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エネルギーセクターは軟調も総じて堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年1月20日 第1673号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「エネルギーセクターは軟調も総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーセクターがドル高進行や、最大輸入国となった中国の減速でられたが、全体としては堅調地合いを維持した。

週末は目立った政治イベントがなく、比較的冷静に経済統計を見ながらの推移となった(中国の統計減速に関しては週明け火曜日のMRA's Eyeで解説の予定です)。

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は、今後の方向性を占う上で重要なIMF景気動向指数が発表される予定であり、この内容に注目している。

米中の通商交渉が妥決し、IMF経済見通しで指摘していた「政治のかじ取りのミス発生リスク」のうちの1つが解消されたため、見通しが上方修正されるかどうか。なお、IMF専務理事は、今回の合意で不安感は完全に払しょくされたわけではないと慎重姿勢を崩していない。

IMFの経済見通しはほとんどの商品市場参加者が注目している統計であり、重要統計の1つ。GDP見通しは需要動向を占う上での手がかりとなる。景気底入れ局面ではIMFの経済見通しは非常に強気になることが多いため、これを受けて景気循環系商品が急騰する可能性はあろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

週末発表された中国のGDPは58年ぶりの低水準となり、中国の構造的な景気減速が強まっていることを確認する内容となった。ただ公約の6%~6.5%成長は維持できた形。

工業生産に関しても前年比+6.9%(前月+6.2%)と急速に回復しており、中国景気が底入れした可能性があることを示す内容。

また、米国では住宅着工が発表されたが前月比+16.9%の160.8万戸(前月改定+2.6%の137.5万戸)と伸びが加速している。ただし住宅着工許可件数は前月比▲3.9%の141.6万戸(前月改定+0.9%の147.4万戸)と減速しており、先行きは手放しで安心できるような状況にない。

結局、中国、米国とも景気テコ入れのための対策がようやく奏功し始めていると考えられる。今後、政治的なトラブルがなければ、世界景気は緩やかに回復基調に戻るのではないか。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.2%→+3.0%)ている。2020年も+3.4%(▲0.1%)に引き下げた。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっている。あったとしても後1回程度(▲25bp程度)の利下げに留まる(金融面の価格下支え期待の後退)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

通商面のみならず、資本フローの規制や、人権問題への制裁なども加わっており、通商面で妥協があったとしてもその他の分野での制裁発動の可能性は高い。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。EUは英国のEU離脱期限延長で合意し、英総選挙では保守党が圧勝した。目先は無秩序離脱の可能性が後退するため価格の上昇要因。ただし、2020年12月末の移行期間までに条件で合意できなければ、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・中国政府が「法律に基づき」過去のGDPの見直しを行うと発表しているが、この見直しによって統計が悪化する可能性は高く、景気循環銘柄価格の下落要因に。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はもみ合った結果前日比プラスで引けた。中国の重要統計の減速やドル高の進行が価格を下押しする一方、テクニカルな買いが相場を支えた。

【原油価格見通し】

原油価格は米経済統計の改善やテクニカルなサポートラインを維持したことが価格を押し上げる一方、中東情勢の緊張が一時的に緩和していること、米景況感改善がドル高を促すことが上昇を抑制するため、現状水準でレンジワークを継続するとみられる。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

関税の追加引き上げが見送られ、一部関税が引き下げられたことから、フロー需要の増加につながると見られる。ただこれも毎月の統計や実績を見ながら判断する、ということにならざるを得ない。

エネルギーに関しては原油やLNG、石化素材が合意に含まれるが、仮に履行されればWTIや米天然ガスの上昇要因となり、Brent、ドバイ、JKMの対北米原燃料プレミアムの縮小圧力が強まることになると予想される。

3月のOPECプラス会合での減産延長については、今のところ減産規模が縮小されるないしは減産が終了する可能性が高い。原油価格は一時的に4月以降、下値余地を試すことになるだろう。

米・イランの対立は一旦鎮静化した。ただし、米国人が1人死んでもそれはレッドラインと設定した可能性が高いうえ、局地的な攻撃は現在も続いていることから、偶発的な事故が大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

この場合、「米国がデモを煽っている」という名目のもと、国民の不満をそらすために米軍基地が再び攻撃にさらされる可能性がある。それでも米軍との衝突にならないような攻撃になると見るが、今回のウクライナ機撃墜のように「誤って」米国人を殺害してしまう可能性もあり、今回の件は地政学的リスクを高めるものといえる。

もう1つ懸念しているのが、トルコのリビアへの軍事介入。シラージュ暫定政権側をトルコは支持しており、国際的にも暫定政権は支持されているが、ロシアやサウジアラビアは世俗派のリビア国民軍を支持している。

トルコが暫定政権側を支持する理由は、イスラエルやギリシャが欧州向けに進めているガスパイプラインを遮断すること。これまではトルコを通じて欧州に輸出されていたが、地中海ガスパイプラインが通ればトルコの権益や影響力が低下するためだ。

大規模戦争にはならないとみるが、リビアの停戦は非常に困難とみられる。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないだろう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。今のところ米政権は中間層への減税を検討しているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。ピークシーズン入り、中国の輸入再開などで堅調な推移。

【石炭価格見通し】

石炭価格はピークシーズン入りしていること、中国の輸入再開観測を受けて上昇すると考える。ただしバルチック海運指数にまだ上昇の兆しは見えておらず、実際に上昇を始めるのは2月以降になると予想される。

一方でドイツが脱石炭火力推進で、大規模な補償を伴う法案を可決、2038年までに石炭火力発電所撤廃の方針が強まることから、アジア太平洋地区の石炭需給は構造的な緩和圧力が強まることになる。

ただし長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC総会では現状追認の▲50万バレルの追加減産が決定され、さらにサウジアラビアが▲40万バレルの自主減産を決定、原油価格の上昇要因に。

ただし、減産は3月末までであること、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、OPEC減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

また、トルコ軍のシリアへの侵攻により、イスラム国の兵士が域外に逃亡(イラクなど)、このほかリビアにも派兵するなど中東・北アフリカの地政学的リスクが高いことは要注意。

サウジアラビアのアブカイクへのドローン攻撃でテロが低価格化・大規模化することが分かったことは、中東の供給途絶リスクを従来よりも高めるものであり、従来以上に中東情勢は重要に。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTI、Brentともはロングが減少、ショートが増加した。イラン情勢の鎮静化を受けて積み上がったロングが解消され、ショートも増加した。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが610,444枚(前週比 ▲28,565枚)、ショートが80,132枚(+8,395枚)、ネットロングは530,312枚(▲36,960枚)、Brentが494,942枚(前週比▲4,587枚)、ショートが68,780枚(▲4,986枚)、ネットロングは426,162枚(+399枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は高安まちまち。中国の重要統計は、GDPが減速したものの工業生産が市場予想を上回る上昇となり、米住宅関連統計が改善するなど、強弱まちまちの内容であり市場も評価が難しく、結局現状水準でもみ合う形となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は底堅い推移になると見る。最大消費国である中国は景気テコ入れのための預金準備率引き下げや、3月の全人代以降の公共投資拡充などの対策期待、季節的に2月から3月にかけては中国の在庫積み増し時期であることから、総じて堅調な推移になると予想される。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

関税の追加引き上げが見送られ、一部関税が引き下げられたことから、フロー需要の増加につながると見られる。ただこれも毎月の統計や実績を見ながら判断する、ということにならざるを得ない。

金属に関しては非鉄金属に関しては米国向けの製品輸出需要の増加、という形で影響が出ると見られるが、この影響も様子を見ながらにならざるを得ない。

中国が輸入を増加させる対象にレアアースが含まれているようだが、最大生産国である中国が輸入を増加させる、というのは難しかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないと予想される。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めていることが、非鉄金属においても今後の大きなテーマとなると見られる。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的にはインドの構造的な需要増加や、環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想されるが、より短期的には、中国、欧州の景気がどこで底入れするのか、米国経済の後退がいつから始まるのかに依拠する。

今年の大統領選挙を睨んで米国がどのような対応をしてくるかが不透明であるが、こうした政策期待効果を除けば、底入れ感が出てくるのは来年の春~夏にかけてになると見ている。中期的には現状水準でのもみ合いが続こう。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか(従来見通しを変更)。

ニッケルは、1月からインドネシアの輸出が停止されたが、中国の前倒し調達の影響でそれほど大きな問題にならないと予想され、むしろ軟調jに推移している。しかし、インドネシアの供給が止まれば、シェアはニッケル含有分ベースで25%であるため、原油に例えれば、サウジアラビアとロシアの供給が同時に停止するぐらいのインパクトがある話であり、やはり価格には上昇圧力が掛かりやすい。

2014年の規制開始後の動きを勘案にすると、輸出規制開始となる1月から価格が上昇し(価格がすでに大きく調整しており、割安感があることから上昇タイミングを前倒し)、来年7月頃(下期)からの下落が予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復し、閾値の50を維持。しかし、規模別でみた場合、中小企業の景況感はまだ50を上回っていない。価格へのプラスの影響は緩やかなものに止まろう。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、Valeの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

HydroのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・1月10日付のLMEロング・ショートポジションの動向はまちまちとなったが、ネットロングポジションはすべて前週比で減少した。12月末に向けて進んでいた売り越しポジションの解消が進んでいたが、米ISM製造業指数の減速などを受けて再び投機筋が弱気に転じたものとみられる。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は+5.5億ドル(前週+16.1億ドル)と買い越し幅を縮小した。買い越し額の増加率は▲65.8%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲32千トン(前週+244千トン)と売り越しに転じた。そもそも取り扱い数量の多いアルミが売り越し幅を拡大したことが背景。ネット買い越しの減少率は▲113.1%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は小幅安、中国鉄鋼製品先物価格は小幅高となった。

在庫水準の低さ、季節的な在庫積み増しの時期であり価格は堅調に推移している。

【鉄鋼原料価格見通し】鉄鉱石価格は、最大消費国である中国の公共投資に伴う需要増加や、冬場の鉄鋼製品生産規制から鉄鋼製品価格が高止まりしていること、豪州の供給懸念、季節的な在庫積み増しの時期に当たることから底堅い推移になると考える。

米中が貿易交渉で部分合意、これ自体は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、2020年はValeの生産本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格短期~中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは43.1(前月45.4)と再び減速した。新規受注の落ち込み(43.8→36.2)によるものであり、内外需とも不調である。これに伴い在庫水準も積み上がっており、需給ファンダメンタルズが緩和しつつあることを示唆している。価格には下押し要因に。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

しかし、中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲55万トンの1億2,735万トン(過去5年平均1億2,184万トン)、在庫日数は▲0.1日の29.3日(過去5年平均 32.9日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+130.4万トンの1,019.4万トン(過去5年平均962万トン)と例年を上回った。新規受注の減速があるため、徐々に鉄鋼製品受給は緩和するとみられる。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む金融市場の緩和を進めているほか、地方政府にも債券発行枠の前倒しを認めるなど、景気テコ入れのため公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は高値圏を維持。目立った材料はなかったが、株価が高値圏で推移していることに関し、逆に警戒感が強まっているためと考えられる。

PGMは株価の上昇もあり、プラチナ・パラジウムとも上昇。構造的な供給不足でパラジウムは6%を超える大幅な上昇となった。

【貴金属価格見通し】

金価格は米統計の改善を受けた株価の上昇、実質金利の上昇、中東情勢の一時的な鎮静化、米中通商合意で一旦下値余地を探る動きになると考える。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。実力ベースでは金価格は1,300ドル程度だろう。

ただし、中東情勢不安が継続しているほか、英国のブレグジットを巡ってもまだ混乱リスクが拭えないことから一定の安全資産需要も期待されるため、高値圏を維持するものとみられる。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらし、金銀価格の下落要因となっている。しかし数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は上昇リスクとなる可能性がある。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇していたが、再び下落に転じている。それでも現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられる。

PGM価格は金銀価格が軟調な推移になると見られるが、景気への楽観が強まっているため対金銀では割高に推移すると考える。プラチナはやや微妙であるが、パラジウムは供給懸念が強く意識されているため、ここまで急騰しているため一旦手仕舞売りが入ると考えるが下げ幅は限定され、再び上昇余地を試すことになると考える。

中国の自動車販売が2年連続(18ヵ月連続)の前年比割れとなるなど、需給ファンダメンタルズ面は需要面が低調な状態が続いている。世界自動車販売も15ヵ月連続の前年比マイナス。しかしいずれも前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高まっている。

やや懸念されるのが、12月の米自動車販売は1,670万台(前月 1,709万台)と再び失速している点。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは米統計の悪化懸念がやや後退していることから、追加利下げの可能性が大きく後退している。仮に追加利下げがあったとしても来年1回程度とみられるため、下支え効果は限定。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、基本的に覇権争いであるためこの問題が簡単に片付くことはなく、安全資産需要を下支えする見込み。

米国は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決と、それによって民間技術が軍事転用されないようにすることが最終目標であり、根本的な解決には相当な時間がかかる見込み(価格の下支え要因)。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英議会は1月末のEU離脱案を可決、安全資産需要の後退で金価格の下落要因に(ただし、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロング・ショートともに減少したが、イラン問題の解消を受けてロング解消圧力の方が強かった。

逆に銀はロング・ショートとも増加しており、ロング増加幅の方が大きい。このことは割安感が対金で根強いため再物色されているとみられる。

プラチナはロングが増加、パラジウムの上昇に連れる形。パラジウムはロング・ショートとも増加したが割高感が強いことからショートの増加が多かった。今週末の上昇はこのショートの踏み上げがあったためとみられる。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが376,809枚(前週比 ▲6,671枚)、ショートが57,574枚(▲3,615枚)、ネットロングは319,235枚(▲3,056枚)、銀が110,762枚(+1,538枚)、ショートが43,389枚(+1,418枚)、ネットロングは67,373枚(+120枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが76,467枚(前週比 +2,883枚)、ショートが11,942枚(+639枚)、ネットロングは64,525枚(+2,244枚)、パラジウムが16,608枚(+362枚)、ショートが5,268枚(+599枚)、ネットロングは11,340枚(▲237枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は上昇した。米中が通商協議で合意しサインしたことで今後、米国産の農産品輸出が増加すると見られていることや、週末を控えたテクニカルな買戻しが材料。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は方向感が出難い地合いであり、現状水準で非常に神経質な推移になると予想される。米中が通商面で合意したことは米国産穀物輸出の増加要因となるが、輸入を増加させるかは需要次第と発言するなど、中国側が一定のコミットをしていないことが価格を下押しするため。

結局のところ、この合意を受けて実際の中国の輸入がどうなるか、を見極めながらでしか判断できない。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は冬小麦の作況が悪化していることが買い材料視されており、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、こちらには上昇圧力が掛かりやすい。

ただし「小麦は雑草」の格言通り、最終的には供給は間に合うと予想され、上昇余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・1月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9.200万Bu(市場予想135億207万Bu、前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億1,307万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・1月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 18億9,200万Bu(市場予想17億7,641万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,100万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億6,500万Bu(9億7,046万Bu、9億7,400万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意したと伝えられており、足元シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、長期化の可能性は高くシカゴ定期の下落要因に。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・投機のポジションは、トウモロコシのロング・ショートが増加、大豆は米中合意でロングが増加、ショートが減少、小麦は需要が旺盛でロングが増加している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが331,721枚(前週比 +18,043枚)、ショートが295,806枚(+22,359枚)、ネットロングは35,915枚(▲4,316枚)、大豆はロングが130,806枚(+2,933枚)、ショートが96,145枚(▲3,277枚)、ネットロングは34,661枚(+6,210枚)、小麦はロングが146,061枚(+10,308枚)、ショートが107,856枚(+6,429枚)、ネットロングは38,205枚(+3,879枚)

◆本日のMRA's Eye


「中東の今後-その2」

米国の中東からの軍撤退はオバマ政権時代からの方針であるが、米トランプ大統領は選挙も睨んだ実績作りでこれを推し進めている。ではなぜ今まで積極的に関与していた中東から軍を撤退させることができるのか。

米トランプ大統領は1月8日、イラン問題に関する演説で、「米国は世界最大の石油・天然ガス産出国になった。もはや中東の石油を必要としない。

これからは北大西洋条約機構(NATO)が中東により関与すべきだ」と発言した。これまでの米国の中東戦略が、原油調達を目的としたものであったことを、ある意味公式に政府が認めた形である。実際、この発言の通り、米国の原油輸入は減少し石油製品を含めたネットの輸出入は輸出超に転じた。

ただ、米国は日々、900万バレル/日弱の原油・石油製品を海外から輸入しており、直ちに自給自足が可能かといえばそうではない。

しかしホルムズ海峡を通過して米国が輸入している原油のシェアは8.6%とピーク時の26.3%から大きく低下している。中東湾岸諸国からの輸入が減る一方で、オイル・サンドなどの非在来型油田の開発が進んだカナダからの輸入が顕著に増加している。

これに米国のシェール・オイル増産が重なったため、米国は中東からの原油輸送リスクを大幅に低下させることができた。言葉を変えると米国は、主要なエネルギー消費国の中で、数少ない中東有事発生に伴う供給途絶リスクから解放された国になったともいえる。

もちろん中東有事が発生した場合には、1日2,000万バレルが通過するホルムズ海峡が封鎖された場合など、原油価格はドバイ原油・ブレント原油が上昇し、WTI原油も上昇することになるが、1月3日のWTI原油の価格上昇率は3.1%と、ドバイ原油(3.8%)やブレント原油(3.6%)に比べてWTIの上昇率は抑制されたものだった。このことは米国の原油調達構造の変化を反映しているといえるだろう。

ただ、こうした非在来型の油田からの供給増加による中東依存度の低下は、米政府が企業を主導して行ったというよりは企業側の技術革新で達成されているものであり、結果論である。

シェール・オイルの経済的な意義は、地政学的リスクを意識せずに、経済合理性のみを追求して生産ができる点である。このような状況にあるため、米国は「エネルギーの調達」という一点において、中東のリスクを今までほど過剰に意識しなくてよくなり、め米政権の中東政策は慎重さを欠きやすくなった。

2014年頃から原油価格が下落したのはOPECが価格維持のための減産を放棄した「OPECショック」が直接の切っ掛けだが、製造業PMIに象徴される世界的な景気の減速や、ボルカー・ルールによって原油市場で積極的に取引を行う投資銀行が減少し、投機的なレバレッジ取引の解消が進んだことや、投機資金が原油・石油製品現物を購入しなくなったことによる市場構造の変化が要因と考えられる。

ただ、エネルギーの最大消費国である米国のISM製造業指数は2018年8月に60.8の高水準を付けるが、それでも原油価格が2007年、2008年のような100ドル超えの高い水準をマークしなかったのは、米国の原油自給率が上昇したこともやはり影響したと考えられる。

しかし、中東からの輸入依存の高い日本や中国、欧州などはこの軛から逃れていない。OPECの世界供給に占めるシェアは2000年以降のピーク時の44.4%からは低下しているが34.9%と、以前高い水準を維持しており、価格への影響力は大きい。

原油価格は需要動向に大きく左右されるが、原油需要の伸びが鈍化して供給過剰感が強まるとOPECは減産をして価格を維持しようとする。

この時、OPECの余剰生産能力(スペアキャパシティ)は上昇することになる。OPEC諸国の生産能力は大きく拡大していないため、余剰生産能力が増加するのは減産が行われた時だ。

そのため、原油価格と余剰生産能力を需要で割った「スペアキャパシティ率」の間には、比較的明確な逆相関の関係が存在する。

結局、米国以外の輸入国は、ホルムズ海峡の封鎖リスクを意識しつつ、OPEC、OPECプラスの増減産動向を注視しなければならない状況は続くことになる。中東に対する原油調達の依存度が高い日本や中国、欧州諸国は、ペルシャ湾を航行する自国の船舶の安全のために自衛隊や軍を派遣しなければならなくなると予想される。

また、現在は中国の経済成長ペースが鈍化し、景気も循環的に減速している状況であるためより供給面(供給過剰感)が意識されているが、中東諸国を含む産油国の上流部門投資はそれほど積極的に行われていない。原油価格の水準が低いためだ。

しかし、価格面や取り扱いの容易さから、少なくともあと10~15年は今後も原油を含む化石燃料がエネルギー供給の軸であり続ける。この結果、中国の次に世界の一次産品消費をけん引すると見られるインドや中東・北アフリカ諸国の需要が増加を始めた場合、それらの需要を賄うために米国が原油・石油製品輸出をこれらの地域向けに増加させるというのは難しかろう。

今回の一連の出来事で米国は中東への関与を低下させる方針であるため、ビジネス面にも影響が出ると考えられるためだ。そのため、有事発生時など充分な原油が供給できず原油価格が急騰するというシナリオは、今後も想定しておくべきである。

◆主要ニュース


・11月日本第3次産業活動指数 前月比+1.3%(前月▲4.6%)

・1-12月期中国工業生産 前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)、12月+6.9%(前月+6.2%)

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)
 公的+6.8%(+6.9%)、民間 +4.7%(+4.5%)

・1-12月期中国小売売上高 前年比+8.0%の41兆1,649億元(1-11月期+8.0%の37兆2,872億元)
 12月+8.0%の3兆8,777億元(前月+8.0%の3兆8,094億元)

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)

・中国実質GDP年初来 前年比+6.1%(前期+6.2%)
 Q419 +6.1%(前期+6.2%)、前期比+1.5%(+1.5%)

・11月ユーロ圏建設業生産高 前月比+0.7%(前月改定▲0.5%)、前年比+1.4%(+0.9%)

・12月米住宅着工件数 前月比+16.9%の160.8万戸(前月改定+2.6%の137.5万戸)

・12月米住宅建設許可件数 前月比▲3.9%の141.6万戸(前月改定+0.9%の147.4万戸)

・12月米鉱工業生産 前月比▲3.9%(前月改定+0.9%)、設備稼働率 77.0%(77.4%)

・1月米ミシガン大学消費者マインド指数速報 99.1(前月99.3)
 現況指数 115.8(115.5)
 先行指数 88.3(88.9)
 1年期待インフレ率 2.5%(2.3%)、5年期待インフレ率 2.5%(2.2%)

・11月米JOLT求人異動調査 6,800千人(前月改定 7,361千人)

・ウクライナ大統領が辞職。

・米国、ベネズエラに対して新しい制裁を発動。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数673(前週比+14)、 ガスリグ 120(前週比+1)。

・ロシアとトルコ、リビアの内戦に介入。19日にベルリンで和平会議。

・イラン ハメネイ師、反米で結束を呼びかけ。

・レバノンで大規模な反政府デモ。160名が負傷。

・12月中国燃料炭月次消費 前年比+1.3百万トンの23.0百万トン(前月 18.4百万トン)

【メタル】

・中国ベースメタル貿易統計(12月)、単位:千トン、錫:トン
 精錬銅輸入 362.0(前月比 +45.1, 前年比 +40.6)
 銅精鉱 2,156.9(前月比 +242.7, 前年比 +457.9)
 銅スクラップ 92.6(前月比 +6.0, 前年比 ▲128.2)。

 精錬銅輸出 23.3(前月比 +5.7, 前年比 ▲0.6)。

 精錬亜鉛輸入 47.6(前月比 +0.1, 前年比 ▲76.0)、精錬亜鉛輸出 12.2(前月比 +4.9, 前年比 +10.7)。

 精錬鉛輸入 9.7(前月比 +1.7, 前年比 ▲23.7)、精錬鉛輸出 1.4(前月比 +1.3, 前年比 +1.4)。

 ニッケル輸入 7.2(前月比 ▲5.0, 前年比 ▲7.7)、ニッケル輸出 3.2(前月比 ▲17.5, 前年比 ▲1.0)。

 錫輸入 425.0(前月比 +225.0, 前年比 +177.0)、錫輸出 159.0(前月比 ▲50.0, 前年比 ▲527.0)。

・12月中国プライマリアルミ生産 前年比▲11千トンの3,040千トン(前月 2,898千トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.パラジウム ( 貴金属 )/ +7.98%/ +28.41%
2.CBTエタノール ( エネルギー )/ +3.85%/ ▲1.89%
3.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ +3.66%/ +0.39%
4.ICEココア ( その他農産品 )/ +3.13%/ +10.12%
5.ビットコイン ( その他 )/ +2.62%/ +24.42%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.56%/ ▲8.50%
69.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.80%/ ▲8.88%
68.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲1.55%/ ▲3.91%
67.SHFニッケル ( ベースメタル )/ ▲1.42%/ ▲1.85%
66.ICEガスオイル ( エネルギー )/ ▲1.26%/ ▲7.37%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :29,348.10(+50.46)
S&P500 :3,329.62(+12.81)
日経平均株価 :24,041.26(+108.13)
ドル円 :110.14(▲0.02)
ユーロ円 :122.17(▲0.52)
米10年債利回り :1.82(+0.01)
独10年債利回り :▲0.22(+0.00)
日10年債利回り :0.00(▲0.01)
中国10年債利回り :3.08(▲0.01)
ビットコイン :8,906.32(+227.53)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :21.02(+0.35)
エネルギー :22.44(+0.29)
ベースメタル :17.77(+0.78)
貴金属 :19.05(+0.2)
穀物 :14.46(+0.81)
その他農畜産品 :25.19(+0.05)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :24.44(+0.01)
Brent :26.17(+0.04)
米天然ガス :27.31(+1.03)
米ガソリン :23.79(+0.16)
ICEガスオイル :17.79(+0.3)
LME銅 :9.72(+0.13)
LMEアルミニウム :11.99(▲0.21)
金 :9.34(+0.29)
プラチナ :22.76(▲2.1)
トウモロコシ :19.24(+5.19)
大豆 :9.34(+0.29)

【エネルギー】
WTI :58.54(+0.02)
Brent :64.85(+0.23)
Oman :65.30(▲0.13)
米ガソリン :164.06(▲1.42)
米灯油 :185.92(▲0.08)
ICEガスオイル :568.75(▲7.25)
米天然ガス :2.00(▲0.07)
英天然ガス :28.31(▲0.52)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :64.85(+0.23)
SPO380cst :311.34(+5.77)
SPOケロシン :79.82(▲0.48)
SPOガスオイル :75.08(+0.55)
ICE ガスオイル :76.34(▲0.97)
NYMEX灯油 :201.65(+0.30)

【貴金属】
金 :1557.24(+4.73)
銀 :18.04(+0.10)
プラチナ :1022.67(+17.83)
パラジウム :2498.31(+184.59)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,306(▲24:29.5C)
亜鉛 :2,416(▲1:18B)
鉛 :1,978(▲49:1C)
アルミニウム :1,808(▲6:12C)
ニッケル :13,910(▲460:70C)
錫 :17,735(+60:40B)
コバルト :31,942(▲504)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6269.00(±0.0)
亜鉛 :2429.50(+30.00)
鉛 :1980.00(▲2.50)
アルミニウム :1805.50(▲3.50)
ニッケル :13935.00(+135.00)
錫 :17780.00(+140.00)
バルチック海運指数 :754.00(▲14.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :89.83(+1.10)
SGX鉄鉱石 :95(+0.33)
NYMEX鉄鉱石 :94.81(+0.26)
NYMEX原料炭スワップ先物 :150.08(▲0.50)
上海鉄筋直近限月 :3,686(+4)
上海鉄筋中心限月 :3,586(+28)
米鉄スクラップ :292(▲4.00)

【農産物】
大豆 :929.75(+5.75)
シカゴ大豆ミール :300.60(±0.0)
シカゴ大豆油 :33.35(+0.32)
マレーシア パーム油 :2922.00(▲46.00)
シカゴ とうもろこし :389.25(+13.75)
シカゴ小麦 :570.50(+5.25)
シンガポールゴム :171.90(+1.30)
上海ゴム :13100.00(+60.00)
砂糖 :14.45(+0.02)
アラビカ :112.15(▲0.80)
ロブスタ :1290.00(+5.00)
綿花 :71.25(+1.03)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :67.68(+0.80)
シカゴ生牛 :126.35(+0.23)
シカゴ飼育牛 :145.35(▲0.08)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。