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新型肺炎の早期終息期待で買戻し
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年2月13日 第1686号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「新型肺炎の早期終息期待で買戻し」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は広く景気循環系商品が物色され、金や債券などの安全資産が売られる流れとなった。

新型コロナウイルスの新規感染者数減少が確認されたことで、想定よりも早く肺炎問題が終息するのでは、との期待から景気循環系商品が物色される流れとなった。これは前回のSARSと同様の展開(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照ください。グラフは後段にあるリンクからどうぞ)。

中国の新型ウイルスの感染者数が本当に正しくカウントされているかは疑わしく、本当に2月中にピークを迎えて事態が終息に向かうか否かは正直よくわからない。ただし、市場はこの数字を信用して動いているのは事実だ。

ただ、現在の報道ベースでは潜伏期間が2週間~3週間とされており、この間の感染もあり得るため完全に終息させるのはそれほど容易なことではないのではないか。

■新型肺炎関連情報

新型肺炎の感染も拡大しており、どのように終息するかは全く予想がつかない状況。

※新型コロナウイルスの感染拡大状況は、こちらのリンクからどうぞ。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8141.html

※新型コロナウイルスの市場への影響は、こちらからどうぞ(本文は2020年2月13日付のMRA's Eyeをご参照ください)。https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8531.html

※より詳しい解説は、MRA商品市場レポート(有料)の「昨日の世界経済・市場動向のトピックス」「MRA's Eye」などで解説しています。

※レポートのお申込みはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html

【本日の価格見通し総括】

本日は目立った手がかり材料がない中、企業決算を受けた株価動向に注目している。

現在、コロナウイルスの影響で中国のQ120のGDPは4%に減速する、というのが市場コンセンサスとなりつつあるが、これを相殺するために大規模な財政出動や金融緩和が実施されるのでは、との期待が株価を押し上げている。景気が悪くなるので、追加緩和を行うから株価が上がる、というやや論理的に整合性が取れない株価上昇といえる。株価の上昇は景気循環系商品価格の押し上げ要因となるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

新型コロナウイルスへの市場の不安は、株式市場においてはほぼ払しょくされた形になっており、価格は上昇を続けている。一方で、同じ景気循環系商品である原油価格は低迷が続いている。

株価の上昇は新型コロナウイルスへの対策が進捗するとの見方や、感染拡大が落ち着きを見せるのでは、との期待によるものだが原油価格は上昇していない。これは両市場の市場参加者の構成の違いや、価格形成の仕組みの違いによるものと考えられる。

株式市場の参加者は実需家が存在するわけではない。もちろん株式公開に伴う資金調達時には資金調達需要と資金運用需要がマッチする形になるわけだが、基本的には投機的なプレイヤーが大半である。

これに対して原油市場は参加者の7割が実需家であり、3割が投機筋である。以前は投機的な取引の影響も小さくなかったと考えられるが、少なくともボルカー・ルールが適用される中では、その影響度は低下してきたと考えられる(現物市場で現物を投資銀行が買い占める、ということをしなくなった)。

そのため、現在の商品市場の価格形成は実需の影響がより大きく、現実の現物需要がそれほど旺盛ではないことを示唆しているといえる。別の言葉を使えば株価は金融緩和などの期待を織り込んで上昇しているが、現実の世界はそれほど景気が良いというわけではない、ということだ。

ただ、株価が上昇すれば商品にも投資しているファンドの「リバランスの買い」が商品価格を押し上げる可能性があるが、その影響は3割程度(実需が7割)であるため限定されるだろう。

現在の景況感を占う上では、原油・銅などの商品市場動向を見ておくことが重要だろう。また、中国向けの鉄鉱石・石炭需要=景況感動向を占う上では、バルチック海運指数なども参考になるのではないか。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%)に引き下。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっていたが、新型肺炎の影響であと2回弱の利下げを市場は織り込みつつある(▲50bp程度)。景気の減速が懸念されているため追加利下げは景気循環系商品価格の下支え要因に。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の影響拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済滑動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げによって、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油相場は上昇した。WHOが公表している新型肺炎の感染者数の増加ペースが鈍化しており、想定よりも早く新型肺炎問題が終息するのでは、との期待が高まっていることで買戻しが優勢となった。

売られすぎからの買戻し圧力が強く、米石油統計が弱気な内容だったことや急速なドル高の進行はほとんど材料視されなかった。

一昨日はほぼ全ゾーンがコンタンゴとなったが、昨日は期先の相対的な戻りが大きく、今年の10月渡し以降、バックワーデーションの形状となっている。

【原油価格見通し】

原油価格は買戻しが優勢になるものの、上値は重い展開が続くと予想される。新型コロナウイルスの新規感染者数はWHOのデータ(特に中国の感染者数のデータ)が正しいか疑わしいものの、統計上では減少傾向を示していることから買戻し圧力が強まるため。

ただし、2月中は多くの製造業の稼働が低下した状態が続くこと、経済封鎖は続き、人の移動も直ちに回復するわけではないことから実需は弱く、価格がさらに上昇するにしてもそれは終息宣言以降だろう。過去のSARSを例に考えると、価格の上昇は4月~5月になるだろうか。

足元の原油需要は▲200万~▲300万バレル程度減少しているとみられるが、新型コロナウイルスの新規罹患者が減少していることを考えると、比較的早期に今回の問題が終息する可能性はある。

その中で、OPECプラスが追加減産に動く可能性は低下している。ただ、ロシアの主要生産者は減産を6月末まで延長することに異論はないようであり、早期に新型肺炎の問題が解消すれば、想定以上に価格が上昇する可能性はあるだろう。

ただ、原油の期間構造を参考にすると、コンタンゴからバックに期間構造が変化するのが2020年10月頃であり、「現在取得できる情報」では、新型肺炎の影響はしばらく続くと市場は判断しているようだ。

一方、トランプ大統領の中東和平案を受けて、イスラエルとパレスチナの軍事的な衝突は激しさを増している。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化し、供給懸念が高まっているのも事実だ。

米国は中東原油への依存度が低下しているため、中東政策が「雑」になる傾向があり、中東情勢不安は今まで以上に高まっていると考えるべきである。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下したものの、武装勢力による小規模な攻撃は継続している。このような状況だと、米国人が1人死ぬことがレッドラインとするならば、局地的攻撃が偶発的な事故を誘発し、大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

リビア情勢は当事者不在の中、恒久停戦に向けて協力するという共同声明が発表された。実質的に「何もできない」ということである。再びリビア国内では戦闘が始まったと伝えられており、同国からの原油供給が途絶する可能性は高まっている。

トルコはリビアの暫定政権側を支持しているが、それはイスラエルやギリシャが欧州向けに進めているガスパイプラインを遮断することが目的だ。これまではトルコを通じて欧州に輸出されていたが、地中海ガスパイプラインが通ればトルコの権益や影響力が低下するためだ。

大規模戦争にはならないとみるが、リビアの停戦は非常に困難とみられる。また、トルコのシリアに対する介入が激化しており、両国の武力衝突の可能性が出てきていることは、無視できないリスク要因である。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。米政権は中間層への減税を検討している。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。新型肺炎の影響緩和が期待されるものの、足元の中国の需要が減速していることと、ピークシーズンであることによる買い圧力が拮抗しているため、レンジワークを続けている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は新型肺炎への対策進捗期待が、市場参加者のリスク選好を回復させているものの、新型肺炎の影響拡大は継続しており、電力需要が鈍化するとみられることから、現状水準でもみ合うものと考える。

また、欧州で天然ガス価格の低迷や環境規制の強化に伴う脱石炭の動きが強まっていることも、石炭価格を下押ししよう。

長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスは減産期間の延長で協議を行っているようだが、今のところ合意は形成されておらず。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落による、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・シリアイドリブ県を巡る、トルコとシリアの武力衝突懸念(中東の不安定化による供給懸念と、難民流入による南欧州の景況感悪化)。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともにロングが減少、ショートが増加した。明らかに肺炎の影響を受けた需要減速を意識したロングの解消と、生産調整が覚束ない中でのショートの積み上がりの流れ。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが576,917枚(前週比 ▲11,338枚)ショートが179,543枚(+53,050枚)ネットロングは397,374枚(▲64,388枚)

Brentはロングが434,082枚(前週比▲46,457枚)ショートが81,367枚(+3,185枚)ネットロングは352,715枚(▲49,642枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇した。WHOのデータを基にすると、新型コロナウイルスへの新規感染者数が減少していることが材料となり、売られすぎからの買戻しが入った。

しかし、急速にドル高が進行したことや、中国の工場の稼働停止は続いており直ちに需要が回復するわけではないことから上値も重かった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、新型コロナウイルスの新規感染者数の増加数が急速に減少していることで、中国の封じ込め策が奏功している、との期待から買戻しが入り堅調な推移になると考える。

新型肺炎の影響で投機筋が売り越しに転じているため、しばらくこの買い戻しの動きが強まるのではないか。ただし終息宣言が出たわけではないため、力強い戻りにはならないだろう。

実際、中国の工場は引き続き低稼働の状態が続いていることから実需の回復ペースは緩慢であり、価格が顕著に上昇するには、景気への影響が限定されるというのが必要条件で、さらに中国国内の詳細な情報がもたらされることや、WHOが終息宣言を出すことが必要になると考える。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

制裁緩和の影響は今後の統計を睨みながらになる。ただ、中国が米国との合意を順守した場合、日本の中国向け工業品輸出が減少して、日本企業にとってはマイナスに作用する恐れがある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、非鉄金属セクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは減速したが、閾値の50を維持。しかし、新型肺炎の影響が統計に表れるのは2月以降であり、さらなる減速の可能性は高い(価格の下落要因。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・2月7日付のLMEロング・ショートポジションの動向は、鉛と錫以外は、すべてロングが減少、ショートが増加した。ただし全ての金属のネットロングは減少している。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲51.4億ドル(前週▲27.6億ドル)と売り越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+86.0%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,483千トン(前週▲894千トン)と、錫と鉛以外は売り越しの状態。ネット売り越しの増加率は+66.0%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品先物価格は小動きだった。

ValeがQ120の鉄鉱石生産見通しを下方修正したことや、鉄鉱石在庫水準の低さから中国の輸入が増加すると見られたため。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、新型肺炎の影響が想定よりも早く終息するのでは、との期待がたかまっていることやValeの生産調整の影響、中国政府の景気刺激策への期待から堅調な推移になると考える。

ただし、新型肺炎の影響が完全に終息したわけではなく、中国の工場の多くは低稼働率での運営を当面余儀なくされる見込みであり、価格上昇は抑制されるだろう。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、Valeは生産計画を下方修正したが、それでも2020年は同社の生産が本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは47.1(前月43.1)と回復した。生産活動の回復(44.1→46.7)と、新規受注の回復(36.2→46.8)が影響した。

しかし、そもそも水準が閾値の50を下回っており、原材料在庫の水準も51.1(前月48.9)と閾値の50を上回っていることを考えると、そこまで鉄鋼セクターの業況が良い、というわけではない。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+405万トンの1億3,110万トン(過去5年平均1億2,273万トン)、在庫日数は▲1.0日の26.9日(過去5年平均 29.6日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+94.4万トンの1,598.8万トン(過去5年平均1,259.3万トン)と例年を上回った状態が続いている。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は小幅に下落した。新型肺炎問題が早期に終息するのでは、との見方が強まっていることが株価を押し上げ、それに伴う債券利回りの上昇が価格を下押しした。銀も金価格の下落を受けて水準を切り下げている。ただし、価格下落は小幅に止まっており、安全資産需要はまだ高い。

昨日の金のリスクプレミアムは221ドルで、昨日よりも▲2ドル程度水準を切り下げているが、平均と比較しても高い水準を維持している。

PGMは投機商品的な色彩が強まっているプラチナは比較的大きく下落したが、パラジウムは株価の上昇もあって水準を切り上げた。

【貴金属価格見通し】

金価格は、新型コロナウイルスへの新規感染者数の増加ペースが鈍化していることを受けて株価が上昇、それに伴う債券利回りの上昇が価格を押し下げると考える。

しかし、あまりニュースになっていないが中東ではシリアとトルコの全面衝突の可能性が高まっていることや、米中東和平案を受けてイスラエル・パレスチナの対立が深まっていることから、金のリスクプレミアムには上昇圧力が掛かると見られ、結局高値圏でもみ合うものと考える。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。現在のプレミアムは220ドル程度であり、実力ベースでは金価格は1,350ドル程度と考えられる。

ただ実際は過去の実質金利からの乖離幅は平均で160ドル程度であるため(リスクが完全になくなることはあまりない)、リスクが回避された場合、1,500ドル程度までしか下げ余地はないと見ている。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は再び上昇に転じており、金銀レシオの上昇を肯定しやすくなっている。しかし、現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられ、20ドル前後まで価格が上昇してもおかしくない地合い。

特にリスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、新型肺炎の影響拡大が無視できないため、金銀価格対比では割安に推移しよう。

パラジウムは供給懸念が強く意識されているため引き続き、高値圏での推移となると予想される。

なお、パラジウムは投機の買いが押し上げているというよりも実際に顕著な供給不足によって上昇しているものであり、「どこまで上昇するのか」「調整した時のめどはどこか」といったことは正直不明である。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

1月の米自動車販売は1,684万台(市場予想 1,677万台、前月 1,670万台)と利下げの影響もあり回復している。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・市場はFRBの年1回の利下げを見込んでいるが、政策変更はないとの見方が現在のメインシナリオ。しかし新型肺炎の影響次第では追加利下げの可能性も否定できず。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコとシリアのイドリブ県を巡る対立が激化しており、全面衝突の可能性も出てきていることは金の安全資産需要を高め、価格の上昇要因に。

・英国のブレグジットは、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロングが減少、ショートが増加。新型肺炎問題に対する楽観がなぜか株式市場を支配し、利益確定の売りが強まったため。銀はロングの減少と共にショートも減少、ポジション手仕舞いの動きが強まっている。

プラチナはロングが減少、ショートが増加、パラジウムも同様だった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが355,909枚(前週比 ▲20,492枚)、ショートが56,103枚(+9,794枚)、ネットロングは299,806枚(▲30,286枚)、銀が97,078枚(▲8,559枚)、ショートが29,275枚(▲12,945枚)、ネットロングは67,803枚(+4,386枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが72,980枚(前週比 ▲4,460枚)ショートが10,200枚(+356枚)、ネットロングは62,780枚(▲4,816枚)

パラジウムが11,592枚(▲642枚)、ショートが5,564枚(+242枚)ネットロングは6,028枚(▲884枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は総じて水準を切り上げた。コロナウイルスへの新規感染者数が減少に転じていることで、今回の問題が早期に終息するのでは、との期待が高まったことが、輸出需要を後押しすると見られたため。

なお、米輸出検証高が発表されたが、トウモロコシが769.39千トン(前週比+207.01千トン)、大豆が603.85千トン(▲769.65千トン)、小麦が523.71千トン(+87.99千トン)となっており、大豆以外は価格の上昇要因となった。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は新型肺炎の影響が想定よりも早く終息するのでは、との見方が強まっていることから米国からの輸出が加速し、価格に上昇圧力が掛かる展開になると予想する。

ただし、本当に終息するかは疑わしく、そこまで力強い上昇にはならず、上値は重いと考える。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は豪州火災の影響や、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい。

今後の市場の注目は大豆、トウモロコシの作付け意向面積。今の価格水準だとトウモロコシの作付け面積が増加する見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・1月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9.200万Bu(市場予想135億207万Bu、前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億1,307万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・1月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 18億9,200万Bu(市場予想17億7,641万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,100万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億6,500万Bu(9億7,046万Bu、9億7,400万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが315,451枚(前週比 ▲5,458枚)、ショートが262,832枚(+15,343枚)ネットロングは52,619枚(▲20,801枚)

大豆はロングが157,499枚(+22,626枚)、ショートが177,337枚(+36,168枚)ネットロングは▲19,838枚(▲13,542枚)

小麦はロングが159,301枚(+722枚)、ショートが110,933枚(▲6,505枚)ネットロングは48,368枚(+7,227枚)

◆本日のMRA's Eye


「原油価格の影響は早期に終息?」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中国の製造業活動の停止や、ヒト・モノの移動が停滞していることで原油価格が低迷している。報道や航空機のキャンセル状況を元に判断すると、少なくとも2割程度、経済活動が鈍化していると考えられ、中国のエネルギー需要も2割程度減少、原油換算ベースで▲200万バレル程度の需要減少になっている可能性が高い。

市場では、さらに原油価格が下落するのか、あるいはいつ価格が上昇に転じるのか、に注目が集まっているが、過去のSARSを例に挙げると今年の5月頃から価格が上昇する可能性が高まっていると考えている。

2003年のSARS発生時は、現在ほど中国のエネルギー市場におけるプレゼンスは高くなかったが、価格は比較的敏感に反応した。価格変化が分かりやすいように前年比で比較をすると、原油価格の前年比ベースでの下落は4月頃に底入れし、そこからしばらく同様の水準でもみ合った後、終息宣言あたりから価格上昇ペースが上がっていることが分かる。

この時は、イラク戦争が行われていた時であること、顕著な供給過剰状態にあったため、「供給側」の材料が価格に対する説明力が高いこと、から開戦に向けて価格が上昇し、開戦直後に下落するという展開になっているので必ずしも今回のケースと同じとは言い切れない。

また、米軍がバグダッドに進行するペースに合わせて景気への楽観が進んだことや、米減税への期待が価格を押し上げたことも事実である。しかし、価格上昇が目に見える形になったのはSARSの新規感染者数が減少を始めてからだ。

翻って見て今回のケースはどうか。WHOが発表している新規感染者数の動向を見ると、2月上旬で新規感染者数の増加には歯止めが掛かり、減少に転じている(現在の中国国内が大混乱している中で、本当に中国が感染者数をきちんと集計できているかどうかは微妙であり、この新規感染者数の減少は正直、やや疑わしい。しかし統計数字を信じないとした場合の予測はただの「予言」になってしまうため、今回の分析ではこの集計数値が正しいものとしている)。これを受けて原油価格の下落には歯止めが掛かることとなった。

しかし、この感染者数のピークアウトは、そもそもの想定からは相当早いタイミングである(香港大学などの推計では、5月上旬がピークとなっていたため、早くても終息宣言は8月頃ではないかとみられていた)。

仮にこの通りだとすると、2月が原油価格下落のピークであり、しばらく価格が低迷した後、景気の底割れがなければ5月以降に価格が上昇に転じる、というのがメインシナリオとなる。

ただ、少なくとも2月いっぱいは中国の経済活動は再開しないと考えられ、サプライチェーンへの悪影響からその他の地域の経済活動にも悪影響を及ぼすのは必定の状態であり、本格的に回復するかというとそれは疑わしい。

原油市場への影響を見る上では「期間構造」に着目するべきだろう。実際、Brentの価格期間構造は、今年の1月下旬までは、「供給不足の時に発生する」バックワーデーションの状態にあった。

しかし、急速に期近の価格が下落し、2月11日は向こう1年以上はコンタンゴ(期先の価格よりも期近の価格の方が安い)の状態となった。足元、2020年10月頃までコンタンゴ、その先がバックワーデーションとなっているが、このことは市場が秋ごろまではまだ原油市場の需給がタイト化しない、と見ていることを示している。

今後、状況が変化するかしないか(実際に需給がタイト化しているかしていないか)は、この期間構造に着目しておいた方が良い。

なお、冒頭の「▲200万バレル程度の需要減少」が正しければ、今回OPECプラスで議論されている▲60万バレルの減産だと減産幅としては不十分であり、これを以て価格が上昇するかというとやや疑わしい。やはり価格が上昇するには新型肺炎の終息宣言がでることが必要条件になるだろう。

なお、これまで発表されている統計の類は新型肺炎禍が顕在化する前のものが多いため、3月に発表される主に中国の統計の内容次第では、3月に一旦下値余地を探る動きになる可能性は否定できない。

◆主要ニュース


・1月日本 銀行貸出動向 銀行計 前年比+1.9%(前月+1.8%)、含信金 +1.9%(+1.8%)

・Q419日本個人向け貸出金住宅資金 前年比+2.8%(前期+2.9%)

・12月日本経常収支(季節調整済) 1兆7,9147億円(前月1兆7,949億円の黒字)
 (季節調整前)5,240億円の黒字(1兆4,368億円の黒字)
 貿易収支 1,207億円の黒字(▲25億円の赤字)
  輸出 6兆5,573億円(6兆2,442億円)
  輸入 6兆4,365億円(6兆2,466億円)

 サービス収支 245億円の黒字(1,630億円の黒字)
 第一次所得収支 4,001億円の黒字(1兆4,575億円の黒字)

・1月日本企業倒産 前年比+16.06%(前月+13.18%)

・1月日本景気ウォッチャー調査 現状判断DI 41.9(前月39.7)、先行き判断DI 41.8(45.5)

・1月日本マネーストックM2 前年比+2.8%(前月+2.7%)、M3 前年比+2.3%(+2.3%)

・1月日本工作機械受注速報 前年比▲35.6%の807億7,500万円(前月▲33.5%の901億1,400万円)
 外需▲34.9%の515億5,400万円(▲32.6%の528億700万円)

・2月ユーロ圏センティックス投資家信頼感 5.2(前月7.6)

・12月ユーロ鉱工業生産 前月比 ▲3.1%(前月改定±0.0%)、前年比▲4.1%(▲1.7%)

・12月インド鉱工業生産 前年比▲0.3%(前月+1.8%)

・1月インド消費者物価指数 前年比+7.59%(前月+7.35%)

・1月米NFIB中小企業楽観指数 104.3(前月 102.7)

・Q419米MBA住宅ローン回収債権比率 0.78%(前期0.84%)

・Q419米住宅ローン延滞率 3.77%(3.97%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +1.1%(前週+5.0%)
 購入指数▲5.8%(▲9.5%)
 借換指数+5.0%(+15.3%)
 固定金利30年 3.72%(3.71%)、15年 3.20%(3.19%)

・1月米財政収支 ▲326億ドルの赤字(前月87億ドルの黒字)

・12月OECD景気先行指数 OECD 99.4(前月 99.3)
 ユーロ圏 99.3(99.2)
 アジア 99.6(99.5)
 G7 99.3(99.2)
 日本 99.3(99.3)
 ドイツ 99.1(99.0)
 米国 99.2(99.0)
 中国 99.8(99.7)
 インド 99.1(99.2)
 ロシア 99.5(99.5)

・ドイツ銀行、「新型コロナウイルスの影響で中国経済が失速、世界経済の回復の脅威に。Q419からQ120にかけてテクニカルなリセッション入りの可能性は高まっている。コロナウイルスの影響でQ120のドイツの成長率は▲0.2%低下する見込みであり、現在の市場コンセンサスは+0.2%であることからリセッション入りの可能性。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・OPEC月報
 世界石油需要 Q120:99.5、Q220:99.4、Q320:101.6、Q420:102.4、2020:100.7
 非OPEC供給(含むNGLs) Q120:65.8、Q220:66.2、Q320:66.8、Q420:67.7、2020:66.6
 Call on OPEC Q120:33.7、Q220:33.2、Q320:34.8、Q420:34.7、2020:34.1

※新型肺炎の影響もあり、需要見通し下方修正、Call on OPECも下方修正。

・DOE米石油統計 原油+7.5MB(クッシング+1.7MB)
 ガソリン▲0.1MB
 ディスティレート▲2.0MB
 稼働率+0.6
 原油・石油製品輸出 8,907KBD(前週比+8KBD)
 原油輸出 3,327KBD(▲127KBD)
 ガソリン輸出 767KBD(+4KBD)
 ディスティレート輸出 1,255KBD(+88KBD)
 レジデュアル輸出 140KBD(+39KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,323KBD(+1KBD)
 その他石油製品輸出 1,846KBD(▲16KBD)

・ロシア主要原油生産者、減産期間の6月末までの延長を支持。

・イラン議会選挙始まる。投票は21日。

・シリア アサド政権軍、イドリブ県への攻撃を続けトルコとの全面衝突となる可能性。

【メタル】
・Q419Vale
 ニッケル生産 前年比▲21.1%の47.0千トン(前期50.9千トン、前年59.6千トン)
 コバルト ▲20.7%の1,140トン(1,009トン、1,437トン)
 銅 ▲15.7%の87.8千トン(92.0千トン、104.1千トン)
 鉄鉱石 ▲3.2%の77.907千トン(74,039千トン、80,495千トン)
 金 ▲0.8%の132千オンス(122千オンス、133千オンス)
 プラチナ +40.6%の46千オンス(25千オンス、32千オンス)
 パラジウム +33.3%の56千オンス(32千オンス、42千オンス)
 原料炭 ▲49.7%の825千トン(1,020千トン、1,641千トン)
 燃料炭 ▲28.2%の1,051千トン(1,290千トン、1,466千トン)

生産計画 鉄鉱石 307百万トン~312百万トン
 銅 38万2,000トン~38万6,000トン
 ニッケル 20万トン~21万トン
 石炭 800万トン~1,000万トン

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM RBOB ( エネルギー )/ +4.41%/ ▲6.88%
2.ICE Brent ( エネルギー )/ +3.30%/ ▲15.47%
3.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +3.13%/ ▲15.76%
4.NYM灯油 ( エネルギー )/ +3.01%/ ▲17.38%
5.DME Oman ( エネルギー )/ +2.83%/ ▲18.61%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.CBTもみ米 ( 穀物 )/ ▲1.58%/ +1.94%
69.LIFFEココア ( その他農産品 )/ ▲1.40%/ +8.58%
68.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲1.31%/ +0.82%
67.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲1.25%/ ▲6.87%
66.SHF 銀 ( 貴金属 )/ ▲1.03%/ ▲3.39%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :29,551.42(+275.08)
S&P500 :3,379.45(+21.70)
日経平均株価 :23,861.21(+175.23)
ドル円 :110.09(+0.30)
ユーロ円 :119.71(▲0.13)
米10年債利回り :1.63(+0.03)
独10年債利回り :▲0.38(+0.01)
日10年債利回り :▲0.03(+0.02)
中国10年債利回り :2.83(+0.01)
ビットコイン :10,389.08(+152.55)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.22(+0.2)
エネルギー :31.07(+3.01)
ベースメタル :19.92(▲0.41)
貴金属 :25.39(▲1.39)
穀物 :15.71(+0.48)
その他農畜産品 :23.87(▲0.41)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :26.96(+4.3)
Brent :35.42(+4.86)
米天然ガス :31.61(+1.13)
米ガソリン :33.80(+6.79)
ICEガスオイル :31.98(+0.12)
LME銅 :17.62(+0.66)
LMEアルミニウム :11.41(+0.51)
金 :10.56(+0.77)
プラチナ :20.31(▲4.51)
トウモロコシ :22.82(+0.27)
大豆 :10.56(+0.77)

【エネルギー】
WTI :51.17(+1.23)
Brent :55.79(+1.78)
Oman :54.87(+1.51)
米ガソリン :158.10(+6.68)
米灯油 :167.57(+4.90)
ICEガスオイル :494.25(±0.0)
米天然ガス :1.84(+0.06)
英天然ガス :20.69(+0.17)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :55.79(+1.78)
SPO380cst :291.77(+17.41)
SPOケロシン :65.56(+2.27)
SPOガスオイル :66.68(+1.84)
ICE ガスオイル :66.34(±0.0)
NYMEX灯油 :167.97(+2.36)

【貴金属】
金 :1566.06(▲1.83)
銀 :17.49(▲0.16)
プラチナ :963.15(▲8.77)
パラジウム :2399.81(+49.12)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,764(+50:17C)
亜鉛 :2,148(▲2:8C)
鉛 :1,846(+36:15.5B)
アルミニウム :1,733(+16:26C)
ニッケル :13,140(▲10:90C)
錫 :16,450(+50:25B)
コバルト :33,336(▲504)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5763.00(+38.00)
亜鉛 :2154.50(+0.50)
鉛 :1851.50(+3.50)
アルミニウム :1733.50(▲5.50)
ニッケル :13155.00(+35.00)
錫 :16570.00(+55.00)
バルチック海運指数 :418.00(+7.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :85.56(+1.53)
NYMEX鉄鉱石 :84.47(+1.11)
NYMEX原料炭スワップ先物 :152.57(+2.57)
上海鉄筋直近限月 :3,380(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,404(+11)
米鉄スクラップ :282(±0.0)

【農産物】
大豆 :892.50(+7.75)
シカゴ大豆ミール :291.70(+0.90)
シカゴ大豆油 :31.03(+0.31)
マレーシア パーム油 :2736.00(▲4.00)
シカゴ とうもろこし :383.00(+3.25)
シカゴ小麦 :547.50(+5.50)
シンガポールゴム :157.00(+1.40)
上海ゴム :11430.00(+25.00)
砂糖 :15.78(+0.37)
アラビカ :100.65(+0.15)
ロブスタ :1261.00(▲16.00)
綿花 :68.58(+0.35)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :55.68(▲0.45)
シカゴ生牛 :118.95(▲0.13)
シカゴ飼育牛 :135.05(+0.38)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。