CONTENTSコンテンツ

新型肺炎の影響継続、週末を控えた手仕舞いで景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年2月10日 第1685号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「新型肺炎の影響継続、週末を控えた手仕舞いで景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は非景気循環系商品が物色され、景気循環系商品が売り戻される流れとなった。

発表された経済統計は米雇用統計が改善を示すなど、良好なものが目立ったが、この週末に再び新型肺炎関連のネガティブなニュースが出るのでは?との見方が台頭、株とそれにつられて上昇していた景気循環系商品が売られた。

新型肺炎の終息の見通しを商品市場がどのように判断しているかを考える上で、期間構造を把握することは有効だが、一昨日前までは6-7月頃からコンタンゴからバックワーデーションになっていたが、昨日の終値ベースでは、9-10月頃に後倒しされている。

このことは市場は今年の秋頃まで、需給バランスが緩和する可能性があることを意識しているともいえる。OPECプラスの▲60万バレルの減産では、不十分と市場は見ているようだ。

なお、WTI・Brentともつい先日まで、直近1年の期間構造はバックワーデーションだった。

※関連グラフはリンクをご参照下さい。詳しい解説は「MRA商品市場レポート for PRO」をご購読下さい。
https://marketrisk.jp/news-contents

■新型肺炎関連情報

新型肺炎の感染も拡大しており、どのように終息するかは全く予想がつかない状況。

※新型コロナウイルスの感染拡大状況は、こちらのリンクからどうぞ。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8141.html

※より詳しい解説は、MRA商品市場レポート(有料)の「昨日の世界経済・市場動向のトピックス」「MRA's Eye」などで解説しています。

※レポートのお申込みはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日も引き続き新型肺炎関連の情報に左右される展開が予想される。また、中動向に左右される展開が続くことになると考えられるが、再び市場のセンチメントは弱気に傾いており、景気循環系商品が売られる流れになると考える。

予定されている材料としては、中国の生産者物価指数(市場予想前年比±0.0%、前月▲0.5%)、消費者物価指数(+4.9%、+4.5%)があるが、どれだけ今回の肺炎の影響を織り込んでいるか不透明であり、さほど積極的に材料とはならないだろう。

統計としては2月の状況を反映した3月に発表される統計の方が、より重要になる。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

株式市場動向を見ていると、コロナウイルス問題は何だったのか、と思えるほどの楽観状態とな、株価は急速に値を戻した。さすがに週末には利益確定で下落したが、やや楽観すぎるように見える。

株上昇の材料になったのが、中国の750億ドルの関税引き下げや、コロナウイルスに対する各国の協調体制への期待、であるが、関税引き下げも昨年ずっと交渉していた米中通商合意の結果によるものであり、新味がある材料ではない。

引き続き、世界が置かれている状況は非常に厳しく、新型肺炎の感染は拡大し、各国ともヒトとモノの移動を封じざるを得ない状況に追い込まれている。様々なソースから漏れ聞こえる声を総合すると、2月はほとんど業務にならない、というものが多い。

新型肺炎の封じ込めに対する中国政府の初動が適切ではなかったこともあるが、発熱までの潜伏期間が長いことから仮にもっと早く対応できていたとしても、結果は同じだっただろう。

IMFが2016年に実施した中国のGDP下方修正に関する影響だが、中国のGDPが▲1%低下することで、世界のGDPは▲0.29%低下する、との試算結果となっている。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8388.html

中国のGDPが世界に占める比率が15.7%であることを考えると、単純にこの1%に該当する▲0.16%の低下ではなく、より大きな影響があることが分かる。良くも悪くも中国はすでに世界の工場であり、米国の制裁があったとしてもサプライチェーンの中で重要な地位を占める国なのだ。

実際、鴻海の中国工場が停止したほか、本田は2月中旬まで工場停止を決定、三菱自動車やテスラ、日産、NEC、京セラ、トヨタも生産に影響が出ることとなった。すべて代替生産が可能なわけではないため、問題が長期化すればその影響は甚大なものとなる。

また、今回の新型肺炎の影響は想像よりも大きく、精華大学朱武祥教授の調査では、995の中小企業にヒアリングをした結果、資金繰りがどれぐらい持つか?という質問に対して、1ヵ月と答えた企業が34%、2ヵ月と答えた企業が33.1%、3ヵ月と答えた企業が17.9%だった。実に85%の企業が資金供給がなければ3ヵ月以内で倒産する、ということになる。

これは中小企業向けのヒアリングであるため大企業がこうなる、というわけではないが、バブル崩壊、連鎖倒産、というシナリオも十分想定される。

報道では、抗HIV薬とタミフルを混合投与したところ、新型コロナウイルスが消滅した(タイのケース)との報道や、抗HIV薬の投与で症状が軽快した(日本 国立国際医療センター)とされており、想定よりも早く終息宣言が出るかもしれない。

ただ、中国は検査ができていない患者も相当数いるとされ、これらの患者にすべて投薬をしようとすると、やはり供給面で問題が出てくる。3ヵ月以内にある程度の目処をつけないと、Q220が景気の底とみられていたが、景気が底割れする可能性は無視できないシナリオである。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%)に引き下。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっていたが、新型肺炎の影響であと2回弱の利下げを市場は織り込みつつある(▲50bp程度)。景気の減速が懸念されているため追加利下げは景気循環系商品価格の下支え要因に。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の影響拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済滑動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げによって、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油相場は下落した。株価の上昇を受けたリバランスと安値拾いの買いで上昇していたが、週末に新たなネガティブなニュースが出るのでは、との懸念から軟調な推移となった。

米雇用統計は市場予想を上回る内容で一時、価格を押し上げたが、むしろそれを受けたドル高の進行が価格を下押しする形となった。

【原油価格見通し】

原油価格は現状の水準でもみ合うものと考える。新型肺炎被害は中国以外では比較的落ち着いているものの、中国から正確な情報が出てこない中で不安感を払しょくしきれないことが価格を押し下げる一方、OPECプラスの減産が需給バランスの緩和観測を一定程度、緩和すると考えられることから。

現時点で中国のエネルギー需要、それに関連するサプライチェーンの崩壊でその他の国の工場の稼働やそれに関連する輸送需要の減少があるか、正確なところはわからない。

航空機需要が2割程度減っていることを理由に、需要が▲200万~▲300万バレル程度減少しているのでは、というのが現在の市場コンセンサスとなりつつある。仮に▲300万バレルとすれば、OPEC生産の10.2%に相当するため、完全にこの影響を相殺することは不可能だろう。

OPECプラスは▲60万バレルの減産と年末までの減産期間延長を勧告、サウジアラビアも独自に▲60万バレルの追加減産をするのでは、との報道もあるが、上記の需要減少幅を考慮すると十分ではないうえ、ロシアがこれに応じるかは不透明である。特に減産規模の拡大を年末までとすることに反発するとみられる。

原油の期間構造を参考にすると、コンタンゴからバックに期間構造が変化するのが、一昨日は6月から7月頃だったが、今は8月から9月頃に後倒しとなっている。このことは9月頃まで原油需給が緩和する、と市場が見始めているともいえる。

結局、需要が減少する中では減産による下支え効果は限定され、多くのケースと同様、需要がどのタイミングで回復するか(新規感染者数がいつ減少を始めるか)に、今後の価格動向は依拠することになるだろう。

このようなパニック状態になると、需給バランスなどのファンダメンタルズ分析はほとんど役に立たず、チャートのテクニカル分析などの方がより重要になる。情報開示とともにファンダメンタルズ分析が可能になるが、まだそのステージにはない。

プットオプションの積み上がり具合を見ると、Brentは55ドルに積み上がっているが、それよりも低い価格では1ドル刻みに50ドルまで小さな山がある。

これらの価格帯が防衛ラインとなるため、今後、事態が悪化した場合の下落ペースは緩やかなものになるだろう。

一方、トランプ大統領の中東和平案を受けて、イスラエルとパレスチナの軍事的な衝突は激しさを増している。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化し、供給懸念が高まっているのも事実だ。

米国は中東原油への依存度が低下しているため、中東政策が「雑」になる傾向があり、中東情勢不安は今まで以上に高まっていると考えるべきである。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下したものの、武装勢力による小規模な攻撃は継続している。このような状況だと、米国人が1人死ぬことがレッドラインとするならば、局地的攻撃が偶発的な事故を誘発し、大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

リビア情勢は当事者不在の中、恒久停戦に向けて協力するという共同声明が発表された。実質的に「何もできない」ということである。再びリビア国内では戦闘が始まったと伝えられており、同国からの原油供給が途絶する可能性は高まっている。

トルコはリビアの暫定政権側を支持しているが、それはイスラエルやギリシャが欧州向けに進めているガスパイプラインを遮断することが目的だ。これまではトルコを通じて欧州に輸出されていたが、地中海ガスパイプラインが通ればトルコの権益や影響力が低下するためだ。

大規模戦争にはならないとみるが、リビアの停戦は非常に困難とみられる。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。米政権は中間層への減税を検討している。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。週末にまたネガティブな材料が出るのでは、との懸念から売り圧力が強まったためと考えられる。

【石炭価格見通し】

石炭価格は新型肺炎への対策進捗期待が、市場参加者のリスク選好を回復させているものの、新型肺炎の影響拡大は継続しており、電力需要が鈍化するとみられることから、現状水準でもみ合うものと考える。

また、欧州で天然ガス価格の低迷や環境規制の強化に伴う脱石炭の動きが強まっていることも、石炭価格を下押ししよう。

ただし、ピークシーズン入りしていること、年度が変わったことによる、中国の輸入再開観測を受けて結局は現状水準でのもみ合いになると予想される。

また、長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスは新型肺炎の影響で2月に会合を開催、追加減産を行う可能性が出てきている(OPECプラスで▲60万バレル、サウジ単独で▲60万バレル程度の追加減産か)。

ただし、需要面の減速感が強まっているときの減産効果は限定されるうえ、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、追加減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落による、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともにロングが減少、ショートが増加した。明らかに肺炎の影響を受けた需要減速を意識したロングの解消と、生産調整が覚束ない中でのショートの積み上がりの流れ。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが576,917枚(前週比 ▲11,338枚)ショートが179,543枚(+53,050枚)ネットロングは397,374枚(▲64,388枚)

Brentはロングが434,082枚(前週比▲46,457枚)ショートが81,367枚(+3,185枚)ネットロングは352,715枚(▲49,642枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。この数日の株高を受けたリバランスの買いで上昇していたが、週末にかけてネガティブなニュースが出るのでは、との懸念や米雇用統計改善(過去の指標)を受けたドル高の進行が、価格を下押しすることとなった。

米国の雇用環境の改善はもちろん価格にとってはプラスだが、最大消費国である中国の情勢が改善しているのかさらに悪くなっているのかわからない中では、ドル高の方だけ材料にされやすい。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国以外の地域での感染拡大はまだ顕著なものになっていないことや、国際的な協力体制の推進が若干の安心感をもたらしているものの、中国国内の状況がまったく見えない状態で、工場や港湾などの稼働も停止している、との見方が強まっており、当面は現在の低水準でもみ合うものと考える。

新型肺炎の影響で投機筋が明確に売り越しに転じており、しばらくこの動きが続くものと考えられる。ただ、ショートも積み上がっているため早期に事態が改善すれば、比較的強い上昇圧力になるものと考えられる。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

制裁緩和の影響は今後の統計を睨みながらになる。ただ、中国が米国との合意を順守した場合、日本の中国向け工業品輸出が減少して、日本企業にとってはマイナスに作用する恐れがある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、非鉄金属セクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは減速したが、閾値の50を維持。しかし、新型肺炎の影響が統計に表れるのは2月以降であり、さらなる減速の可能性は高い(価格の下落要因。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・1月31日付のLMEロング・ショートポジションの動向は、全ての金属でロングが急速に減少し、ショートも増加した。亜鉛と鉛以外はネット売り越しに。明らかに新型肺炎の影響で中国の需要が減少すると見られたためである。

当面は新型肺炎の状況をにらみながらのポジション取りとなり、ロングの解消とショートの積み上がりが進むと予想される。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲27.6億ドル(前週+12.8億ドル)と売り越しに転じた。買い越し額の減少率は▲315.4%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲894千トン(前週+266千トン)と、亜鉛と鉛以外売り越しに転じた。ネット売り越しの減少率は▲436.0%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品先物価格は小動きだった。

新型肺炎で中国国内は大混乱しており、早晩鉄鉱石の需要が減少すると見られているが、昨日はサイクロンの影響で豪州のDampier港が閉鎖されたことで、供給面が意識され上昇した。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、新型肺炎がまだ中国では拡大を続けていることに伴う経済活動の鈍化懸念や、最大の買い手である中国勢の不在(一部)状態が続くことが価格を下押しするが、各国の経済対策期待や、鉄鉱石の港湾在庫日数の水準は過去5年平均を下回っており、鉄鋼製品価格水準の高さを背景に粗鋼生産も高水準で推移するとみられることから、下落余地も限定されると考える。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、2020年はValeの生産本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは47.1(前月43.1)と回復した。生産活動の回復(44.1→46.7)と、新規受注の回復(36.2→46.8)が影響した。

しかし、そもそも水準が閾値の50を下回っており、原材料在庫の水準も51.1(前月48.9)と閾値の50を上回っていることを考えると、そこまで鉄鋼セクターの業況が良い、というわけではない。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

しかし、中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲55万トンの1億2,735万トン(過去5年平均1億2,184万トン)、在庫日数は▲0.1日の29.3日(過去5年平均 32.9日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+130.4万トンの1,019.4万トン(過去5年平均962万トン)と例年を上回った。新規受注の減速があるため、徐々に鉄鋼製品受給は緩和するとみられる。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は小幅に上昇。週末にかけて株式市場にとってネガティブなニュースが出るのでは、との見方から株が下落、それを受けた債券利回りの低下が実質金利の低下をもたらしたため。ただし銀は小幅に下落した。

昨日の金のリスクプレミアムは217ドルで、昨日よりも▲12ドル程度水準を切り下げている。このことを考えると、リスクオフの売りというよりは全体的にやはり手仕舞い売り圧力が強かった、と考えるのが正解だろう。

PGMもどちらかといえばポジション調整的な取引が主体だったと見られ、プラチナが小幅な下落、パラジウムは株安を受けて水準を切り下げた。

【貴金属価格見通し】

金価格は、新型肺炎問題が解決している訳ではなく、経済活動の鈍化で株価の下落リスクが意識される中、ヘッジ目的の需要が価格を支えると考える。結局、高値圏での推移となるだろう。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。現在のプレミアムは220ドル程度であり、実力ベースでは金価格は1,350ドル程度と考えられる。

ただ実際は過去の実質金利からの乖離幅は平均で160ドル程度であるため(リスクが完全になくなることはあまりない)、リスクが回避された場合、1,500ドル程度までしか下げ余地はないと見ている。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は再び上昇に転じており、金銀レシオの上昇を肯定しやすくなっている。しかし、現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられ、20ドル前後まで価格が上昇してもおかしくない地合い。

特にリスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、新型肺炎の影響拡大が無視できないため、金銀価格対比では割安に推移しよう。

パラジウムは供給懸念が強く意識されているため引き続き、高値圏での推移となると予想される。

なお、パラジウムは投機の買いが押し上げているというよりも実際に顕著な供給不足によって上昇しているものであり、「どこまで上昇するのか」「調整した時のめどはどこか」といったことは正直不明である。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

やや懸念されるのが、12月の米自動車販売は1,670万台(前月 1,709万台)と再び失速している点。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・市場はFRBの年1回の利下げを見込んでいるが、政策変更はないとの見方が現在のメインシナリオ。しかし新型肺炎の影響次第では追加利下げの可能性も否定できず。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは1月末に確定したが、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロングが減少、ショートが増加。新型肺炎問題に対する楽観がなぜか株式市場を支配し、利益確定の売りが強まったため。銀はロングの減少と共にショートも減少、ポジション手仕舞いの動きが強まっている。

プラチナはロングが減少、ショートが増加、パラジウムも同様だった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが355,909枚(前週比 ▲20,492枚)、ショートが56,103枚(+9,794枚)、ネットロングは299,806枚(▲30,286枚)、銀が97,078枚(▲8,559枚)、ショートが29,275枚(▲12,945枚)、ネットロングは67,803枚(+4,386枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが72,980枚(前週比 ▲4,460枚)ショートが10,200枚(+356枚)、ネットロングは62,780枚(▲4,816枚)

パラジウムが11,592枚(▲642枚)、ショートが5,564枚(+242枚)ネットロングは6,028枚(▲884枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は小幅な上昇となった。新型肺炎の影響に関しては評価が分かれるが、方向感に欠ける展開となり、どちらかといえばテクニカルな買い戻しによる上昇とみられる。

なお、米輸出成約高が発表されたが、トウモロコシが1,338.50千トン(前週比▲39.7千トン)、大豆が707.80千トン(+305.2千トン)、小麦が338.60千トン(▲308.7千トン)となった。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は新型肺炎の影響で米国からの輸出が鈍化する、との懸念が広がっていることから現状の水準でもみ合うものと考える。

しかし、米中の通商面の合意や、異常気象による小麦の生産減少観測などへの懸念も根強く、また、景気減速から非景気循環系商品が物色されやすい地合いになるため下げ幅も限定され、結局はレンジでの推移になると予想する。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は豪州火災の影響や、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。今の価格水準だとトウモロコシの作付け面積が増加する見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・1月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9.200万Bu(市場予想135億207万Bu、前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億1,307万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・1月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 18億9,200万Bu(市場予想17億7,641万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,100万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億6,500万Bu(9億7,046万Bu、9億7,400万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが315,451枚(前週比 ▲5,458枚)、ショートが262,832枚(+15,343枚)ネットロングは52,619枚(▲20,801枚)

大豆はロングが157,499枚(+22,626枚)、ショートが177,337枚(+36,168枚)ネットロングは▲19,838枚(▲13,542枚)

小麦はロングが159,301枚(+722枚)、ショートが110,933枚(▲6,505枚)ネットロングは48,368枚(+7,227枚)

◆本日のMRA's Eye


「ニッケルは年後半にかけて上昇か~新型肺炎も影響」

ニッケルの価格は他の工業金属と同様、最大消費国である中国の景況感に左右されやすいが、インドネシアの未処理鉱石輸出禁輸措置の影響で価格が上昇すると予想していた。

しかし、予想に反して現在のニッケル価格は低迷しており、12,000ドル台まで水準を切り下げた。理由は複数考えられるが、1.事前の通達による中国の前倒し輸入実施による、中国国内の在庫積み上がり、2.中国の循環的な景気の減速に伴う需要の減速、3.米中合意は特段景気刺激策にはならない、4.新型肺炎の感染拡大に伴う先行き需要の減速観測、が主なところだろう。

1.についてはインドネシアのアナウンスが早かったこと、前回の輸出規制開始以降、フィリピンの供給量が増加しており、インドネシアからの輸出停止の影響を緩和した。

実際、中国のニッケル鉱石の港湾在庫の水準は過去4年レンジを超える1,137万トンと、統計データが取得できる過去4年の最高水準である1,071万トンを上回っている。

これに加えて2.の影響が小さくない。ニッケルは、電線向け投資などの公的需要に支えられた銅とは異なり、用途がステンレス向け需要が6割以上を占めているため、概ね住宅セクター動向に需要や価格が左右されやすい。

中国政府は経済対策に住宅セクターを用いない、と宣言している以上、ニッケル需要は景気回復に伴う需要回復しか期待できないと考えるのが妥当だろう。

3.については、米国と中国が通商面で合意に至り、今後輸出が増加するとの期待はあるものの、冷静に考えると米国の中国に対する制裁関税は継続している。

また、あくまで「米中の話」であって、中国が他の国から買っていたものを米国から買うようにするだけ、の話である。

つまり、今回の合意で中国需要の「パイが増える」わけではないのだ。よって、先行きの景気見通しはさらに悪くなることがなくなっただけ、と整理するのが妥当だろう。

供給に懸念がない中で、需要の回復がまだ先である、ということを考えるとやはり価格には下押し圧力が掛かりやすい。

INSG(International Nickel Study Group)は11月の需給バランスが▲1,300トンの供給不足とした。H119の需給バランスが▲7,200トンの、2018年は▲12,000トンの供給不足であることを考えると、需給バランスが緩和方向にあることが分かる。

ただ、MBなどの分析ではインドネシアの供給制限で中国のNPI向けの供給が不足し、2020年は2018年・2019年を上回る▲45,000トンの供給不足(H120が▲17,000トン、H220が▲28,000トン)になると予想されている。

イベントリスクの顕在化がなければ、現在の水準からニッケル価格は年後半にかけて上昇するというのが依然、メインシナリオだ。

しかし、4.の新型肺炎の影響はどの程度で終息するか全く不明であり、今後のリスク要因である。今のところ感染症例が世界各地で確認され、中国国内でも爆発的に感染が拡大しており、世界中パニック状態になっている。

正直なところ影響の拡大は弊社が想定していたよりも大きく、価格も想定以上に下落している。ニッケルは投機的な取引の対象にはし難いが、商品市場でも一般的になってきた一目均衡表の雲を下抜けしており、テクニカルにも14,000ドルが上値として重い状況になってきた。

ただ、一部報道では中国はすでに今回の新型肺炎のたんぱく質構造の解析が終了し、さらには抗HIV薬が今回の肺炎に対して薬効があることも確認された、という情報も流れている。

仮に事実であり、臨床試験(このあたりの対応はさすがに一党独裁の国であるため早い)の結果、正式に薬効が認められれば想定よりも早く問題が解決するシナリオもあり得る。

しかしこの場合、中国が遺伝子解析の分野で先行していることを世界に知らしめることになると別の意味で中国脅威論が広がり、米国が中国に対する制裁を強化することもあるかもしれない。

◆主要ニュース


・1月東京都心オフィス空室率 1.53%(前月 1.55%)

・12月日本毎月勤労統計 現金給与総額 前年比±0.0%(前月+0.1%)、実質賃金総額 ▲0.9%(▲0.6%)

・1月日本外貨準備 1兆3,423億ドル(前月1兆3,238億ドル)

・12月日本景気動向指数速報 先行指数 91.6(前月改定 90.8)、景気一致指数 94.7(94.7)

・1月中国外貨準備 3兆1,155億ドル(前月3兆1,079億ドル)

・12月独製造業受注 前月比▲2.1%(前月▲0.8%)、前年比▲8.7%(▲6.0%)

・1月独建設業PMI 54.9(前月53.8)

・12月独経常収支 294億ユーロの黒字(前月241億ユーロの黒字)
 貿易収支152億ユーロの黒字(186億ユーロの黒字)
 輸出 前月+0.1%(▲2.2%)、輸入▲0.7%(▲0.6%)

・12月独鉱工業生産 前月比▲3.5%(前月改定+1.2%)、前年比 ▲6.8%(▲2.5%)

・1月米チャレンジャー社解雇者数 前年比 +27.8%(前月▲25.2%)

・Q419米非農業部門労働生産性速報 前期比年率+1.4%(前期確定▲0.2%)、単位当たり労働コスト+1.5%(+1.5%)

・米週間新規失業保険申請件数 202千件(前週217千件)、失業保険継続受給者数 1,751千人(1,703千人)

・1月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比+225千人(前月改定+147千人
(速報比+2千人))
 民間部門雇用者数 +206千人(+142千人)
 製造業雇用者数 ▲12千人(▲5千人)

・1月米失業率 3.6%(前月 3.5%)
 不完全雇用率 6.9%(6.7%)
 労働参加率 63.4%(63.2%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.2%(+0.1%)、前年比+3.1%(+3.0%)
 週平均労働時間 34.3時間(34.3時間)

・12月米卸売在庫改定 前月比▲0.2%(速報比▲0.1%、前月+0.1%)、卸売売上高▲0.7%(+0.9%)

・インド中銀、レポレートを5.15%で据え置き 、リバースレポレートを4.90%で据え置き、現金準備率も4.00%で据え置き。

・トランプ大統領、ウクライナ疑惑の証人に対して報復人事を発動。米国家安全保障会議(NSC)のアレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐が職務を外される。

・独チューリンゲン州のケメリヒ首相、1日で辞任。極右との密約の疑惑で辞任要求が高まったため。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 2,610BCF(前週比▲137BCF)
 東部 598BCF(▲40BCF)
 中西部 725BCF(▲36BCF)
 山間部 136BCF(▲7BCF)
 太平洋地区210BCF(変わらず)
 南中央 941BCF(▲54BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数676(前週比+1)、 ガスリグ 111(前週比▲1)。

・OPECプラス共同技術委員会、▲60万バレルの減産を勧告。

・OPEC、「▲60万バレルの減産勧告と年末までの減産期間延長を提案したが、数日中にロシアは回答するだろう。」

・トランプ米大統領、イエメンを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系武装組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」のカシム・ライミ指導者を同国で殺害したと発表。

・パレスチナとイスラエルの衝突激化、トランプ政権の中東和平案に反発する動き過熱。

【メタル】
・中国、港湾の閉鎖でチリに対して出荷の遅延を要請。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICEココア ( その他農産品 )/ +1.79%/ +14.17%
2.NYM RBOB ( エネルギー )/ +1.73%/ ▲10.24%
3.CME木材 ( その他農産品 )/ +1.62%/ +8.61%
4.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +1.22%/ +11.18%
5.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ +1.12%/ ▲1.10%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲2.53%/ ▲5.14%
69.LME錫 3M ( ベースメタル )/ ▲2.43%/ ▲4.96%
68.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲2.41%/ ▲17.65%
67.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ ▲2.06%/ ▲8.75%
66.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲2.02%/ ▲15.20%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :29,102.51(▲277.26)
S&P500 :3,327.71(▲18.07)
日経平均株価 :23,827.98(▲45.61)
ドル円 :109.75(▲0.24)
ユーロ円 :120.13(▲0.67)
米10年債利回り :1.58(▲0.06)
独10年債利回り :▲0.39(▲0.02)
日10年債利回り :▲0.04(▲0.02)
中国10年債利回り :2.80(▲0.03)
ビットコイン :9,744.46(+7.10)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.16(▲0.1)
エネルギー :28.16(+0.15)
ベースメタル :20.45(+0.3)
貴金属 :27.11(▲0.17)
穀物 :15.05(▲0.18)
その他農畜産品 :24.52(▲0.33)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :22.02(▲0.1)
Brent :29.44(▲0.02)
米天然ガス :31.63(▲0)
米ガソリン :27.19(+1.04)
ICEガスオイル :32.07(▲0.11)
LME銅 :17.56(+0.24)
LMEアルミニウム :9.86(▲0.04)
金 :9.74(+0.09)
プラチナ :24.85(▲0.39)
トウモロコシ :22.90(+0.37)
大豆 :9.74(+0.09)

【エネルギー】
WTI :50.32(▲0.63)
Brent :54.47(▲0.46)
Oman :53.64(▲0.81)
米ガソリン :152.39(+2.59)
米灯油 :164.33(▲2.21)
ICEガスオイル :505.25(▲2.50)
米天然ガス :1.86(▲0.00)
英天然ガス :22.13(▲0.27)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :54.47(▲0.46)
SPO380cst :267.72(▲5.90)
SPOケロシン :63.96(▲1.23)
SPOガスオイル :65.57(▲1.20)
ICE ガスオイル :67.82(▲0.34)
NYMEX灯油 :164.26(▲0.88)

【貴金属】
金 :1570.44(+3.78)
銀 :17.70(▲0.12)
プラチナ :967.70(+3.90)
パラジウム :2320.60(▲24.75)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,670(▲70:17C)
亜鉛 :2,154(▲50:1.5C)
鉛 :1,824(▲6:11B)
アルミニウム :1,721(▲3:27.5C)
ニッケル :12,855(▲225:85C)
錫 :16,325(▲250:0B)
コバルト :34,108(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5655.00(▲87.50)
亜鉛 :2158.00(▲56.00)
鉛 :1816.00(▲31.00)
アルミニウム :1721.00(▲19.50)
ニッケル :12830.00(▲270.00)
錫 :16290.00(▲405.00)
バルチック海運指数 :431.00(+1.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :81.62(+0.76)
NYMEX鉄鉱石 :81.65(+0.69)
NYMEX原料炭スワップ先物 :149.97(+0.17)
上海鉄筋直近限月 :3,368(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,309(+14)
米鉄スクラップ :284(+3.00)

【農産物】
大豆 :882.00(+1.00)
シカゴ大豆ミール :289.30(+1.10)
シカゴ大豆油 :30.97(▲0.27)
マレーシア パーム油 :2872.00(▲26.00)
シカゴ とうもろこし :383.50(+4.25)
シカゴ小麦 :558.75(+2.50)
シンガポールゴム :150.00(▲1.00)
上海ゴム :11220.00(+45.00)
砂糖 :14.92(+0.18)
アラビカ :98.35(+0.20)
ロブスタ :1270.00(▲11.00)
綿花 :67.75(▲0.16)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :57.10(▲0.60)
シカゴ生牛 :121.33(+0.20)
シカゴ飼育牛 :135.20(▲0.70)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。