CONTENTSコンテンツ

新形肺炎の懸念払しょくできず総じて軟調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年2月4日 第1682号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「新形肺炎の懸念払しょくできず総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、非景気循環系商品の一部が物色されたが、ドル高の進行や、新型肺炎の影響を受けた需要減速観測をぬぐい切れず、中国工業利益の減速もあって総じて軟調な推移となった。

昨日発表された中国の工業セクター利益は、1-12月期で前年比▲3.3%(1-11月期▲2.1%)、12月▲6.3%(前月+5.4%)と減速、工業金属価格の下押し要因となる。

また、夜間に米ISM製造業指数が発表され、総合指数は50.9(市場予想48.5、前月47.8)と予想外の改善となったが、景気循環銘柄価格はほとんどアップサイドに反応していない。統計よりもむしろこれを受けたドル高進行の方が、投機的な売りを誘ったとみられる。

1月中の調査であり、新型肺炎の影響を完全に織り込んでいないためと考えられる。

なお、ほとんど報じられていないが、東アフリカで「サバクトビバッタ」が大量に発生し、食品供給に被害が出ている。

■新型肺炎関連情報
中国の航空便はフライトトレーダー24の調査で(1月28日時点)で▲16%減少したようだ。さらに減便は増加することが予想される。

※フライトのリアルタイム情報と、便数の減少に関するレポートはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8209.html

また新型肺炎の感染も拡大しており、どのように終息するかは全く予想がつかない状況。

※新型コロナウイルスの感染拡大状況は、こちらのリンクからどうぞ。
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/8141.html

※いずれも、より詳しい解説は、MRA商品市場レポート(有料)の「昨日の世界経済・市場動向のトピックス」「MRA's Eye」などで解説しています。

※レポートのお申込みはこちらから。
https://marketrisk.jp/news-contents/news/3592.html


【本日の価格見通し総括】

本日も、世界中に症例が広がっている中国発の新型ウイルスの影響拡大の状況をにらみながらの展開が予想されるが、目先、中国政府の18兆元の経済対策や、中国との往来禁止などの措置により、早期に鎮静化するとの期待が強まっているため、多くの景気循環系商品に一旦安値拾いの買戻しが入ると見ている。

しかし、新型肺炎以外にも鳥インフルエンザ(H5N1型、2003年以降455人が死亡)の発生が中国で確認されたこと、中国に対する渡航禁止が解除された訳ではなく、引き続きヒトとモノの移動の減速が続く見込みであり、新規感染者数の減少、報告されなくなる、特効薬が見つかる、といったことがあるまでは総じて景気循環系商品が売られる流れになると考える。

予定されている統計では12月の米製造業受注(市場予想前月比+1.2%、前月▲0.7%)、米製造業受注除く輸送機(+0.1%、+0.3%)に注目しているが、あまり材料にはならないと見ている。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

新型肺炎関連の情報がニュースの大半を占める中、「昨日の総括」のところでコメントしたが、アフリカ東部でサバクトビバッタの被害が拡大している。ただでさえ新型肺炎の影響で世界的なモノの輸送に障害が出ている状況であり、これらの国への人道支援の穀物供給が滞る可能性がある。

また、ラニーニャ現象発生時はサハラ砂漠周縁諸国でサバクトビバッタが発生しやすい。気象庁は春先以降のラニーニャ現象発生を予想しているため、バッタの被害が現在治安が悪化しているナイジェリア・ニジェール・マリなどへも波及し、この地域で暴動が拡大するリスクがある。特に、アフリカ最大の生産国であるナイジェリアにこの影響が出た場合のリスクは小さくない。

サバクトビバッタとは直接関係ないが、リビアの内戦は全く収束の兆しが見えず、中東・北アフリカ地区からの原油供給は想定以上に下振れる可能性が出てきた。

しかし上記はリスク要因であり、まだ顕在化した訳ではない。そのため、価格の下落に対応するためにOPECは3月に予定していたOPECプラス会合を前倒しすることを検討している。サウジアラビアが価格下落に耐えられなくなった、ということだろう。

しかし、個人的な意見を言わせてもらえば、価格下落はそのまま容認しておいた方がそもそも景気減速局面にあることから、消費を刺激して世界経済にも、産油国にもプラスと考えられる(とはいえ、不要な原油を供給して価格を下げる、というのは産油国のスタンスからは難しい選択か)。

ただ、減産が実施された場合、景気の底入れを利下げや経済対策で回避でき他場合、今回の新型肺炎の終息宣言が出た時の価格上昇が顕著になる可能性を無視できない状況に、徐々にシフトしていることは念頭に置いておくべきだろう。

昨日、中国で工業セクター利益、米国でISM製造業指数が発表され、強弱まちまちの内容となった。中国工業利益は前月が大幅な改善であり、中国政府の公共投資や金融緩和の影響で改善が期待されていたが、予想外に大幅な悪化となった。

中国国内の工業セクターの回復が、米中通商戦争の影響で遅れていることを確認する内容となった。

これに対して景気のマインド指数の1つであり、米GDPの先行指標である米ISM製造業指数は予想外の改善。新規受注(47.6→52.0)、輸出(47.3→53.3)と需要関連のサブ指数が改善しており、米国の製造業に持ち直しの兆しが見られる内容。

しかし、これも新型肺炎拡大前の調査であるため、2月以降の内容を確認しなければ何とも言えない状況にある。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%)に引き下。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっていたが、新型肺炎の影響であと2回弱の利下げを市場は織り込みつつある(▲50bp程度)。景気の減速が懸念されているため追加利下げは景気循環系商品価格の下支え要因に。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・中国の新型肺炎の影響拡大(パンデミックリスクの顕在化)を受けた経済滑動の鈍化(景気循環系商品価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

ただし、新型肺炎の影響で当面は中国の合意不履行は問題視されない可能性が高まった。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。今後は2020年12月末の移行期間までに条件で合意ができるか否か。場合によっては、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げによって、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

昨日の原油相場はやや上昇したのち、水準を切り下げる動きとなった。各国製造業PMIの改善や、米ISM製造業指数が改善したことで需要への期待が高まるかと思われたが、これらも「過去の指標」であり足元これらの指標の改善を受けたドル高の影響で、投機的な売りが強まったためと考えられる。

新型肺炎の影響で、航空機需要は確実に減少している。フライトレーダー24の分析を参考にすると、1月28日時点で中国の国内線の15%が運休となった。

IEAやDOEのデータを基に、2020年の中国のジェット燃料の消費量(新型肺炎の影響を考慮しなかった場合の消費量)を計算すると国際線・国内線を合わせて95万バレル/日程度となり、運休がさらに増えて2割程度であるとすると、ジェット燃料向けの需要は▲19万バレル/日程度減少することになる。

これにガソリンなどの消費も同様のレベル(2割減少)で減少すると仮定すると、これだけでも合計▲100万バレル/日程度の需要減少が見込まれる。

しかし、ブルームバーグの中国国内の製油業者へのヒアリングでは全体でも同程度の需要減少(▲15%~▲20%)になると予測しており、数量ベースでは▲300万バレルに相当する需要減少となる。

上記はこれらの需要減少は注文の減少を通じて最終的に市場価格に反映される形となるため、市場が効率的であると仮定すれば、これらの情報はすでに価格に反映されていると考えるのが適当だろう。

さらに価格が下落するかどうかは、1.航空便の運休が増える、2.中国のみならず各国の工場停止が増加する、に依拠することになる。

【原油価格見通し】

原油価格は現状の低水準でもみ合うものと考える。新型肺炎の影響の拡大が続いており、中国との航空便の運航を停止、中国からの撤退や渡航禁止を決定する国が増える中、輸送需要が減少すると見られることが背景。

ただし、この事態を受けてOPECプラスの減産観測、リビアからの供給減少は価格を下支えすると考える。

中国の航空機の発着が2割程度減少していることを前提とすると、中国需要は日量▲300万バレル程度減少することになる。しかし、300万バレルはOPEC生産量の10.2%に相当するため、このような規模の減産は不可能だろう。

報道ではOPECプラス+サウジで▲110万バレル程度の減産が検討されているようだが、価格の下支え効果は限定されると予想される。結局、多くのケースと同様、需要がどのタイミングで回復するか(新規感染者数がいつ減少を始めるか)で、今後の価格動向は決定されるだろう。

このようなパニック状態になると、需給バランスなどのファンダメンタルズ分析はほとんど役に立たず、チャートのテクニカル分析などの方がより重要になる。情報開示とともにファンダメンタルズ分析が可能になるが、まだそのステージにはない。

プットオプションの積み上がり具合を見ると、Brentは55ドルに積み上がっているが、それよりも低い価格では1ドル刻みに50ドルまで小さな山がある。

これらの価格帯が防衛ラインとなるため、今後、事態が悪化した場合の下落ペースは緩やかなものになるだろう。

トランプ大統領は中東和平案を発表したが、イスラエル寄りの内容でありパレスチナ側は反発、アラブ連盟も受け入れ拒否を表明した。イスラム国がイスラエルに攻撃を仕掛けるとも表明しており、特にシーア派三日月地帯の治安は悪化しよう。

米国は中東原油への依存度が低下しているため、中東政策が「雑」になる傾向があり、中東情勢不安は今まで以上に高まっていると考えるべきである。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

米・イラン問題は国同士の衝突リスクは低下したものの、武装勢力による小規模な攻撃は継続している。このような状況だと、米国人が1人死ぬことがレッドラインとするならば、局地的攻撃が偶発的な事故を誘発し、大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

リビア情勢は当事者不在の中、恒久停戦に向けて協力するという共同声明が発表された。実質的に「何もできない」ということである。再びリビア国内では戦闘が始まったと伝えられており、同国からの原油供給が途絶する可能性は高まっている。

トルコはリビアの暫定政権側を支持しているが、それはイスラエルやギリシャが欧州向けに進めているガスパイプラインを遮断することが目的だ。これまではトルコを通じて欧州に輸出されていたが、地中海ガスパイプラインが通ればトルコの権益や影響力が低下するためだ。

大規模戦争にはならないとみるが、リビアの停戦は非常に困難とみられる。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。米政権は中間層への減税を検討している。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落。新型肺炎の影響に伴う、最大消費国中国の需要減少観測が強まり価格を押し下げた。ただし、ピークシーズンでもあり季節的な需要が価格を下支えしている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は中国の新型肺炎の影響が拡大、封鎖された都市の数が増加する中、エネルギー需要が鈍化するとみられることから、軟調な推移になると考える。

また、欧州で天然ガス価格の低迷や環境規制の強化に伴う脱石炭の動きが強まっていることも、石炭価格を下押ししよう。

ただし、ピークシーズン入りしていること、年度が変わったことによる、中国の輸入再開観測を受けて結局は現状水準でのもみ合いになると予想される。

また、長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPECプラスは新型肺炎の影響で2月に会合を開催、追加減産を行う可能性が出てきている(▲110万バレル程度の追加減産か)。

ただし、需要面の減速感が強まっているときの減産効果は限定されるうえ、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、追加減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

・米国の中東への関与低下や原油価格の下落による、中東・北アフリカでの暴動発生。特にシーア派三日月地帯とリビアでの発生リスク。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともにロングが減少、ショートが増加した。明らかに需要減速を意識したロングの解消と、生産調整が覚束ない中でのショートの積み上がりの流れ。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが588,255枚(前週比 ▲10,973枚)ショートが126,493枚(+47,833枚)ネットロングは461,762枚(▲58,806枚)

Brentはロングが480,539枚(前週比▲18,197枚)ショートが78,182枚(+8,436枚)ネットロングは402,357枚(▲26,633枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。各国の製造業PMIが上方修正され、米ISM製造業指数も市場予想を上回る改善となったが、これらの統計は「過去の統計」であり非鉄金属市場ではほとんど材料視されず、同じ過去の統計でも中国工業利益の減速や、米統計の大幅改善を受けたドル高進行の方がより意識された。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は新型肺炎の影響が拡大し、最大消費国である中国各都市の封鎖や、正月休み期間の延長などで工場の稼働が停止する見込みであり、各国も中国への渡航を禁止する動きに踏み切るなど、さらにヒトやモノの移動が制限される見通しであることが需要面で価格を下押しするため、軟調な推移になると考える。

非鉄金属市場の焦点は休日明けの中国勢がどの程度買いを入れてくるかだったが、買いはオープニング時に限定され、その後は一貫して水準を切り下げている。中国の需要は想定以上に強くない可能性が高まった。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

制裁緩和の影響は今後の統計を睨みながらになる。ただ、中国が米国との合意を順守した場合、日本の中国向け工業品輸出が減少して、日本企業にとってはマイナスに作用する恐れがある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、新型肺炎の影響で追加利下げの可能性が出てきており、価格に一定の下支え効果をもたらそう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、非鉄金属セクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的には環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想される。具体的には社会インフラとして「バッテリー」としての需要が高まると予想される、電気自動車に使用される金属が対象となる(銅、アルミ、ニッケル、リチウム、コバルトなど)。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは減速したが、閾値の50を維持。しかし、新型肺炎の影響が統計に表れるのは2月以降であり、さらなる減速の可能性は高い(価格の下落要因。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

・資源ナショナリズムの高まり。インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)・1月24日付のLMEロング・ショートポジションの動向は、亜鉛とアルミのロングが増加したが、それ以外の金属はロングが減少した。中国の新型肺炎の影響が意識されたためと考えられる。

しかし同時に、中国の一連の経済対策による景気への楽観からショートの買戻しが入っていたのも事実だろう。

しかし今後は新型肺炎の状況をにらみながらのポジション取りとなり、ロングの解消が進むと予想される。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は+12.8億ドル(前週+15.7億ドル)と買い越し幅を縮小した。買い越し額の増加率は▲18.1%。買い越し枚数が増加しているため、価格下落によるもの。

買い越し枚数はトン数換算ベースで+266千トン(前週+201千トン)と買い越し幅を拡大した。ネット売り越しの増加率は+32.2%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは大幅下落、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品先物価格は大幅な下落となった。

中国勢が一部を除いて市場に復帰したが、新型肺炎の影響で多くの工場がまだ稼働停止の状態にあると予想される。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、新型肺炎の感染拡大による経済活動の鈍化懸念や、最大の買い手である中国勢の不在(一部)が続くことが価格を下押しするが、鉄鉱石の港湾在庫日数の水準は過去5年平均を下回っており、鉄鋼製品価格も水準が高いことから粗鋼生産も高水準で推移するとみられることから下落余地も限定されると考える。

米中の通商合意は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、2020年はValeの生産本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は新型肺炎の影響に加え、鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは47.1(前月43.1)と回復した。生産活動の回復(44.1→46.7)と、新規受注の回復(36.2→46.8)が影響した。

しかし、そもそも水準が閾値の50を下回っており、原材料在庫の水準も51.1(前月48.9)と閾値の50を上回っていることを考えると、そこまで鉄鋼セクターの業況が良い、というわけではない。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

しかし、中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲55万トンの1億2,735万トン(過去5年平均1億2,184万トン)、在庫日数は▲0.1日の29.3日(過去5年平均 32.9日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+130.4万トンの1,019.4万トン(過去5年平均962万トン)と例年を上回った。新規受注の減速があるため、徐々に鉄鋼製品受給は緩和するとみられる。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、景気減速懸念の強まり。

・中国政府の経済対策(金融緩和や公共投資など)は価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。米ISM製造業指数の改善を受けて株価が上昇、米実質金利の上昇、それを受けたドル高も進行したことで一旦金・銀の利食い売り圧力が強まったためと考えられる。

なお、安全資産需要の度合いを示す「リスクプレミアム(回帰分析との乖離)」は216ドルで変わらずで、リスク回避の動きが弱まったためではない。

PGMは上昇した。株価の上昇を受けて工業金属的な色彩が強いプラチナ・パラジウムに買戻しが入った。ただし、供給懸念と構造的な需要増加が見込まれているパラジウムの上昇率がプラチナを上回った。

【貴金属価格見通し】

金価格は新型肺炎リスク拡大の懸念を受けた株安・債券高が実質金利を低下させるため、高値圏での推移を継続すると考える。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。現在のプレミアムは220ドル程度であり、実力ベースでは金価格は1,350ドル程度だろう。

ただ実際は過去の実質金利からの乖離幅は平均で160ドル程度であるため(リスクが完全になくなることはあまりない)、リスクが回避された場合、1,500ドル程度までしか下げ余地はないと見ている。

なお、米中合意は第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は金銀価格の上昇リスクとなる可能性がある。

ただ、しばらくは米中合意の履行が肺炎の影響で困難であるため、当面、中国の合意順守未達が材料視されることはなかろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は再び上昇に転じており、金銀レシオの上昇を肯定しやすくなっている。しかし、現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられ、20ドル前後まで価格が上昇してもおかしくない地合い。

特にリスク回避姿勢が強まり金が割高となる局面では、割安な銀が投機的な観点から物色される可能性は高かろう。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、新型肺炎の影響拡大が無視できないため、金銀価格対比では割安に推移しよう。

パラジウムは供給懸念が強く意識されているため引き続き、高値圏での推移となると予想される。

なお、パラジウムは投機の買いが押し上げているというよりも実際に顕著な供給不足によって上昇しているものであり、「どこまで上昇するのか」「調整した時のめどはどこか」といったことは正直不明である。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

やや懸念されるのが、12月の米自動車販売は1,670万台(前月 1,709万台)と再び失速している点。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・市場はFRBの年1回の利下げを見込んでいるが、政策変更はないとの見方が現在のメインシナリオ。しかし新型肺炎の影響次第では追加利下げの可能性も否定できず。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中国の新型ウイルスの影響拡大に伴う、安全資産需要の高まり。

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、第二弾合意は中国側にメリット少なく、むしろ今後は状況が悪化する可能性の方が高いか。この場合安全資産需要増加で価格の上昇要因。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英国のブレグジットは1月末に確定したが、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロングが増加、ショートが減少。新型肺炎問題の勃発で金需要は増加している。銀は逆にロングが減少、ショートが増加した。

プラチナはロングが減少、ショートも減少。どちらかというとポジション解消の動き。パラジウムも同様だが、ロングの減少が大きかったため、買いポジションは縮小。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが376,401枚(前週比 +1,608枚)、ショートが46,309枚(▲10,789枚)、ネットロングは330,092枚(+12,397枚)、銀が105,637枚(▲3,507枚)、ショートが42,220枚(+1,951枚)、ネットロングは63,417枚(▲5,458枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが77,440枚(前週比 ▲512枚)ショートが9,844枚(▲717枚)、ネットロングは67,596枚(+205枚)

パラジウムが12,234枚(▲3,234枚)、ショートが5,322枚(▲302枚)ネットロングは6,912枚(▲2,932枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は総じて小動きで、高安まちまち。いずれもテクニカルな売買が中心とみられ、前日買われたトウモロコシが売られ、大豆・小麦は買い戻された。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は新型肺炎の影響で米国からの輸出が鈍化する、との懸念が広がっていることから軟調地合いになると考える。

しかし、米中の通商面の合意や、異常気象による小麦の生産減少観測などへの懸念も根強く、また、景気減速から非景気循環系商品が物色されやすい地合いになるため下げ幅も限定され、結局はレンジでの推移になると予想する。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は豪州火災の影響や、ロシア・ウクライナの悪天候の影響で供給に懸念が出ていること、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、上昇圧力が掛かりやすい。

ただし「小麦は雑草」の格言通り、最終的には供給は間に合うと予想され、上昇余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・1月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9.200万Bu(市場予想135億207万Bu、前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億1,307万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・1月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 18億9,200万Bu(市場予想17億7,641万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,100万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億6,500万Bu(9億7,046万Bu、9億7,400万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・新型肺炎の影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

・米中通商交渉は部分合意、シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、二次合意も難しく中国の合意不履行を材料に両国関係が再び悪化する可能性も考えられ、シカゴ定期の下落要因に。

ただし新型肺炎の影響で、しばらくの間、中国が合意を履行しなくても問題視はされないと予想される。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に今年の春先以降、価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが320,909枚(前週比 ▲9,626枚)、ショートが247,489枚(▲35,023枚)ネットロングは73,420枚(+25,397枚)

大豆はロングが134,873枚(+10,178枚)、ショートが141,169枚(+34,118枚)ネットロングは▲6,296枚(▲23,940枚)

小麦はロングが158,579枚(▲374枚)、ショートが117,438枚(+6,210枚)ネットロングは41,141枚(▲6,584枚)

◆本日のMRA's Eye


「ニッケルは年後半にかけて上昇か~新型肺炎の影響は無視できず」

ニッケルの価格は他の工業金属と同様、最大消費国である中国の景況感に左右されやすいが、インドネシアの未処理鉱石輸出禁輸措置の影響で価格が上昇すると予想していた。

しかし、予想に反して現在のニッケル価格は低迷しており、12,000ドル台まで水準を切り下げた。理由は複数考えられるが、1.事前の通達による中国の前倒し輸入実施による、中国国内の在庫積み上がり、2.中国の循環的な景気の減速に伴う需要の減速、3.米中合意は特段景気刺激策にはならない、4.新型肺炎の感染拡大に伴う先行き需要の減速観測、が主なところだろう。

1.についてはインドネシアのアナウンスが早かったこと、前回の輸出規制開始以降、フィリピンの供給量が増加しており、インドネシアからの輸出停止の影響を緩和した。

実際、中国のニッケル鉱石の港湾在庫の水準は過去4年レンジを超える1,137万トンと、統計データが取得できる過去4年の最高水準である1,071万トンを上回っている。

これに加えて2.の影響が小さくない。ニッケルは、電線向け投資などの公的需要に支えられた銅とは異なり、用途がステンレス向け需要が6割以上を占めているため、概ね住宅セクター動向に需要や価格が左右されやすい。

中国政府は経済対策に住宅セクターを用いない、と宣言している以上、ニッケル需要は景気回復に伴う需要回復しか期待できないと考えるのが妥当だろう。

3.については、米国と中国が通商面で合意に至り、今後輸出が増加するとの期待はあるものの、冷静に考えると米国の中国に対する制裁関税は継続している。

また、あくまで「米中の話」であって、中国が他の国から買っていたものを米国から買うようにするだけ、の話である。

つまり、今回の合意で中国需要の「パイが増える」わけではないのだ。よって、先行きの景気見通しはさらに悪くなることがなくなっただけ、と整理するのが妥当だろう。

供給に懸念がない中で、需要の回復がまだ先である、ということを考えるとやはり価格には下押し圧力が掛かりやすい。

INSG(International Nickel Study Group)は11月の需給バランスが▲1,300トンの供給不足とした。H119の需給バランスが▲7,200トンの、2018年は▲12,000トンの供給不足であることを考えると、需給バランスが緩和方向にあることが分かる。

ただ、MBなどの分析ではインドネシアの供給制限で中国のNPI向けの供給が不足し、2020年は2018年・2019年を上回る▲45,000トンの供給不足(H120が▲17,000トン、H220が▲28,000トン)になると予想されている。

イベントリスクの顕在化がなければ、現在の水準からニッケル価格は年後半にかけて上昇するというのが依然、メインシナリオだ。

しかし、4.の新型肺炎の影響はどの程度で終息するか全く不明であり、今後のリスク要因である。今のところ感染症例が世界各地で確認され、中国国内でも爆発的に感染が拡大しており、世界中パニック状態になっている。

正直なところ影響の拡大は弊社が想定していたよりも大きく、価格も想定以上に下落している。ニッケルは投機的な取引の対象にはし難いが、商品市場でも一般的になってきた一目均衡表の雲を下抜けしており、テクニカルにも14,000ドルが上値として重い状況になってきた。

ただ、一部報道では中国はすでに今回の新型肺炎のたんぱく質構造の解析が終了し、さらにはタイで抗HIV薬とインフルエンザ薬を複合投与すると薬効があることも確認された、という情報も流れている。

仮に事実であり、臨床試験(このあたりの対応はさすがに一党独裁の国であるため早い)の結果、正式に薬効が認められれば想定よりも早く問題が解決するシナリオもあり得る。

しかしこの場合、中国が遺伝子解析の分野で先行していることを世界に知らしめることになると別の意味で中国脅威論が広がり、米国が中国に対する制裁を強化することもあるかもしれない。

◆主要ニュース


・1月日本製造業PMI改定 48.8(速報比▲0.5、前月改定 48.4)

・1月日本自動車販売 前年▲11.1%の221,464台(前月▲9.5%の226,951台)
 乗用車▲11.5%の192,821台(▲9.5%の194,765台)
 トラック▲8.4%の27,881台(▲9.6%の31,203台)
 バス▲10.7%の762台(▲19.4%の983台)

・1月韓国製造業PMI 49.8(前月50.1)

・1月中国財新製造業PMI 51.1(前月 51.5)

・1-12月期中国工業セクター利益 前年比▲3.3%の6兆1,996億元(1-11月期 ▲2.1%の5兆6,101億元)
 12月▲6.3%の5,884億元(前月+5.4%の5,939億元)

・1月独製造業PMI改定 45.3(速報比+0.1、前月改定 43.7)

・1月ユーロ圏製造業PMI改定 47.9(+0.1、前月改定 46.3)

・1月米製造業PMI改定 51.9(速報比+0.2、前月改定 52.4)

・12月米建設支出 前月比 ▲0.2%(前月改定+0.7%)

・1月米ISM製造業景況指数 50.9(前月47.8)
 仕入れ価格 53.3(51.7)
 生産 54.3(49.1)
 新規受注 52.0(47.6)
 受注残 45.7(43.3)
 在庫 48.8(49.2)
 顧客在庫 43.8(41.1)
 雇用 46.6(45.2)
 輸出 53.3(47.3)
 輸入 51.3(48.8)

・中国政府、新型肺炎に対する対応に誤りがあったと認める。

・中国政府、新型肺炎の映鏡で2020年の成長見通しを下方修正へ。

・中国政府、「米政府に対して貿易合意の公約順守に関し、新型肺炎の影響を考慮して十何な対応を期待している。」2月半ばに発効する合意の中には、自然災害など予見不可能な事象の発生によって両国の合意順守が困難な場合、両国が協議するとする条項が含まれる。

・中国人民銀行、公開操作で18兆元の資金供給。

・トルコ、シリア イドリブ県でアサド政権軍に攻撃を受けたトルコ兵士が死亡したと発表、報復としてアサド政権軍に攻撃を行う。エルドアン大統領、「ロシアはアスタナであろうと、ソチであろうと約束をした義務を果たせ。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・OPECプラス、2月中旬に3月の会合を前倒しで調整。

・Citi、新型肺炎の影響が当初予想していたよりも大きいとして、価格見通しを引き下げ。

 BrentはQ120が69ドルから54ドル、Q220が50ドル(68ドル)、Q320が53ドル(63ドル)、Q420が58ドル(57ドル)。Q120の銅価格予想が5,000ドル(6,000ドル)、 アルミが1,710ドル(1,775ドル)、原料炭が150ドル(170ドル)。

・アラブ連盟、米政権の中東和平案を拒否。

・トルコ、シリア イドリブ県でアサド政権軍と衝突、トルコ兵6人、トルコ軍の報復爆撃でアサド政権軍の30~35人が死亡か。エルドアン大統領、「ロシアはアスタナであろうと、ソチであろうと約束をした義務を果たせ。」

【メタル】
・Citi、新型肺炎の影響が当初予想していたよりも大きいとして、価格見通しを引き下げ。

 BrentはQ120が69ドルから54ドル、Q220が50ドル(68ドル)、Q320が53ドル(63ドル)、Q420が58ドル(57ドル)。Q120の銅価格予想が5,000ドル(6,000ドル)、アルミが1,710ドル(1,775ドル)、原料炭が150ドル(170ドル)。

・CRU、「2019年のニッケル需要の5%がバッテリー向け。バッテリー向けの需要は2030年までに87万トン、2040年までに150万トンに達する見込み。2040年までに総需要の3分の1を占める見込み。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +6.05%/ +4.57%
2.SHF 金 ( 貴金属 )/ +2.79%/ +2.92%
3.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +1.92%/ +10.95%
4.パラジウム ( 貴金属 )/ +1.70%/ +19.58%
5.CBT大豆油 ( 穀物 )/ +1.17%/ ▲12.18%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲15.19%/ ▲15.67%
69.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ ▲14.95%/ ▲14.10%
68.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲9.02%/ ▲12.85%
67.DME Oman ( エネルギー )/ ▲8.48%/ ▲19.02%
66.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲7.88%/ ▲9.96%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :28,478.30(+222.27)
S&P500 :3,251.51(+25.99)
日経平均株価 :22,971.94(▲233.24)
ドル円 :108.73(+0.38)
ユーロ円 :120.24(+0.05)
米10年債利回り :1.53(+0.02)
独10年債利回り :▲0.44(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.06(+0.01)
中国10年債利回り :休場( - )
ビットコイン :9,316.48(▲37.83)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.35(+0.95)
エネルギー :26.75(+2.03)
ベースメタル :20.39(▲0.65)
貴金属 :26.35(+0.14)
穀物 :14.92(▲0.14)
その他農畜産品 :25.91(+1.86)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :23.84(▲3.33)
Brent :29.59(+7.9)
米天然ガス :30.18(+0.09)
米ガソリン :25.87(▲2.69)
ICEガスオイル :27.32(+1.51)
LME銅 :16.19(+0.08)
LMEアルミニウム :10.18(▲2.24)
金 :9.89(▲0.34)
プラチナ :24.66(▲0.7)
トウモロコシ :22.22(▲0.32)
大豆 :9.89(▲0.34)

【エネルギー】
WTI :50.00(▲1.56)
Brent :54.26(▲3.90)
Oman :54.60(▲5.06)
米ガソリン :146.90(▲1.97)
米灯油 :157.34(▲5.11)
ICEガスオイル :482.00(▲19.00)
米天然ガス :1.82(▲0.02)
英天然ガス :22.83(▲1.35)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :54.26(▲3.90)
SPO380cst :258.86(▲20.21)
SPOケロシン :79.82(▲0.48)
SPOガスオイル :63.64(▲2.89)
ICE ガスオイル :64.70(▲2.55)
NYMEX灯油 :201.65(▲1.94)

【貴金属】
金 :1575.91(▲13.25)
銀 :17.66(▲0.38)
プラチナ :969.27(+8.23)
パラジウム :2326.62(+38.85)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,602(+14:7C)
亜鉛 :2,188(▲13:12.5B)
鉛 :1,860(+8:19B)
アルミニウム :1,719(▲6:24.5C)
ニッケル :12,850(+90:100C)
錫 :16,225(+50:125B)
コバルト :34,616(▲22)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5561.00(+0.50)
亜鉛 :2165.00(▲43.00)
鉛 :1830.50(▲46.50)
アルミニウム :1696.50(▲28.50)
ニッケル :12720.00(▲70.00)
錫 :16180.00(▲255.00)
バルチック海運指数 :487.00(▲11.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :78.62(▲13.82)
NYMEX鉄鉱石 :78.33(▲14.11)
NYMEX原料炭スワップ先物 :146.57(▲2.71)
上海鉄筋直近限月 :3,374(▲252)
上海鉄筋中心限月 :3,259(▲256)
米鉄スクラップ :283(+8.00)

【農産物】
大豆 :877.00(+4.50)
シカゴ大豆ミール :289.80(▲1.20)
シカゴ大豆油 :30.29(+0.35)
マレーシア パーム油 :2670.00(+30.00)
シカゴ とうもろこし :378.75(▲2.50)
シカゴ小麦 :555.50(+1.75)
シンガポールゴム :149.50(▲6.80)
上海ゴム :10990.00(▲1090.00)
砂糖 :14.89(+0.28)
アラビカ :97.90(▲4.75)
ロブスタ :1290.00(▲44.00)
綿花 :66.84(▲0.66)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :56.30(▲0.83)
シカゴ生牛 :121.68(+0.30)
シカゴ飼育牛 :136.65(+0.58)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。