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新型肺炎感染者拡大で景気循環系商品続落
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年1月27日 第1677号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「新型肺炎感染者拡大で景気循環系商品続落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品や穀物などの非景気循環銘柄や、債券、貴金属などの安全資産が物色される流れが続いた。中国武漢で発生した新型肺炎の影響が中国全土に拡大、さらに海外でも感染者が確認されるなど、2003年のSARS流行時と同様のパニックになる、との懸念が強まったことが背景。

昨日発表された各国の製造業PMIは、ドイツが45.2(市場予想44.5、前月43.7)、ユーロ圏も47.8(46.8、46.3)と市場予想を上回る改善が確認され、景気底入れが近いのではとの期待を高める内容、米国は51.7(52.5、52.4)と市場予想・前月も下回ったが、閾値の50は上回った。

しかし、これらの要因はほとんど景気循環系商品の価格面でプラス材料として意識されなかった。

【本日の価格見通し総括】

本日も、世界中に症例が広がっている中国発の新型ウイルスの影響拡大の状況をにらみながら、基本的には景気への懸念が強まる形で景気循環銘柄価格が軟調に推移し、非景気循環系商品が物色される流れが継続すると見る。

また、多くの資源の最大消費国である中国が正月入りしており、積極的な買い手が不在となることも、景気循環系商品の売り圧力と強めると予想されるため恐らく下落はまだ続くことになるだろう。

今後の価格動向を占う上では、感染拡大がそれほど早く終息に向かうとは思えないが、中国正月明けの中国勢の動きに注目したいところだ。

予定されている統計では、12月の米新築住宅販売(市場予想+1.5%、前月+1.3%)、独IFO企業景況感指数(97.0、96.3)、期待指数(94.8、93.8)に注目しているが、いずれも改善見込みである。

しかし新型肺炎の影響の方がより強く意識されるため、統計の改善があっても影響は限定されるだろう。しばらくは過去の実績である統計よりも、PMIやISM指数のようなマインド系のソフト指標の重要性が高まることになろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

中国発の新型肺炎の影響が拡大している(詳しくはMRA's Eyeをご参照ください)。原稿執筆時点ではCNNなどの情報では、1,072人に達し、死者は41人に達したようだ。また、封鎖都市も武漢以外にも拡大、感染症例も中国本土のみならず、米国、欧州、台湾、シンガポール、日本にも拡大している。

昨日発表された各国の製造業PMIは、ドイツが45.2(市場予想44.5、前月43.7)、ユーロ圏も47.8(46.8、46.3)と市場予想を上回る改善が確認され、景気底入れが近いのではとの期待を高める内容。

米国は51.7(52.5、52.4)と市場予想・前月も下回り、米国の景気の底入れは欧州に遅れる可能性が高まっている。

しかし、感染が拡大した場合、強制的に荷動きを止めるといった決断が行われる可能性があり、経済滑動は不連続に鈍化することになる。つまりこれまでの経済統計などの指標による分析が、「あまり役に立たなくなる」可能性がある、ということだ。

国土が広く、かつ、まだ近代的とは言えない衛生管理が残る中国で、これ以外の感染が拡大する可能性は高い。今回の肺炎であまりニュースで取り上げられていないが、豚コレラに感染した豚肉を使ったハムサンドがイタリアで発見されたと報じられ、韓国、日本、豪州、フィリピン、北アイルランドの空港で押収された食品からも検出されている。

新型肺炎に加えて、豚コレラの影響拡大による食品価格の高騰が重なれば、特に中国国内での不満が高まり、政情・市場不安定化要因になる可能性は否定できない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%))に引き下げた。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっている。あったとしても後1回程度(▲25bp程度)の利下げに留まる(金融面の価格下支え期待の後退)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済滑動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

通商面のみならず、資本フローの規制や、人権問題への制裁なども加わっており、通商面で妥協があったとしてもその他の分野での制裁発動の可能性は高い。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。EUは英国のEU離脱期限延長で合意し、英総選挙では保守党が圧勝した。目先は無秩序離脱の可能性が後退するため価格の上昇要因。ただし、2020年12月末の移行期間までに条件で合意できなければ、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・中国政府が「法律に基づき」過去のGDPの見直しを行うと発表しているが、この見直しによって統計が悪化する可能性は高く、景気循環銘柄価格の下落要因に。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は続落した。中国が発生源の新型肺炎の影響が世界各地に広がっており、で死亡者が増加、経済活動が鈍化するリスクが意識されたことで需要減少への懸念が強まったため。

【原油価格見通し】

原油価格は軟調な推移になると考える。中国の新型肺炎の影響が世界的に広がりを見せる中、ヒトやモノの移動が停滞し、輸送需要が減少するとみられることから。また、IMFの景気見通しも下方修正されており、そもそも市場参加者のマインドもそこまで強気ではないことも、軟調地合いとさせている。

ただし、リビアやイラクの原油生産減少の影響で下げ余地も限定されると考える。

しかし、このようなパニック状態になると、需給バランスなどのファンダメンタルズ分析はほとんど役に立たず、チャートのテクニカル分析などの方がより重要になる。週末は今や世界的に一般化した、「一目均衡表」の雲を下抜けしており、さらに下値余地を試す可能性が出てきた。

また、プットオプションの積み上がり具合を見ると、Brentは60ドルに15,823枚、55ドル15,699枚積み上がっているが、その他の価格帯には大きくポジションが積み上がっていない、いわば「真空地帯」であり、さらに大きく水準を切り下げるリスクは視野に入れておくべきだろう。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

関税の追加引き上げが見送られ、一部関税が引き下げられたことから、フロー需要の増加につながると見られる。ただこれも毎月の統計や実績を見ながら判断する、ということにならざるを得ない。

エネルギーに関しては原油やLNG、石化素材が合意に含まれるが、仮に履行されればWTIや米天然ガスの上昇要因となり、Brent、ドバイ、JKMの対北米原燃料プレミアムの縮小圧力が強まることになると予想される。

3月のOPECプラス会合での減産延長については、今のところ減産規模が縮小されるないしは減産が終了する可能性が高い。原油価格は一時的に4月以降、下値余地を試すことになるだろう。

米・イランの対立は一旦鎮静化した。ただし、米国人が1人死んでもそれはレッドラインと設定した可能性が高いうえ、局地的な攻撃は現在も続いていることから、偶発的な事故が大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

この場合、「米国がデモを煽っている」という名目のもと、国民の不満をそらすために米軍基地が再び攻撃にさらされる可能性がある。それでも米軍との衝突にならないような攻撃になると見るが、今回のウクライナ機撃墜のように「誤って」米国人を殺害してしまう可能性もあり、今回の件は地政学的リスクを高めるものといえる。

リビア情勢は当事者不在の中、恒久停戦に向けて協力するという共同声明が発表された。実質的に「何もできない」ということである。リビアでは、トルコはシラージュ暫定政権側(国際的にも支持)を支持しているが、ロシアやサウジアラビアは世俗派のリビア国民軍を支持している。

トルコが暫定政権側を支持する理由は、イスラエルやギリシャが欧州向けに進めているガスパイプラインを遮断すること。これまではトルコを通じて欧州に輸出されていたが、地中海ガスパイプラインが通ればトルコの権益や影響力が低下するためだ。

大規模戦争にはならないとみるが、リビアの停戦は非常に困難とみられる。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないだろう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。今のところ米政権は中間層への減税を検討しているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小動き。中国正月入りで市場参加者が減少する中、取引が手控えられた。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の新型肺炎の影響が拡大、封鎖された都市の数が増加する中、エネルギー需要が鈍化するとみられること、IMFの景気見通しも下方修正されていることから、軟調な推移になると考える。

ただし、ピークシーズン入りしていること、年度が変わったことによる、中国の輸入再開観測を受けて下値余地も限定されると予想される。

ドイツが脱石炭火力推進で、大規模な補償を伴う法案を可決、2038年までに石炭火力発電所撤廃の方針が強まることから、アジア太平洋地区の石炭需給は構造的な緩和圧力が強まることが予想される。

ただし長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC総会では現状追認の▲50万バレルの追加減産が決定され、さらにサウジアラビアが▲40万バレルの自主減産を決定、原油価格の上昇要因に。

ただし、減産は3月末までであること、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、OPEC減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

また、トルコ軍のシリアへの侵攻により、イスラム国の兵士が域外に逃亡(イラクなど)、このほかリビアにも派兵するなど中東・北アフリカの地政学的リスクが高いことは要注意。

サウジアラビアのアブカイクへのドローン攻撃でテロが低価格化・大規模化することが分かったことは、中東の供給途絶リスクを従来よりも高めるものであり、従来以上に中東情勢は重要に。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショート共に減少したが、ロングの減少幅が大きく総じて弱気に、Brentはロング・ショートとも増加したが、ロングの増加の方が顕著であった。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが599,228枚(前週比 ▲11,216枚)、ショートが78,660枚(▲1,472枚)、ネットロングは520,568枚(▲9,744枚)、Brentが498,736枚(前週比+3,794枚)、ショートが69,746枚(+966枚)、ネットロングは428,990枚(+2,828枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は続落した。中国の新型肺炎拡大の影響で封鎖対象地域が拡大し、他国にも波及していること、中国正月で積極的な買い手が不在の状態になっていることが材料となった。

欧米の製造業PMIが発表されたが、正直ほとんど材料視されていない。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は新型肺炎の影響が拡大していることに伴う、製造業活動の鈍化観測や、IMF経済見通しの下方修正、最大の買い手である中国勢が中国正月で不在であることから、軟調地合いになると考える。

そもそも景気の底入れはQ220頃になる可能性が高く、その意味でも下値余地を探りやすい地合いにある。

最大消費国である中国は景気テコ入れのための預金準備率引き下げや、3月の全人代以降の公共投資拡充などの対策期待、季節的に2月から3月にかけては中国の在庫積み増し時期であることから、野放図な価格下落にはならないと見てはいる。

しかし本当に底入れするかどうかは、新型肺炎の影響がどの程度で済むか、に依拠するため中国正月明けの2月中旬以降の特に中国情勢に注目する必要があろう。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

関税の追加引き上げが見送られ、一部関税が引き下げられたことから、フロー需要の増加につながると見られる。ただこれも毎月の統計や実績を見ながら判断する、ということにならざるを得ない。

金属に関しては非鉄金属に関しては米国向けの製品輸出需要の増加、という形で影響が出ると見られるが、この影響も様子を見ながらにならざるを得ない。

中国が輸入を増加させる対象にレアアースが含まれているようだが、最大生産国である中国が輸入を増加させる、というのは難しかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないと予想される。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めていることが、非鉄金属においても今後の大きなテーマとなると見られる。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的にはインドの構造的な需要増加や、環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想されるが、より短期的には、中国、欧州の景気がどこで底入れするのか、米国経済の後退がいつから始まるのかに依拠する。

今年の大統領選挙を睨んで米国がどのような対応をしてくるかが不透明であるが、こうした政策期待効果を除けば、底入れ感が出てくるのは来年の春~夏にかけてになると見ている。中期的には現状水準でのもみ合いが続こう。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか(従来見通しを変更)。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復し、閾値の50を維持。しかし、規模別でみた場合、中小企業の景況感はまだ50を上回っていない。価格へのプラスの影響は緩やかなものに止まろう。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、Valeの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

HydroのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・1月17日付のLMEロング・ショートポジションの動向は、錫のロングが減少したがその他は増加した。

中国の経済対策に伴う工業生産の回復などが材料となり、過度な悲観が弱まったため。アルミやニッケル、錫はショートも減少しており全体として強気なポジション取りに。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は+15.7億ドル(前週+5.5億ドル)と買い越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+185.3%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで+201千トン(前週▲32千トン)と買い越しに転じた。そもそも取り扱い数量の多いアルミが売り越し幅を縮小させたことが背景。ネット売り越しの減少率は▲731.2%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅下落、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品先物価格は休場だった。

中国勢が正月入りし、積極的な買い手が不在となる中で、新型肺炎の影響が拡大し、生産活動に悪影響が出るとの見方が強まっていることが、総じて鉄鋼原料価格に下押し圧力を掛ける展開となっている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、新型肺炎の感染拡大による経済活動の鈍化懸念や、最大の買い手である中国の中国正月入り、IMFの経済見通し下方修正を受けて軟調な推移になると考える。

とはいえ、最大消費国である中国の公共投資に伴う需要増加や、冬場の鉄鋼製品生産規制から鉄鋼製品価格が高止まりしていること、豪州の供給懸念、季節的な在庫積み増しの時期に当たることから下値余地も限定されるだろう。。

米中が貿易交渉で部分合意、これ自体は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、2020年はValeの生産本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格短期~中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは43.1(前月45.4)と再び減速した。新規受注の落ち込み(43.8→36.2)によるものであり、内外需とも不調である。これに伴い在庫水準も積み上がっており、需給ファンダメンタルズが緩和しつつあることを示唆している。価格には下押し要因に。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

しかし、中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲55万トンの1億2,735万トン(過去5年平均1億2,184万トン)、在庫日数は▲0.1日の29.3日(過去5年平均 32.9日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+130.4万トンの1,019.4万トン(過去5年平均962万トン)と例年を上回った。新規受注の減速があるため、徐々に鉄鋼製品受給は緩和するとみられる。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・中国政府がシャドーバンキングを含む金融市場の緩和を進めているほか、地方政府にも債券発行枠の前倒しを認めるなど、景気テコ入れのため公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇した。昨日は安全資産需要というよりは、新型肺炎の感染が拡大する中で株価が調整、債券が物色され、実質金利に低下圧力が強まっていることが価格を押し上げる展開。

PGMはパンデミックリスク顕在化懸念の強まりで、パラジウムが大きく水準を切り下げたがより投機商品としての色彩が強いプラチナは小幅高となった。

【貴金属価格見通し】

金価格は新型肺炎リスク拡大の懸念が広がており、株価の調整が債券利回りの低下を通じて実質金利を押し下げること、株安に備えるための安全資産需要が高まることから、高値圏での推移を継続すると考える。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。実力ベースでは金価格は1,300ドル程度だろう。

ただ実際は過去の実質金利からの乖離幅は平均で150ドル程度であるため(リスクが完全になくなることはあまりない)、リスクが回避された場合、1,400ドル程度までしか下げ余地はないと見ている。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらし、金銀価格の下落要因となっている。しかし数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は上昇リスクとなる可能性がある。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は再び上昇に転じており、金銀レシオの上昇を肯定しやすくなっている。しかし、現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられ、20ドル前後まで価格が上昇してもおかしくない地合い。

特にリスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、ここにきて新型肺炎の感染拡大が経済活動に悪影響を及ぼす、との見方が強まっており、金銀に比べて景気循環系商品としての色彩が強いことから、しばらく下値余地を探る動きになると考える。

パラジウムは供給懸念が強く意識されているため引き続き、高値圏での推移となるだろう。

なお、投機の買いが押し上げているというよりも実際に顕著な供給不足によって上昇しているものであり、「どこまで上昇するのか」「調整した時のめどはどこか」といったことは正直不明である。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

やや懸念されるのが、12月の米自動車販売は1,670万台(前月 1,709万台)と再び失速している点。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは米統計の悪化懸念がやや後退していることから、追加利下げの可能性が大きく後退している。仮に追加利下げがあったとしても来年1回程度とみられるため、下支え効果は限定。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、基本的に覇権争いであるためこの問題が簡単に片付くことはなく、安全資産需要を下支えする見込み。

米国は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決と、それによって民間技術が軍事転用されないようにすることが最終目標であり、根本的な解決には相当な時間がかかる見込み(価格の下支え要因)。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英議会は1月末のEU離脱案を可決、安全資産需要の後退で金価格の下落要因に(ただし、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロング・ショートともに減少したが、イラン問題の解消を受けてロング解消圧力の方が強かった。

銀はロング・ショートとも減少したが、ショートの解消圧力の方が強く強気のポジション取りに。

プラチナはロングが増加、ショートが減少して強気のポジション。パラジウムはロングが減少、ショートが増加した。大幅な価格上昇を受けた利益確定の売り圧力が強まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが374,793枚(前週比 ▲2,016枚)、ショートが57,098枚(▲476枚)、ネットロングは317,695枚(▲1,540枚)、銀が109,144枚(▲1,618枚)、ショートが40,269枚(▲3,120枚)、ネットロングは68,875枚(+1,502枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが77,952枚(前週比 +1,485枚)、ショートが10,561枚(▲1,381枚)、ネットロングは67,391枚(+2,866枚)、パラジウムが15,468枚(▲1,140枚)、ショートが5,624枚(+356枚)、ネットロングは9,844枚(▲1,496枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は軟調な推移となった。新型肺炎の影響拡大で物流に支障が出るとの見方が強まったことや、リスク回避のドル高進行が価格を下押しした。

なお、穀物の週間輸出成約高が発表され、トウモロコシが1,008.9千トン(前週比+17.1千トン)、大豆が910.7千トン(+268.6千トン)、小麦が742千トン(+31.7千トン)と、輸出量を増加させたがほとんど材料視されなかった。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は新型肺炎の影響で米国からの輸出が鈍化する、との懸念が広がっていることから軟調地合いになると考える。

しかし、米中の通商面の合意や、異常気象による小麦の生産減少観測などへの懸念も根強く、また、景気減速から非景気循環系商品が物色されやすい地合いになるため、底堅い推移になると予想する。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は豪州火災の影響や、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい。

ただし「小麦は雑草」の格言通り、最終的には供給は間に合うと予想され、上昇余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・1月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9.200万Bu(市場予想135億207万Bu、前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億1,307万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・1月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 18億9,200万Bu(市場予想17億7,641万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,100万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億6,500万Bu(9億7,046万Bu、9億7,400万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意したと伝えられており、足元シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、長期化の可能性は高くシカゴ定期の下落要因に。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・投機のポジションは、トウモロコシのロング・ショートが増加、大豆は米中合意でロングが増加、ショートが減少、小麦は需要が旺盛でロングが増加している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが330,535枚(前週比 ▲1,186枚)、ショートが282,512枚(▲13,294枚)、ネットロングは48,023枚(+12,108枚)、大豆はロングが124,695枚(▲6,111枚)、ショートが107,051枚(+10,906枚)、ネットロングは17,644枚(▲17,017枚)、小麦はロングが158,953枚(+12,892枚)、ショートが111,228枚(+3,372枚)、ネットロングは47,725枚(+9,520枚)

◆本日のMRA's Eye


「新型肺炎禍2003年との比較」

中国で発生した新型肺炎の影響が拡大している。これを受けて多くの景気循環系商品価格が下落しており、銅をはじめとする非鉄金属や、原油などに強い下押し圧力が掛かる展開が続いている。

本日のMRA's Eyeでは今後を見通すため、2003年との比較を行った。

2002年11月にSARSの初症例が公表されて以降、非鉄金属市場は比較的敏感に反応し、水準を切り下げる動きを強めた。

価格の変化を見る上で前年比変化を用いたほうがわかりやすいので、それを用いて動きを見てみると、SARSの症例報告があったタイミングから銅価格は前年比上昇率を切り下げている。

この時中国の精錬銅消費シェアは20.1%(18.2%)と、すでに世界需要の5分の1を占めており、中国の消費動向が銅をはじめとする非鉄金属セクターの需給バランスに与える影響が大きかったことを示唆している。なお、この時点で米国の消費シェアは15.0%(15.7%)であり、非鉄金属市場への影響力は低下し始めていた。

そしてその後、2003年7月のSARS終息宣言を受けて、銅価格は急速に水準を切り上げることになる。人口ボーナス期入りした中国の消費増加に、供給が間に合わなくなったためである。

通常、銅鉱山の開発から生産開始までは早くても10年程度の時間を要するため、自国で生産能力を増強しても「時間的に間に合わない」ため海外から積極的に金属を求めた。銅は近代化のために必須の金属である。

一方、原油は2003年3月頃まで前年比で極端に価格水準を切り上げた。これはSARSの影響、というよりも米国がイラクに「大量破壊兵器があること」を理由に対イラク開戦に踏み切るとの見方が強まっていたことで、原油の前倒し調達が進んだためだ。

しかし、開戦後に急落。これは短期決戦で戦争が終了し、供給懸念が解消するとの見方や、開戦に伴う米景気の減速が懸念されたことによるものだ。この頃の原油市場は、中国の需要がまだ本格的な増加になっていなかったため、需要面よりも供給面がより材料視された時期である。

その後、バグダッドが陥落するあたりから原油価格は底を打ち、水準を切り上げる動きとなった。これは最大消費国である米国景気の回復感が強まったことによるものだ。

この頃はまだ中国のエネルギー消費に占めるシェアが低く、エネルギー価格への中国の動きが与えた影響はあまり考慮されていなかった、と考えるのが適切だろう。BPのデータを基にすると2003年の中国のエネルギー消費シェアは7.2%(前年6.6%)、米国は24.9%(25.1%)であり、圧倒的に米国の消費動向の方が価格に与える影響が大きい。

しかし、2003年9月頃から原油価格は下落を始める。これはOPECが価格上昇を受けて増産に踏み切るとの見方が強まったためである。

今はそのような制度はないが、この頃は「OPECプライスバンド」という考え方をOPECが持っていたころであり、原油価格(OPECバスケット価格)を22ドル~28ドルに安定化させるという方針を採用していたため、28ドル以上の価格上昇時には増産になると見られていたことが影響したと見られる。

では現時点ではどうか。まず同様の分析を行うため、銅と原油のシェアを確認しよう。2018年時点でエネルギーに関しては中国のシェアは13.6%(13.1%)、米国は20.5%(20.3%)、2019年時点で銅に関しては中国は50.2%(49.6%)、米国は7.3%(7.6%)と非鉄金属の影響が顕著であるが、エネルギーに関してもそのシェアが上昇している。両者とも、中国のイベントの影響は高まったといえるだろう。

新型肺炎発生前後の銅と原油価格動向を比較すると、左右の座標のスケールは違うものの、両者はほぼ同じ動きになっていることがわかる。下落率ベースで比較すると、米国とイランの対立が鎮静化した1月8日の終値からの下落率で比較した場合、原油が▲7.3%、銅が▲4.1%となっており、原油価格への影響がより大きくなっている。

これは、中国政府が景気テコ入れのために行ってきた預金準備率の引き下げや公共投資などの対策、より中国に対する影響が大きかったとみられる米中通商戦争の一時停戦の影響が出たためと考えられるが、非鉄金属セクターでの中国のシェアの圧倒的な高さ、構造的な経済規模の縮小局面下にある中での、経済活動停滞につながるイベントリスクの顕在化であり、今後、より銅をはじめとする非鉄金属価格に下押し圧力が掛かる展開が予想される。

ただ、今のところQ220に景気は底入れし、年末に向けて回復感が強まるというのがメインシナリオであり、恐らく夏頃には米国の減税も実施されるため、世界景気の回復期待で銅、原油価格は上昇余地を探る展開になると予想される。

しかし問題は、今回のパンデミックリスクがどの程度拡大する可能性があるかどうかだ。正直、専門家でも正確な予測ができないため、ここで正確に先行きを見通すことは不可能だ。

しかし、2003年と現在を比較した場合、中国の世界経済におけるプレゼンスは圧倒的に異なる。世界の輸出に占める中国の金額シェアは12.8%と、2003年の5.8%から2倍以上に増えている。

このことは、金額ベースでも中国とその他の地域の接触度合いが大幅に増えていることを意味する。人と人の接触が増えることになり、感染の拡大リスクは以前よりも高い。

もちろん、2003年の時と比較して中国は洗練され、危機管理能力も向上して入るだろう。また、今回の新型肺炎の致死率がSARSやMARSよりも低いため、危機的な状態にはならないのでは、という楽観が広がっていることも事実である。

しかし、今回の感染拡大を阻止するため、中国は武漢を実質的に封鎖することを決定し、その他の地域に拡大することも懸念され、最悪の場合世界的に人や物の移動を制限する、という流れになれば強制的なヒトやモノの移動の制限によって、景気が減速する可能性も排除できなくなってくる。

特に、感染の過程で新型コロナウイルスがミューテーション(突然変異)を起こし、致死率の高いウイルスに変化してしまった場合、より強力にヒトとモノの移動は制限されるだろう。

この場合Q220に底入れできずに回復がQ320にずれ込む、または最悪の場合、景気が底割れしてしまうという展開も確率を推定できないリスクシナリオとして無視できない。特にバブル感が強まっている株式市場に逆回転の圧力が掛かれば、その可能性は高まる可能性がある。

結局、この危機を回避するために各国政府や保健機関は民族や宗教対立をこえて連携し、何としても世界的な感染拡大を回避するべきである。

2003年のSARS発生の時は、台湾独立を標榜する陳水扁が台湾総統だった時代、中国政府は台湾に対してSARSに関する重要な情報を適切な時期に提供せず、WHO主導の研究会にも参加できないようにした、と指摘している。

現在、独立志向の強い蔡英文総統が再選を果たしたが、同じような愚を犯さないことを期待したい。楽観は禁物だ。

◆主要ニュース


・12月日本全国消費者物価指数 前年比+0.8%(前月+0.5%)、除く生鮮+0.7%(+0.5%)、除く生鮮エネルギー+0.9%(+0.8%)

・1月日本製造業PMI速報 51.1(前月改定 48.6)、サービス業 49.3(48.4)、コンポジット 52.1(49.4)

・1月ユーロ圏製造業PMI速報 47.8(前月改定 46.3)、サービス業 52.2(52.8)、コンポジット 50.9(50.9)

・1月独製造業PMI速報 45.2(前月改定 43.7)、サービス業 54.2(52.9)、コンポジット 51.1(50.2)

・1月米製造業PMI速報 51.7(前月改定 52.4)、サービス業 53.2(52.8)、コンポジット 53.1(52.7)

・WHO事務局長、「緊急事態ではないがそうなる可能性はある。」

・ECBラガルド総裁、「ECBの政策が自動操縦だと市場は想定するべきではない。」

・トルコ東部でM6.9の地震。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数676(前週比+3)、ガスリグ 115(前週比▲5)。

【メタル】
・チリ銅委員会、「銅品位の低下と水資源の問題から、2030年までに銅鉱山が使用する電力のシェアは41%に達する見込み。」

・4-12月期インドアルミ生産 前年比+12%の274万トン(前年245万トン)、亜鉛▲1%の516,320トン、鉛▲9%の132,322万トン。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.銀 ( 貴金属 )/ +1.69%/ +1.39%
2.ビットコイン ( その他 )/ +1.37%/ +18.71%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +1.31%/ ▲12.71%
4.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +0.84%/ ▲1.49%
5.金 ( 貴金属 )/ +0.55%/ +3.58%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM灯油 ( エネルギー )/ ▲3.21%/ ▲14.51%
69.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ ▲3.21%/ ▲7.75%
68.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲2.88%/ ▲10.76%
67.DME Oman ( エネルギー )/ ▲2.66%/ ▲9.52%
66.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲2.52%/ ▲11.25%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :28,989.73(▲170.36)
S&P500 :3,295.47(▲30.07)
日経平均株価 :23,827.18(+31.74)
ドル円 :109.28(▲0.21)
ユーロ円 :120.48(▲0.56)
米10年債利回り :1.68(▲0.05)
独10年債利回り :▲0.34(▲0.03)
日10年債利回り :▲0.02(▲0.00)
中国10年債利回り :休場( - )
ビットコイン :8,497.52(+114.65)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :22.43(+0.21)
エネルギー :25.19(+0.09)
ベースメタル :19.66(+0.36)
貴金属 :22.16(+0.53)
穀物 :15.43(+0.44)
その他農畜産品 :25.52(▲0.01)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :26.85(+0.49)
Brent :27.32(+0.14)
米天然ガス :33.00(+0.22)
米ガソリン :26.68(+0.58)
ICEガスオイル :19.90(▲0.83)
LME銅 :12.11(+0.62)
LMEアルミニウム :12.77(▲0.53)
金 :10.46(+0.17)
プラチナ :23.64(▲0.02)
トウモロコシ :20.72(+0.9)
大豆 :10.46(+0.17)

【エネルギー】
WTI :54.19(▲1.40)
Brent :60.69(▲1.35)
Oman :61.00(▲1.67)
米ガソリン :151.52(▲4.50)
米灯油 :173.40(▲5.76)
ICEガスオイル :536.00(▲9.50)
米天然ガス :1.89(▲0.03)
英天然ガス :27.12(+0.35)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :60.69(▲1.35)
SPO380cst :301.95(▲15.99)
SPOケロシン :79.82(▲0.48)
SPOガスオイル :70.59(▲2.07)
ICE ガスオイル :71.95(▲1.28)
NYMEX灯油 :201.65(▲2.31)

【貴金属】
金 :1571.53(+8.59)
銀 :18.10(+0.30)
プラチナ :1006.43(+1.42)
パラジウム :2426.42(▲37.55)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,996(▲86:28C)
亜鉛 :2,339(▲34:15.5B)
鉛 :1,946(▲42:14B)
アルミニウム :1,786(▲8:10.5C)
ニッケル :13,060(▲315:70C)
錫 :16,925(▲275:25C)
コバルト :32,163(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5922.50(▲103.50)
亜鉛 :2338.00(▲17.00)
鉛 :1935.00(▲29.50)
アルミニウム :1782.50(▲13.00)
ニッケル :12970.00(▲430.00)
錫 :16840.00(▲210.00)
バルチック海運指数 :557.00(▲19.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :94.37(+0.47)
NYMEX鉄鉱石 :94.35(▲0.05)
NYMEX原料炭スワップ先物 :149(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :休場( - )
上海鉄筋中心限月 :休場( - )
米鉄スクラップ :281(▲13.00)

【農産物】
大豆 :902.00(▲7.50)
シカゴ大豆ミール :298.30(▲0.60)
シカゴ大豆油 :32.02(▲0.46)
マレーシア パーム油 :2925.00(▲60.00)
シカゴ とうもろこし :387.25(▲6.50)
シカゴ小麦 :573.50(▲7.00)
シンガポールゴム :休場( - )
上海ゴム :休場( - )
砂糖 :14.39(▲0.18)
アラビカ :110.15(▲2.45)
ロブスタ :1314.00(▲24.00)
綿花 :69.40(▲0.63)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :67.23(▲1.28)
シカゴ生牛 :124.85(+0.18)
シカゴ飼育牛 :141.85(▲0.93)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。