tintoの減産見通しの影響、中国政府の景気刺激策への期待で上昇余地を探る動きになると考える。

しかし新型コロナウイルス禍は終了していないため上昇余地も限られ、結局現状の水準でもみ合うものと考える。

中国河北省の高炉稼働率は2月14日時点で73.6%と前週の74.8%からさらに低下が確認されている。通常、高炉は再稼働時のコストがかかるため、稼働している高炉は稼働させ続けることが前提であるが、その前提が崩れている。鉄鉱石需要は減少する可能性は引き続き残存している。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、Valeは生産計画を下方修正したが、それでも2020年は同社の生産が本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは47.1(前月43.1)と回復した。生産活動の回復(44.1→46.7)と、新規受注の回復(36.2→46.8)が影響した。

しかし、そもそも水準が閾値の50を下回っており、原材料在庫の水準も51.1(前月48.9)と閾値の50を上回っていることを考えると、そこまで鉄鋼セクターの業況が良い、というわけではない。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲45万トンの1億3,065万トン(過去5年平均1億2,315万トン)、在庫日数は▲0.1日の26.8日(過去5年平均 29.4日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+283.6万トンの1,882.4万トン(過去5年平均1,340.5万トン)と例年を上回った状態が続いている。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は上昇した。実質金利の水準に大きな変化はなかったが、シリアとトルコの軍事衝突の懸念や新型肺炎への懸念からアップルが新型コロナウイルスの影響で業績見通しを下方修正、株価が急落したことを受けた実質金利の低下が価格を押し上げた。

昨日の金のリスクプレミアムは251ドルで前日からは▲1ドル下落した。前日の回帰分析結果との比較では+13ドルプレミアムが上昇している(毎日回帰分析を行っているため、前日の数字も変化している点にはご注意ください)。市場参加者のリスク回避姿勢が強まっていることを示唆するもの。

PGMは金銀価格の大幅上昇と株価の上昇を受けて、プラチナ・パラジウムとも大幅な上昇となり、プラチナは1,000ドルを回復した。

【貴金属価格見通し】

金価格は新型コロナウイルスが中国では沈静化傾向となっているものの、日本や中東などにも拡大しておりその影響が読み切れない中、低金利政策が継続すると見られていることから高値圏での推移になると考える。

コロナウイルス関連ニュースが日々の報道の大半を占める中、あまりニュースになっていないが中東ではシリアとトルコの全面衝突の可能性が高まっていることや、米中東和平案を受けてイスラエル・パレスチナの対立が深まっていることから、金のリスクプレミアムには上昇圧力が掛かると見られる。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。現在のプレミアムは250ドル程度であり、実力ベースでは金価格は1,350ドル程度と考えられる。

ただ実際は過去の実質金利からの乖離幅は平均で160ドル程度であるため(リスクが完全になくなることはあまりない)、リスクが回避された場合の下落余地は1,540ドル程度となる。実質金利の低下を受けて下値が切り上がった形。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇していたが高止まりしている。金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられ、20ドル前後まで価格が上昇してもおかしくない。

特にリスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、新型肺炎の拡大ペースが中国で鈍化していることを受けて株価が戻り基調にあるため、対金銀で割高に推移しよう。

特にパラジウムは供給懸念が強く意識されているため引き続き、上昇余地を探る動きになると予想している。

なお、パラジウムは投機の買いが押し上げているというよりも実際に顕著な供給不足によって上昇しているものであり、「どこまで上昇するのか」「調整した時のめどはどこか」といったことは正直不明である。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

1月の米自動車販売は1,684万台(市場予想 1,677万台、前月 1,670万台)と利下げの影響もあり回復している。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・市場はFRBの年1回の利下げを見込んでいるが、政策変更はないとの見方が現在のメインシナリオ。しかし新型肺炎の影響次第では追加利下げの可能性も否定できず。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するには数年単位で時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立が激化しており、全面衝突の可能性も出てきていることは金の安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロングが増加、ショートが大幅に減少。新型肺炎の影響に伴う低金利政策の継続観測が価格を押し上げている状況。銀はロング・ショートとも減少したがロング手仕舞いの影響がおおきかった。

PGMは銀と同様、手仕舞いの動きが強まり、ロング・ショートとも減少。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが356,535枚(前週比 +626枚)、ショートが48,561枚(▲7,542枚)、ネットロングは307,974枚(+8,168枚)、銀が96,395枚(▲683枚)、ショートが28,758枚(▲517枚)、ネットロングは67,637枚(▲166枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが71,738枚(前週比 ▲1,242枚)ショートが9,898枚(▲302枚)、ネットロングは61,840枚(▲940枚)

パラジウムが10,603枚(▲989枚)、ショートが5,438枚(▲126枚)ネットロングは5,165枚(▲863枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は総じてテクニカルな売買で方向感が出難い状態が続いている。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は現状水準でのもみ合いを続けると考える。現時点で穀物価格動向の方向性を断言するのは難しい。

というのも、新型コロナウイルスの影響で中国の輸入が減少するのでは、との見方がある一方で中国は米国に対する関税を1年間免除するなど、強弱材料が混在するため。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は豪州火災や干ばつ、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい展開が予想されるが、最終的には帳尻が合いやすい(世界各地で生産されているため)。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。今の価格水準だとトウモロコシの作付け面積が増加する見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・2月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9,200万Bu(前月136億9,200万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億5,800万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・2月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ18億9,200万Bu(市場予想18億7,972万Bu、前月18億9,200万Bu)大豆 4億2,500万Bu(4億4,832万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億4,000万Bu(9億5,888万Bu、9億6,500万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが313,255枚(前週比 ▲2,196枚)、ショートが275,034枚(+12,202枚)ネットロングは38,221枚(▲14,398枚)

大豆はロングが165,001枚(+7,502枚)、ショートが188,685枚(+11,348枚)ネットロングは▲23,684枚(▲3,846枚)

小麦はロングが157,897枚(▲1,404枚)、ショートが116,658枚(+5,725枚)ネットロングは41,239枚(▲7,129枚)

◆本日のMRA's Eye


「株価の調整リスク~長期金利上昇リスクは無視できず」

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中で、株価は堅調な推移となっている。新型肺炎の影響拡大を相殺するため、各国が景気刺激策を実施するとの期待や、新規感染者数の増加ペースが鈍化していることが、過剰な景気減速懸念を低下させていることが背景にある。

しかし、世界の株価の指標である米国株は、先々調整するリスクは無視できない。株価が調整した場合、原油や銅などの商品に投資しているファンドは、リバランスのための売り圧力を強める可能性があるためだ。その切っ掛けになるのは、やはり米国の長期金利上昇

現在の世界の株価上昇は、景気刺激のための低金利政策や量的緩和が、企業の借り入れを促していることによるものだ。実際、米企業債務対GDP比率の上昇は続いており、対GDPでの企業債務比率は過去最高を更新し続けている。

企業債務の増加は、これまでの金融市場におけるイベントが大きく影響している。まず、2007年に発生したサブプライム・ショック以降、欧米の投資銀行は低所得者層のクレジット(バランスシート)を用いてローンを組成し、それをさらにCDOの形に組みなおして多数の投資家に販売するビジネスモデルができなくなった。

米家計債務は昨年末時点で14兆1,450億ドルに達しているが、GDP対比でみると65.1%であり、2003年以降で最も低い水準にある。このことを考えると、やはり類似の住宅関連向けのビジネスは米国では拡大していない、といえるだろう。

次に、BP社のディープウォーター・ホライズン事故が発生、著しい環境破壊が起きBP社の倒産が懸念された。この時、ゴールドマン・サックスを始めとする投資銀行は、原油現物を取り扱い、ファイナンス取引などで非鉄金属も取り扱っていた。

しかし、資源関連のビジネスは上述の通り不慮の事故が発生する可能性があり、それはFRBをはじめとする中央銀行が管理できる範囲を超えている。そのため、こうした現物関連のビジネスへの規制が強まることとなった。

その結果、ある意味「ラスト・リゾート」だった企業のバランスシートをレバレッジするビジネスに傾注することになったわけだ。

具体的には、低金利を背景に融資を拡大し、それを元手にM&Aや自社株買いを実施、1株当たり利益を上げて株価を上昇させるビジネスである。実際、1株当たり利益(S&P500)は過去最高水準に達している(なお、M&Aや自社株買いは、金利変動によって臨機応変に行われるものではないため、金利と1株当たり利益の間には明確な関係性はない)。

株価は1株当たり利益(EPS)×株価収益率(PER)の2要素に分解されるが、1株当たり利益はM&Aや自社株買いによって上昇している。一方、PERは市場参加者の「マインド」を示すものでもあり、特に金利の低下が将来のM&Aや自社株買いを加速させるとの期待から、金利との間に逆相関の関係があり、現在の水準はこの3年の最高水準となっている。

FF金利先物の動向を見るに、今のところ市場は来年1月までに2回程度の利下げが起きると予想しているが、それ以上に、新型肺炎の影響で長期金利は低下している状況。

しかし、仮に新型肺炎の影響が軽微にとどまり、米大統領選を控えて米政府が所得減税を柱とする景気刺激策を実施した場合、長期金利が上昇するシナリオは想定され得る。

仮に景気刺激策の影響を受けて長期金利が上昇、期待で上昇していたPERが低下し、株価を押し下げる可能性はあるだろう。この場合、ファンドのリバランスの動きが強まって、原油や銅などの景気循環銘柄価格に下押し圧力が掛かる可能性は低くないと考えている。

ただ、商品市場の実需と投機の比率は7:3であり、実需動向が価格を左右しやすいため、その影響は比較的限定されたものになると予想される。

◆主要ニュース


・1月日本貿易収支季節調整前 ▲1兆3,126億円の赤字(前月▲1,546億円の赤字)
 輸出 前年比▲2.6%の5兆4,305億円(前月▲6.3%の6兆5,768億円)
 輸入▲3.6%の6兆7,431億円(▲4.9%の6兆7,314億円)、

 米国向け
  輸出 ▲7.7%の1兆518億円(▲14.9%の1兆2,214億円)
  輸入▲11.5%の6,826億円(▲13.6%の7,489億円)

 欧州向け
  輸出▲1.9%の6,863億円(▲8.1%の7,566億円)
  輸入▲2.3%の7,777億円(+0.1%の8,032億円)

 アジア向け
  輸出▲3.2%の2兆8,178億円(▲3.6%の3兆6,900億円)
  輸入▲2.9%の3兆3,856億円(▲4.5%の3兆1,413億円)

 中国向け
  輸出▲6.4%の8,966億円(+0.8%の1兆4,131億円)
  輸入▲5.7%の1兆7,351億円(▲3.6%の1兆5,408億円)

・12月日本機械受注総額 前月比 ▲9.7%の2兆1,070億円(前月+3.6%の2兆3,332億円)、前年比▲8.8%(▲15.4%)
 船舶電力を除く民需 前月比▲12.5%の8,248億円(+18.0%の9,427億円)、前年比▲3.5%(+5.3%)

・12月ユーロ圏経常収支季節調整済 326億ユーロの黒字(前月改定324億ユーロの黒字)

・12月ユーロ圏建設支出 前月比▲3.1%(前月改定+0.7%)、前年比 ▲3.7%(+1.4%)

・1月米住宅建設許可件数 前月比+9.2%の155.1万戸(前月改定▲3.7%の142.0万戸)

・1月米生産者物価指数 前月比+0.5%(前月+0.2%)、前年比+2.1%(+1.3%)
 除く食品エネルギー 前月比+0.5%(+0.1%)、前年比+2.1%(+1.3%)
 除く食品エネルギー・貿易 前月比+0.4%(+0.2%)、前年比+1.5%(+1.5%)

・日産自動車、中国の部品供給不足で中国外の地域でも生産調整を余儀なくされる見込み(関係者)。

・イランでコロナウイルス感染者2名死亡。

・IMF、「アルゼンチンの債務水準は持続不可能。」

・FOMC議事録、「米景気拡大を減速させる国内外のリスクの警戒は続けるものの、現在の金融政策は適切。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油+2,825KB(前週+7,459KB)
 ガソリン+226KB(▲95KB)
 ディスティレート▲1,298KB(▲2,013KB)
 稼働率▲0.50%(+0.60%)

・API石油統計 原油在庫+4.16MB、ガソリン▲2.67MB、ディスティレート▲2.63MB

・サウジアラビア アブドルアジズ石油相、「新型肺炎の石油需要への影響は極めて限定的。」

【メタル】
・ILZSG、1-12月期
 鉛鉱山生産 4,706千トン(前年4,673千トン)
 精錬鉛総生産量 11,752千トン(11,796千トン)
 精錬鉛需要 11,744千トン(11,869千トン)
 +8 千トンの供給過剰(▲73千トン)

鉱山生産の増加は中国で減少(▲1.7%)したが、欧州、豪州、カナダ、メキシコ、ペルー、南アフリカの増産が相殺。

精錬品生産はインド、メキシコ、米国の増産があったが精錬品生産は減少。カザフスタンや豪州(Nyrstar)の減産によるもの。

需要は主に欧州、中国、日本、米国の減速で。

・ILZSG、1-12月期
 精錬亜鉛生産 12,897千トン(前年12,779千トン)
 精錬亜鉛需要 13,537千トン(13,171千トン)
 精錬亜鉛需給 ▲640千トンの供給不足(▲392千トン)

鉱山生産は、豪州、南アフリカ、カナダ、中国の増産が、アルゼンチン、チリ、インド、カザフスタン、ペルー、トルコ、米国の減産を相殺。

精錬品生産は中国、メキシコ、ペルーの増産が、豪州、カナダ、インド、カザフスタン、欧州の減産を相殺。

精錬品需要は中国と米国で増加。

・Citi、「市場はコロナウイルス禍終了後のV字回復を過剰に期待しすぎている。」

・Rio Tinto、豪州西部ピルバラ地区からの鉄鉱石出荷を、サイクロンの影響で引き下げ。3億2,400万トン~3億3,400万トンに(従来見通し3億3,000万トン~3億4,300万トン)

・WBMS 1-12月期銅需給 ▲9万4,000トンの供給不足
(前年▲27万5,000トン)
 鉛需給 ▲32万9,000トン(▲24万3,000トン)
 亜鉛需給 ▲24万3,700トン(+10万8,000トン)
 アルミ需給 +68万5,000トン(+11万8,000トン)
 ニッケル需給 ▲2,200トン(▲9万8,700トン)、錫 +300トン

・住友金属鉱山、「2020年のアルミ地金需給は+75万6,000トンの供給過剰(見直し前+34万8,000トンの供給過剰)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.パラジウム ( 貴金属 )/ +3.34%/ +39.64%
2.CME木材 ( その他農産品 )/ +3.18%/ +13.57%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +3.18%/ ▲25.84%
4.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +3.17%/ ▲5.39%
5.NYM RBOB ( エネルギー )/ +3.00%/ ▲2.03%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ビットコイン ( その他 )/ ▲5.35%/ +34.28%
69.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲3.11%/ ▲13.02%
68.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.64%/ ▲8.63%
67.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.31%/ ▲10.69%
66.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲0.69%/ ▲2.55%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :29,348.03(+115.84)
S&P500 :3,386.15(+15.86)
日経平均株価 :23,400.70(+206.90)
ドル円 :111.37(+1.50)
ユーロ円 :120.34(+1.76)
米10年債利回り :1.57(+0.01)
独10年債利回り :▲0.42(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.05(+0.01)
中国10年債利回り :2.88(+0.01)
ビットコイン :9,612.06(▲542.90)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.86(+0.18)
エネルギー :32.72(+0.98)
ベースメタル :18.12(+0.03)
貴金属 :23.67(+0.22)
穀物 :14.23(▲0.49)
その他農畜産品 :26.70(+0.17)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :27.49(+2.06)
Brent :36.33(+1.42)
米天然ガス :35.51(▲0.3)
米ガソリン :33.99(+1.74)
ICEガスオイル :35.74(+0.9)
LME銅 :17.82(+0.03)
LMEアルミニウム :11.31(+0.23)
金 :9.43(▲0.86)
プラチナ :19.75(+0.1)
トウモロコシ :16.05(+0.08)
大豆 :9.43(▲0.86)

【エネルギー】
WTI :53.29(+1.24)
Brent :59.40(+1.65)
Oman :57.80(+1.04)
米ガソリン :166.33(+4.85)
米灯油 :170.68(+3.44)
ICEガスオイル :518.75(+14.75)
米天然ガス :1.96(▲0.03)
英天然ガス :23.04(+0.71)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :59.40(+1.65)
SPO380cst :301.34(+10.68)
SPOケロシン :66.17(+1.71)
SPOガスオイル :67.47(+1.80)
ICE ガスオイル :69.63(+1.98)
NYMEX灯油 :170.56(+1.54)

【貴金属】
金 :1611.70(+10.09)
銀 :18.43(+0.26)
プラチナ :1007.71(+15.15)
パラジウム :2716.79(+87.69)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,770(+12:24.5C)
亜鉛 :2,144(+1:17.5C)
鉛 :1,878(+30:42B)
アルミニウム :1,713(+4:26.5C)
ニッケル :12,780(▲180:80C)
錫 :16,510(▲15:40B)
コバルト :33,454(▲5)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5784.00(+19.00)
亜鉛 :2143.00(▲0.50)
鉛 :1874.00(▲13.00)
アルミニウム :1725.00(+3.50)
ニッケル :12850.00(▲5.00)
錫 :16590.00(+160.00)
バルチック海運指数 :450.00(+16.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :86.49(+0.01)
NYMEX鉄鉱石 :85.7(+0.27)
NYMEX原料炭スワップ先物 :155.39(+0.68)
上海鉄筋直近限月 :3,374(▲11)
上海鉄筋中心限月 :3,389(▲20)
米鉄スクラップ :294(+2.00)

【農産物】
大豆 :897.25(+5.00)
シカゴ大豆ミール :293.00(+0.80)
シカゴ大豆油 :30.34(▲0.14)
マレーシア パーム油 :2645.00(▲85.00)
シカゴ とうもろこし :380.50(▲2.50)
シカゴ小麦 :565.25(▲1.50)
シンガポールゴム :163.00(▲0.40)
上海ゴム :11720.00(+230.00)
砂糖 :15.58(+0.30)
アラビカ :106.80(+0.25)
ロブスタ :1262.00(▲3.00)
綿花 :68.48(+0.61)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :67.58(+2.08)
シカゴ生牛 :121.30(▲0.13)
シカゴ飼育牛 :140.78(+1.48)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。