米中交渉進捗期待を受け景気循環銘柄上昇
- MRA商品市場レポート for PRO
2018年12月12日 第1452号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米中交渉進捗期待を受け景気循環銘柄上昇」
昨日の商品価格は景気循環銘柄が物色され、非景気循環銘柄が売ら れる流れとなった。ニュースベースでは、米中高官の協議が継続し ていると報じられたことが、リスク選好度合いを強めた、とあるが それよりは年末に向けて取引が細る中、前日の反動で買戻しが入っ たと考えるほうが適当かもしれない。
米中の貿易戦争がそう簡単に解決するとは考え難く、クリスマス前 に何か決定するとも考え難い。問題が進捗するとすれば年明け以降 になるのではないか。
世界の景気が減速傾向にあり弊社は来年の商品価格には下押し圧力 が掛かる可能性が高いと考えている。
実際にイランの制裁が100%履行されればこの限りではないが、
価格下落時には供給面がフォーカスされることは多いが、より注目 すべきは需要である。実需の動向を把握するにはマクロ経済統計の 動向を把握する必要があるが、経済統計を見て即時に実需筋が現物 を手当てしたり、先物市場で売買を行う、というわけではない。
結局、日々の値動きを左右するのは投機筋、ということになり、さ らに言えば投機の指標は実需という概念が存在しない株式市場動向 が参考になる。
この20年の米S&
2011年を除けばいずれも景気後退局面入りした年の年末の株価
12月はクリスマス休暇で市場参加者が既に減少しているものの、
11月のファンド決算を意識した売りが行き過ぎ出あったことも否
多くの商品において、投機筋は実需の売りに対して買い向かうポジ ションを有しているためこれらのポジションが解消されると、価格 を下押しすることになるだろう。結局、イベントリスクが顕在化し なければ、上値も下値も比較的限定されるということだ。
本日は期待インフレ率への影響が大きい米石油統計に注目している
◆昨日の商品市場(個別)の総括
---≪エネルギー≫---
昨日の原油価格は上昇した。米中の貿易交渉が進んでいるらしいと の報道、リビアの油田が攻撃されたとの報道を受けて需要面と供給 面が意識されたため。
しかし、それよりは年末に向けたポジション調整で、前日売られた 商品に買戻しが入ったと考えるほうが自然かもしれない。
原油価格はしばらく低迷することになると予想する。各地の政治的 な混乱が信用リスクや需要の減速観測を強め、期待需給が緩和する 可能性が高まっていることが背景。需要が減速する中での価格防衛 は、OPECの減産があったとしても難しい。
OPECプラスの減産協議は最終的に▲120万バレルの減産(
期待されたほどの減産効果はないと考えられるものの、前年比ベー スでの供給過剰感若干緩和されたため、
中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今 回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続するこ とになるだろう。
先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国 に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。
米国が中国と貿易で合意するとの報道があったが、選挙前のリップ サービスであり、実際に合意するのは容易ではない。というのも一 連の制裁で米国は中国から、まだ何も得ていないからだ。
ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大 が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界 シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった 明確な成果があるまで継続するのではないか。
ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満 が高まる可能性がある2019年末頃が、
トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院 で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そし て、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政 権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。
イラン問題の今後の展開は複数考えられるが、今のところ来年の5 月までは制裁の100%履行が延期された。
イランに対する制裁が解除されるのは、イランが明確に核放棄する 場合に限られるとみられる。上下院を民主党が確保できなかったた めだ。
仮に予定通り禁輸措置が行われるとすれば、
仮に70ドル~80ドルの原油価格が続けば、
ただし、需要の減速が明確ではない上に上流部門投資が十分ではな いことから、下落したとしてもWTIで50ドル、
北朝鮮問題はトランプ大統領からすればある意味「終わった材料 (支持率上昇につながらない材料)」だった。
しかし、選挙の結果議会がねじれたため、大統領選に向けたアピー ル目的で北朝鮮と和平条約を結ぶ可能性はあり得る。この場合、地 政学的リスクは後退するが、日本の防衛負担が増えると考えられる ため、日本は国防を巡って議論が紛糾することが予想される。
ロシアとの距離を縮めているのは、イスラエルと敵対するイランを 擁護しているロシアを懐柔することで、シリアからのイラン軍撤退 を促す、という意図があるためと考えられる。
よってロシアとの関係改善は、ある程度中東情勢の緊張緩和に寄与 すると期待される。原油の価格面では下押し材料となるだろう。
欧州はかつての最も親密な同盟地域だったが、民主主義の傾向が強 く、リベラルな雰囲気が強いこの地区とトランプ大統領は反りが合 わない。この地区との対立は貿易問題での対立を激化させ、需要面 で価格にマイナスに作用すると予想される。
短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、
WTI、Brentともロングの解消売り圧力が非常に強く、
ただ、ショートの積み上がりは先々の買戻し圧力を強めるものであ り、足元が軟調地合いであっても先々の反発を想定しておいた方が 良いだろう。
中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、
なお、EVが普及して原油需要は2035年~
同様に、補助金のサポートが必要なバイオ燃料が化石燃料に取って 代わるシナリオも想定し難い。
これに加えて、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加) なども期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然 割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると見ら れることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、
実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃 (2050年頃か)になると見る。
この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、 需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せ ざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難 い。
供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。
1.中東情勢不安の顕在化
2.PDVSA(ベネズエラ)の生産停止
3.上流部門投資の低迷(徐々に再開)
この中で顕在化の可能性が高まっているのが1.と2.だ。
1.については米国・サウジ・イスラエルvsロシア・
そして、イラン産原油を一滴も買うな、という相当強硬な政策が採 用されている。それが実際に可能とは思えないが、この結果、イラ ンは核合意離脱並びにホルムズ海峡封鎖オプションを誇示せざるを 得ず、それだけで価格は上昇するだろう。
また、イランからすればこれは従来からこの地域に存在する、シー ア派とスンニ派の争いである。今までと違うのが、サウジアラビア がイスラエルと一時的に連携する可能性があることだ。ただ、米国 のイスラエルへの大使館移転で、連携する可能性は低下している。
これにクルド人vsトルコ・イラン・シリア・イラク、
これに加えてムハンマド皇太子のスキャンダル、それに伴う欧米の 制裁と報復が原油供給を著しく減じるシナリオも想定される。
さらに、東西分裂状態が続くリビアで原油生産が安定して増加する 可能性が低いことも、供給不安を高めるだろう。
2.については5月の選挙でマドゥロ大統領が再選を果たし、
PDVSAの生産が完全に停止すれば恐らく原油価格は10ドル単
1.と2.の違いは、1.
1.の場合、
金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。
1.米金融規制緩和
2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速
3.2.
1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼ ゼロになった。
2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が 出てきた。
下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材 料となる。
1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速
2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速
3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化
4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの 強まり
5.株価の調整
6.トランプ政権の保護主義政策推進
7.価格上昇に因る需要の減少(レーショニング)
8.トルコ問題の新興国への拡大による、新興国需要の減少
9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ せるほどのものにはなっていない。
2.については原油高やトランプ関税引き上げの影響でその可能性 が意識されていたが、足元の経済統計の鈍化やトランプの人気取り 目的の緩和支持を受けて、その可能性は後退している。
これと相まって、5.の長期金利急上昇観測も後退している。
4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下し た。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶか はわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担 は相当重くなるということだ。
中東についてはイランと米国は挑発の応酬となっている。しかし、 石油製品価格の上昇が米国民からの支持率を押し下げる可能性があ るため、ここにきてイランに対する米国のトーンは若干後退してい る。
しかし、イランは(国民向けのポーズもあってか)強気の姿勢を崩 していないため、しばらく緊張状態は続くだろう。
イランと米国が欧州やロシアのとりなしで交渉のテーブルに着く、 というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、中間選挙 を受けて対外的なポイントを稼ぎたいトランプ政権が、イランに対 して弱腰になると考え難いため、
6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探 る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを 示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税 問題は解決しないだろう。
7.は保護主義政策の拡大で世界的に景気の拡大ペースの鈍化が懸 念されている中で原油価格が高騰していることは、消費者がこの価 格高騰に耐えられない可能性が高まることを示唆している。顕在化 の可能性が高いリスク要因となってきた。
8.はトルコやアルゼンチンの通貨安を契機に新興国にそれが波及 する懸念があったが、米国の利上げが打ち止めになるのではとの期 待も高まっているため、「今のところ」
9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに 対して622億ドル程度の融資(TheInter-AmericanDialogue調べ) をしていると考えられ、これは1,
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統 領がこの契約は無効として、
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終 的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷 山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊 するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。
1.北米の増産加速
2.OPECの出口戦略が意識される
3.イスラエルを中心とした中東情勢絵不安でサウジアラビアや イランなどの足並みが揃わず、OPECの結束が崩壊する場合
1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペース は鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まる までの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増 産ペースが加速するのはQ119になってからだろう。
2.は、サウジとロシアがむしろ減産に舵を切る可能性が出てきた ため、顕在化の可能性が後退した。
3.はイランに対する制裁の度合いによるが、今のところは崩壊ま でには至らないとみられる。
石炭価格はじりじりと水準を切り下げながら、高値圏での推移を続 けている。中国の国内の生産が減少しているうえに北朝鮮の制裁が 続いていることが影響している。価格の減速は、価格に対する説明 力が高い、「中国の景況感の鈍化」が影響していると見る。
北朝鮮への制裁解除は当面ない見込みだが、中国が米国にゆさぶり をかける目的で解除する可能性もなくはない(この場合、さらに米 国が中国に制裁を科す可能性がある上、米国と関税関連で共闘でき ると考えていた欧州や日本の協力が得られなくなるため、その可能 性は低いが)。
また、12月にCOP24(
この状況で中国は脱退しない方針を打ち出しており、「対米協調」 を目的として積極的に石炭使用や鉱山向け融資を絞る可能性もあり 得る。このリスクは小さくなく石炭供給懸念を通じて石炭価格を高 止まりさせるとみている。
---≪LME非鉄金属≫---
LME非鉄金属価格は上昇した。
非鉄金属の最大消費国である中国の構造的な景気減速、米国の利上 げ継続や原油価格の続落を受けた実質金利上昇、並びに新興国から の資金流出観測が強まっていること、米国の中国に対する追加制裁 発動が外需を減速させ、非鉄金属価格を下押しすると予想される。
米国の制裁が3ヵ月棚上げとなったこと、中国政府は景気を軟着陸 させるために預金準備率を引き下げたり、公共投資などの財政政策 に傾斜せざるを得なくなってきていることが需要を押し上げるとみ られるが、華為技術のCFOがカナダで拘束され、「
今回の制裁は相当中国に影響を与えており、本来であれば開催され ているはずの四中全会も開催されないまま、
華為技術のCFOがカナダで拘束されたことを見てもわかるように
中国に対する米国の制裁は、超党派で決定していると考えられるた め、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続 することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難 い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、 工業金属価格にマイナスに作用すると見る。
足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米中首脳会談で中国 に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっていたが、 制裁一時棚上げに止まり、制裁自体は継続する方針であることが確 認された。
先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国 に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。
ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大 が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界 シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった 明確な成果があるまで継続するだろう。
しかし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満 が高まる可能性があり、
そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益 は、年初来ベースで前年比+13.6%の5兆5,212億元(
結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども 継続する見込みであるため、非鉄金属需要にとってマイナスに作用 することは避けえない。
また、中国の構造的な景気の減速、循環的な減速、保護主義政策に 対抗するための人民元安誘導が資本流出を招き、その他の新興国に も影響が出ること、なども価格を下押ししよう。
トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院 で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そし て、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政 権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。
なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそら く次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする20
短期的には投機筋の動向が重要になるが、
投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は166.
このことはさらに価格が上昇するには追加の材料が必要であること を示唆している。具体的には中国や米国の公共投資実施や、米国の 利上げペースの鈍化などだろう。
中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス 期は2030年頃まで続く事、
なお、アジア開発銀行は2016年~
一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる かは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プ ロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道 案件も先送りとなった。
現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその 土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略 の意味を理解しているということだ。
また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,
しかし、
一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日 本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。
また、結果的に省エネが進む中では非鉄金属需要が増加するため、 この観点からも強気だ。
この見通しの上昇リスクは需要面では、
1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認
2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、 EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、
3.トランプ政権のインフラ投資計画実施
などが考えられる。
1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。
2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、
よって、市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていな い。ただ、新世代自動車の主流が電気自動車であることは間違いが なく、
3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られや すいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能 性は高まった。
供給面は個別性が強いが、
1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを 掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)
2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続
3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり
4.労使交渉動向
5.Rusalに対する制裁が長期化し供給懸念が強まる場合
5.はすでに顕在化してしまったリスクだが、特にアルミ・ニッケ ル・パラジウムへの影響が大きい。
金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。
1.米金融規制緩和
2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速
3.2.
1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼ ゼロになった。
2.は足元の統計減速で、来年の利上げペースが鈍化する可能性が 出てきた。
下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要 因の軸となる。
1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速
2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速
3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化
4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けた、リスク回避の動き の強まり
5.長期金利の上昇
6.5.に付随するが株価の調整
7.米輸入規制強化並びにそれに対する報復
8.トルコ危機や米利上げの影響を受けた新興国需要の減少
9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェク トを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさ せるほどのものにはなっていない。
2.については原油高やトランプ関税引き上げの影響でその可能性 が意識されていたが、足元の経済統計の鈍化やトランプの人気取り 目的の緩和支持を受けて、その可能性は後退している。
これと相まって、5.の長期金利急上昇観測も後退している。
4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下し た。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶか はわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担 は相当重くなるということだ。
中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対 してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。
欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、 というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、選挙結果 を受けて、トランプ政権はイランに対してより強硬な姿勢を取ると 予想されるため、この可能性は低下している。
懸念されるのは、
6.は株式市場は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が 高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手 仕舞い売りが加速する可能性がある。
7.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探 る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを 示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税 問題は解決しないだろう。
8.はトルコやアルゼンチンの通貨安を契機に新興国にそれが波及 する懸念があったが、米国の利上げが打ち止めになるのではとの期 待も高まっているため、「今のところ」
9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに 対して622億ドル程度の融資(TheInter-AmericanDialogue調べ) をしていると考えられ、これは1,
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統 領がこの契約は無効として、
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終 的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷 山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊 するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
---≪鉄鋼原料≫---
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は小幅上昇、原料炭スワップ 先物は横這い、鉄鋼製品価格は直近限月が小幅下落した。
目立った手がかり材料に乏しい中、方向感が出難い展開が継続して いる。
鉄鉱石価格は現状水準で推移すると考える。季節的に中国の生産が 減少、輸入が増加する時期に当たること、鉄鉱石在庫日数の低下、 米国の制裁を受けて、中国政府は国内鉄鋼製品需要を刺激する政策 を採らざるを得なくなる可能性が高いこと、冬場の鉄鋼生産抑制継 続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買い を誘うと考えられること、冬場の鉄鋼製品減産が需給面で鉄鋼製品 価格を下支えすると予想されることが背景(
11月の中国鉄鋼PMIは45.2(前月52.1)
より注目すべきは輸出向け新規受注の落ち込みが47.3→43.
こうした国内の減速による、景況感の悪化、とくに中小企業の景況 感悪化を回避するために中国政府は何らかの経済対策(インフラ投 資)を実施するとみられる。
ただし、同時に地方政府の財政状況も厳しく、バブルを誘発するほ どの公共投資も実施できないため、鉄鋼製品、鉄鉱石価格の下支え 要因にはなるが、価格を大きく押し上げるほどの効果はないのでは ないと見る。
中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今 回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続するこ とになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難い状況 にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、工業金 属価格にマイナスに作用すると見る。
足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米国が中国に対して 制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっていたが、
先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国 に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよ りも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。
ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大 が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界 シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめ る、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった 明確な成果があるまで継続するのではないか。
そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益 は、年初来ベースで前年比+13.6%の5兆5,212億元(
結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども 継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用 することは避けえない。
今年の鉄鉱石価格の上昇は、
中国最大の鉄鋼生産地区である河北省の高炉稼働率は、現在73.
今後、昨年と同様、生産抑制される見込みであるため、鉄鋼製品価 格は冬場、高い水準を維持することになるのではないか。
ただ、鉄鋼製品在庫が前週比▲24.1万トンの807.
鉄鋼製品が高止まりするため、鉄鉱石に関しても、冬場に向けた国 内生産の減速時期に突入していることから、季節的に鉄鉱石価格は 高止まりするだろう。
直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比▲165万トンの1億36,
鉄鋼製品価格につられて水準を切り上げていた鉄鉱石であるが、や はり徐々に下押し圧力が掛かるのではないか。
長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期 は2030年頃まで続く事、
なお、アジア開発銀行は2016年~
一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであ ることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れる 国は減少している。
実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが 相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送り となった。
現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその 土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になっ たことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略 の意味を理解しているということだ。
また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,
しかし、
一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日 本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえるが、米 国がこの日本の対応を看過するかどうかはまた微妙である。
上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。
1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認
2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合
3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合
1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。
2.はそのプロジェクトの質の悪さから導入を見送る国が増えてお り、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではな くなってきた。
3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性 が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているた め、部分的に実施される可能性はある。
下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。
1.中国の住宅バブル崩壊
2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない 場合
3.米利上げぺースの加速によるドル高で新興国からの資金流出が 加速した場合
4.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が 下落する場合
5.北朝鮮、中東情勢不安が世界的にリスク回避姿勢を強め、金融 市場の混乱が実態経済に悪影響を及ぼす場合
6.世界的な株価の調整によるリスク回避の動きの強まり
7.米国の進める保護主義政策の拡大
8.トルコの政情不安が新興国通貨安(資本流出)を通じて、新興 国需要の減速につながる場合
9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
10.ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、
4.の可能性は出てきたが、核放棄を行わない限り制裁は継続の方 針である。しかし、米国が体制保証を認めた以上、今後は北朝鮮が 国際社会に復帰する方向性に進む可能性が高い。
選挙結果を受けて対外的な政策成功をアピールしたいトランプ大統 領が、電撃的に制裁を解除する可能性は以前よりも高まった。
ただし、首脳会談のスケジュールを見るに、年明け以降の解除の可 能性が高いと考える(逆に言えば年内は解除はなしか)。
5.はリスクシナリオであるが、米朝首脳会談の結果を受け開戦リ スクは後退した。しかし、交渉は今後も継続する見込みであり、ど のように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の 解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。
中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対 してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。
欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、 というのが希望的観測を含めたメインシナリオだが、この通りにな るかどうかは正直五分五分だろう。
懸念されるのはCIAがサウジアラビアムハンマド皇太子がカショ ギ氏殺害を指示したと断定したと報じられたことだ。もし欧米がサ ウジアラビアに対して制裁、サウジが報復した場合、原油価格高騰 が景気にマイナスに作用することになる。
7.は常識的な落としどころを探る動きになる、
関税引き上げは消費税引き上げのような緊縮財政と同様の経済効果 をもたらすため、景気には明らかにマイナスだ。今のところ、中間 選挙を睨んだ対策であるため、目に見える効果が上がらない限りは 解除はしないだろう。
結果、中国国内の鉄鋼製品価格を押し下げ鉄鉱石価格の押し下げ要 因となるだろう。
9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに 対して622億ドル程度の融資(TheInter-AmericanDialogue調べ) をしていると考えられ、これは1,
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統 領がこの契約は無効として、
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終 的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエ ラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷 山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊 するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
10.は鉄鉱石・鉄鋼原料に限った話ではない。
---≪貴金属≫---
金銀価格は下落した。米中貿易交渉の進捗期待が高まったことで長 期金利が上昇、実質金利が上昇したこと、それに伴う急速なドル高 進行が価格を下押しした。
銀もほぼ同様の相場展開だったが、前日比はプラスで引けた。
金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。
また、こうした一連の政策や循環的な景気の減速を受けて米国の利 上げが想定よりも早く打ち止めになるのではないか、との見方も金 融面で価格を下支えしよう(ただし足元は原油価格の下落がこれを 相殺)。
英国は予定されていた議会の採決を延期した。
EUは再交渉には応じないとしているが、
しかし、メイ首相がそれを否定している上、国民投票の実施も否定 していることから、どちらに転ぶかわからないが、メイ首相の不信 任案を可決し、解散、総選挙、国民投票再度実施、という流れにな るのではないか(
なお、金価格は、地政学がフルに影響すれば1,
なお、地政学的リスクの影響がないとすれば、実質金利で説明可能 な水準である1,050ドル程度までの下落はあると考える。
銀は、SilverInstituteなどの分析では供給の減少と電気製品向け の需要増加で供給不足になっていると指摘されているが、それより は金価格動向や貿易戦争の影響が強く意識され、対金で軟調な推移 となっている。
今後についても金価格が軟調に推移することから水準を切り下げる 動きになると考える。
足元、
さい)。
金銀レシオが80である前提であれば、
金銀レシオが鉱工業生産などから説明可能な、長期の平均的な水準 である74程度であれば、17.6ドル、15.5ドルとなる。
短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、 12月4日時点で金のロングが+16,240枚の173,
先週から様子が変わり、金銀ともロングが増加し、ショートが減少 している。上述の通り政治的なイベントリスクが顕在化し始めてい る中で特にショートの買戻し圧力が強まることになるだろう。
PGM価格は金銀価格が上昇するため同様に上昇するとみるが、
ただし、パラジウムは供給が限定されるため下げ余地は限定される だろう。
米国の11月の自動車販売は1,740万台(市場予想1,
11月の米消費者信頼感は135.7と引き続き高い水準を維持、
FRBの利上げも継続する見込みであり、自動車メーカーのディー ラー向けのインセンティブ負担も重くなることが予想され、自動車 関税引き上げが宣言通り実施されるのであれば、自動車販売は減速 する可能性が高く、PGM価格を下押しすると予想される。
中国の10月の自動車販売(工場出荷台数)は前年比▲11.7%
弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが
2019年の自動車向けの触媒需要は前年比▲
この結果、地上在庫は312万オンス(2018年266万5,000オン ス))に増加する見込みで、在庫日数も146.8日(128.
なお、南アフリカのPGM生産指数は9月時点で108.00(
12月4日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが+1,
---≪農産品≫---
シカゴ穀物市場はまちまちした。トウモロコシは米需給報告がベア な内容だったこと、ドル高進行が価格を下押ししたが、米中貿易交 渉の進捗期待を受けて需給がタイト化するとの見方が強まり、引け にかけて水準を切り上げた。
大豆は米中貿易交渉の進捗期待を受けて一貫して上昇、ロシアの輸 出見通しが引き上げられたことで小麦は下落した。
今後、穀物価格は再び下値余地を探る動きになると考える。米中の 対立解消には相当の時間がかかるだろうとの見方が強まっているこ と、
12月の米需給報告では、トウモロコシの在庫見通しが17億8,
12月4日付のCFTC投機筋ポジションは、
米中の貿易戦争緩和期待からショートが買い戻されたようだが、中 国華為技術のCFOがカナダで拘束されるなど、
◆本日のMRA's Eye
「組織の壁のリスク」
市場価格リスクマネジメントを依頼してくる部署は会社によって 様々であるが、実際に原材料を購入している購買部門の方からよく 問い合わせを頂く。購買部門は年度の初めに予算が割り振られ、そ の価格を下回る価格で原材料を調達する必要がある。自社で鉱山や 油田を持っていない限り外部から現物を調達する必要が出てくるわ けだが、この状態は「自然にショートポジション(売りポジショ ン)を保有している状態」になっている。
このショート・ポジションは期限までに買戻し(具体的には現物の 購入)を行わなければならないというルールが課されているので、 月内の適当と思われる日(予算レートよりも低い価格の日)に買い のオーダーを入れることになる。
しかしこの時、予算レートを上回ってしまうと計画が未達になって しまうリスクが高まることになる。そのため、予算がある程度固ま ったタイミングで将来のリスク量を算定し、現物サプライヤーから 予め設定した数量を一定期間(四半期、半年、1年分など)、固定 価格で値決めして予算を上回ってしまうリスクを回避しておく必要 が出てくる。
しかし、
1つわかりやすい例を挙げると、
調達コストを市場価格なりにしておけば、価格高騰時に売り上げが 減少するという可能性はあり、利幅もそれほど取れず薄利であった としても利益を確保することが可能だったのだ(注:予定通り販売 が順調に進むという前提になるため、販売が不振の場合はまた別の 戦略を考えねばならない。これは価格リスクというよりはビジネス リスクの問題であることが多い)。
つまり今回の調達コストの固定化は、逆に価格が下落した時のリス クを増やしてしまっている形になるわけだ。そのため、本来的には 「最も追及するべき営業利益がどのように発生しているのか」その 仕組みを把握することがまず必要になってくる。弊社が価格リスク マネジメントを行う上で、まず現状把握が必要であると主張してい るのはそのためである。
現状把握にはこうしたポジションの把握や価格体系の把握、それに 伴う価格の振れのリスク把握が含まれる。そしてこれらの現状を把 握した上で価格リスクマネジメントを行う必要がある。
現状を把握してヘッジ方針を調整した代表的な業種が航空会社だろ う。リーマンショック前の原油価格高騰時には調達燃料の大部分を 現物取引やデリバティブなどで前もって値決めし、価格変動リスク を回避する戦略が取られていたが、国際線の場合基本的に燃料価格 の上昇分を運賃に上乗せするため国際線分については燃料費の上昇 リスクが回避ないしは軽減されているが、このルールを適用してい ない国内線については燃料価格の上昇リスクに晒される形になって いる。
もちろん相場動向にもよるが、本来的には日本の航空会社の場合こ の国内線分について直接的なリスクマネジメントを行っていればよ いということになる。
しかし、こうした現状を把握するには調達部門と営業・販売部門の 連携が十分に取れていることが必要条件になるが、これができてい る企業は実はそれほど多くない。
製造している商品の複雑さなどの問題があるため一概には言えない が、市場連動型の商品を製造・販売している企業でも、「営業がど ういった価格体系で販売しているか、よく知らない」ところは意外 に多い。これは、組織の欧米化が進んで縦割りないしは目的によっ て分社化してしまうことにより、横の連携が取り難くなっているこ とに起因する。
また、「売る部門」と「買う部門」
このことは、営業利益を守るために何らかの価格リスクマネジメン トを行おうとする場合、だれが音頭を取るないしは横の連携を取る 必要があることを意味している。しかし、部署間のコミュニケーシ ョンが役員の方も含めて円滑な企業ばかりではなく、この「組織の 壁」が価格リスクマネジメントの実施を阻むことはしばしば発生し ている。
相場が大きく変動するようなリーマン・ショックなどの発生時には 社員全員が同じ船に乗ることになるため、こうした危機顕在化時に 社内の議論が進むことがあるが、できれば「平時」にこうした諸問 題を乗り越え、危機顕在化の前に体制整備を終えておくのが望まし い。こうした組織の壁を乗り越えることが、価格リスクマネジメン トにとって最も重要なことかもしれない。
◆主要ニュース
・11月日本工作機械受注速報 前年比▲16.8%の1,317億9,800万円(前月改定▲0.7%の1,396億1,900万円)
外需▲28.9%の740億6,400万円(▲2.4%
・11月中国マネーサプライ M2 前年比+8.0%の181兆3,200億元(前月+8.0%の179兆5,600億元)
M1 +1.5%の54兆3,500億元(+2.7%
ファイナンス規模 1兆5,191億元(7,430億元)
・11月中国人民元建て新規融資 前年比+11.6%の12,500億元(前月 +5.1%の6,970億元)
・12月ZEW独景況感調査期待指数 ▲17.5(前月▲24.1)
現況指数 43.5(58.2)
ユーロ圏期待指数 ▲21.0(▲22.0)
・11月米生産者物価指数 前月比+0.1%(前月+0.6%)、前年比+2.5%(+2.9%)
除く食品エネルギー 前月比+0.3%(+0.5%)、前年比+2.7%(+2.6%)
除く食品エネルギー貿易 前月比+0.3%(+0.2%)、前年比+2.8%(+2.8%)
・米トランプ大統領、「壁建設の予算を通さないなら、政府機関を閉鎖する。」
・英メイ首相の不信任投票実施の可能性。
◆エネルギー・メタル関連ニュース
【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油▲3,168KB(前週▲7,323KB)
ガソリン+1,933KB(+1,699KB)
ディスティレート+1,472KB(3,811KB)
稼働率+0.41%(▲0.10%)
・API石油統計 原油在庫▲10.2MB
クッシング+0.64MB
ガソリン▲2.48MB
ディスティレート+0.71MB
・DOE月報
世界石油需要 Q118:99.1、Q218:99.6、Q318:101.
非OPEC供給(含むNGLs) Q118:59.8、Q218:60.6、Q318:61.8、Q418:62.6、2018:61.2
OPEC生産 Q118:39.3、Q218:38.9、Q318:39.2、
※非OPEC生産見見通し引き下げと需要見通し上方修正で、
・12月DOE 1年先石油価格見通し
原油 54.19ドル/バレル(前月 64.85ドル/バレル)
ガソリン 2.50セント/ガロン(2.75セント/ガロン)
ディーゼル 2.95ドル/ガロン(3.21ドル/ガロン)
灯油 2.87ドル/ガロン(3.08ドル/ガロン)
天然ガス 11.24ドル/千CF(10.91ドル/千CF)
・リビア エルシャララ油田からの輸出を停止。武装勢力の攻撃の影響で。
【メタル】
・宝山鋼鉄 1月酸洗と冷延、アルミ亜鉛合金めっき鋼板を▲200元下げ、溶融亜鉛めっき後半と電気亜鉛めっき鋼鈑、厚板を▲
・Vale、長期的なニッケル生産計画40万トン。
◆主要商品騰落率
【上昇率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +2.46%/ +18.26%
2.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.28%/ ▲30.09%
3.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +1.57%/ +0.89%
4.パラジウム ( 貴金属 )/ +1.57%/ +17.35%
5.NYM WTI ( エネルギー )/ +1.41%/ ▲14.40%
【下落率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲4.17%/ +9.20%
67.LIFFEココア ( その他農産品 )/ ▲3.94%/ +7.84%
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.92%/ +47.88%
65.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲3.36%/ +147.36%
64.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.79%/ ▲22.62%
※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
◆主要指標
【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,370.24(▲53.02)
S&P500 :2,636.78(▲0.94)
日経平均株価 :21,148.02(▲71.48)
ドル円 :113.41(+0.08)
ユーロ円 :128.39(▲0.31)
米10年債利回り :2.88(+0.02)
独10年債利回り :0.23(▲0.02)
日10年債利回り :0.05(+0.01)
中国10年債利回り :3.28(+0.02)
ビットコイン :3,372.08(▲28.84)
【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.29(▲0.14)
エネルギー :53.66(▲1.32)
ベースメタル :18.25(▲0.09)
貴金属 :15.41(+0.05)
穀物 :16.32(▲0.49)
その他農畜産品 :25.38(+0.43)
【主要商品ボラティリティ】
WTI :52.48(+0.59)
Brent :44.53(▲5.32)
米天然ガス :120.57(▲0.45)
米ガソリン :51.91(+0.18)
ICEガスオイル :40.26(▲2.53)
LME銅 :14.83(+0.05)
LMEアルミニウム :13.34(▲0.13)
金 :17.56(▲0.1)
プラチナ :14.95(+0.06)
トウモロコシ :12.24(▲0.05)
大豆 :17.56(▲0.1)
【エネルギー】
WTI :51.72(+0.72)
Brent :60.33(+0.36)
Oman :58.90(+0.21)
米ガソリン :143.79(+1.90)
米灯油 :184.98(+0.57)
ICEガスオイル :568.50(▲3.75)
米天然ガス :4.37(▲0.18)
英天然ガス :65.25(+0.79)
【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :60.33(+0.36)
SPO380cst :369.51(▲1.19)
SPOケロシン :74.16(+0.33)
SPOガスオイル :72.13(+0.15)
ICE ガスオイル :76.31(▲0.50)
NYMEX灯油 :184.17(+0.27)
【貴金属】
金 :1242.97(▲1.49)
銀 :14.57(+0.04)
プラチナ :785.65(+0.83)
パラジウム :1248.05(+19.26)
※ニューヨーククローズ。
【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,156(+46:7B)
亜鉛 :2,605(+19:70.5B)
鉛 :1,982(▲12:12.5C)
アルミニウム :1,958(+7:8C)
ニッケル :10,875(+45:110C)
錫 :18,985(+85:35B)
コバルト :55,000(±0.0)
(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6146.00(+51.00)
亜鉛 :2597.00(+20.00)
鉛 :1977.50(+22.50)
アルミニウム :1936.00(▲11.00)
ニッケル :10745.00(▲40.00)
錫 :19070.00(+115.00)
バルチック海運指数 :1,385.00(+13.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :66.63(+0.13)
NYMEX鉄鉱石 :66.74(+0.23)
NYMEX原料炭スワップ先物 :222(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,542(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,306(▲36)
米鉄スクラップ :休場( - )
【農産物】
大豆 :915.00(+5.25)
シカゴ大豆ミール :308.90(+1.00)
シカゴ大豆油 :28.71(+0.19)
マレーシア パーム油 :1805.00(▲30.00)
シカゴ とうもろこし :375.00(+0.75)
シカゴ小麦 :509.75(▲5.00)
シンガポールゴム :136.90(▲1.20)
上海ゴム :10895.00(▲115.00)
砂糖 :12.83(+0.11)
アラビカ :97.65(▲2.80)
ロブスタ :1502.00(▲22.00)
綿花 :80.02(+0.14)
【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :54.45(▲0.28)
シカゴ生牛 :118.38(+0.80)
シカゴ飼育牛 :147.30(+2.28)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。